第25話

 琴美が連れてきてくれた場所は…

 

 学校でも図書館でもない…

 

 動物ランドウホウホの森盛り⁉︎

 なんでだよ…⁉︎

 

 

 理科の先生か?

 動物の観察に来ているとでも言うのか?

 

 

「琴美。名前聞いといてもいい?」

「うん。私は、はっしーって読んでる」

 

 はっしー…

 そうなんだ…

 はしもとさん?

 はしざきさん?

 

 

「あ〜、小太郎いたよ〜」

 

 えっ…

 

 

 まさかの飼育員さん⁉︎

 先生じゃなかったんだ…

 

 あの飼育員のお兄さんかよ…

 たしかに背高くてイケメンだな。

 

 

「琴美さ、おもい伝えたらいいじゃん」

「う〜ん…言ってもなー。でも心では好き好

 きアピールしてるし」

「そうか…」

 

 琴美は、意外と奥手なんだな…

 

「あ〜、やっぱりカッコいいよね〜」

「フーン。そうなんだ」

「足を洗ってあげたいんだぁ」

「は?足?」

「うん」

 

 なんだよ。足って…

 

 

「あと、髪をワシワシさせてもらいたい」

「フーン。ならオレの髪ワシワシしたらいい

 じゃん」

「やっぱり髪質が違うと思うんだよね〜」

「あーそうですか」

「あと、くちばしが洗いたい」

「くちばし⁉︎どう言う事⁇」

「え?何が⁇」

「くちばしってなんだよ⁉︎」

「くちばしは、くちばしじゃない?検索して

 みようか?」

「いや、そうじゃなくて‼︎」

「ん?」

 

 

 

 …   …   …

 

 

「もしかして一緒に暮らせないってハシビロ

 コウじゃないよね⁉︎」

「もしかしなくてもハシビロコウだよ!」

「はぁーっ⁉︎」

「えっ?」

「じゃあ、あの飼育員さんは?」

「え?飼育員さんが何?」

 

 

 琴美ー‼︎

 なんだよ。そうだったのかよ。

 オレの勘違いでよかった…

 

 

「琴美は、飼育員さんになりたくて資格取得

 したいんだ?」

「うん!はっしーの飼育員さん‼︎」

「はっしーとか、変な名前で呼ぶなよ」

「なら、ビロコウ‼︎って呼ぶよ?」

 

 普通にハシビロコウって呼んでくれよ…

 

 

「琴美、飼育員さんになれるといいな!」

「うん!小太郎もパソコンになれると思うん

 だ。」

「パソコンには、なんねーよ」

「アハハ。そっか」

 

 

 あー、よかった。

 本当焦ったー。

 

 それからお互い夢に向かって勉強した。

 やりたい事が見つかるとなんかやる気も出

 るし、少し将来の不安も解消される気がす

 る。

 

 

 たまにバイトが休みの日には、息抜きで動

 物園に二人で行く。

 勉強は、大変だけど夢の為だ。

 バイトでは琴美に会えるし、とにかくお互

 い頑張った。

 

 そして高校二年生になった。

 

 

 バイト中

 

 佐藤さんと話をしているとハシビロコウの

 真似をしながら琴美が前をゆっくり通り過

 ぎてジロリとこちらを向く。

 

「琴美、笑わせんなよ」

 あははは

 三人は、だいぶ仲良くなった。

 

 

 カランコローン

 

「いらっしゃいませー」

「あー、小太郎く〜ん」

 クラスメイトがそばを食べにやってきた。

「おー、みんないらっしゃい」

 

 遠くから琴美の視線を半端なく感じる…

 

 


 しばらくしてみんな帰って行った。


「また明日ね〜。小太郎く〜ん」

 

 バイトの帰り道

 

「琴美勉強どう?」

「うん。じゅんのちょう‼︎」

 

 普通に順調でいいだろうに…

 

「小太郎は?」

「オレもいい感じ」

「そっかぁ、ならよかったね」

「だな。」

 

 

「ねー、小太郎?」

「ん?」

「クラスの女の子と仲いいんだ」

「んー、普通にね」

「なら、一緒に遊びに行ったりもするの?」

「それはないかなー。だってバイトに勉強も

 あるし」

「じゃあ、一緒にバイトしたり動物園行った

 り手繋いだり、腕枕したりするのは私だけ

 ?」

「うん。ってか普通手繋いだり腕枕とか彼女

 じゃないとしなくない?」

「え…じゃあ、彼女でもないのにそんな事す

 る小太郎は、やばい奴じゃん」

「あー…そうなる?」

「なるよ!小太郎は、いったいどういうつも

 りで私をモテ遊ぶの?」

「いや、手繋いでくるの琴美だし、腕枕もい

 つのまにかしてたっていうかさ…」

「じゃあさ、小太郎の手がおバカさんなのか

 な」

 

 なんでそうなるんだよ…

 

 

「琴美もしかしてヤキモチやいてたりしてな

 い?」

「やいてませーん」

「ふーん。あ、そうだ。琴美今年うちの学校

 文化祭あるけど来る?」

「それは、当たり前に行くだろ」

 

 当たり前なんだ…

 

 

「なら、チケット」

「わー、ありがとう。で、小太郎のクラスは

 何やるの?腕枕⁇」

「なんで腕枕なんだよ…そんなの誰も来ねー

 から」

「そうかなぁ」

「そうだよ!」

「ま、せいぜい頑張れよ。楽しみにしとくか

 らな」

 

 

 ずいぶん偉そうだな…

 ま、いいか。

 

 

 続く。

 

 

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