クセあり神様と俺/わたし!?
白野さーど
第一部 一真とハナ
第1話 神様との出会い
『
誰かの
知っているような、知らないような声を……。
「んっ……」
その声に導かれるように、
「……んん!? ここは……」
そこに広がっていたのは――――――真っ暗な空間だった。
唯一、自分だけが少し光っているだけで、他はなにも見えない。
ここはどこなのか。
それを答えくれる者はどこにもいない。
(どうなってるだ、こりゃあ……)
夢の中……? それにしては自分の意識があるよな……。
頬をつねってみたが、痛みは……
「あるじゃねぇか」
ということはつまり、これは現実だ。夢なんかじゃない。
一体、どうなってるんだ……?
すると、そのとき、
『一真〜っ!!』
どこからか自分を呼ぶ声がした。
(……? 今、誰かが俺のこと…――)
『一真〜っ!!!!』
「なっ、なんだ……!? うわぁっ、眩しっ!」
目が開けていられないほどの
(なんなんだ……っ!?)
それから光が少し落ち着いたところで、腕を下ろしてゆっくり前を見た。
『やあ』
「…………」
「……あんたは、誰なんだ?」
俺の質問に、謎の人物はというと、
『ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれたっ。そんな君に特別に教えてあげよう〜』
なぜかノリノリだった。
声を聞いただけで、ノー天気な人物だということはわかった。後は、声的に男ということくらいか。
『
「あ、あぁ……悪い、続けてくれ」
『オッホン! では、話を始めるとしようーっ』
「…………」
完全に向こうのペースになってしまったが、これで誰なのかがわかる。
と、
『私は、この世界を作った神であるぞっ!』
「…………あっそ」
『……え、えぇ、ちょっと反応薄くない?』
「そうか?」
『えぇ? 生きている間に本物の神様に会えるんだよ? もっとテンションを上げて喜んでくれても――』
「テンションかー……ふわぁ〜」
おっと、自然とあくびが。
『…………』
じーーーーーっ。
「な、なんだよ、ただあくびをしただけだろ?」
『ふーん。そんなことを言うんだ〜』
その言い方、彼氏に怒るときの彼女か。
『おっ、よく気づいたねーっ』
「さすがに気づくだろ……」
ああぁー、自分の中の神様のイメージが変わっていく。
『参考までに、どんなイメージだったの?』
「なんというか、全てを包み込む優しさを持っている感じ?」
『甘い、甘い甘い。角砂糖を十個入れたミルクティーほど甘い』
うげぇ……それはさすがに甘過ぎるだろ。
――キランッ。
うん? 今一瞬、目の辺りが光ったような。
『今、君は心の中で、角砂糖十個は甘過ぎると思ったのではないか?』
「え? それはまぁ思ったけど。それが?」
『私は言ったはずだよ。この世界を作った神であると』
「……ん? つまり、どういうことだ?」
というか、どうして俺はこんなに神様と普通に話ができているんだ?
全く見当がつかないし、もう訳がわからない。
まぁ、取り敢えずここは、あのノリに付き合うとして――
『ノリに付き合ってくれるのかい? 嬉しいねぇ〜。神様、頑張っちゃうぞっ!』
「ッ!!? ど、どうして……まさか、心を読んでるのか……?」
『う〜ん。間違ってはないけど、正解とは言えないかな』
「?」
『はぁ、仕方ない。君をこの世界の主人公にしたのは私だし、順を追って説明――』
「――ちょっ、ちょっと待ってくれっ!」
『うん? なんだい?』
「今、あんたは、俺をこの世界の主人公にしたって言ったよな?」
『そうだけど?』
なにを言ってるんだ、この子は? と言わんばかりに、当たり前のことのように言ってくるが。
(んん……)
うん? な、なんだ?
『おやっ。どうやら、そろそろ現実の方の君の目が覚めそうだから、単刀直入に言わせてもらうよ。……天道一真君』
……っ!! 急に雰囲気が変わった。
『これから君は、私が創りしこの世界の中心として生きてもらう。……私の思うままに』
………………はぁ?
「生きてもらうって……一体どういう意味だよっ!? 俺が世界の中心!? それにあんたの思うままって……」
『ふふっ、いずれわかるさ――」
「!! おっ、おい待てよ!! 話はまだ――」
――――――――――――――――――――――――。
さっきと同じ
優しく、優しく…――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます