第4話許嫁

修は、夢を見ていた。母さんらしい女の人が手を振っている。手を差し出した瞬間母さんは突然消えた。周りを見回しても誰も居ない。修はそこで目が覚めた。修の横で寝ていた許嫁の近藤美由紀は修の方を見ていた。

「大丈夫?」

と、そう言って美由紀は修に声を掛けた。

「大丈夫」

修の夢はよく当たる。

「何か不吉なことがなければいいが…」

修の心中は複雑だった。美由紀はそんな修に声を掛けなかった。修は啓介を呼んだ。啓介は面倒くさそうな顔をしていた。修は啓介に話を聞いてもらいたいだけだった。啓介は修から話を聞かなかった。修は啓介にかまって欲しかった。修は父親の愛情を感じなかった。だが、修には反抗期がなかった。修は父親を悲しませるようなことはしない。

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