第38話
琴美が頻繁に連絡とってる相手って…
まさか、一緒に働いているパティシエの人
なんじゃ…
不安を抱きつつ約束の土曜日がやって来て
しまった。
「小太郎ー‼︎一週間ぶりの再会だね」
「うん」
琴美は、やっぱり毎日会える相手がいいの
かな。
週一じゃ、やっぱり寂しいのかもしれない
な…
「じゃあ、ご飯行こっか」
「は〜い。」
店に入るとみんなニッコニコだ。
オレたちが付き合っているのをだいたいみ
んな知っているから、ちょっと空気的に気
まずいなー。
「はい!お待たせ致しました。ドリンクでー
すっ‼︎」
「おう、どうも」
「いえいえ、ごゆっくり。お客様〜」
「はい。ありがとうございます」
琴美が丁寧に挨拶返ししていた。
琴美は、人見知りだけどきちんと挨拶をし
たりする。
しかも、笑顔も添えて。
ケーキ屋でバイトしているせいか、営業ス
マイルがぎこちなくない。
これじゃあ、世の男たちはイチコロだ。
琴美…
これ以上可愛くならないでくれ。
焼肉を堪能してデザートを注文した。
「お待たせ致しました。」
ジィーっ。
なぜか琴美は、杉本さんが来るとピタリと
手をとめて杉本さんをじっとみる。
舐め回すように全身しっかりと。
なぜなんだ。
琴美よ…。
もしかして坂口さんの彼女だと知っている
のか?
だから、わざわざこの店に来たいって言っ
たのか⁈
琴美…
坂口さんとどういう関係なんだよ。
でも、聞けない。
とてもじゃないけどそんな事聞けない。
でも…どうすれば…
「ねぇ、小太郎。私そろそろ車の免許取ろう
と思うの」
「うん。いいんじゃない。ならオレも一緒に
通いだそうかな」
「うんうん。そうしようっ。そしたら一緒に
勉強もできるし」
「だな」
「やっぱり車ないと通勤に不便なんだよね」
「あー、そっか。琴美はオレより数年早く就
職するんだもんな」
「うん。小太郎も大学でしっかりお勉強すん
のですよ」
「そうだな。」
オレは琴美が就職しても大学生…
どんどん琴美が遠くに行ってしまうような
気がしてしまう。
「琴美は、就職したらバイト辞めるの?」
「うん。すっごく残念だけどそうするしかな
いかな」
すっごく残念って…
「そっか」
「あー、もうあのケーキが余ったら貰えない
と思うと残念。あんな美味しいものを作る
パティシエさんは、神だよね」
もしかして坂口さんって人の事言ってんの
かな。
「うん、そうだな…。よし!デザートも食べ
たし行くか。」
「はーい。そうしましょう」
店を出ようとした時ちょうど杉本さんが琴
美の横を通った。
「あっ、杉本さん!記念に握手して下さい」
⁇ ⁇ ⁇
なんで?琴美…握手って…
全く意味がわからない…
杉本さんも一瞬⁇だったみたいだけど、快
く握手してくれていた。
「ありがとうございます」
ニコッ。
「あぁ、はい…こちらこそ…」
一応杉本さんも琴美に合わせてくれたみた
いだ。
店を出て琴美に聞いてみた。
「杉本さんとなんで握手したの?」
「んー。それは名探偵琴美の捜査だから簡単
には、教えられないのだよ。」
「なんだよそれ。」
「だからぁ、企業秘密」
フフフと笑う琴美。
わからない…
謎が多すぎる。
「琴美、まだ門限まで時間あるしうちに寄っ
て行く?」
「ううん。やることがあるから今日は遠慮さ
せていただくよ」
「そっか。なら送るよ」
「うん!ありがと。あっ、そういえばこの間
食堂のおばちゃんがね、きゅうりは身体を
冷やすって言われてるけど火を通すとむく
み解消になるよって教えてくれたの。」
「へぇ、でもあっためるってどうやって食べ
るの?」
「私は、味噌汁にぶち込む」
「あー、斬新だな」
「そうなんだけどー、ほんとに指とかむくみ
が取れて来たの」
「指か」
「うん。手がむくむと指輪入んなかったりす
るからさ」
「指輪?琴美ってあんまり指輪しないよね」
「うん。まぁね。でもこの前たまたまサイズ
測ったら九号がすっぽり入って、おーって
なったわけよ」
「ふーん。それはなによりです」
「はい。なによりでした。じゃあ、めでたし
めでたしでさようなら」
「なんだよそれ」
「ん?いい締めくくりでしょ。送ってくれて
ありがとね、小太郎。またね」
「うん。またな」
ブンブン手を振る琴美。
あーあー…
結局何にも聞けなかったなー。
でもなんで指のサイズなんか測ったんだろ
う…⁈
まさか琴美⁉︎
誰かにプロポーズとかされてないよな⁉︎⁉︎
続く。
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