番外編
紡がれてゆく日々
東京奪還から1ヶ月後―
フラット「凄いね、東京のほとんどがもう復興できてる」
クレア「にしても、俺達が勝ったなんてまだ信じられねぇよ」
ノール「元々は未来を諦めてた私達だったからな」
スラリア「でも、この写真…ショック…」
フラット「あれは本当にごめん!」
エド「俺はケガのせいで映れなかったっす…」
スター「それは自己責任でしょ?」
フォール「…プヒィ〜!」
ペーター「…フォール、それは?」
フォール「サイダーですけど?ほら」
エド「ややこしいっす」
フラット「そういうエドは?それ…何ジュース?」
エド「や、野菜ジュースっすよ?」
クレア「…キウイ入りのな」
エド「こんぐらいなら許容範囲っすよ!」
フラット「まあ、たしかにね…ハハッ!」
ノール「何だよ、気持ち悪い」
フラット「いや、こんな会話するのも久しぶりだなぁ、って」
スラリア「そうだね。平和になったって実感できるね」
スター「あ、そういえばお姉ちゃんは?」
フラット「それに姉ちゃんもいないけど…まあいっか。いない方が
落ち着くからね」
「ふぅーん…誰がいないと落ち着くって?」
フラット「げっ…」
シャン「たっぷりと…お仕置きしてあげるからね?」
ユーリック「まあまあ、落ち着いて。ペーターさん、あたしは
ララクス・バッテンのファイターとして活動することにしました」
ペーター「…その報告のためにわざわざここまで?」
シャン「いえ、私の方から報告があります。本日よりララクス・バッテンは
アカデミー所属のファイター企業となりました。新宿にあった、
ブラッククロウは解体に入ります」
ペーター「あぁ、あの評判が悪かった…まあ、ゼウスである君が
判断をしたんだろう?」
シャン「そうですけど…そのことは絶対に秘密でお願いするよ?」
ペーター「分かっているとも。死んでも言いはしないよ」
ユーリック「それでは、あたし達は夏に咲いたお花見でも」
ペーター「あぁ、行っといで」
スター「ねぇ、スター達も行こうよ!」
クレア「まあ、夏桜異変の元凶もここにいるわけだしな」
ノール「これぐらい、異変でもないだろ」
スラリア「ね!クレアは花が嫌いだからあんなこと言うんだよ」
エド「折角綺麗なのに勿体ない感受性っすね」
フラット「まあ…お花見か。じゃあ、明日行こっか!仕事も今日は
まだ残ってるしさ」
ノール「そうだな」
ベングル「ちょっと邪魔するぞ」
グリオ「今の話、聞こえてたぞ。花見か」
ダンステード「わいらも付き合ってええか?」
ケーベス「無理だろうが。まだ反省書残ってるくせに。ほら、
戻るぞ。これ以上保留にして逃すわけにはいかないからな」
コータス「今回ばかりは俺達も鬼になるからな!」
メダイ「もう軽く角が出ちゃってる出ちゃってる」
フラット「反省者が残ってるなら話は別。はい、戻った戻った!」
無理矢理四大の3人をフラットは部屋から追い出した。
ケーベス「じゃあな、騒がさせてすまなかった」
コータス「ほら、戻ろうとしても無駄だぞ!」
メダイ「もう入れてくれないからね!」
フラット「…まあ、桜のシーズンはまだ続くから」
スラリア「うん、まだ全然大丈夫そうだもんね。多忙を終わらせれば
桜が待ってるって思えば…頑張れる…かな?」
ノール「流石に無理があるだろ。まあ、こんな話してるより
私達も仕事終わらせようか」
フラット「終わってないの、女子組だけどね」
クレア「へへ〜ん、俺は期日に間に合ったぞ!」
エド「俺が手伝っただけじゃないっすか」
クレア「で、でも俺が9割はやっただろ!」
エド「何言ってるんすか?クレアがやったの、データ収集だけっすよ?
