砂浜で好きな人の名前を叫んだら本人に聞かれてた話

Ray

第1話 篠原悠佑

 篠原悠佑。それが自分の名前。特に珍しくもなく、他人の目を引くようなものではない。それは、名前だけには留まらなかった。だが、それは言い訳に過ぎなかったのかもしれない。いまもこうして、後悔と罪悪感、申し訳なさが胸を突き刺しているのだから。



 *



───好きな人が出来た。




 付属校として中学から高校にあがった自分たちは高校入試で入学してきた秀才達とは別にクラス替えだったため、心構えは高校一年生というより中学四年生といった方が相応しかっただろう。


 もともと運がなく、友人も少ないというクラス替えが威力4倍の自分は、まぁ見事にクラス替えに爆死してしまったという訳で。結局クラスでまともに話せるのは前に同じクラスだった同性の知人数人と、中2で同じクラスだっただけだった。


 幸運だったのは、その"まともに話せる知り合い"が席の隣で、それでいて担任がまずは話せる友人を作れ、と一学期中は席替えをしないと決定したことだ。


 ……まぁ、それがなのは、今や全てを振り返ってみると、幸運だったのか不幸だったのか分からないが。

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