第27話 トキメキサマースプラッシュ! 1節 海底国ギヴァシュ、復興記念!
ジ・アフダン撮影控え室-
タクマ「じゃあお疲れ様~」
ヒナ「お先に失礼致します」
スタッフ「いやぁお疲れ様。あ、あとタクマさん宛にお手紙が
お届きですので、こちらです」
タクマ「あ、あぁ。ありがと・・・俺宛?ってガスペラス星の代表から⁉︎」
手紙[突然のお手紙で申し訳ありません。あなた様のおかげで
ガスペラス星は人気を高め、ようやくギヴァシュの復興が終了いたしました。
そのご連絡をさせていただくべく、お手紙を書かせてもらいました。
その感謝の気持ちを込めて、是非御友人方とご一緒にお立ち寄りください。
ギヴァシュに住んでいらした皆様も心よりお待ちしております。
ガスペラス星代表大臣、ミエラより]
タクマ「ニュースでも見たが、招待か・・・まあ帰ってみてぇのは
たしかだけど、時間がな・・・」
ヒナ「じゃあロケをしつつ、旅行しよ!それならどうかな?」
タクマ「いや、それはそれでいいんだが・・・旅行券の使い道がな」
ヒナ「だったらもう、いつも通り誘おうよ!」
タクマ「それしかないよな・・・しょうがね、連絡するか」
ウォッチフォンの通話モードを立ち上げて、タクマはいつも通りの相手に
電話をかけた。
タクマ「・・・あっ!そういやアイツ、今日大学だっけか!」
浅草大学-
「ピロロロ!ピロロロ!(着信音)」
フラット「うわわっ⁉︎」
ナックル「おい!切っとけっての!」
教授「いいから早く切りなさい。皆もマナーモードにしとかないと
フラット君みたいに赤っ恥かくからな~」
ナックル「ったく・・・誰からだったんだ?」
フラット「タクマ・・・今日は大学あるって伝えておいたんだけど・・・」
ナックル「アイツのことだしな、役に入って忘れてたんじゃないか?」
フラット「もう・・・」
昼下がり-
フラット「で?結局何の用事だったの?」
タクマ「いやぁ、ごめんな。実はガスペラス星に招待してやろうかなって
電話だったんだが、今考えてみりゃお前ら忙しいよな。だからやっぱ
他を当たるしかねぇかって思ってたんだ」
フラット「えっ、ガスペラス星・・・どこ?」
タクマ「聞いて驚くなよ?俺の故郷、ギヴァシュだ!」
ナックル「ギヴァシュ⁈ちょうどいいじゃねぇか!」
タクマ「?ちょうどいいって・・・あぁ、お前ら神獣とか魔獣を
追ってんだっけな。あそこに伝わる魔獣伝説は嘘っぽいが・・・
それでもか?」
フラット「一応ね。封じ込められた魔獣はあと6体。だから逆に
片っ端から調べ尽くすしかないからね」
タクマ「そういうことか。じゃあ来るんだな。後でそっちに
寄ってくからまたその時にな」
フラット「うん、また後で」
そこで通話は終了された。
ナックル「まっ、羽伸ばしにもなるだろ。にしてもガスペラス星となると
水着が欲しくなるな!」
フラット「ギヴァシュだから・・・海底国だけど?」
ナックル「お前知らねぇのか?ギヴァシュ近郊の海は宇宙一の技術力を持つ
ジャンゲル星によって作られた無重力装置と酸素製造装置で
飽きるまで遊べるんだぜ!」
フラット「えっ・・・海水浴し放題ってわけ⁈」
ナックル「そういうことだぜ!」
フラット「ぼ、僕はいいや、海水浴は・・・」
ナックル「何でだよ。そういやお前、昔っから水泳の授業は
とってなかったな。お前、まさかカナヅ-」
フラット「さぁてと!商店街で旅行キッドでも買いに行こっか!」
ナックル「わ、分かりやすいな相変わらず」
フラット「ほら、置いてっちゃうよ!」
ナックル「お、おう!」
商店街-
フラット「まずはホテルで泊まるし・・・これこれ!携帯用懐中電灯!」
ナックル「んなの欲しいか?」
フラット「何言ってんの、ギヴァシュの夜は蛍光灯だけだよ?