俺が経費処理とかやったんすけど?」
フラット「…クレア、たしかにデータ収集はクレアの得意分野だけど、
もうちょっと頑張ろうよ。まあ…フォールみたいに僕に回してくるよりは
いいけどさ。反省してるのか、分かんないよ」
ペーター「まあ、仕事が終わってるのは帰っていいよ。皆の住居スペースも
完全に修理できたみたいだしね」
フラット「寮も直ったし、エド。一緒に帰ろっか」
エド「そうっすね!それじゃ、失礼するっす」
浅草大学寮―
フラット「…バトラー…」
ナックルの勉強机に座っていたフラットの手の中にはナックルからの
手紙が握られていた。
フラット「…そういえば、僕まだ行ってなかったな…夜にでも行こ。
でも、その前に…」
その手紙の中に、フラットは1つ、“ありがとう”と書き足した。
フラット「これでよし、と」
エド「フラット〜!腹減ったっすよ〜!」
一階からエドの声が響いた。
フラット「あっ、もうお昼か!そうだ、タクマ達も誘おっと!」
数分後―
フラット「ごめん、じゃ、昼ごはん行こっか」
エド「えっ…行くんすか?」
フラット「久々に、豪勢に食べたくてさ!」
エド「あっ、あそこっすね!」
バイキング店―
フラット「あ、いたいた!」
タクマ「ようっ!」
ヒナ「ここで食事するのも久しぶりだね!」
フラット「そうだね〜」
クレア「おろ?」
スラリア「2人もいたんだ。それにタクマとヒナちゃんも」
タクマ「なんだ、デートか?」
クレア「まぁ、そういうとこだ」
フラット「ぶっ!」
ヒナ「ちょ、汚い!」
フラット「ご、ごめん!クレアも笑わさないでよ!」
クレア「ッハハ!タイミング良くてな」
スラリア「コラっ!クレアもそういう冗談やると嫌われるよ」
エド「今拭くっすよ!」
フラット「いい、いい!これぐらい自分で拭けるから!」
ヒナ「もう…良かった、服まで汚れてなくて…」
タクマ「まあ、許してやれよ。怒るならクレアにだな」
クレア「俺か⁉︎ま、まあ…」
ヒナ「この景色に免じて許してあげるけど、流石に次は許さないよ。
私だって怒る時は怒るんだから」
タクマ「まあ、ダバンゴの前ではよく怒ってたな」
ヒナ「うるさいな…もう!先取りに行ってくる!」
タクマ「あ、今のはなし!なしで頼む!」
フラット「…あの2人、よく長続きできるなぁ」
クレア「ああいうのも、本当はラブラブなんだよ。なぁ?」
スラリア「…ちょっと遠慮する」
フラット「あ〜あ、遠慮された」
エド「破局っすね」
フラット「破局…かもね」
エド「それより、俺達も取りに行くっすよ!」
フラット「そうだね、行こっか!」
スラリア「あたしも一緒に行く。クレアは1人でお好きにどうぞ」
クレア「あ〜!さっきのは悪かった!なしで頼む!」
フラット「もう、店の中で走っちゃダメなのに…まっ、行こっか」
数分後―
フラット「本当にヒナちゃんのお皿って綺麗に盛り付けられてるよね。
SNSに上げたら絶対映えそう」
ヒナ「そういうフラットもバランス食だよね。色とりどりで
ちょっと可愛いかも」
タクマ「それに比べて…エドは…」
エド「?いつも通りっすよ?」
タクマ「ちょっとは盛り付け考えろよ!」
エド「どうせ食べたらこうなるんすから大丈夫っすよ」
フラット「バトラーと同じ言い訳しないでよ。本当、似たもの同士で
困るよ。でも、本当に平和になったんだなぁ…」
ヒナ「たしかにね!こんな会話できるなんて…こんな日常が
幸せだって実感できるなんて思ってもみなかったよ」
タクマ「これも、フラットのおかげだな」
フラット「ちょ、大袈裟だよ!僕1人じゃなくて、あの場所にいた
全員のおかげだよ」
タクマ「謙遜しやがって〜!」
エド「ちょっとは胸張ってもいいんすよ〜?」
フラット「…先食べる。いただきます」
ヒナ「ちょっと、からかいすぎ」
タクマ「からかいがいがあるからな」
エド「まあ冗談はこれぐらいにして、俺達も食べるっす」
タクマ「だな。いただきます!」
ヒナ「もう、調子いいんだから」
1時間後―
タクマ「良かったのか?奢ってもらって…」
フラット「お礼だよお礼」
