第28話
あっという間にお正月。
隣に住んでいるのに琴美からわざわざ年賀
状が届いた。
しかも、ハートがたくさん…
絶対かーちゃんにバレたな…
「小太郎ー。初詣行きましょう」
「うん」
「今年は、何食べようかな〜」
何お願いしようじゃないんだ…
まず食べもの優先なんだな。
カランカラ〜ン
「小太郎何お願いした?」
「うんとねー」
「ばかやろう!人に言うと願いが叶わないっ
て聞いたことあるよ。」
「じゃあ、なんで聞いてきたんだよ…」
「小太郎がおしゃべり詐欺に遭わないか試し
てみたの。そしたら、まんまと引っかかり
やがって。」
そんな詐欺聞いた事ないぞ…
「あなた、たこ焼きいただきましょうよ。」
誰なんだよ…
「たこ焼きいいね。他のも食べたいから半分
こしよっか」
「うむ。よかろう」
「はい。熱いから気をつけて」
琴美にたこ焼きを渡すと…
「うん!あっつ‼︎」
「ほらー、熱いって言ったばっかりなのに」
「ホッ、ホントニアツアツデシター。パニッ
クデース」
「だろうよ。」
帰り道の途中本屋に寄った。
家に帰りオレの部屋で本を読む琴美。
「小太郎!この本面白いよ。もうすっごい引
きずり込まれるの!」
「へぇ…なら後で読ませて」
引きずり込まれるのは、ちょっと怖いけど
な…
引き込まれるの間違いじゃないのか…⁇
琴美は、本を読むと眠ってしまう事がよく
ある。
さっきまで本に引きずり込まれてたけど、
今は、夢の世界に引きずり込まれてるよう
だ。
クスクスクスクス
寝ながら笑う琴美。
目を覚ました琴美。
「あー、寝ちゃってた」
「うん。何の夢見てた?」
「それが、くくくく」
「そんなに面白い夢?」
「うん。なんかたくさんの猫が二足歩行で反
復横跳びしてんの。はーはーしながらさ」
「そうか。楽しそうだな」
「うん。巻き戻ししてずっとみてたいな!」
「だな。ってかさ、猫の夢よくみるよね」
「うん。よく登場します。ましましです」
「なんだよ。ましましって」
「うん。ちょっと言ってみたかっただけ。」
「そうか。」
「ボリューム満点です‼︎」
「そうだね…」
きっとそれも言いたかっただけなんだろう
な…
「来年は、受験だからこんなにデロンデロン
してられないね」
「うん。ってかデロンデロンは、最初からし
てない。」
「そうなんだ」
「うん。でも本当今のうちに楽しまないとな
ぁ。琴美ー。」
琴美をギューっと抱きしめた。
「小太郎ー。大好きー」
「オレもー。」
新年早々仲良くさせていただいております。
そして、ついに三年生。
進路…
ずっと隣同士だったけど、卒業したらもう
お隣さんじゃなくなるんだな…
オレの希望する大学は、家からじゃ通うに
は、少し遠い。
「小太郎ってさ、バイトいつまで続ける?」
「一応大学行っても続けようと思ってるよ」
「なんで⁈遠いじゃん」
「でも…」
「私の事気にしてる?」
「う…ーん」
「なら気にしないで。私高校卒業したら寮に
住むから辞めるの。遠いし」
「えっ、琴美寮なんだ」
「うん」
「どの辺に寮あるの?」
「それは秘密ー。」
「そうか…」
なんだかんだ言いながらも琴美は、動物に
ついてたくさん勉強しているみたいだ。
でも、
ハシビロコウの飼育員に必ずしもなれると
も限らないそうだ。
しかし、琴美は動物好きだし同じ空間にハ
シビロコウがいるなら頑張れると言ってい
た。
そして、いつか専属になるんだって。
琴美も頑張ってるんだからオレも頑張らな
いとな。
夏休みになると夏期講習…
たまにバイトで琴美と一緒になるとなんだ
かホッとする。
今までは、小学校も中学校も登下校一緒だ
ったけど、今はそうもいかない。
隣同士なのに…
でも、仕方ない。
だから。毎日携帯でやりとりをしている。
ピコン
早速琴美から。
・昨日の晩御飯は、何だったでしょう⁇・
琴美の家はたいがい日曜日カレーだ。
・カレー・
・そうか!カレーだ‼︎思い出させてくれて
ありがとう・
なんだよそれ…
よく意味のわからない事も送ってくる。
・小さい頃、だいだい色をだいたいの色だ
と思っていましたね。でも、それは大間違
いですよ。・
なんてのも送られてくる。
誰もだいだい色がだいたいの色なんて思っ
てない…
きっと、それを思っていたのは琴美本人だ
ろう…
こんなくだらないやりとりでも琴美が元気
そうなのが伝わってきて安心する。
続く。
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