ほぼ真っ暗だから欲しいに決まってるでしょ!」
ナックル「そ、それもそうか・・・それより水着買おうぜ?」
フラット「僕は行かないし・・・そこはバトラーだけで買って」
ナックル「フフーン、お前も買いに行くぞ!」
フラット「ちょちょ⁉︎」
無理矢理にもナックルはフラットを連れて行った。その時-
スラリア「あれ?何してるの?」
クレア「お前らも買い物か?」
フラット「うん、あれ、その紙袋・・・」
スラリア「そうそう、ヒナちゃんから旅行のお誘いがあったから買っちゃった!
狙ってたんだよね、この水着と私服!」
クレア「俺もこの服狙ってたんだよな。給料日近いし奮発してきた!」
フラット「後払いでしょ?給料日まであと9日だから・・・利子で
千円以上かかるけど」
クレア「千円なら1時間とちょっと働けばすぐに貯まるだろ?」
スラリア「いや、クレアの仕事効率じゃ3時間は働かないと
通常手当は千円超えないと思うけど・・・」
ナックル「だよな?」
クレア「べ、別にいいだろ!どうせ特別手当とか緊急手当で
ほぼ稼いでんだし・・・」
フラット「仕事ができれば全然問題ないのに・・・」
スラリア「だよね。あっと、あたし達ご飯行くからそろそろ行かないと。
ごめんね、また明日」
フラット「うん、また明日」
クレア「まっ、普通に旅行は旅行で楽しもうや!じゃな!」
2人は仲良さそうに手を繋いでレストラン街の方に向かっていった。
フラット「じゃ、じゃあ僕も・・・」
ナックル「お前はこっちだ」
フラット「何で~!」
翌日、デ・ロワーファイター課オフィス-
ノール「その件なら私も聞いてる。特に予定もないし・・・明日でしょ?
全然大丈夫。それにここもお盆休みに入るわけだし」
フォール「ギヴァシュっていやあ、酒につまみが豊富なんだよな!
てことで俺は-」
フラット「フォール!」
フォール「へいへい、分かってますって。それより、あのお前が
海底国なぁ・・・大丈夫か?」
フラット「大丈夫・・・だよ、うん」
エド「フラットなんか海とかマズイんすか?」
フラット「い、いやそういうわけでもないんだけど・・・アハハ」
ペーター「まあ楽しみにしておくといいよ」
フラット「ちょっとペーターさん!」
ペーター「明日から慰安旅行なんだ、君達の仕事も残り少ないし、
東京の治安も四大やララクス・バッテンに任せてゆっくりしてくるといい。
あ、それと思った以上に旅行券があったから整備課の4人も
付き合うからよろしくね」
クレア「4人・・・⁈ってことは-」
「クレア様~!ご一緒されるんですよね!」
自動扉の向こうからおしとやかな声が響いた。
バジー「私、この時を待ち望んでいましたわ!海でクレア様と・・・!」
クレア「だぁぁ!鬱陶しい!ただでさえ暑いのにくっついてくんな!」
スラリア「あ、あはは・・・」
ノール「お前も慣れたな」
スラリア「慣れてはないけど・・・嫉妬はしないよ。前にも言ったけど
バジーってあたしとクレアが付き合ってるの知らないみたいだし」
ノール「教えてあげればいいのに」
スラリア「教えないよ。クレアがそろそろ・・・」
クレア「スラ!黙ってねぇで少しは助けろ!」
スラリア「ほらね!」
ノール「・・・お前って案外腹黒いんだな」