ヒナ「私達は無理言ってお願いしただけだよ?」
フラット「その無理があったから―」
エド「東京が元通りになったんすよ!」
フラット「ちょ、セリフ取らないでよ」
タクマ「何だか今日のエドはご機嫌だな」
フラット「かる〜くキウイ食べたからね。ジュースだけど」
ヒナ「あ!それってキウイ果汁入りの野菜ジュース⁉︎私も
飲んでみたいけど、どこも売り切れでさ〜」
タクマ「事務所にあるぞ?」
ヒナ「本当⁉︎すぐ戻ろ!」
タクマ「おい!んな強く引っ張んなって!」
フラット「バ、バイバーイ」
エド「俺達も戻るっすか」
フラット「そうだね、戻ろっか」
一方その頃―
クレア「じゃあな、スラリア。また明日な」
スラリア「うん、またね」
バスの中へ、以前と同じようにスラリアは乗り込んだ。
スラリア「…あっ」
ヒラヒラと舞い散る桜の花びらがスラリアの目に映った。
スラリア「…なっくんとお花見…したかったなぁ」
浅草大学寮―
フラット「さぁて!片付け再開!」
エド「とは言っても、棚の中だけっすけど…」
フラット「棚の中だけって言って油断しちゃダメだよ。この中に
ゴキブリが出たばっかなんだから」
エド「あ〜…そうっすね」
フラット「殺虫剤とバルサン持って!よし…やろう!」
ガタッと棚を開けるも、中は既に空っぽだった。
フラット「あ…アッレ〜?」
エド「もう終わってるじゃないっすか」
フラット「本当だね…あ〜、することない」
エド「そうっすね〜…大学も夏休みっすし…」
フラット「もうすぐ明けるけどね」
エド「海とか行きたかったっすね〜」
フラット「来年があるよ。ハァ〜…もう、今年の大学は全部休みになって
来年に回してくれないかなぁ」
エド「ハハッ!フラットらしくない発言っすね。まあ、気持ちは
分からないでもないっすよ」
フラット「でしょ?」
デ・ロワー住居スペース―
クレア「スター、学校は再開するってさ」
スター「えぇ〜…もう今年はいいじゃん」
クレア「やっぱそう思うよな?今から始めて出席日数が足りるかって
言われると…休日も登校しなきゃ無理だぞ」
スター「部活なら喜んで行くけど、授業はなぁ〜…」
クレア「分かんないとこあったら、フラットにでも聞いたらどうだ?
アイツ、結構頭いいし」
スター「だからフラットは教えんの下手なんだってば!」
クレア「じゃ、じゃあエドならどうだ?」
スター「エドは…」
スターの予想―
エド「これはこうだから、こうなんすよ」
スター「…絶対分かんない説明になりそう…」
クレア「何考えてるか、何となく分かったわ」
スター「普通にスラリアのお姉ちゃんに教えてもらうよ」
クレア「まあ…無難だな」
スター「…本当のこと言うと、ちょっとだけ学校が始まるのは
楽しみだけどね」
クレア「だろ?俺も学級閉鎖になった時は、寂しかったしな」
スター「学級閉鎖なんてあったの?」
クレア「ただ単に流行病だけどな」
スター「今じゃ、なかなか聞かない理由だね…」
クレア「スゲェよな、新しい細菌が見つかっても一瞬で抗体が
できる時代だもんな」
スター「別に神力があれば一瞬で治るけどね」
クレア「それを言っちゃおしまいだっての」
スター「キャハハ!兄ちゃんも分かってた?」
クレア「あぁ、分かってた!」
スター「キャッハハハハハ!」
クレア「ハハハハ!」
ノール「ただいま…」
キルユウ「お帰り!ちょっと来いよ、こっち!」
ノール「何?もう疲れて―」
バルシア「お帰りなさい、姉御!」
ノール「……へ?」
目の前に突然現れたバルシアに、ノールは唖然としていた。
キルユウ「いやぁ〜、俺も驚いた。てっきり死んだとばかり
思ってたからな。フラットのやつ、もっと早く教えろっての」
ノール「……バカ!家族に余計な心配かけんな!」
バルシア「俺じゃなくてフラットの兄貴に言ってよ!アイツが
姉御を驚かせたいって言い出したことだし」
ノール「そう…ちょっと元凶のとこに行ってくる」
キルユウ「ま、まあまあ!折角家族が集まったことだし、
パーティにしような!」
バルシア「さっすが兄貴!名案だ!」
キルユウ「だろ?そうと決まれば早速行くとするか!」
