第40話
バイトが意外と早く終わった。
琴美もバイトって言ってたよな。
ちょっと行って驚かせちゃおっかな〜。
カランコローン
「あ、琴美さんの彼氏。いらっしゃい」
「今日琴美バイトですよね?」
バイト仲間に聞いてみた。
「あー、それが私明日バイト出れなくなった
ので今日琴美さんと交換してもらったんで
す。だから、教習所行くって言ってました
よ。」
マジかよ。
夜は特に危険だ!
非常事態じゃねーか‼︎
「そっか。ありがと」
慌てた様子を見せてしまうとバイト仲間に
何かあったのかと心配させてしまうので、
冷静を装ってケーキ屋を出た。
そして急いで教習所に向かった。
頼む。
間に合ってくれ。
とりあえず琴美に電話をかけてみた。
繋がらない。
クソー‼︎
大丈夫かよー⁉︎
ハァハァハァ
やっと着いた…。
琴美は、どこにいるんだよ。
もう無事帰ったならいいんだけどな。
「ありがとうございました。」
「はい。ご苦労様。気をつけて帰りなさい」
「はーい」
琴美…。
無事でよかった。
これでひと安心だな。
「琴…」
ドンっ
いってぇ。
誰だよ…
「キャー」
琴美⁉︎
琴美を暗闇にグイグイ引っ張っていく男。
「オイ‼︎離せよ‼︎」
「んぁ⁉︎なんだよテメー。カンケーねーだろ。
どけ!」
なんだと‼︎
ドスッ
男を腹パンチしてやった。
「いってーなー。やんのかこのヤロー」
「やってやるよ。かかって来いよ。」
ドンっ
相手のパンチを避けて一発くらわしてやっ
た。
「ウッ…なかなかやるじゃねーか。にーちゃ
んよー。」
「お前の目的は、なんだ。」
「かわいいから狙ってたんだよ。ずーっと。
やっとチャンスが来たのに邪魔しやがって。
消えろ」
はぁー⁉︎
あったまきた‼︎
グイーッ
「いたたたたた…わかった。離せ…ごめんな
さい。もう偉そうにしません…いたたた」
「もう二度と近づくなよ。わかったか‼︎」
「けっ…わかったよ。」
ふらふらしながら男は、帰って行った。
意外と弱い奴でよかったぜ…
「琴美…大丈夫⁇」
「う…ん…」
へなァ。
琴美が座り込んだ。
「なんかされてない?」
「うん。」
「こわかったね。」
「うん。」
「さっき引っ張られた手痛くない?」
「うん。」
「大丈夫かよ。さっきからうんしかいわねー
じゃん」
「うん。」
… … …
「よし‼︎帰ろう」
「うん。」
しばらく無言だった琴美。
少ししてようやく落ち着いてきたみたいだ。
「小太郎。さっきは、ありがとう。」
「いいよ。でももっと早くくればよかった」
「なんで来てくれたの?」
「なんか、勘かな⁈」
「すごいね。本当にありがとう」
「うん。これからは、特に夜は一緒に通うよ
うにしよ」
「わかった。」
それからは、休日一緒に教習デートをする
事にした。
意外とそれも楽しい。
あの変な男も見かけなくなった。
そして二人とも無事免許証を手に入れた。
「みてー。小太郎‼︎」
琴美が免許証を見せてくれた。
ん?
「なんか顔変じゃない?緊張したの?」
「そーなんだよ!普通写真って言ったらにっ
こりしてーってうまれてからずーっと言わ
れて来たじゃん⁈なのにいきなり真顔で、
笑わないでくださいなんて言われたからさ、
びっくりしてこんな顔になっちゃったって
わけよ」
「あー、なるほどなー。まっ、でもかわいく
映ってるからいいじゃん」
「そうねぇ。小太郎がそう言うならいいかな
ぁ。」
琴美は、これから資格を取り就職したら車
通勤になる。
だから、たまに休みの日レンタカーを借り
てドライブしたりする。
今日も車で琴美が迎えに来る。
でも、少し遅いな。
どうしたんだろ…
「小太郎ー。遅れてごめーん」
「いいけどどうした?」
「うん。それがあり地獄にはまって」
えっ?あり地獄?
「もしかして渋滞にはまった?」
「うん!そうとも言う」
「へー…ご苦労様」
「はい!あ、そうそう。社会人になったら、
遅刻とかタブーだよね。寝坊したら言い訳
どうする?」
「んー、素直に寝坊しましたって言うしかな
くない?」
「でも、怒られないかなー…あ、いい事考え
たよ。」
「何?」
「起きたら砂漠にいました。急いでそちらに
戻ります。」
「ないなー」
「なら、昨日の録画したビデオ鑑賞してから
行きます。とか?」
「なんだよ。それ…」
「なら、きのこ狩りしてから出勤しようとし
て、山で迷ってしまいました。」
「なんで朝からきのこ狩り…」
「肩にきのこ乗せとけばさ、あーあの人本当
にきのこ狩り行ってたんだってなるじゃん。
だから、絶対きのこを冷蔵庫に常備‼︎」
「それもなー…」
「そっか。ならいい言い訳探しとくね」
「うん…でも、それより遅刻しない方法考え
たほうが早いぞ」
「なるほど〜。小太郎あったまいいねぇ」
普通そうするだろう…。
続く。
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