フラット「じゃあ僕は用事だけ済ませて帰ろっかな」
ナックル「用事?」
フラット「ちょっと四大に呼ばれてるんだよね・・・ハァ」
エド「珍しいっすね、ため息つくって」
フラット「いや、ベングルがワガママ言って聞かないからどうにかしてって
グリオから頼まれてね」
エド「あ~・・・それは嫌っすね」
ペーター「ちょうどいい。実は後もう一枚残ってたんだよね、旅行券。ベングルも誘ってくれていいよ」
フラット「えっ、でも治安維持は⁉︎」
ペーター「魂が溢れかえるお盆なんかに敵は動けないからね」
フラット「そういうことですか。じゃあベングルを誘うことにします・・・って、
四大の人達に恨まれますよ⁉︎」
ペーター「まあ、ワガママ言った罰にはもってこいじゃないか?」
フラット「本当、腹黒い」
ペーター「?今、何か言ったかい?」
フラット「「えっ、い、いやぁ!言うわけないですよ!」
あまりに綺麗な笑顔を見せたペーターにフラットは危険を感じて
すぐに誤魔化した。
ペーター「そう。ならいいんだよ」
フラット「ぼ、僕は四大の方に行ってますね。各自解散でお願い!」
そそくさとフラットはオフィスから出ていった。
スラリア「バジー、明日からはクレアと一緒にいられることだし
今日はこの辺でやめにしません?その、やっぱりこういう公共の場で
抱きつくのはちょっとモラル的にも・・・」
バジー「そ、そうですわね・・・失礼致しました」
クレア「ふぅ・・・サンキュー、スラ」
スラリア「ううん、じゃああたし達も帰ろっか。また明日ね」
クレア「おう、宇宙港でな!」
ノール「そういえばスターには連絡いってる?昨日と今日は
合宿でいなかったけど」
ペーター「メールで既に確認取れてるよ。今日の夕方には帰ってくることだし
クレアがスターの分の旅行キッドは買ってきてるって聞いてるから
何も心配はいらないよ」
ノール「そっか。クレアのことだし気にしなくても良かったか」
クレア「お?どういうことだ?」
ノール「別に?妹のためなら何でもするお前ならそういうとこにも
手は伸ばすかと思っただけ。まあ私も帰ろっと。家族で行けないのは
ショックだけど、まあいっか」
スラリア「そういえばフラットから聞いたけど、ノールはいいの?
帰郷しなくて」
ノール「・・・あっ」
スラリア「だよね。どうするの?」
ノール「・・・もう正月に行く。泳ぎたいもん!」
スラリア「だよね!」
ペーター「君達は元気だね」
クレア「お~い、先行っちまうぞ?」
スラリア「あ、今行く~!ノールも行こっ!」
ノール「うん、行く」
スラリアはノールの手を引いて走っていった。
ペーター「・・・あの子達がここにいる・・・まるで、俺達のように
仲睦まじく・・・な」
ペーターは胸ポケットに仕舞っていた一枚の写真を見ながらそう言った。
四大、秘密部屋-
フラット「いい?絶対に誘われたなんて言っちゃダメだよ!
自分のお金で買ったって言うんだよ?」
ベングル「マジでいいのか⁉︎」
フラット「一枚残ったからね。ただし、そう誤魔化してくれるならだけど」
ベングル「そんなの任せとけ!」
フラット「じゃあはい。なくさないでよ?」
ベングル「恩に切る!」
フラット「じゃあ僕もう行くから。あんまり困らせないでよ?
