第19話
今日のバイトは、琴美が休みか。
なんか琴美がいないと寂しいな…
学校も別々だし。
「いらっしゃいませ…」
って琴美。
琴美が高校のお友達とそばを食べにやって
きた。
「あー、小太郎ここでバイトしてたんだ〜」
「なんだよそれ。もう一か月以上も一緒に
バイトしてるくせに…」
「あー、一日会わなかったからすっかり忘れ
てた。」
何⁉︎
一日会わないともうオレの事わすれんのか
よ⁉︎
「な〜んて!」
‼︎ ‼︎ ‼︎
「ウソかよ‼︎」
アハハ
「で、どこに着席したらいいですか?」
着席って…
「あー、じゃあこちらに。お友達もごゆっく
り。」
ぺこりと頭を下げるお友達たち。
お友達は、普通っぽいな。
ってか、変な琴美とお友達になってくれて
ありがたい。
次の日のバイト時間
「琴美友達できてよかったね」
「うん!美田さんと美衣ちゃんと美野さんっ
て言うの。」
「そうか…」
みんな美がつくじゃん…
みーちゃんがさ、なんて言われたら誰だか
わかんねーな…
オレたちより一か月後に同級生の女の子が
新しくバイト先に入ってきた。
とってもおとなしく声が小さい人だ。
名前は、佐藤さん。
まだわからない事だらけでよく質問してく
るんだけどそれが聞き取りにくいのが難点
だ。
よりによって佐藤さんは、琴美に質問して
いた。
琴美は、ただでさえ耳が悪いのに…
「えっ、ごめん。聞こえない…もう一回言っ
てもらえる?」
「ごにょごにょごにょ」
「えっ、何⁇もう一回いい?」
「ごにょごにょごにょ」
「ん?目ん玉どこにあるんですかって⁇」
琴美ー。バイト中に目ん玉とか普通言わな
いだろ…
「何?佐藤さん」
慌てて二人の間に入る。
「あのー、めんつゆの…ごにょごにょ」
あー、なんとなく聞き取れた。
「もしかしてめんつゆの器?」
「はい」
「それなら洗い場にあると思うから見てきて
もらえる?」
「わかりました」
「小太郎よく聞き取れたねー」
「うん。まぁな」
ってか、目ん玉とかありえねーから…
佐藤さんがそんな事言うわけないだろうに。
バイト帰り琴美と二人で帰っていた。
「小太郎なんか高校生になって雰囲気変わっ
たよね」
へー、どんなだろう。
「そう?どのへんが?」
「やっぱり制服が」
ふーん。
そりゃそうだわ。
学ランからブレザーになりましたからね…
「ねぇ、私もかわった?」
「うん。制服がね」
「そうじゃなくてかわいさレベルアップとか
あるじゃん」
「あぁ、ならアホさがレベルアップしていま
すね」
「え〜、小太郎今なんか言った?急に耳が震
えてふさがっちゃってたー。」
完全にきこえてただろ。
どんな耳してんだよ…
「琴美初の給料何に使った?」
「シーっ!お金の話は、大きい声ですると敵
に狙われちゃうよ⁈」
「あ…そうだね」
大金じゃあるまいし…
敵って…
「私は、お初で親になんかプレゼントしよう
と思うの」
「いいねー。オレもそうしよっかな」
「なら、一緒に買いにいく?」
「うん。いいね。」
「じゃあさ、今度の日曜日二人ともバイト休
みだしその日に行こ!」
「そうだね」
日曜日
ガチャ。
琴美が迎えに来たな。
「小太郎ーさん」
変な声で琴美に呼ばれた。
「何?」
「小太郎ーさん」
「なんだよ」
「小太郎小太郎小太郎小太郎」
オウムのマネをしているだけだった…
来て早々うるさい琴美。
「琴美、何買うか決まった?」
「ううん。これっぽっちも決まってない。」
これっぽっちもって…
「オレ母ちゃんは、エプロンで父ちゃんは、
ネクタイにしようかな」
「いいねー。」
そして早速選んで無事お買い物終了。
「琴美は、どうする?」
「うーん。私は、お父さんにお酒でお母さん
に和菓子にしようかな」
「いいんじゃん」
琴美は、食べるのがすきだからやっぱりあ
げるのも食べものとかなんだな。
昔から、お小遣いほとんど食べ物に使うく
らいだからな。
そしていいお買い物ができた。
最後に雑貨屋さんをぶらりしながらたわい
もない会話。
「小太郎はさ、高校で友達できた?」
「うん。できたよ」
「何太郎?」
「いや、太郎がつくのは、オレだけ。」
「そっか。残念だったね」
「別に残念じゃないよ」
すると琴美がいきなりなんだって⁉︎みたい
な顔でこっちを見た。
「ん?なんだよ」
「いやぁ、小太郎強がんなよ。寂しい時は、
いつでもいいなさいよ。この強がり名人」
強がってねーよ。
しかも強がり名人ってなんだよ…
「いや、何太郎がいなくて寂しくはないけど
琴美がいないと寂しいかな」
琴美に伝わったかな?
琴美を見ると…
「小太郎‼︎みて!このキーホルダー。かわい
いねぇ。」
ぜんっぜん、聞いてなかった…
もうすぐ夏なのに外に出ると風が強く肌寒
く感じた。
「小太郎、寒いから足がはやく帰ろうって言
ってる」
足早に帰ろうって言えよ…
続く。
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