第29話

 

 

 最近バイトでなかなかデートができなかっ

 たから今日は、思いっきりデートをする予

 定だ。

 

「琴美ー」

「はぁ〜い。ダーリン。いらっしゃい」

「あ、うん。いらっしゃった…」

 

 朝から元気だな。

 

 

 チュッ。

 ギューっ。

 おはようの挨拶をして遊園地に向かった。

 

 

 まずあんまり激しくない乗り物にいくつか

 乗った。

 激しいのは、二人とも苦手だ。

 しばらくしてランチタイム。

 

「はい!こちゃろう、あ〜ん」

「いや、恥ずかしいから…」

「え〜、照れ屋さんなんだから〜。なら自分

 にあ〜ん。」

 パクッ。

 

 自分にあーんって…

 初めてみたぞ…

 

 

「ねぇ、これ食べたらあれ乗ろうよ」

 観覧車を指差す琴美。

 

「うん。いいよ」

 

 

 観覧車に乗ると

 キョロキョロしだす琴美。

 そして、しばらくすると無言に…

 

 

「もしかして琴美…怖い⁈」

「うん…手汗びっしり…」

 

 自分から誘っといて怖いなんて…

 

 仕方ない。

 隣に座ってやるかと思ったら、

「小太郎‼︎動かないで‼︎バランスが崩れるか

 らー‼︎」

 なんて必死に訴えかけてきた。

 

 かわいいな。


 斜めになったら落ちてしまう可能性がある

 から必ず隣同士に座っては、いけないとの

 教えをいただいた。

 

 

 琴美いわく頂上に来るか来ないかあたりが

 一番怖くてたまらないのだそう。

 

「なんでそんなに怖いのに乗ろうなんて言っ

 たの?」

「うーん…なんか乗りたくなるんだよ…で、

 乗ると後悔でしかないの。」

「そっか…」

 

 やっと降りる頃になり、

「あ〜無事帰れて良かった〜」

 と、心からスッキリした感じだ。

 

「あ〜、これでメインイベントに心置きなく

 向かえますな」

「そうだな。」

 にっこり微笑む琴美は、やっぱりかわいい。

 

 メインイベントとは、お土産屋さんだ。

 

 

 そして無事メインイベントも終了した。

 

 

 帰り道

 

「琴美、最近忙しくてあんまり遊んであげら

 んなくてごめんな」

「ううん。いいんだよ…でもさ、このままず

 っと放置で婆さんになっちまったらどうし

 ようとは、一瞬頭の右の方をよぎったよ」

 

 なんで右の方…

 

「そうか。婆さんになってなくてよかった」

「うん。小太郎も爺さんになる前にまた再会

 できた事を誇りに思うよ」

「そうか。」

 

 なんか変な会話だな…

 

 ギュッ。

 今日は、オレから手を繋いだ。

 

 視線で琴美がこっちをみたのがわかった。

 

 琴美を見ると何故か変顔…

 

「琴美…何してんだよ。」

「逆になんでみたんだよ」

 

 怒られた…

 

「意味わかんねーよ」

「うん。私も実は意味不明の迷子です。」

「そうか…。」

「ピンポンパンポーン迷子のお知らせです。

 暗闇で変顔をしたら彼氏に見られてしまい

 ました。心の拠り所をみつけてください。

 よろしくお願いします。ピンポンパンポー

 ン」


「変顔もかわいいよ。」

 ギュッ。

 迷子を保護してやった。

 

 

 とある休日


 勉強をしていたら琴美が猫じゃらしにまた

 たびをまとわせ猫を四匹引き連れてきた。

 すかさず猫たちが部屋に入るとドアを閉め

 た。

 

 

「はいはい。皆さん聞いてくださーい。

 まず、今日見学させていただく小太郎さん

 に挨拶しますよー」

 

 なんだ⁈猫と社会勉強ごっこか⁇

 

「ほら‼︎そこ‼︎勝手に毛繕いしない!」

「にゃー」

「あなた‼︎おしゃべり禁止‼︎」

 

 先生大変だな…

 

「では、小太郎さん。本日は人間観察にご協

 力ありがとうございます」

「そんな協力聞いてませんよ」

「はい。言ってませんね」

「なんだよ。それ…」

 

「ほら!そこ‼︎寝てないで真剣に聞きなさい

 な‼︎」

「まだ、なんも言ってないぞ」

「あら、オホホホ。いいですか。皆さん!こ

 ちらが小太郎さんです。美人な彼女がいる

 事で有名なんですよ。いいか‼︎テストに出

 るぞー。ちゃんとノートとりなさいよー」

 

 テストあんのかよ…

 

「あ、あなたしっぽが長すぎです。あと二十

 センチで校則違反です‼︎」

 

 二十センチ余力あんのかよ…

 ならいいじゃないか。

 

「では、皆さん。自由行動の時間です。集合

 時間は、守ってくださいねー。五分後ベッ

 ドに集合でーす」

 

 

 集合時間早いな…

 で、昼寝するつもりだな。

 

 五分後

 グースカ眠る琴美。

 生徒たちは、外に遊びに行ってしまったの

 である。

 

 

 寝ている琴美を覗き見た。

 かわいい。

 いつみてもかわいい。

 

 

 パチッ

 

 

 いきなり琴美が目を覚ました。

 完全に目が合った。

 でも、またすぐさま目を閉じる琴美。

 

 

「私、毒リンゴを食べてしまいました。」

 

 ならば、キスだ。

 キスの催促なんてかわいいじゃないか。

 

 あと数センチのところで目を開ける琴美…

 

 

 

「何していやがる。小太郎」

「えっ、毒抜きのキス」

「毒がキスで抜けるのか⁈抜けないだろ!は

 やくお医者さんを…猫のお医者さんを呼ん

 でください」

「なんで猫なんだよ。そっちの方がありえな

 いだろ…。」

「え〜、そうなの?」

「そうだよ。そんな奴は黙って目を閉じてい

 なさい」

「はーい」

 

 

 チュッ

 

 

「小太郎ー。不意打ちはダメだよ」

「ならもう一回」

 

 チュッ

 

 

 こうしてイチャイチャして過ごすのであり

 ました。

 

 

 続く。

 

 

 

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