第22話
今日は、どんよりした曇り空だ。
昼間なのに少し暗く感じる。
バイトもないし琴美のうちでのんびりして
いた。
するといきなり
「妖怪妖怪〜。なんか用か〜い。」
意味のわからない歌を歌い出す琴美。
「なんだよ。その歌」
「妖怪の歌…」
するといきなりフリーズする琴美。
「どうした⁇」
「どうしたじゃないよ‼︎どうすればいいでし
ょう…私とした事が…なんで…」
「なんだよ」
「今さ、妖怪に私話しかけてたよね?」
「うん。なんか用かい?って」
「あー、どうしよう…今晩お父さんとお母さ
ん帰り遅いんだよ。」
「で?」
「妖怪がさ、一緒にお手伝いしてって来たら
どうする?さっきみずから質問なんてしち
ゃったじゃん…」
「妖怪なんてでないよ」
「本当?」
「うん。そんなに怖いなら一緒におじちゃん
たち帰るまで待っててあげようか?」
「えっ、いいの?」
「うん。」
「うち今晩カレーだけど大丈夫⁉︎」
「琴美んちのカレーなら何回も食べてんじゃ
ん」
「あぁ、そうか。気が動転して変な質問しち
ゃったね…」
別にそこまで変な質問じゃないけどさ…
琴美は、とにかく怖がりだ。
二人でカレーを食べていた。
「ねぇ、足の指ってさ五本も必要⁈」
「あー、たしかに…」
「二本くらいでもいい気がするわけ」
「でもさ、どっちでも別によくない?」
「うーん…でも、片足指十本じゃなくてよか
ったよね」
「なんで?」
「だってからだ洗う時片足十本も丁寧に洗っ
てたらさ、何分かかるよ。しかも冬とか寒
くてたまらないよ。」
「あー、たしかに」
カリカリカリカリ
「小太郎‼︎」
いきなり琴美が抱きついてきた。
え⁈
なんでこのタイミング…⁈
「どうした⁈」
「いま、台所の方からカリカリカリカリ聞こ
えた」
「あー、それは…」
「しっ‼︎こんどはペチャペチャ聞こえる」
ただぱくが餌食べて水飲んだだけなんです
けど…
さらにぱくは、爪研ぎをはじめた。
「ギャ〜‼︎小太郎!妖怪でたー‼︎」
「琴美、妖怪じゃないよ」
「じゃあ、怪物⁈」
「ううん。ぱく」
… … …
「えっ、ぱく…?」
顔をあげてぱくを見るとホッとした琴美…
そんなに妖怪とか怖いくせに部屋には、変
わった置物がたくさんある。
長い手と足がはえたおしりぷりんぷりんの
黄色いにんじんが腕立てふせをしていたり
おねぇの小人がたくさんいたり、スタイル
抜群の宇宙人が鉛筆にしがみついたりして
いる。
そっちの方がよっぽど怖くないか⁈
琴美がじっとオレのボーダーの服を見た後、
「そういえばあなたシマリスのリーダーです
か?」
と聞いてきた。
シマシマだからシマリスかよ。
しかもなんでリーダーなんだよ。
琴美は、よく変なことを言う。
部屋に入ってきたコバエをみてあれはコバ
エのエースだから素早い。だから捕まえる
のは、不可能だと言い出す。
どうやら人間で言うトップアスリート並の
速さなんだそうな…
コバエってみんなそのくらいの速さじゃな
いのか⁉︎
なんて思う。
「ただいまー。」
無事お父さんとお母さんが帰って来た。
数日後
琴美の家に行くと
「ど〜も〜。冷え性のしょうこで〜す」
元気なく琴美が答えた。
「どーした⁉︎調子悪い?」
「う〜ん。調子いいか悪いかって言われたら
悪い方に丸をつけます…」
普通に悪いって言えばいいのに…
「うちで買った餌みんな食べないからぱくに
あげてみて。食べないなら捨てちゃってい
いから」
「あー、ぱくならなんでもぱくぱくだね。あ
りがとう」
「じゃ、ここに置いとくね。調子悪いなら布
団行きなよ」
「うん。なら布団行こうかな」
「そうだね」
「で、誰の布団で寝ればいい?」
「普通自分の布団じゃない⁉︎」
「あぁ、なるほど」
「琴美意外と元気じゃん」
「えぇ、脳みそは栄えてる。でも、なんだか
全身の皆さまがちょっと…」
ややこしい…
「じゃ、おやすみ」
「うん。餌おやすみ」
餌おやすみ⁇本当に脳みそ栄えてるのか⁇
きっと餌ありがとうの間違えだよな…
次の日には、すっかり元気になっていた琴
美。
「ねぇ、琴美が昨日留守電に入れてくれたぱ
くの鳴き声ってなんだったの?」
「あの、餌ごちそうさまでした。ちょっと歯
に詰まりかけたけどかつお節風味がよかっ
たと、ぱく様がどうしてもいち早くお伝え
したいと言うので留守電に入れさせていた
だきました。」
「あぁ…そうなんだ。ならよかった」
猫からの留守電って…
わざわざご丁寧だな…
続く。
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