第37話
電話をかけに外に出た琴美。
ガチャ。
戻ってきた…
ホッ。
「明日、急遽バイトになってしまったよ」
「そっか…大変だな」
「ううん!幸せハッピーだからいいのさ」
そんなにそいつの事好きなんだな。
「琴美…そんなにそいつの事好きなの?」
「えっ?そいつ⁇」
「うん。二股のさ…」
「そいつっていうかそいつらね!」
「はっ⁉︎そいつら⁈何股かけてんだよ‼︎」
「二股」
オレは⁉︎ ⁈ ⁉︎ ⁇ ⁈ ⁇
除外なわけ⁇
「そいつらって言ったら、オレは入らないっ
て事だよ」
… … …
「うん。当たり前」
当たり前…⁈
彼氏は特別⁈
「琴美。オレって琴美のなに?」
「えっ、なにって⁇」
「だからー…んー…」
「それよりケーキ選ばないの?紅茶も冷める
し。私はやっとこさ、この揺らぐ気持ちに
決着つけてショートケーキじゃなくチーズ
ケーキを選んだというのにさ。二股かける
と太るもんね」
なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ⁈
「もしかして二股ってケーキの事じゃないだ
ろうな?」
「もしかしなくてもケーキだよ」
またかよ…
ケーキの話だったのかよ。
まだこの時は、ケーキが二股でよかった。
ずっと二股は、ケーキだけにして欲しかっ
たが世の中そんなに甘くないのであった。
バイト休憩中、外の自販機でジュースを買
っていたら珍しくバイト仲間の杉本さんが
話しかけてきた。
「あの…彼女ってもしかして向かいのケーキ
屋さんで働いてる?」
「うん。なんで?」
… … …
「もしかして、琴美さんって名前だったりす
る?」
「そうだけど、琴美がどうかした?」
「あっ、ちょっとこの間ケーキ屋行ったらか
わいい人がいたから。なんかバイトの人達
がかわいいコいるって話してて。でも、彼
氏いるって嘆いてたからさ。しかも小太郎
くんがが彼氏だって聞いてね…ごめんなさ
い。一人でペラペラと」
「ううん。いいよ」
「じゃあ…仕事戻るわ…。」
「うん」
ジュースを飲もうとしたら杉本さんがくる
っと振り向いた。
「ねぇ、最近彼女変じゃない⁈」
えっ…最近どころかずっと変だからな…
「うーん…特には。」
「そっか。ごめんごめん。じゃっ」
杉本さんは、行ってしまった。
なんだったんだろう…。
よくわからないまま一週間が過ぎた。
今日は、琴美とデートの日。
「ねー、小太郎。」
「んー?」
「今度さぁ、小太郎のバイト先行きたいなぁ。
ダメ?」
「ううん。だめじゃないよ。友達とくる?」
「う〜ん。小太郎と来週の土曜日一緒に行き
たい」
来週土曜日か。
「いいよ!なら土曜日行こう」
「うん!ありがとう。あっ、ちょっと電話だ。
待ってて」
「うん」
琴美は、最近よく誰かから電話がかかって
くる。
「お待たせー。」
「おぅ。」
戻ってくるなりまた着信。
「また坂口さんだ…ごめん小太郎。すぐ電話
終わらせて戻るから」
「いいよ。急がなくても」
「うん。ありがと」
坂口さん…
誰だろう。
「ごめんよ〜。せっかくのデートに。」
「いいよ。じゃ行こっか」
「は〜い」
仲良く手を繋いでデート。
特に変なところないよな…
電話が最近多いくらいかなー。
「ねー、琴美。」
「ん?なーに⁇」
「あーやっぱなんでもない」
「へんなのー。あっ、そういえばこの前小太
郎バイト中、お店の前の自販機でジュース
買ってたでしょ。しかも女の子とさぁ。琴
美暗闇からジーっと見てたんだからねぇ」
「あー、あれか。見てたんなら声かけてくれ
たらいーのに」
「うーん。それは無理無理だよ。」
無理無理って…
「そっか。ごめんね。女の子と話しててさ」
「ううん。いいんだ。私もバイト仲間と話し
たりするから。」
「そうだな。こればっかりはなー。でも琴美
オレは琴美が大好きだから安心して」
「うん!琴美も小太郎一筋だからね♡」
なんてラブラブなんだろう。
幸せっていいなぁ。
次の日
杉本さんがまた話しかけてきた。
「あのさ、実は私の彼氏向かいのケーキ屋で
パティシエしてるんだ。彼女からなんか聞
いたりしてる?」
「えっ、そうなんだ。う〜ん…いっつもケー
キの話ばっかだからなー。」
「そっか。もし、もしも彼女が坂口って人の
話してたら教えてくれない?」
坂口…⁉︎
この前、確か坂口さんって人から電話来て
なかったか⁈
「彼氏どうかした?」
「う…ん…なんか最近様子が変なんだよね」
「変ってどんな感じ?」
「挙動不審っていうか…あと、よく誰かと頻
繁に連絡とってるみたいなんだよね」
まさか琴美…⁉︎
どういう事なんだ…
続く。
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