ノール「…しょうがない、許すか」
バルシア「ホッ…何とか借りは返せた」
ノール「何か言った?」
バルシア「い、いや別に!」
キルユウ「お前らなぁ、早く準備しろって!予約も済ませてあるんだぞ」
バルシア「あ、今行く!姉御、ほら!」
ノール「…弟の手を借りる時が来るなんてね」
バルシア「いつかはと思ってたけど、今日だった!」
ノール「もう…分かった、はい」
外―
キルユウ「ん…おっ、めっちゃ綺麗だぞ!」
ふと空を見上げたキルユウがそう言った。
ノール「綺麗って…あっ、本当だ…」
バルシア「もうこんな時間だったんだ〜…こんな夜空も見れたのも、
姉御のおかげだ!」
ノール「褒めても何も出ないぞ」
クレア「よし、そろそろ晩飯にするか」
スター「ちょっと兄ちゃん!外見て外!」
クレア「外…?」
そう言われてクレアが窓の外を見ると、夜空一面に天の川が
広がっていた。
クレア「スゲェ…ちょっと見に行こうや!」
スター「うん!」
フラット「?エド、どっか行くの?」
エド「今日の夜空がスッゲェ綺麗なんすよ!これから天体観測に
行くんすけど、フラットもどうっすか⁈」
フラット「あ〜…行きたいんだけど、僕はいいや。
まだやんなきゃいけないこと、残ってるからね」
エド「そうっすか?じゃあ、俺、先に行ってるっす」
フラット「うん、後で行くよ」
自室へとフラットは向かうため、エドを先に行かせた。
フラット「…ダメだなぁ、何度もこの声…聞きたくなっちゃう。
もうこれで最後にしないと…」
そうフラットが囁くと―
バサっ!
と、大きな音が部屋に響いた。それはナックルのマントが
部屋から羽ばたくように開いたままの窓から外へ飛び出した音だった。
フラット「えっ⁉︎何⁉︎」
慌ててフラットはそのマントを追いかけるために外へ出た。
フラット「ちょっと、この方向って…バトラーの墓じゃ…!」
マントはまるでフラットをナックルの墓へ導くように飛んでいた。
ナックルの墓―
「うおっと!このマント…あぁ、来ちまったのか」
フラットが追いかけていたマントがとある人物に落ちた。
「…こんなに早くここに来たってことは、アイツ見つけたんだな。
ったく、こりゃここに来るな」
フラット「ハァ、ハァ…やっぱり…?」
暗くてよく分からないが、誰かがナックルの墓の前にいた。
その影は光もないのに光を放ち、暖かい風を纏っているようにフラットには
感じられていた。
フラット「だ、誰ですか?」
「…フラット…⁈」
フラット「…!おかしいな…夢でも…見てるのかな、それとも、
疲れてるのかな…そんなわけない、“バトラー”…そんなわけ…!」
ナックル「俺のこと…見えてんのか⁉︎」
フラット「…やっぱりおかしい…幻聴まで…」
ナックル「幻じゃねぇよ!俺だ、ナックル・バトラーだ!
正真正銘、ナックルだ!」
フラット「…どうなってるの…?わけ分かんない!」
ナックル「俺のマント、戦闘服の一部だろ?俺の神力が染み付いてるから
今にも消えそうな俺のもとに来ちまったんだろ」
フラット「…バトラー…」
スウっと吹いた夜の春風が桜の花びらを撒き散らし、2人の横に
いくつもの花びらが通り過ぎた。その中で、フラットは初めて
ナックルに抱きついた。
フラット「……春…綺麗だね」
そんなことを言っているフラットの目には涙が浮かんでいた。
ナックル「…だな」
フラット「“明日”、皆で花見…するんだ」
ナックル「そりゃ良かったな!お前ら、スゲェこと成し遂げたんだ!
よく頑張ったな、フラット!」
フラット「…バトラーのおかげだよ。僕1人じゃ…何も…」
ナックル「…俺は先に行かなきゃなんねぇ。でも、お前は―」
フラット「分かってる。皆と歩いて行くって決めたから。
心配しないで、全部忘れないから!」
ナックル「…ありがとよ。でも、もう時間だな」
フラット「えっ…?」
ナックルの体が光の粒子に包まれていく。そしてフラットは、
ナックルの指、腕、肩、そして唇が震えていたことに気づいた。
ナックル「…フラット!俺は…!」
フラット「…さよならなんて…僕だって言いたくないけど…!
