第7話

 今日は、日曜日。

 あ〜あ、暇だな。

 

 部屋でのんびり読書をしていたら、

 ドタドタ階段をのぼる音。

 きっと琴美だな。

 

「小太郎ー‼︎大変なんだよぉ。来て来て来て

 来て来て」

「なんだよ。いきなり…どうした?」

「それがさぁ、とりあえず話は後だよぉ。早

 く来て!ハーリーアップさ‼︎」

 琴美に手をひかれついて行くと…

 

 

 虫…

 

 

 琴美虫苦手だもんな。

 でも、虫でよかったよ。

 何かと思ったよ…

 

 

「こいつが私の部屋にいつのまにかのめり込

 んでさ、もう鳥肌がバッサバサだよ!」

 

 のめり込む⁇

 入り込むだろ。

 ってか、鳥肌バッサバサって…

 

 

「ほら、もう大丈夫だよ。」

「ありがとー‼︎この度は本当にありがとうご

 ざいました。お礼に私の鳥肌を…でも、腕

 をまくってる間は、決していやらしい目で

 覗き込まないでください。」

 すかさず腕をまくる琴美。

 

「いらねーよ‼︎」

「あっ、そうですか…残念です」

「何がだよ!」

 アハハ。

 

「では、下でお飲み物をご用意いたします」

「あぁ、ありがとな」

「いえいえ、おやすいごようでございます。

 ご主人様」

「今度は、カフェの店員さん?」

「はい!ご主人様」

 いちいち小芝居好きだな…

 

 

 手際よく飲み物を用意する琴美。

「どうぞ。そちゃでございます」

「ありがとう。いただきます」

 ゴクゴク。

 ニヤッ

 

「なんだよ…その笑い」

「フフフ、貴様ついに飲んだな。私のとくせ

 いドリンクを」

「え…まさかこれは」

「そう。その飲み物の中には…」

「中には?」

「カフェインが入っているのさ」

「あーそうかよ。何毒みたいな言い方してん

 だよ」

 

 

 そこに琴美の家の飼い猫、ぱくがやってき

 た。

「おーぱくじゃん。久しぶり」

「えっ、何年ぶりの再会?」

「そこまでじゃない」

「ふーん」

「ぱくも大変だな。」

 こんな変わった人が飼い主でさ。




「アレ?ぱく首輪緩んでる」

 ?なんか首輪の後ろに書いてあった。

 

 迷子になった時にわかるように電話番号と

 か書くところがあり、まさかそこに…

 

 裸足注意‼︎

 って書いてある…

 誰になんのメッセージだよ…

 

 

 しかも、すっごく小さく電話番号書いてあ

 るじゃないか。

 名前のところに…

 なぜそんなに大きく裸足を先に伝えたかっ

 たんだ…

 

 

「ねぇ、小太郎」

「ん?」

「夏祭り誰かと約束しちゃった?」

「ううん。だってまだ一か月以上先じゃん。

 一緒に今年も行くか?」

「うん‼︎」

 嬉しそうに笑う琴美。


「あー、今年は何買ってもらおーかな」

「なんで買ってもらう前提なんだよ」

「えーっ、買ってよ〜。パパぁ。」

「誰がパパだ」

 

「そういえば、校外学習の班だれと一緒?」

「坂本と、日野と登輝が一緒。琴美は?」

「私は、真希ちゃんと真野さんと真莉ちゃん

 だよ」

 みんな真がつく人ばっかりじゃん。

 すごい班…

 

「あっ、そうだ。私コンビニ行かないと」

「なに買うの?」

「ノート」

「ふーん。オレも買いたいものあるんだった。

 一緒に行ってもいい?」

「うん。」

「じゃあ、上着取ってくる」

「なら、私の貸そうか?一枚千円で」

「たけーよ‼︎つーか小さくて着れねぇ」

「まぁ⁉︎いつの間にか巨人になったのね⁇」

「巨人ではない!じゃ待ってて」

「うん」

 

 

 上着を取って戻ってきたら琴美も着替えて

 いた。

 別に部屋着のまんまでよかったのに。

 

「何でわざわざ着替えたの?」

「うん。それが着替えて行きなさいって言わ

 れて」

「え?家誰もいなかったよね?」

「うん。」

「じゃ誰が言ったんだよ」

「テレビ」

「は?」

「今日の占いでイメチェンするといい事起き

 るかもって」

「あー、なるほど。いい事起きるといいな」

「うん‼︎もう起きたよ!」

「早くね⁈この数分で何が起きたよ⁈」

 

 

 フフフ。

 何やらゴソゴソお財布をあさる琴美。

「じゃーん‼︎」

「ん?何それ」

「これは、ぱくのひげ!ずっとこのアイテム

 欲しかったんだよ‼︎毛はよく抜けるけど、

 ひげだよ⁈めっちゃ貴重‼︎」

 

 

 アイテムではなくないか⁉︎

 

「ま、よかったな」

 

 ツン。

 チクッ。

 

「ふふ」

「いてーよ。ぱくのひげで遊ぶな」

 

 猫のひげを人の首に刺して遊んでくる琴美。

 もううるさいから手を離さなかった。

 

 琴美…

 すぐに手を振り払うかと思いきや意外と振

 り払わないじゃないか。

 

 

 なんだよコレ。

 デートみたいじゃねーか‼︎

 

 

 琴美オレと手繋いで嫌じゃないのか?

 なぜ振り払わない⁇

 

 

 期待していいのかな?

 チラッと琴美を見た。

 

 

 琴美⁉︎

 

 続く。

 

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