第5話 ホワイダニット②
汗が、頬を伝う。暑さによるそれじゃない。緊張によるそれだ。すべての原因はあの戸高の発言だ
『じゃ、このポーカーで負けた方が好きな人が誰か言うって事で』
だが俺も馬鹿じゃない。勝てると踏んだから、戸高に吠え面をかかせられると踏んだから勝負に乗った。だが──
「これが4枚目のカードだ」
ハート、クローバーのキングにダイヤの8。それにクローバーの7がさらに場に出る。……俺の手札はダイヤの7とハートのエース。ツーペアだがどうなるか。
「降りなくていいのかい、悠佑くん?」
「お前こそ、な。ほら、早く五枚目を場に出せ」
……スペードの7!
つまり、7のスリーカードにキングのツーペア、つまりフルハウスだ。これに勝てるのはフォーカードかストレートフラッシュ、ロイヤルストレートフラッシュの3つだけだ!
「ショーダウンだ」
戸高がそう言い、手札をこちらに見せる。キングのツーペアだ。……つまりフォーカード。……なんてことだ。
「7とキングのフルハウス…俺の負けだ」
「っしゃあ!!」
目の前で戸高が喜びはしゃぎまわっている。
「そんなんありかよ……」
「ハッハッハッ、約束を守ってもらおうか!」
「まて、もう一戦、もう一戦でいいから!」
俺が勝ったら取り消してくれと、割とガチ目にお願いする。
「分かった分かった、じゃあその代わり」
そう、俺なんかとつるんでくれるんだから根は優しい奴らだ。無茶ぶりなんかせず緩い奴で勘弁してくれるはずだ。
「悠佑が負けたら、明日行く海水浴で好きなやつ叫べよ」
*
「9のスリーカード!」「ほいストレート、じゃ明日楽しみにしておくわw」「ど゛う゛し゛て゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛」
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