第13話
冬休み
「ねぇ、琴美宿題終わった?」
「うん。夏休みのはね」
えっ…
「おせーよ」
「そうかなぁ?小太郎は、せっかちだからな
ぁ」
「いやいや、琴美がマイペースすぎんだよ」
「そう⁇」
そうだよ‼︎
「宿題わからないところ教えてやろうか?」
「いえいえ、今年は私がお教えいたします」
「え、じゃあここ」
「ふむふむ、ここはこうして最後にたします
ね」
「すげーじゃん。当たり」
「だろうよ。今朝夢でみたばっかりなのさ」
どんな夢見てんだよ…
「あ、そうだ。これうちのばあちゃんから送
られてきたやつ」
「ほしいもじゃん‼︎」
「うん」
琴美は、ほしいもも大好物だ。
「いいか!小太郎。よく目を開いて聞きなさ
い」
目を開いて⁈…
ま、いいか。
「何」
「ほしいもとは、芋を干して作るんだ。どん
な発想よ!すごくない?」
目を開けて聞くって普通じゃない?
しかも普通の話…
「すごいね」
「いいか、小太郎。よく耳掃除してからさら
に聞きなさい」
「なんだよ」
「ばあちゃんに感謝だ。感謝状送りつけても
いいくらいだ」
感謝状送りつけるって…
早速ほしいもをレンチンしていただく琴美。
みかんもよく皮を剥いてお皿にのせてレン
チンしている。
冷え性だからとにかく温めたもん勝ちだそ
う。
勝ち負けなのかな⁈
ほしいもを堪能した琴美。
「ねぇ、小太郎さん」
「ん?」
「私、今日家に一人きりなの。よかったらう
ちに上がっていかない?」
「もう上がってますけど…」
「やだぁ、小太郎さんったら積極的ねぇ」
なんだよ…
このやりとり…
誰だよ⁈
「あらいやだ、別の男と鉢合わせしちゃった
わ」
「猫のぱくだろ」
「パクさん心臓がパックパク」
ぱくは、鉢合わせしたなんて思ってねーよ。
それよりご飯欲しがってんじゃん。
にゃーん、にゃーん
「やばい!やばいって言ってる‼︎」
言ってねーよ。
早く飯やれよ。
カリカリカリカリ
おいしそに食べるぱく。
「あ、そうだ。昨日うさぎのおばさんシリー
ズのビデオ借りてきたの。みる?」
「おぅ、みよーぜ」
ビデオの準備をする琴美が手を止めた。
「ねぇ、三年前の約束覚えてる?」
「三年前?……」
ヤベェ。
全く覚えてない…
「どうなの?小太郎。」
「ごめん。おぼえてない…」
「あたりめーだよ‼︎」
「は⁈どういう事?」
「だって約束なんてしてないもーん。」
「はぁーっ。琴美ちゃん。やってくれるじゃ
ねーか。そんな琴美ちゃんを抱き枕にして
やる!」
琴美を抱き枕みたいにぎゅーってしてやっ
た。
あれ?意外と落ち着く…
これは、ただのイチャイチャ…
しかも
「なんで抵抗しないんだよ」
「ね。でもなんか落ち着くってか…なんかさ、
びっくりしちゃって…」
変な空気になってしまった…
いつもの変な返ししてくれよ〜……。
「あっほら。ビデオはじまる」
「うん!」
あー、なんか変な汗でたわ…。
ビデオを二人で堪能した。
「ねぇ、今日夜ご飯私が作るってお母さんと
約束したんだけどさ、餃子の餃子抜きって
ありかな?」
ん?
それじゃなんもなくね⁉︎
「餃子のニンニク抜きって言うつもりだった
わけ⁈」
「んもー、間違えたんじゃん。いちいち人の
あぶらあしとらないでよー‼︎」
あぶらあし?きたねーしとらねーよ。
あげあしって言うつもりだったんだな…
でも、それ言ったら琴美またおこりそうだ
から黙っといてやるか。
「ニンニクなしでもいいんじゃん?」
「だよね!ならそれにしーよおっと。」
琴美は、よくいい間違いをする。
よそであぶらあしとか公表すんなよ…。
「うちも母ちゃん遅いんだ。なら一緒に作っ
て待ってるか。」
「わーい。そうしよう。」
早速二人で材料を買いに行った。
作りはじめようとした途端、
「わっ、小太郎‼︎キャベツからこんにちはな
んだけど⁉︎」
なんて言い出した。
「ふざけてないではじめるよ。」
「ふざけてないよ‼︎早く退治して!」
ん?
キャベツを覗き込んだ。
「あー、青虫かよ…」
普通に虫ついてたでいいのに…
こんにちはなんて…
「じゃあ、青虫さん。こんにちは、からのさ
ようなら。」
「いいね!小太郎センスあるよ」
「そう?なら窓からこんにちは」
「こわいよ」
「狭いところからこんにちは?」
「う〜ん」
「遠くからこんにちは」
「それじゃ聞こえねーよ」
「なら、ずっとこんにちは…」
「なんかこえーな」
「小太郎!餃子からこんにちは‼︎」
「こんにちはじゃねーだろ。餡入れすぎ」
あははは。
こうして楽しく餃子が作れましたとさ。
続く。
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