子供じゃないんだから」
ベングル「あぁ、分かった」
フラット「で・・・どうやってここから出るんだっけ?」
東京奪還作戦のためだけに作られた部屋だったために、フラットは
そこからの出方を忘れていた。
ベングル「そういう時は入ったとこが出口になってんだ。そうれ!」
男子トイレの個室の壁に繋がっているはずの扉をベングルは開けた。
しかし、そこは-
アスカ「?キャァァァァァァ⁉︎」
ベングル「えっ⁉︎」
フラット「あっちゃ・・・逆だったか・・・。ごめん、ベングル。
厄介ごとはごめんだから」
そう言ってフラットは扉を閉めて、ベングルを残していった。
ベングル「ちょっ、フラ・・・いや違うんだ!この裏には秘密の部屋があって
出口間違って-」
アスカ「言い訳はいいから・・・早く出てけ~!」
バッグの中にあったものを次から次へとベングルに投げつけていく。
ベングル「わわわわ!」
ベングルはそれらを避けつつ慌ててトイレから飛び出した。
フラット「大丈夫?」
ベングル「て、テメ・・・閉めやがって!」
フラット「ごめんごめん。でもワガママした罰じゃない?」
ベングル「ぐっ・・・そういうことか」
フラット「へへ、まさかこんな罰になるとは思ってもなかったけどね。
危なく僕まで巻き込まれるとこだったよ」
ベングル「甘やかした罰じゃないか?」
フラット「そんな罰だったらいつも喰らってるよ、アッハハ!」
ベングル「甘やかしてる自覚はあるんだな」
フラット「まあ、そりゃあね。でも僕なりにだから。皆が皆、
甘いとは思ってないと思うよ」
ベングル「?」
フラット「僕の甘えは他人から見たら甘い。でも甘やかされてる方からしたら
全然甘くないと思うよ」
ベングル「そう・・・か?」
フラット「そうだよ。それでいい、そうであってほしいかな」
ベングル「でもたしかにそれが一番だよな。旅行券のこと、必ず何か
お返ししてやるからよ、それでおあいこってことで頼むな!」
フラット「うん、じゃあまた明日、宇宙港でね。僕も帰るよ」
ベングル「おう!」
フラットは手を振って、出口の方に歩いて向かった。
翌日-
フラット「お、全員来てる・・・わけないか。1人は相変わらずだね」
クレア「だな。アイツは本当に自由人で困るな」
ノール「いっそのこと置いてけば?」
ベングル「それで良いんじゃねぇか?」
スラリア「迷惑してるのはたしかだしね、置いてっちゃおっか」
「おいおい、さっきから何言ってんだ、俺ならここにいるぞ」
ナックル「⁉︎フォール、いるのか⁈」
エド「でも・・・どこっすか?」
宇宙港の辺りを見渡しても、フォールらしき姿はどこにも見当たらなかった。
「ここだっての。気づかねぇか?」
フラット「うわっ、誰⁈」
サングラスに黒いハット帽子を被り、その上赤と白のラガーシャツに
青いジーパンといつものフォールの私服ではないオシャレな格好で
宇宙港に来ていた。
フラット「えっ、フォール・・・だよね?いつもの格好じゃないの?」
フォール「旅行だしちょうどいいだろ。たまにはオシャレぐらいしたって
変じゃないだろ?」
ノール「むしろ着れればなんでも良いって言いそうなお前がオシャレしてるから
全員驚いてるって分からないの?」
フォール「なっ、今までそんな風に見てたのか⁉︎」
スラリア「正直言うと・・・そうだね」
ケーベス「おっと、ファイター課は全員集合してる感じか」
コータス「俺達まで誘ってくれてありがとな」
「フラット、久しぶり!」
フラット「あっ、メダイ!どこ行ってたの⁈」
メダイ・ドランコ。異世界線から流れついた龍神の末裔である。
ケーベスとコータスの2人と共にヴァイスとして生きていた。
メダイ「火星でね、新しく指輪タイプのフォンツール、リングフォンを
制作してて。その企画を担当してたんだ。凄いんだよこれ!」
メダイは全員に見えるように試作品のリングフォンを掲げた。
コータス「ただ単にファイター素質のあるやつを発見できるだけだろ」
メダイ「コータス!言わないでよ!」
フォール「つまりはファイター企業向けってわけか」
ケーベス「そりゃ火星だしな」
火星はファイターにとって必要不可欠な惑星である。なぜなら、ファイターに
必要な道具や試験、免許などを作っているところだからだ。
メダイ「それより、バジーを見てないけど・・・」
