第6話 赤いものを見ると痛む

Missテリ

 「赤いものを見ると痛みが起こるんですか?」

You

 「はためくものだけ、だがね」

Missテリ

 「それは正常な反応です。球団のCarpの旗がたなびいても痛まないでしょ」

You

 「そうだ、そうだよなぁ」

Missテリ

 「赤は禁止や停止を意味しますよね。目立つ色ですからな。でも、クリスマス関連

  のグッズには反応しないでしょ、それと同じですよ」

You

 「なるほど」

Missテリ

 「人は無意識に善と悪を決め、悪に近づかないようにしているんです」

You

 「じゃ、俺の痛みって何だよ」

Missテリ

 「それはいま、世界を恐怖のどん底に陥れようとしている大きな組織の旗がYouさ

  んを傷つけているんです」

You

 「ああ、あの国とあの国のことか」

Missテリ

 「否定はしません。青チームと赤チームと呼ばれていますね。どちらが正しいのか

  は僕は言いません。それぞれの真実ですから。ただ、自由の中の秩序を重んじる

  僕は、独裁と言う名の赤チームには同意できません」

You

 「悪い奴ほどよく眠るとか稼いでいると言うけど、本当にそうだな。今、青チーム

  の国民は眠れない日々を過ごしているもんな」

Missテリ

 「でも、赤いチームも強がっては要るけど、眠れない日に怯えていると思います」

You

 「そうなのか、苦しめている奴は、相手を見下し、押さえつけるのに優越感を覚え

  て酒盛りしてるんじゃないのか」

Missテリ

 「それは、身勝手な思想を安全な場所でこねくり回し、働く者を騙し続けていられ

  ればの話です」

You

 「身勝手な奴は、自分に都合の悪い情報を流さないだろ、じゃ、騙されている者は

  気づけないじゃないか」

Missテリ

 「普段はそうでしょうね。でも、対話していた人が、突然、皆さんとこれが話せる

  最後になるかも知れないってこれが、冗談じゃなく言ってきたらどうします」

You

 「どうしたんだ、ってなるよね」

Missテリ

 「いま、世界で起きていることが対岸の火事だと傍観していたものが、そうじゃな

  くなる。そこで初めて真剣に向き合うんです。Youさんが赤いものを見れば痛む

  のは傍観者じゃなくなった証です。色んな関りがあり、見えてる悪を見ないよう

  にしていたのをいけないことだと思うようになったからではないでしょうか」

You

 「必要悪ってやつか。でも、悪は悪で、必要とするべき価値がそこにあるのかを考

  えるための時期を迎えたと言う事なのか」

Missテリ

 「僕はそう思います。考えればいいと思います。損とか得を考える前にそれが一部

  の幸せか大半の幸せかを。秩序は大半の人がそれを重んじるから皆が暮らせる世

  界を形成できます。一部の人の秩序は多くの人を不幸にします。いま、それが問

  われています。臭い物は元から絶たなきゃダメです。蓋をするのは、それを見な

  いようにしてるだけで、解決策になっていないのです。元を正す、それがいま求

  められているんだと僕は思います」

You

 「美味しいものばかりに手を出せば、糖尿病や通風、肥満で自分自身を蝕む、それ

  に企業家や国を司る者は気づくべきだよなぁ」

Missテリ

 「身近なものが極限まで追い込まれ苦しみながらも諦めず、命を賭けて挑む姿は正

  常な者なら目を覚ます特効薬になります。でも、まだ対岸の火事だとしか思えな

  い輩には、自らの利益・保身にしか興味が持てないはずです」

You

 「ならどうすればいいんだよ、俺たちは」

Missテリ

 「傍観することを放棄することです。愛国心に目覚め、自ら銃を持つように、自己

  保身と利益追求しか見えなくなった者へ、声を上げる事です。誰かがやるだろう

  ではなく小さな声を上げる事です。無駄に思えても」

You

 「小さなことからコツコツと、と誰かが言ってたな」

Missテリ

 「それ、大事です。大木も小さな種から育ちます。撒かなければ、そこには何も育 

  ちません」

You

 「命を賭けた者は、何かに媚びたり、意見をコロコロ変えたり、応援を受けようと

  しても大樹の陰に身を任すことはないよな。でなければ、人を動かす力はないと

  俺は思うよ」

Missテリ

 「共感できる、は、同じ公式・数式があってのこと。その根本が違えば交わる事は

  ありません。新たな物が見つかるまでは、公式を信じて行動する。この基本を忘

  れたり疎かにすることが、疎外感となり、孤立を生み出します。ルールとはそう

  いうものです。共感・共有できれば、迷路の出口も見えてくるはずです」

You

 「そう願いたいね。そうそう、必要悪と言えば、情報統制している団体にサイバー

  攻撃がなされ、情報統制に障害が生じて、事実が拡散され始めているらしいね」

Missテリ

 「新しい戦い方が幕を開けたということでしょうか。僕たちに出来ることは間違

  った事に邪魔くさがらず声を上げる事です」

You

 「保身を考え、沈黙していた人が声を上げ始めているな」

Missテリ

 「人は考える葦である。フランスの哲学者・パスカルの言葉です。 葦というのは   

  水辺に育つ、弱く細い草のような植物のことで、パスカルは「人間は自然の中で

  は葦のように弱い存在である。 しかし、人間は頭を使って考えることができ

  る。 考える事こそ人間に与えられた偉大な力である」ということを述べていま

  す。自分都合ではない醜くても事実に裏付けられた知識によって考えることは本

  当の意味での平和的な解決へと導くと僕は信じたいです」

You

 「そうだな」

  

  

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