第7話 To be,or not to be.That is the question.

 民宿の大浴場はそこそこの広さだ。確かに、中高生が十数人押しかけても捌けるだけはある。


「んで、さ」


 ……そう簡単に現実から目を背けさせてはくれないようだ。戸高に横にびっちりとマークされている。


「なんだよ」


「どうせ明日言うんだから、今教えてくれよ」


 何を、とは惚けられない。


 脳裏に、一宮の顔が浮かぶ。あまり話し上手ではない俺の話で、たまに浮かべてくれる可愛らしい笑顔。この世にある愛嬌という愛嬌を全て詰め込み、それでも尚余りある可愛さ。


 だが、同時に胸の奥から四方八方を突き刺す痛みが湧き上がってくる。玉砕したところで、状況は好転しない。あの笑顔も──




 ──見れなく、なる




「おい、大丈夫か?」


 向かいには、世良が居た。彼らしく、律儀に(?)タオルを頭に乗せて、肩まで湯に浸かっている。


「のぼせたんなら、先に出てもいいぞ?」


 戸高もそう言ってくれる。


「まぁ、後で寝る時にでも聞かせてもらうわw」


「あぁ…ありがとう」


 そして湯から上がる時、世良がすれ違いざまに、呟かれる。


「あんま思い詰めんなよ」


 ──俺は、こくりと頷いて大浴槽から上がった。







 部屋に1人、畳の上に寝転がる。


 考えているのは、勿論一宮のこと。


 このままでいいのか。いけないのか。それが問題だ。


 このまま、とは?


 その行く末はどうなるのだろうか。分かりきっている。


 このまま、疎遠になる。


 彼女の高校一年でよく話したクラスの男子として、朧げながらも記憶され、同窓会用の引き出しにしまわれる。


 しかし、今から半年弱は彼女と関わっていられる。彼女の横で、彼女の笑顔を見ていられる。


 告白を、したら?


 文字通りの玉砕だ。もはや一方的な殲滅であり虐殺だ。


 だが、思いは通じる。行く末がどうなろうと、この恋情が。


 どうするべきなんだろうか。誰か、教えてくれ。なぁ、

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