第20話
琴美がようやく携帯を買った。
「小太郎ー。携帯を入手してきた。キヒヒ」
「怪しい笑いだな…でも、やっとかよ」
「う〜ん。ずっと買っていいって言われてた
けどさー、機械操作苦手だからさ。」
「なら、とりあえず連絡先交換しよ」
「うん。はいどうぞ」
… … …
「いや、丸投げって。操作方法教えるからち
ゃんと覚えてよ」
「じゃあ、てとりあしとりちりとりよろしく
お願いします」
え?なんかの早口言葉かよ…
「ここを押してこれで大丈夫!」
「すご〜い。小太郎先生たろたろだね」
たろたろ⁇意味ない言葉付け足すなよ…
琴美は、ラインでいちいちふざけてくる。
おやす までいれてしばらくすると
み が来るかと思えば
おやすい
なんて入ってくる。
しかも昨日のセール品の広告の写真付き…
暇すぎんだろ‼︎
でも、ラインができるようになって少しド
キドキする。
なぜなら琴美からハート付きの絵文字なん
かが送られてくるからだ。
しかし‼︎浮かれている場合ではない。
琴美は、ただかわいいからそのスタンプが
押したいだけなのだ。
それは、わかっている。
でも、オレもハートのスタンプをたまに送
り返す。
するとハート連打が返って来たりする。
だから、オレも連打する。
琴美は、ただ押したいだけ。
でも、ハートが送られてくると嬉しいのだ。
はたからみたらイチャイチャだろう…
それでもいい。
いいのか?
たまにわからなくなる。
心の迷子になるけどまぁ、楽しいから良し
としている。
今日は、土曜日。
二人ともバイトが休みだ。
琴美からりんごをたくさんもらったから、
食べにおいでよとお誘いがあった。
「おじゃまー」
「はーい。ようこそ。りんご村へ」
りんご村って…
早速琴美がりんごを剥いてくれた。
「あ〜、このりんごモサモサやわ〜」
何弁だよ。
「りんごモサモサの方が柔らかくていいじゃ
ん」
「ほんまに〜。ならよかったわ〜」
琴美からりんごをもらい一口いただいた。
「うん。美味しいじゃん」
「ありがとうな〜。小太郎さんは、優しいな
〜。好きになってしまいそうや」
えっ…
チャンス⁈
よし!ならば、
「いいよ。好きになって」
「え?」
「好きになりなよ」
「ほんまに?うちりんごですのに」
りんごがしゃべってたのかよ‼︎
「りんごだけに真っ赤になってしもうた」
「そうっすねー…」
「あ、そうだ。小太郎」
「ん?」
「新しいスタンプを携帯で買う時はどうする
の⁇」
「あー、それはこうして選んでこう」
「ホウホウ」
でたな。フクロウみたいな返事…
「わかった?」
「ホウホウ」
わかってねーな…
「どうせ暇だしスタンプ選んだら?そしたら
操作してあげるよ」
「わ〜い。暇人ありがとう」
「暇人とか言うな」
「はーい」
そしてスタンプ選び完了。
早速オレに送ってきた琴美。
そして、すぐそこにいるのに携帯での会話。
・教えてくれてありがとう!・
・どういたしまして。・
・さっきの好きになっていいよの返事です
が私は、りんごですので付き合えません。
なので、あの言葉は闇にほうむりました・
・はいよ・
闇にほうむったのかよ…
ま、琴美じゃなくてりんごに振られただけ
だもんな…
ハハハ…
次の日バイト中琴美が調味料を持って話か
けてきた。
「小太郎さん。私と付き合ってください」
「ごめん。おれ一味とは付き合えない。」
「わかりました」
しばらくしてまた暇になると、
「小太郎さん。なら私とお付き合い…」
「醤油とも付き合えません!ってか琴美、ち
ゃんと仕事しなよ」
「は〜い」
それを見ていた佐藤さん
「仲がよくていいですね」
と話しかけてきた。
アハハ。
愛想笑いするオレ。
琴美は、キョトンとしていた。
佐藤さんが行った後琴美がこっそり
「佐藤さん、中身が入っててよかったですね
って言ったの?」
なんて聞いて来た。
調味料の話じゃありません‼︎
「仲がよくていいですねって言ったんだよ」
「あ〜、そうなんだ。」
オレたちは、よく昔から仲がいいねって言
われてきた。
でも、ずっとこのままなわけ⁉︎
それは、ちょっと嫌なんですけど…
バイトの帰り道
「ねぇ、小太郎。毒りんごうちにまだ余って
るからまた食べに来てね」
「毒ならいらなーい」
「でもさ、毒りんご食べるとどうなると思う
?」
え?王子様とキス…
ハッピーエンドになれるって事?
「やっぱオレ毒りんご食べる!」
「毒りんごなんてあるわないじゃん。小太郎
毒りんごなんてありませんよ。まったく、
食いしん坊なんだから。毒りんご食べたい
なんてやばいだろ…」
はぁーっ⁉︎
なんだよそれ〜…‼︎
続く。
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