第17話

 部活帰り

 

 春だからだいぶ日が伸びた。

 

「ねぇ、小太郎。」

「ん?」

「帰りすっかり明るくなってきたね」

「うん」

「暗いと小太郎黒く見えて目がどうかしちゃ

 ってたんだよね」

「えっ、そうなの?どうかしちゃう?」

「うん。話してて不意に小太郎みるじゃん。

 そうすると黒い小太郎を見て脳みそが一瞬

 誰だよ‼︎こいつ‼︎

 ってパニックになるの。でもすぐ我に帰る

 の」

 

 そんな事が冬の帰り道隣で起きてたのかよ。

 知らなかった。

 

「じゃあ、明るくなってよかったね」

「うん!」

 

 

「ねー、クイズです‼︎ドゥドゥン!」

 

 いきなりクイズ始まった…。

 

 

「ジャンプ力があるのは?一番かえる二番か

 える三番かえる」

「じゃあ、かえる」

「ブーッ‼︎バネでしたー」

「バネってなんだよ。答え、かえるしかなか

 ったじゃん」

「別にどれでしょうなんて言ってないしー」

「えー、なんかひねくれてない⁉︎」

「お客様、クレームでございますか?大変申

 し訳ございません。クレームは、営業時間

 内にお願い致します。」

「いつ営業してんだよ」

「さあ」

「じゃクレームいいようがないじゃん」

「はぁ、残念ですね」

 

 

 何だそれ。

 

 

 家の前に来るとぱくがお出かけしようとし

 ていた。

 

「ねぇ、猫って外で何してんだろうね」

「たしかに」

「一日カメラつけて追跡調査したいよねー」

「うん。みたいな」

「でしょ。授業中とかにね!」

「なんで授業中になんだよ」

「ねー」

 

 

 ねーって…

 

 土曜日。

 琴美の家に遊びに来た。

 

 ぱくがかつお節を欲しがったのであげよう

 としたらうっかりこぼしてしまった。

「ごめん。琴美」

「ううん。いいよ!今小走りで掃除機持って

 くるからそのかわり小太郎は中腰しで、ず

 っと待ってて。」

 

 なんで中腰…

 しかも小走り…

 

 

 雨で暇だしテスト前だから勉強する事にし

 た。

 

 

「琴美、ちょっと鉛筆研ぎ貸して」

「ようかーい」


 了解じゃなくて妖怪って言わなかったか?

 

 

「フヒヒヒヒ、ほーぉうら、どぉうぞぉ」

「気持ちわりーよ。妖怪」

「よく見破ったなー」

「まーな」

 

 しばらく二人とも集中して勉強を進めた。

 ふと琴美を見た。

 そしたら琴美がじっとこっちを見ていた。

 

「ん?」

「ん⁉︎」

 

 ん⁉︎って逆に返された…

 

「今こっち見てたからさ。どうした?」

「どうしたかって言われたら仕方ない…お答

 えしましょう」

 

 なんか偉そうだな。

 ま、いいか。

 

「では、お答え願います」

「いいだろう。小太郎って勉強する時前髪が

 下がるんだね。あと、ちゃんと集中してる

 んだね。と思って見てたの。」

 

 フツーの事じゃん‼︎

 

「あぁ、そうなんだ」

「うん。ねー、少し休憩しない?」

「そうだね」

「小太郎タブレット貸して」

「いーよ」

 

 

 琴美は、一生懸命検索していた。

「何調べてんの?」

「これ」

 見ると…

 

 バナナの発音に厳しい人ってバナナ好き?

 蛾に刺された人の顔たちよ君たちよ

 お寿司食べたいときの必殺技

 

 なんだよそれ…

 

「他に検索するものないわけ⁈」

「これが検索したかったんだからしょうがな

 くない?」

「あーそうなんだ…」

 

 意味わかんねーよ。

 

「そうだ!疲れた脳みそにエサやらないと」

「脳みそにエサ⁉︎」

「うん。小太郎の脳みそにもほら」

 

 渡されたのは、チョコ…

 

「あ…ありがとう」

「いいよ。脳みそ!遠慮すんな」

 

 

 琴美は、今オレの脳みそに話しかけたのか

 ⁇

 

 なんだかそれは、気持ち悪いぞ…

 

 気持ち悪いと言いつつオレも脳みそにエサ

 をやった。

 

「どれどれ、脳みそがみるみる元気になった

 から勉強再開するか‼︎」

「あ、そうだな…」

 

 

 単純な脳みそだな。

 

「ねぇ、小太郎の脳みそは、なんて言ってる

 ?」

「え?」

「チョコ食べて」

「あー、美味しかったなって」

「それは、いーちゃんが言ってんじゃん」

「いーちゃん⁇」

「胃袋のいーちゃん!」

「胃袋に名前つけんなよ」

「あ、そうだ。甘いの食べたからレイコに行

 ってお茶持って来る」

「レイコ⁇だれ?」

「冷蔵庫でしょ。」

 

 全くそんなことも知らないの?みたいな顔

 をされた。

 

 レイコなんてしらねーし‼︎

 

「じゃ、ちょっとステップ踏みながら持って

 くるよ」

「そんなことしてたらお茶こぼすだろ」

「大丈夫!小太郎は、大きな気持ちであぐら

 かいて待っていなさい!」

 

 なんだよ…大きな気持ちであぐらって…

 

 

 戻って来た琴美。

「うちのレイコは、優秀なのよ。ほーら。こ

 んなにお茶をキンキンに冷やしてくれて」

「そうだね…」

 

 冷やせなかったら、それはもう壊れてるぞ。

 

 

 

 続く。

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