第27話

 琴美との交際が始まった。

 意外と琴美は、甘えん坊だ。

 でも、他はあんまり変わらない。

 基本今までもよく一緒に居たし。

 

 

「もぅ、なんでいつもラテは小太郎に腕枕し

 てもらってんの?これは、私の小太郎なん

 だからね。ラテにはちーママとミルクとマ

 シュマロがいるでしょ⁇」

 

 猫に必死に訴えかける琴美…

 

 

「ラテは、猫だから言ってもさ…」

「もー、小太郎は猫に甘いんだから。なら私

 は、こっちの腕で腕枕してもーらおっと」

 

 

 いそいそ布団に入る琴美。

「あったかぁ〜い」

「うん。そうだね。」

 

 琴美をギューっと抱きしめる。

 

 あ〜、癒し〜。

 幸せだぁ。

 

 

 バイトの帰り

 

 琴美が手を繋いできた。

 目をつぶってゲームが始まるんだな。

 と、思いきや普通に恋人として繋いで来た

 みたいだ。

 

 

「ねぇ、ハシ ビロコウってね白目になった

 りするんだよ!しかも成長によって目の色

 が違うの!」

「へぇ、そうなんだ。」

 

 でもなんでハシ ビロコウって…

 苗字と名前に分かれてるみたいだな…

 

「あとね、夜行性なの。猫と一緒だね。」

「だな。なんか琴美のおかげでハシビロコウ

 について詳しくなれそうだな。」

「うん。ハシ ビロコウについてならどんど

 ん聞きなさい」

「わかった。ありがとう」

「いいよ。遠慮は、いらんよ」

 

 誰だ…

 

 

 ってか、手繋いでるからなんかちょっとだ

 け照れるな。

 

 

 あー…。

 もう家着いちゃったよ。

 もっと一緒に居たいなー…。

 

 ギューっ。

 琴美を優しく抱きしめた。

 あ〜ずーっと琴美を抱きしめてたいな〜。

 

「琴美、おやすみ」

「うん。おやすみ」

 

 チュッ。

 

 小さい頃からずっと一緒にいるけど付き合

 いだすとまた違う琴美が見れて全然飽きな

 い。

 むしろもっと一緒にいたくなる。

 でも、大人になるにつれてお互いずっとは、

 一緒にいられない事はわかっている。

 

 

 オレは高校を卒業したら大学だし、

 琴美は、専門学校に通うのだから。

 でも、バイトは同じ所で続けられたら琴美

 との時間がまだ取れる。

 バイトとはいえ、近くに居られるのだから

 それでよしとしよう。

 

 高校二年の冬

 

「小太郎ー。どれがいい⁇」

 毎年スーパーに置いてあるクリスマスケー

 キのパンフレットを持ってくる。

 しかし、毎年近所のケーキ屋でお母さんが

 買って来るのだそう。

 じゃあ、なんで毎年パンフレットみて真剣

 に選んでるんだよ…

 

 

「琴美、今年はバイト休みにしてクリスマス

 デートしない?」

「うん‼︎したい‼︎」

 

 琴美は、とにかく素直でかわいい。

 プラン考えないとな!

 

 

「ここのイルミネーション綺麗だよ」

「どれどれ。うわーきれー」

「琴美は、何検索してた?」

「あー、こたつ専門学校があるか調べていま

 した。」

「そんなのなくない⁈」

「やっぱりないよね〜。冬は、こたつで授業。

 昼寝可‼︎みたいな」

「ないない」

 

 

 やっぱりこたつでずっと過ごす夢諦めてな

 かったのかよ…

 たしかにこたつは、あったかいけどさ…

 

 

 そんなこんなでクリスマス

 

 

 琴美は、真っ白な服を着ていた。

 イルミネーションと一緒に輝いてみえる。

 

「琴美、妖精みたい」

「えっ⁉︎なんでそんな事急に言うの…しかも

 こんな日に‼︎」

 

 なんでキレ気味⁇

 褒めたんだけどな…

 

 

 

「琴美寒くない?」

「うん。寒くないゲコゲコ。」

 

 えっ⁉︎ゲコゲコ⁇

 

「なんだよ。ゲコゲコって」

「なら、ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ」

「カエルかよ」

「違うの?ならウーパールーパー?」

「何が⁉︎」

「両生類」

「なんで急に両生類の話?」

「だって小太郎さっき、琴美は両生類みたい

 って言ったじゃん」

「妖精だよ‼︎」

「えっ、妖精かぁ。ならありがとう」

「いえいえ…」

 

 両生類みたいなんて普通言わないだろ…

 でも、誤解が解けてよかった。

 ずっとそう思われてたら大変だもんな。

 

 イルミネーションをみて美味しいものを食

 べてプレゼントを渡した。

 猫のスノードームとネックレス。

 琴美からは、キーケースをもらった。

 琴美も色違いでキーケースを買ったそうな。

 

「小太郎、免許とったら私に車の合鍵渡して

 よね」

 

 車の合鍵?スペアキーか?

 部屋の鍵ならまだしもスペアキーって。

 しかも免許まだまだ取らないけどな…

 ま、いいか。

 

「うん。わかったよ」

「わーい。ありがとう。」

 

 琴美が嬉しいならそれでよしとしよう。

 

 

「でもさ、もうすでに鍵一個あるけどこれは

 どこの鍵?」

「私の自転車の鍵の予備」

「なんでだよ…」

「鍵無くしたとき小太郎よろしくな」

 

 よろしくなって…

 

「わかったよ…。でもなるべく鍵なくすなよ

 な」

「は〜い!頑張りま〜す」

 

 

 返事が軽いな…

 絶対なくすだろ…

 

 

 

 

 続く。

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