喘息
かヒュッヒュッ、くるしいっ、息が、ヒュッ、できな、い、ヒュッ
毎日男の子に混じって遊んでいる元気な「俺」だが、実は喘息持ちなのである。喘息持ちで、体が弱いとかちょっとカッコ悪い...
だから学校の友達には内緒にしていた。
「莉緒、薬飲んだ? また苦しくなったら言いなさいね。」
母がつきっきりで看病してくれる。
これが実はちょっと嬉しかった。
普段は暴れてばかりの兄にばかり構っていて、自分の方を見てくれない。小さいながらにそれを感じ、ちょっぴり寂しかった。
だから、ほんの少し、あと少しでいいからこの時間が続けばいいなって思ってしまう。
にいちゃんばっかり。
この頃、兄が中学に入学してからだろうか。
兄は昔から勉強が大嫌いで、机にまともに向かったことがない。
それは中学に行っても変わらなかった。
学校が終わったらすぐどこかへ出かけ、帰ってくるのが深夜になるこもしばしばあった。
そんな兄を見て母は、「来年は受験でしょう?みんな勉強しているのに、あなたはどうして遊んでばかりいるの。塾にも行ってないらしいじゃないの」
母はなんとか兄に勉強させようと、塾に入れさせた。
家の金をはたいて入れた。それなのに兄は毎日どこへ行っているのか。家族みんなが呆れていた。
この頃から、母は狂っていった。
ゆっくり、ゆっくりと。
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