第2話 独白
一学期。その間、俺の学校での会話の相手はほとんど一宮鈴奈だった。元々、騒ぐタイプではないし、するとしても授業中の雑談程度だから、なのだが。
いつ、好きになってたか。その答えは明瞭に出せそうにもない。劇的なドラマもない。ただただ、地味な男子高校生に好きな人が出来ただけだ。
そう、地味な男子高校生が。
一宮玲奈は、美人だ。それだけでは無い、性格も良い。こんな地味な奴でも話し掛けてくれるんだ、そりゃそうだ。しかも、部活では大会にも出て幾つか優勝しているらしい。
正に、完璧人間だ。
そんな人に、恋をした?こんな奴が?
不釣り合い、不相応。そんな言葉だけでは表しきれない。なにより、一宮は、俺なんかを友達として、友人として関わってくれてる。
そんな関係を、俺なんかがむざむざ壊すなぞ出来るはずもない。いつか疎遠になるだろう。だが、今、この思いを打ち明けて玉砕なぞ出来るはずもない。しようとも思わない。
だから自分は、決めたんだ。この思いは絶対に一宮に言わない。
異性への友愛を恋情と勘違いしているだけだとか、性欲をそれに勘違いしているだけだとか、そう胸の中で言い訳をして誤魔化すのだ。
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