第33話
オレが引っ越しをした数日後。
琴美も寮に引っ越しする事になった。
引っ越しの手伝いをしようとしたけど寮は
女子寮なので、男性は入れないそうだ。
残念だ。
暇だしちょっとコンビニに行く事にした。
途中に焼肉屋さんがある。
すでにそこでバイトする事が決まっている。
その向かいにケーキ屋さんがある。
今度琴美が遊びに来た時、一緒に行こうか
なと考えている。
琴美が好きそうな感じだ。
「いらっしゃいませ」
コンビニに入り、本を手に取ろうとしたら
パッ
「ごめんなさい」
同時に隣の人と同じ本を手に取ろうとして
しまった。
ン?
この声…
見ると
「琴美ー‼︎」
「あっ小太郎だ」
「なんでここにいんの⁉︎引っ越しは?」
「もう終わったよ。だから一息ついているの
さ」
「なんでここで⁈」
「フッフッフ。私の寮はねぇ、すぐそこなの
さ」
指差す琴美。
「ええぇぇぇ…?そこ?うちから近っ」
「そうでしょー。小太郎ママと一生懸命探し
たんだからぁ」
「だから、あん時怪しい笑みうかべてたのか
よ」
「うん♡」
調べると、オレの大学と琴美の専門学校が
意外と近かった。
「なら、しょっちゅう会えそうだな」
「うん‼︎そうだね!」
「琴美、バイトどこでするの?」
「もう、決まってるんだぁ」
「まさか、ケーキ屋?」
「あったりー。さすが小太郎」
お隣さんじゃなくなったけど近くて安心し
た。
そして、お互い学校が始まった。
大学でかわいい子がチヤホヤされている。
琴美は、大丈夫だろうか…
心配だ。
とにかく胸騒ぎがする。
でも、琴美を信じていればなんてことない。
そうだ!オレは彼氏なんだから。
強気で乗り切ろう‼︎
焼肉屋でのバイトもスタートした。
同じ大学の先輩も結構ここの焼肉屋でバイ
トしている人が多い。
そこで耳を疑った。
「おい、向かいのケーキ屋にかわいいコ入っ
たんだとよ。今度いこーぜ」
先輩達が話していた…
まさか琴美の事じゃないだろうな…。
くっ…
オレの強気…
どこにいった………
琴美とは、毎日連絡を取り合っている。
でも、毎日今までみたいに一緒にいられな
い。
なのでバイトの休みを合わせ会う約束をし
た。
とりあえずうちのアパートに来たいと言う
のでおうちデート。
ピンポン
「いらっしゃい」
「はーい。いらっしゃいましたぁ」
「お茶入れるね」
「ありがとう。なら、私も手伝うよ」
二人で向かい合いお茶をすする。
「小太郎さん。ご趣味は?」
「読書」
「そうなんですかぁ。私もなんですよ。では、
動物は何体飼ってます?」
「何体ってなんだよ。ってか、お見合いごっ
ことかいいから」
「あら、残念…」
「勉強どう?」
「うん。すっごく楽しいよ」
「バイトも順調?」
「うん」
「琴美告白とかされてない?」
ゴフッ…
むせる琴美。
「何急に…」
「逆にどうした。むせて」
「う…ん。いきなりの質問にびっくりして。
小太郎は、そういうの聞きたい派?」
「うーん。聞きたいけど聞きたくないような
感じなんだよなー」
「どっちなんだよ…」
「聞きたい‼︎」
「そうなんだ。なら…確か六人」
「六人も⁉︎」
マジか…
どうすりゃあいいんだ…
「小太郎は?」
「オレは告白とかされてないよ」
「そうか。でも中学の時もモテてたし、高校
でも狙われてたからな…油断大敵」
「いやいや、琴美のほうこそモテるからな」
「私は、大丈夫。」
「なんで?」
「だってきちんとお断りしてるし」
「そうなんだ…」
「私は、小太郎が心配‼︎心配で心配で朝と昼
は、眠れないの。夜はぐっすりだけどさ」
「それで充分だろ…」
「充分じゃない‼︎ぜんっぜん、不十分‼︎ねぇ
どうしたらいい⁉︎近くに住んでてもそれだ
けじゃ、不安‼︎」
う〜ん…
困ったな。
「琴美。おいで。」
ちゅ〜ッ。
いつもより甘くなが〜い特別なキスをした。
「好きだよ」
「うん…琴美も好き」
赤くなる琴美。
かわいい…‼︎
可愛すぎる‼︎
ぎゅ〜っ
ちゅ〜
「どう?少しは安心した?」
「うん…」
いつも元気な琴美だけどこういう時は、と
ても大人しく可愛らしい。
オレも少し心配が減った。
「寮って門限何時?」
「十一時だよ」
「なら、一緒に夜ご飯作らない?」
「うん!つくろー」
いつもの元気な琴美に戻った。
よかった。
オレも一時心配性だったけど、こうやって
きちんとコミニケーションとっていけば、
やっていけそうな気がしてきた。
「何つくる?小太郎何食べたい⁇」
「ハンバーグは?」
「いいね!なら、材料買いに行こ。」
二人で仲良くお買い物。
新婚さんみたいだ。
週に一回シフト合わせて会える時間を確保
しようと決めた。
そして、最低月一でどっぷり一日休みをお
互い取ろうとなった。
これからいろんな事が起きるだろう。
でも、琴美となら乗り切れる気がする。
続く。
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