第32話

 オレたちは、別々の高校だったけど二人共

 無事卒業した。

 

 

 うちの母ちゃんがオレと琴美の卒業祝いを

 してくれた。

 ご丁寧にハートのケーキまで用意して…

 

 

 なぜか猫たちもハートの帽子を被らされて

 いた…

 

 

「琴美ちゃん、春から寮生活なんだよね。お

 ばちゃん寂しいな。小太郎も一人暮らしだ

 し。いつでも遊びおいでよ。小太郎連れて

 さ」

「なんかオレついでみたいじゃんか」

「アハハハ」

 

 

 

「小太郎部屋決まったの?」

「うん。母ちゃんがイチオシの所」

「ふぅ〜ん」

 ニマッ。

 

 なんだよ?そのあやしいニマッって…

 しかも母ちゃんもニマッって…

 二人してなんか企んでるのか?・・・

 

 

「ねぇ、小太郎明日バイト休みじゃん。一緒

 に一人暮らし用品買いに行かない?」

「おー、そうだな。行こっか」

「うん!」

 

 

 そして次の日琴美がやって来た。

 

「あーあー、こうしてここに住みついてた小

 太郎を迎えに来るのもあとわずかなんだね

 ぇ」

 

 住みついてたって…

 

「まぁ、そうだな」

「さみしーなー」

「でも、今度から一人暮らしだからうちに遊

 びおいでよ」

「当たり前だよ。私を誰だと思っているんだ

 い」

「琴美」

「そう‼︎琴美‼︎付け加えると彼女の琴美‼︎皆

 さん彼女の琴美‼︎彼女の琴美です‼︎よろし

 くお願いします‼︎‼︎‼︎」

 

 選挙かよ…

 

 

「もーいいから行こうぜ」

「そうだな。仕方ない。行こう」

 

 なんで仕方ないんだよ…

 

 

 まずは、絶対マグカップだと琴美がごり押

 ししてきたのでマグカップをみに来た。

 

 

「あー、この猫のやつかわいい。私これにす

 る。」

「おー、本当だ。かわいいじゃん。でもオレ

 は、こっちの普通のやつにしよっと。」

「なんで?猫のかわいいよ」

「うん。でもこっちの方がたくさん入るから

 さ。」

「あー、なるほどねー」

「あとはー、お皿か?」

「そうだね!カレー皿とケーキ皿が必要じゃ

 ん?」

「そうか。あと、焼き魚用のお皿とか?」

「焼き魚⁇皿いる?」

「うん。オレは買おうかな」

「ふーん。私は、いらない。ってかこれ!こ

 のお皿シュークリームのお皿にしーよおっ

 と」

 

 

 シュークリームってお皿いるのか…⁈

 

 

 それから、スプーンフォークお箸を買った。

 

 

「琴美って寮生活なのに自炊なの?」

「ううん。食堂あるよ」

「なら、お皿そんなにいらなくない?」

「そう思うでしょう?でも、とにかく甘いも

 のは、別腹だからさぁ」

「そっか。」

 

 

 …   …   …

 

「ねぇ、小太郎さー、なんでさっきから二個

 づつ同じやつ買ってるの?まさか、誰かと

 同棲するつもり⁉︎」

「同棲じゃないけど…琴美うちに来たりする

 かなぁなんて…」

「あーっ、私用ね。ありがとう。小太郎♡」

「うん」

 

 

「そっかー。小太郎一人暮らしかー…」

「なんだよ?」

「うーん。心配…」

「何が⁈」

「何もかもだよ‼︎小太郎が女連れ込んだらど

 うしよう」

「大丈夫だよ。女の人は入れない‼︎」

「えっ、なら私入れてもらえない…それとも

 小太郎ってずっと私の事男だと思ってたわ

 け⁈」

「琴美は、特別」

「ふ〜ん。特別かー…」

「なんだよ。まだなんかあんのかよ」

「みんな特別とか言いだしたら怖いなーって

 思って……妖怪特別扱い」

「なんだよそれ」

「新しい妖怪」

「大丈夫。オレ琴美一筋だから」

 

 店でこんな事言わせやがって…

 恥ずかしいんだからな。

 でも、琴美を安心させるためだ。

 

「小太郎。お店でよくそんな事…恥ずかしい

 じゃん」

「オレも恥ずかしい…」

 

 

 …   …   …

 

 気を取り直して次は、便利な湯沸かし器。

 琴美とお揃いの色の白を買った。

 しかし、一人暮らしって色々物入りだな。

 

 

 柔軟剤一つ買うのに時間がかかる。

「小太郎ー、これいい香り」

「うーん」

「これもいいよ」

「あー、これいいね。決定」

 

 一人暮らし用品は、選んだり色々大変だっ

 たけど、なんだかんだ楽しかった。

 

 

 引っ越しの前に琴美の両親に挨拶に行った。

 たくさんお世話になったお礼と琴美との交

 際を認めてもらう為に。

 

 今更だけど改まると緊張する。

 でも、やっぱり琴美の両親だ。

 

「知ってたよー‼︎こんな娘だけどよろしくね

 ぇ。」

 と、軽い感じで拍子抜けした…

 でも、認めてもらってよかった。

 

 

 そして引っ越しの日

 

 

 オレは、琴美より一週間先に引っ越しをし

 た。

 

 

 手伝いに来てくれた琴美。

 クリスマスにもらったキーケースに早速ア

 パートの鍵をつけた。

 

「琴美。これ部屋の鍵」

「えっ、部屋の鍵⁇」

「そうだよ。いつでもおいでよ」

「なら、もうここに住みついてしまおうか」

「それでもいいぞ」

「うそだよ…。ねぇ、小太郎。妖怪になるな

 よ。」

「なんねーよ」

 

 

 

 琴美は、意外と心配性。

 

 でも、それから数ヶ月後。

 オレが心配性になりつつある…⁈

 

 

 続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る