第24話

 今日は二人とも早上がりのシフトだった。

 夕方二人でバイトの帰り。

 

 キィキィキィキィキィキィキキキキキキ

 ひぐらしが鳴いていた。

 

「ねぇ、小太郎」

「んー?」

「ひぐらしってさ、いい声で鳴くよね」

「うん」

「そういえば小太郎って声変わりしたの?」

「さー?自分の声っていつも聞いてるから、

 わかんねーなー。」

「んー。私もいつも小太郎といるからわかん

 ないなー」

「だな」

「あっ、でも私は風邪ひくと声変わりするん

 だった」

「それ、声変わりって言わない」

「ふーん」

 

 キィキィキィキィキィキィキキキキキキ

 

「ちょっと小太郎ひぐらしの真似してみて」

「はぁ、やだよ」

「なら琴美お手本みせて」

「バカだなぁ、あれはそう簡単に真似できん

 よ。全くそんな音出せるわけないじゃない

 ですか。博士〜」

「なら、オレも無理だわ。」

「だな」

 

 ギュッ

 

 ん⁈

 琴美がいきなり手を繋いで来た。

 一瞬焦った。

 でも、すぐにひさびさにゲームが始まった

 のがわかった。

 

 目をつぶって歩こうゲームだ。

 

 ってか、いつも急に始まる。

 なんか一言いってもらいたい。

 毎回あせんだろ!

 

 

 とりあえず、

 危ないから公園に誘導した。

 そして、試しにブランコに座らせてみた。

 

「わー、これブランコ⁉︎迫力あるー‼︎」

「そこは、目あけてよくね⁉︎」

「だめです。まだまだですわ」

 

 誰だよ…

 

 

 ブランコをとめて目をつぶりながらバック

 からなにやらゴソゴソあさる琴美。

 じっと見てるとブランコの上で目をつぶっ

 て読書…

 

 それ意味あんのかよ…

 

 

「だめだわ。集中できませんわ、ちっとも頭

 に入りませんわ」

「だろうな…目つぶってんだからよ」

「あら、イヤだ。うふふ」

「誰なんだよ」

 

 するとパチっと目をあけて

「さ、帰るぞ。母さんがお待ちかねだ」

 なんて言い出した。

 

 急にキャラ変すんなよ…

 

 帰り道

 

「ねぇ、私はいつから琴美でしょう⁉︎」

「うまれた時から?」

「ブゥーッそんな事知りませーん‼︎」

「なんだよそれ。なら問題出すなよ」

「なら小太郎はなぜ昨日から小太郎なの?」

「別に昨日から小太郎じゃねーよ」

「へぇ、初耳〜」

 

 なんでだよ…

 

 とある休日

 

 進路について考えてみた。

 

「コンコンッ」

「なんだよきつね」

「え〜、なんできつねってわかったのー?」

「普通ドアは、ノックするだろ。口頭でコン

 コンッって言ったらきつねだろうよ」

「さすが小太郎〜」

 

 まぁな。

 琴美のことならだいたいわかるよ。

 

「ねー、パソコンで何検索してんの?綺麗な

 ターンの仕方?」

「なんでそんな事検索すんだよ。一応将来の

 事考えないとさ。」

「へぇー、パソコン系かー。小太郎っぽい」

「琴美は?将来的に何かしたい事あるの?」

「うーん。夢はこたつでずっと暮らす事」

「それは、無理じゃん?」

「だよね…もう一つは、アイツと一緒に暮ら

 す事だったんだけどお母さんがダメって。

 だから、せめておそばにつかえたいと思っ

 て資格取得して毎日一緒に暮らしたいと思

 ってる」

 

 アイツ⁇

 誰だよ。

 しかも、資格取得してそばにいたいって…

 

 まさか琴美‼︎

 

 あー‼︎油断していた。

 てっきり女子校だからって大丈夫だと思い

 こんでたー…。

 

 琴美…先生に恋したんだな…

 しかも、一緒に暮らせないってなんだよ。

 パートナーがいるのか?それともかなりの

 年上?まさか…

 

「琴美、まさか校長先生に恋とかしてないよ

 な⁉︎」

「なんで校長先生〜⁇意味わかんないから」

 

 

 じゃあ、誰なんだよ…

 

 

「それってさ、相手におもい伝えたの?」

「ううん」

 

 

 なら、片想いか…

 

 でも、資格取得してまでそばにいたいなん

 てよっぽどそいつが好きなんだろうな。

 オレは、いつのまにか失恋したのか…

 

 誰だよー‼︎琴美を本気にさせた奴ー‼︎

 オレ琴美の事ぜんっぜん知らねーじゃん‼︎

 

 

 

「ねぇ、オレさ…その人にあえないかな?」

「その人?へんな呼び方だなぁ。ならあいに

 いく?」

 

 会いに行けるのか⁈

 

「行けるならお願いしたい。でも、相手にも

 都合ってもんがあるじゃん」

「あー、そうか。」

 携帯をいじる琴美

 

 

 …  …  …

 

「う〜ん。再来週の日曜日なんてどう?」

「うん。オレはバイト休みだし大丈夫。なら

 その日お願い」

「はーい」

 

 

 そしてついに日曜日

 

「晴れてよかったね〜」

「うん。」

 

 ま、あんまり天気は関係ないと思うけど…

 

 

 ってか、電車に乗るんだな。

 

 ん⁉︎

 ここは…

 

 なんでここなんだ⁇

 

 続く。

 

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