第8話

 手を振り払う事なく歩く琴美。

 

 琴美を見ると‼︎

 

 

 何してる⁉︎⁉︎⁉︎

 

 

 まさかの目をつぶっていた…

 

 

「何してんだよ」

「んー、目つぶってコンビニまで歩けたら成

 功ゲーム」

 何で勝手にゲームはじめてんだよ…

 

 

 変な勘違いしたじゃねーか‼︎

 

 

 それから、コンビニで色々買い終え琴美が

 ジュースを開けようとしていた。

 爪切ったばっかりで開かないらしい。

 

「どれ、かしてみ。」

 カシャ

「ほら、空いた」

「あけましてありがとうございます。」

 

 何をあけましておめでとう風に言ってんだ

 よ…。 

 

 

 

 しばらく歩いてまた手を繋いでみた。

 ドキドキドキドキ

 

 

 やっぱり、嫌がらない。

 

 

 そっと琴美を見ると…⁉︎

 顔が赤い。

 これは…⁉︎

 

 

「琴美?」

「えっ…バレた?」

 てことは、両思いか‼︎

「うん。もしかしてそうなのかなって思った

 けどさ」

「聞こえた?」


 何が聞こえたんだ?

 琴美の事だから、心の声とかいうのか?


「うーん。聞こえなかったけど伝わったって

 かさ」

「やだぁ、そんなに臭う?」

「へ⁇」

「う…ん。屁」

 

 はぁー⁉︎

 おならして赤くなってたのかよー‼︎

 マジいい加減にしてよー…。

 もう、なんなの………。

 

「ってかさ、小太郎手繋いできたけどまた目

 つぶって歩こうゲームしようとしてる?」

「えっ、…」

 琴美ーーー‼︎

 なら、もうそういうことにしとくか…。

「まあな」

「なら、今じゃだめだよ。ここは車の通り多

 いから。ってか、そんなにそのゲームおも

 しろかったんだね」

「うん…」

 

 本当は、違うけどねー…。

 でも、いいや。

 手繋いで歩けるんだし。

 

 

 あー、琴美と手繋いで歩くの何年ぶりだろ

 う。

 

 コンビニから帰ると玄関にパクがいた。

 ぱくをじっとみる琴美。

 どんどんぱくの耳が下がる。

「ねぇ、ぱく嫌がってない?何をそんなに見

 てんだよ?」

「あー、どこのひげが抜けたのかなーって」

「そんなんわかるわけねーだろ」

「そっかぁ、じゃーね。小太郎」

「おう。じゃあなー」

 

 家に帰ってもまだ繋いだ手の感触が残って

 いた。

 

 

 

 そして夏休み

 

「小太郎、小太郎、小鉄ー」

 小鉄…⁉︎

 誰だよ!

 

 騒がしく琴美がやって来た。

 

 

「今日うちに誰もいなくてさ!暇だから遊び

 に来たよ」

「へー、うちも誰もいない。ってか、ほとん

 ど親仕事だもんな。あと琴美は、いつも暇

 だもんな」

「うん。まぁね」

 

 

 夏休み中は、二人で勉強したりゲームをし

 たりして楽しく過ごした。

 部活は、二人ともテニス部だから行きも帰

 りも休みもほとんど同じだ。

 

 

 雨の日なんかは、特に一日暇だ。

 

「小太郎ー。雨だね」

「うん。」

「お祭り晴れるかな?」

「予報だと晴れだな」

「ふーん。予言当たるといいな」

 予報な…。

 

 

 琴美はパソコンで何やら検索していた。

 なのでオレは布団にねっ転がり本を読んで

 いた。

 するといきなり琴美が

「髪いつもサラサラだよねー。いいな」

 って言いながらオレの髪を撫でてきた。

 

 なんだよ⁉︎いきなり‼︎

 焦って起き上がると、ふと視界にパソコン

 の画面が見えた。

 キューティクルについて調べていたらしい。

「髪サラサラにしたいの?」

「うん!だって天使の輪っかあるといいじゃ

 ん?」

「んー、そう?」

「そうだよー。小太郎は、オシャレにうとい

 なー」

 そう言いながらまた検索を始める琴美。

 

 

 琴美の髪を撫でてみた。

 サラサラだと思うけど…

 ってかさ!

 側から見たらこれは、イチャイチャしてる

 って感じじゃね⁉︎

 琴美の髪を撫でながら思わず琴美に、

「愛してるよ」

 ってボソッと言ってしまった。

 

 

「えっ、そうなの⁇やったー‼︎」

 琴美が喜んだ。

 

 

 えっ…

 喜んだ…

 ってかさ、なんか返しおかしくね⁉︎

 普通、

 私も。

 とかじゃねーのか?

 

 でも、喜んだって事は琴美もオレを⁉︎

 

「琴美、そんなに嬉しい?」

「うん!わざわざありがとう」

 え⁇

「返しおかしくね?」

「なんで?なんて言えばよかった?」

「普通、私もとか言わねぇ?」

「いやいや、それはないだろ」

 ないのか…ってことは今オレ振られた⁉︎

「ないんだ…」

「ないよー。私そんな大変な事しないし」

「はい⁇大変⁉︎お前さ、今なんて聞こえたの

 ?」

「え、だしとってるよ。それってそば?うど

 ん?」

 

 フーン…

 

「ねぇ、琴美。」

「ん?」

「バーカ」

「何それー。いきなりひどーい」

「誰がだしなんかとるんだよ」

「えっ、じゃあなんて言ったの⁇」

「バカには教えてあげません‼︎」

「えーっ‼︎」

 

 オレっておもい伝える事出来んのかな⁇

 琴美相手に…。

 

 

 続く。

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