これだけは言いたかった!ありがとう!」
ナックル「…フラット…俺はさっきも言ったぞ」
フラット「もう…こんな時に。でも…どれが星なのか、
これじゃ分からないな」
空へ流れていく光にフラットは手を伸ばした。その温もりに
目に浮かんでいた涙が頬を伝って、ナックルの手に落ちる。
フラット「僕は…悲しくないよ!だって…言えた!ありがとうって…
ちゃんと言えた!だから…!」
ナックル「…お前はいつまでも、優しいやつだ」
フラットの頭に、ナックルがポンと手を置いた瞬間、光が
ナックルの体を一気に包み込み、強い輝きを放った。
フラット「…さよなら、バトラー…!」
涙を拭うことなくフラットは笑みを浮かべて、大きく手を振った。
その手は指を大きく広げて、迷いが見られないほど強く、大きく。
フラット「…さぁてと!星でも見よっかな!」
クレア「おっと、フラット⁉︎」
ノール「先にいたのか?」
キルユウ「行動が早いやつだな」
バルシア「流石はフラットの兄貴!」
スラリア「やっぱり、フラットもここで見たいって思ったんだ」
フォール「…俺は…まあ、星を見れるならどこでも」
スター「嘘つき!本当は謝りに来たんでしょ?」
エド「ていうか、何でフラットが先に来てるんすか⁉︎
やることがあるって言ってたじゃないっすか!」
フラット「…独り占めしようと思ってさ!」
エド「なっ、ずるいっす〜!」
フラット「お、僕と追いかけっこする気?なら、捕まえてみろ!
鬼さんこちら、手の鳴る方へ!」
エド「飛ぶのはズルっすよー!」
全員「アハハハハ!」
フラット(バトラー…バトラーも、どこかで笑ってるのかな)
翌日―
フラット「じゃあ、この桜に〜?」
全員「かんぱーい!」
クレア「…くぅ〜!やっぱ、花見だな!」
ノール「感謝するなら私へな?」
スラリア「やっだー、もうノール酔ってる!」
フラット「今日ははしゃぎまくっていいよー!もう一回いこーう!
平和になった東京に〜?」
全員「かんぱーい!」
スター「キャハハ!皆、子供みたい!」
エド「流石にハメ外しすぎじゃないっすか?」
フォール「つれないやつだなぁ〜。今日みたいな日は思っきし飲んで、
思っきし食って、大はしゃぎするもんだぜ?」
フラット「フォールはお酒禁止だよ!」
フォール「今日ぐらいはいいだろ?」
フラット「ダメったらダーメ!」
クレア「相変わらず厳しいやつだな〜」
フラット「そういうクレアも、何ぶどうジュース飲もうと
してるの?クレアはこっち!」
クレア「ちぇ、ちょ〜っとは許してくれてもいいじゃねぇか」
ノール「はい、オレンジ」
スラリア「…分かってやってるでしょ」
ノール「そうだけど?」
スラリア「…フラット〜!ノール、大豆食べてるよ〜?」
フラット「本当⁈ノール?」
ノール「バカ!言うなよ!」
スラリア「あたしにオレンジをあげようとするからいけないんだよ?」
ノール「ぐっ…分かった、でもこれは大豆は大豆でも味噌だ。
そんなに酔うわけでもない」
フラット「…にしては、顔真っ赤だけど…」
エド「やっぱりこのジュース、美味いっす!」
スター「ねぇ、スターにも一口ちょうだい!」
クレア「兄ちゃんが買っておいたから、こっち飲め」
スター「えぇ⁉︎全部貰っていいの⁈」
クレア「もちろんいいとも。俺はボトルで買ってるしな」
スター「あぁ!ずる〜い!」
フラット「兄妹ゲンカも大概にしといてよ。他にも花見客が
いるんだから」
フォール「フラットも飲めよ〜?」
フラット「僕はお酒ダメだから。って、何飲んでんの⁉︎」
フォール「ウィスキー」
フラット「…だから、お酒はダメって言ったでしょ!」
フォール「冗談だ。これ、ジンジャーエール」
フラット「紛らわしいことしないでよ!もう…⁉︎これ…!」
フォール「ハッハハ!引っかかってやんの!それ、俺がすり替えた
日本酒だぞ〜?」
フラット「ゲホ、ゴホッ!あっぶな!飲みかけた!フォール⁉︎」
フォール「さーてと…勝負といこうか?」
