第2話

 今日は、せっかくの土曜日なのに勉強に集

 中しなくてはならない。

 

 午後から琴美がやってきた。

 

 珍しく琴美も勉強していた。

「あー、喉乾いた。ちょっと下の冷蔵庫から

 飲み物買ってくる。お母さんお金ちょうだ

 い。」

「誰がお母さんだ。しかも下の冷蔵庫ってう

 ちのじゃないか。なんで家のもん自分で買

 わされんだよ。」

「ふふっ」


 笑いながらバックから飲み物をだす琴美。

 意外とそういう所は、律儀だ。

 ゴクゴク。

「小太郎も飲む?」


 えっ⁇それは間接キスなんじゃ…


 少し迷って…

「じゃあ、もらおっかな」

 琴美が差し出した飲みかけのジュースをあ

 りがたく頂こうとしたら、

「コレは私のだから!小太郎はこっち‼︎」

 すかさず手を引っ込める琴美。

 

「じゃあ、なんでそれ差し出したんだよ」

「ああ、同じ種類だったからとりあえずこの

 味のやつのむのかなって思って聞いただ

 け」

「紛らわしい奴め」

 

「えっ、そんなに私と間接キスしたかったの

 ?」

「そんなんじゃねーし」

 

 なんなんだ。琴美…

 天然かと思いきやいきなりそんな事言い出

 すし…

 

 とりあえずジュースを飲んだ。

 

「ふっふっふ、貴様ついに飲んだな。」

 

「なんだよ!コレ…」

 

「それは、ジュースだよ」

 

「だろうな」

 

 そんなくだらない会話をしながら勉強を再

 開。

 

 そこに猫のちーが入ってきた。

「あ〜、ちー。どこ行ってたの〜。探したよ

 〜」

 ちーをワシワシなでる琴美。

 

 

 探してなかったよな⁈

 全く。

 

 

 勉強そっちのけでちーとたわむれる琴美。

「ねぇ、ちー。昨日さカリカリ食べたでしょ

 ?うちまで聞こえたよ。カリカリカリカリ

 って」

「どんだけ耳いいんだよ」

「ふふ」

 

 オレはよく琴美のボケに突っ込む。

 そのやりとりが意外と楽しい。

 

 

 琴美は、国語の勉強を始めた。

 するといきなり音読し始めたじゃないか…

 小学生かよ⁉︎

「なんで音読?」

「ああ、ちーに読み聞かせ」

「そんなのちー、望んでなくね⁉︎」

 ちー、耳下がってんぞ。

「でもさ!」

 急に目を輝かせてくる琴美。

「でも何⁇」

「もしかして毎日読み聞かせしてたら人間の

 言葉喋るんじゃない⁇」

「それは…可能性が低い。」

「そっか〜。残念」

 本気だったのかよ‼︎

 

「ちー」

 琴美に呼ばれて

「にゃーん」

 って答えるちー。

 それに、

「にゃーん」って答える琴美…

 

 お前が猫になってるよ‼︎

 

 

 ちーは、飽きたのか部屋を出ていこうとし

 た。

 すると、

「なんで⁉︎なんでいつもそうやって私に育児

 おしつけてあなただけ楽しそうに出て行く

 の?いい加減にして‼︎」

 なんて、琴美の小芝居が始まった。

 

 琴美のなんで⁉︎に一瞬びびって振り向いた

 ちー。

 でも、あっさり行ってしまった。

 

「残念だったな。琴美」

「うん。でもまぁ、所詮あんな奴だ」

 そう言うといきなり小芝居終了。

 また、真面目に勉強しだした。

 

 

 かと、思いきや…

 ちーを描いてるじゃねーか。

 しかも、小さく文字が書いてある。

 

 カリカリが歯につまればいいって…

 意外と執念深いな。

 

 

 そして琴美が帰った後にペンケースが落ち

 てるのに気がついた。

 

 明日日曜だし、起きたら届けっか。

 

 そして日曜日

 

 コンコン。

「は〜い」

「オレ」

 ガチャ。

 

「何?女性の部屋におしかけるなんてどうい

 うつもり?」

「昨日ペンケース忘れてたよ。届けにきたん

 だよ。」

「あ〜、お届け者の方。さ、どうぞ中へ」

 何やらゴソゴソしだす琴美。

「サインでいいですか?」

「いらねーよ」

「じゃ、逆にハンコください」

 

 ?

 

 なんだよこの用紙…

 

 手書きでしかも…

 これって婚姻届⁉︎

 

 えーっ‼︎

 プロポーズ⁉︎

 琴美がオレに⁉︎

 しかもこんなにサラッと⁉︎

 でも本物じゃないし…

 冗談⁇

 

 

 オレが動揺していたら、

「サイン!ここ‼︎」

 よく見ると保証人の方だ。

 じゃあ、琴美誰と結婚するんだよ⁉︎

 

 

 

「えっ、誰と結婚すんだよ⁉︎」

「よく見て。ちーが結婚致します‼︎」

「は?」

「もー、ちーお腹に赤ちゃんいるでしょ?気

 がつかなかったの?」

「うん…、でも相手誰だよ⁇」

「おそらく   相手は…    」

「溜め込みすぎだよ!早く教えてよ」

「コホン。いいだろう。教えて差し上げよう。 相手は、きっとうちのぱくですね」

「って事は、ついにぱくとちーが…」

「えぇ、おそらく」

 

「つーか、この下りなげーよ」

「あはは」

 

 実は、琴美の家の猫とうちの家の猫は近く

 の道の途中の段ボールの中に入れられてい

 た。

 その子たちを拾い親にお願いして一匹ずつ

 飼うことにしたんだ。

 名前は、琴美が決めた。

 二人ともパクチーが苦手だったから、克服

 できるようにぱくとちーにすれば親近感が

 わいて克服出来るかもって。

 

 でも、未だに二人とも克服できず…

 

「はい。これ。招待状」

 

 琴美…

 テスト前…

 ってこの招待状⁉︎

 

 続く。

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