第31話

 今日は、デート。

 

 久しぶりのデートだから待ち合わせしよう

 と琴美からの提案があったので待ち合わせ

 中。

 しかも待ち合わせ場所が家の前…

 この待ち合わせは、必要なのだろうか…⁇

 

 

 一応約束の五分前に出てみた。


 

「小太郎ー‼︎おっはよー。お待たせ」

「そんなに待ってないよ」

「うん。知ってる。二階から覗いてた」

「なんだよそれ…なら早く来いよ」

「そう思ったんだけど、私を待つ小太郎がね

 それはそれは愛おしくて動画撮ってしまい

 ました!」

「はぁ?なんだよそれ。消しとけよ」

「いやだぁ」

 

 

 …  …  …

 

 

「ま、とりあえず行くか」

「はぁ〜い」

 

 

 

 早速水族館に到着。

 

 

 魚をジーっと真剣にみる琴美。

 

「ねぇ、魚にまぶたってないよね」

「うん」

「あったら、ウインクしてるみたいで気持ち

 悪いよね。」

「あー…」

「しかもあいつら常に水の中だからドライア

 イなんて言葉不必要だね。あと、目薬なん

 てまるでいらないね。一瞬で流れ落ちる」

「確かに」

 

 

 

 続いてクラゲコーナー

 

 琴美は、クラゲを見ると癒されるそうだ。

「いつみてもきれー」

「確かにな」

「でもさ、こいつら逆さまに泳いでたらあん

 まりきれいじゃないのかな…足がビロンビ

 ロンでストレス溜まる生き物に思える……

 あー、変な事考えるんじゃないよ‼︎脳みそ

 め‼︎」

 

 

 自分の脳みそに怒っていた…

 

 

 しかも魚やクラゲをあいつらとかこいつら

 って…

 

 

 脳みそが意地悪したからおみそなおしにも

 う一度魚をみようと言い出す琴美。

 

 おみそなおし?お口直しみたいな感じなん

 だろうか。

 

 

 また、ジーっと真剣に魚をみだした。

 

「泳げない魚っていないのかなぁ?」

「確かに。」

 

 

 ってか、水族館でこんな会話してるのはき

 っとオレたちくらいじゃないのか?

 ま、いいか。

 

 

「琴美イルカショーみる?」

「ううん。間に合ってます」

 

 

 なぜか琴美は、イルカショーがあまり好き

 ではない。

 

 

 一通りみてまわりメインイベントへ向かっ

 た。

 

 お土産屋だ。

 

「うわぁ、小太郎!これ見て〜。イルカが海

 にぷかぷか浮いてるみたい。」

「本当だ。」

 

 

 イルカショーは好きじゃないけど、イルカ

 の置物なんかは、大好きだ。

 

「琴美ってなんでイルカショーあんまり好き

 じゃないの?」

「…それを聞いてしまうんですか?」

「えっ…何⁇」

「いいだろう。よく耳をすましながら聞くと

 しろ」

 

 耳をすましながら?


 …なんだよ…

 

「だいたいイルカショーってどこに座るかっ

 て迷うんだよね。前に座って濡れる事にワ

 クワク胸を躍らすか、はたまた濡れないよ

 うに上の方に座って濡れた人をあわれむか。

 とにかくイルカショーではなく、濡れる人

 ばっかりが気になって集中できないわけな

 のよ…わかる⁉︎」

「あぁ、そういう事情があったんだ…」

「はい。そうなんです」

 

 

 なるほど。

 

 

「やっぱり私、このイルカのやつ買う‼︎」

「なら、オレがプレゼントするよ」

「なぜ⁈」

「なんとなく……」

「なんとなくプレゼント⁇」

「う、うん。琴美寮生活になるんでしょ?な

 ら、これ部屋に飾ってオレの事思い出して

 よ。」

「わかった。なら私も小太郎にピンクのイル

 カのやつ買う。で、部屋に飾って。そして、

 このピンクイルカを琴美イルカってよんで

 あげてね!」

 

「うん…」

 

 

 琴美イルカ…

 

 

「あっそうだわ、ぱく様にお土産買わないと。

 前に買ったやつ壊されたんだよ」

「そうなんだ。あのおもちゃだいぶ気に入っ

 て遊んでたもんな」

「うん。」

「ぱく喜ぶな。」

「そうだね!すぐさまお風呂に入ってから、

 お披露目するんだ」

「お風呂先かよ」

「もちろんさ。」

「今日もお風呂グツグツに沸かしてもらって

 んの?」

「ううん。沸かさないでってお願いしてきた

 の」

「なんで?」

 

 

 チラッ

 

「小太郎さん。また聞いてしまいましたね」

「なんだよ」

「私の今のマイブーム…ご存知?」

「知らねーよ」

 

 コホン。

 

「ならばいいだろう。今日だけ特別に教えて

 あげよう。……実は最近お風呂のお湯が溜

 まるか溜まらないかくらいで入って、あ〜

 まだこんだけか〜。寒いー。でもあと少し

 であったまれる〜。早く溜まれ〜と言いな

 がら風呂に入るのが楽しいのさ。寒さを我

 慢した後のあのあたたかさ。わかるかね?

 君に?」

「あんまりわかりたくねーな。なんで一回わ

 ざわざ寒いおもいすんだよ。風邪ひくぞ」

「…ふーん。かわいそうな奴め…」

「なんでだよ」

「ま、君にはわからんかね。だからって小太

 郎‼︎覗きに来んなよ‼︎」

「いかねーよ」

「そうか。残念だ」

「なんでだよ…」

 

 琴美は、意味のわからない事をして楽しそ

 うに暮らしている。

 

 

 続く。

 

 

 

 

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