フラット「もちろん!望み通りに罰ゲームでもしようじゃん⁉︎」
クレア「あ〜あ、これは、反省書かもな」
フラット「第一審判『零』術・『凍瀧之結界』!」
フォール「なんの!第一暗黒『木喰』術・『無数葉之影踏』!」
2人のケンカが空で繰り広げられた。ぶつかり合う神力が
綺麗な光を作り出していく。
ノール「本当、1番浮かれてるのってフラットじゃん」
キルユウ「今来たぞ〜!」
バルシア「営業の方もひと段落ついた!」
ノール「えっ、2人も来たの⁉︎流石に入りきらないな…」
ラルバ「それなら本官達のシート貸しますよ!」
デラガ「俺達も事件や事故がないか、私服警備員として来てるからな。
で?ここを取り締まってるのは…」
全員「フラットです」
デラガ「ったく、盛大にケンカしやがって。後で罰金だな」
ダンステード「おーい!わいらも来たで!」
ベングル「ようやく反省書終わった…」
グリオ「ベングルが1番多かったな」
ケーベス「コイツら、絶対明日に花見行くって言って、急に
効率が良くなって驚いた」
メダイ「そのおかげで私達も花見できるけどね」
コータス「いつ見ても、桜は綺麗だな」
タクマ「お、勢揃いじゃねぇか!」
ヒナ「こんなに揃ってると、ちょっとお邪魔かな?」
ゴン「そんなことないぞ!ほら、桜バックに写真撮るから
集まれ集まれ!」
ベスト「空の2人はどうするんだ?」
ゴン「ああいうのは、そろそろ降ってくるのがオチって決まってんだ。
その一瞬を切り取るぐらい、なんてことない」
ベスト「…そうだな。よし、集まれ!」
数分後―
ゴン「よし…じゃあ記念写真、今度こそいくぞ!」
全員「勝利のVサイン―!」
フラット「待て、フォール!」
フォール「やなこった!」
ゴン「よし、ここだ!」
その一瞬を見逃すことなく、ゴンはシャッターを押した。
クレア「イッテェ〜!お前ら、下向いて降りろよ!」
ノール「写真…またダメか」
ゴン「おい、こっち来てみな!写真の出来栄え、確認してくれ!」
スラリア「どうせまたブレて…あ!」
ケーベス「どれどれ?お…?おぉ⁉︎」
ゴン「完璧だろ?どうだ?」
ケーベス「スゲェ…これマジスゲェ!」
スター「ちょ、スターにも見せて!」
コータス「俺にも!」
エド「最初は俺っす!」
ノール「ちょっと、私も見たい!」
ゴン「ちょ、こら!そんな押すな!ちゃんと見せるって!あっ⁉︎」
全員がしつこく押して来たために、ゴンは写真を手から離してしまった。
風にたなびかれ、辿り着いた先は―
フラット「…ん?何これ…写真?」
フォール「ふぅん…いい感じじゃねぇか?」
フラット「これ…皆に送ろうよ!もちろん、デ・ロワーに
本物は保存して!」
全員「え〜っ⁉︎」
クレア「本物は俺のだ!」
スラリア「違う、あたしの!」
ノール「何言ってる、この桜を咲かせた私が貰う!」
スター「違うよ、スターのだよ!」
ケーベス「ありゃりゃ、しょうもないケンカになったな」
ラルバ「フラットさん、フォールさん。まずは罰金を」
フラット「あっ…そうだね」
フォール「…さらば!」
フラット「なっ、フォール⁉︎はいこれ!待て〜!」
デラガ「…あんなやつが東京を救ったなんて、信じられんな」
ダンステード「案外、世の中って変人が世界を変えるもんやで」
ケーベス「…説得力あるなぁ」
ダンステード「ちょ、どういう意味や⁉︎」
コータス「そのまんまだと思うけど?」
ダンステード「もう堪忍ならん!」
メダイ「怒るとまた反省書増えるよ?」
ダンステード「うっ…それは嫌やな」
フォール「ちょ、お前らどけって!」
3人に気付かなかったフォールが勢いよくぶつかった。
フォール「イッテテテ…」
フラット「はい、つっかまえた!」
ラルバ「…公務執行妨害で、罰金は五万オズです」
フォール「ノォォォ!」
全員「アハハハハ…!」
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