クレア「その方が俺的には助かるがな」
バジー「申し訳ありませーん!今参りましたわ~!」
入り口の方からバジーの声が響いた。
クレア「げっ⁉︎フラット、お前の荷物も預けに行ってやる。早く渡せ!」
フラット「う、うん!」
クレア「よっと!重っ・・・じゃあ行ってるかんな!後は任せた!」
荷物輸送センターへとクレアは逃げるように慌てて向かっていった。
バジー「あら?クレア様は・・・」
スラリア「荷物輸送セ-」
フラット「間違えて1個前の宇宙船に乗っちゃったって連絡きましたよ」
バジー「あら・・・そうですか」
ナックル「そうみたいだぜ。だから向こうに着くまでは辛抱するしかないな」
エド「まあ行けば会えるっすからとりあえず荷物預けに行くっすよ」
ケーベス「あ、俺達は自分達の宇宙船で行くからここで一旦別れだ。
また後でな」
フラット「うん、分かった」
ノール「でも大変そう。マニュアルでしょ?」
コータス「マニュアルでもないさ。半分はオートだし」
メダイ「オート機能はコータスが後付けしたんだよね」
スター「えっ、凄い!」
コータス「これぐらい当然だ」
ベングル「そんだけスゲェなら大学はもう決まってるだろ?」
コータス「あぁ。土星まで行こうかなってな」
スター「えっ、土星?」
クレア「そういや、スターは天王星だっけな」
スター「うん・・・薬剤師の資格取るにも・・・」
フラット「じゃあ再来年からはデ・ロワーにも来れないね」
スター「うん・・・」
スラリア「あ、スターちゃん・・・そうだよね」
コータスとの距離が遠のくことを、スターは初めて知った。物理において
最も発展した惑星土星。隣の惑星とはいえども、いつも会えるわけでもなく
仲の悪い土星と天王星には互いを繋ぐ宇宙港などもない。つまりは、
会えなくなってしまう。
フラット「と、とりあえず荷物預けに行こ?あと十分で発車時刻だし」
フォール「だな。そいじゃ、男組で荷物運んじまうから女組の荷物
預けるから寄越してくれ」
メダイ「えぇ~、フォール君に貸すの?だったらフラットに
持ってもらう。はい」
フラット「だってさ。フォールは信頼ないね、やっぱ」
フォール「うっせぇ!」
スラリア「じゃあ・・・なっくん、いい?」
ナックル「任せとけ!」
ノール「あ、じゃあ私は・・・エド、お願い」
エド「め、珍しいっすね、ノールが俺にこういうの頼むの・・・」
ノール「仕方ないでしょ、キルユウもバルシアもいないし」
スター「あ、じゃあ・・・・コータス、お願い」
コータス「お、おう?どうした、顔真っ赤だぞ。風邪ひいてんじゃないか?」
スター「だ、大丈夫!じゃあスター先に行ってる!」
スラリア「ちょ⁉︎ごめん、あたしが行くから」
今にも泣きそうな顔で宇宙船ステーションの方に行ったスターをスラリアは
全速力で追いかけた。
「やれやれ、賑やかだな」
「でも、それが皆さんらしいけど!」
フラット「あ、やっと来た!」
タクマ「すまんすまん。ていうか、お前らが遅いんだ。俺達は
発車時刻より30分前には着いてたぞ」
フラット「早っ⁉︎流石有名俳優・・・人間性がいいね」
ヒナ「違う違う、私が引っ張り出しただけだよ。タクマはいっつもコーデ気にして
遅刻ギリギリになるから」
エド「ヒナ姫の掲示板に書いてあったこと、本当だったんすか⁉︎」
ヒナ「えぇ~!掲示板見てくれてるの⁈ありがと~!」
エド「毎晩見てるっす!」
ヒナ「最近始めたばかりだから知り合いがいるとは思ってなかった!嬉しい!」
タクマ「はいはい、そういう話は宇宙船でしてくれ。もう時間やばいからな?」
ベングル「そうだな。じゃあナックラー、久々に競争しないか?」
ナックル「お、いいぜ!じゃあ、1、2の・・・3!」
ベングル「ウォォォォォ!」
フラット「あ!」
ナックル「どわぁ⁉︎」
ベングル「ぐえ⁉︎」
全速力で走る2人を誰かが止めた。
「相変わらずだな、お前らは」
フラット「えっ・・・うっそぉ⁉︎」
ヒナ「ダバ君!」
ダバンゴ「ダァラその呼び方はやめろと言ってるだろ!ったく・・・」
タクマ「何でまたお前が?」
ダバンゴ「バグ星からの乗り換えだ。バグ星とガスペラス星は
逆方向だろ」
タクマ「あ、そうだっけな。お前も俺と同じギヴァシュ出身か」
ノール「普通忘れるか?」
フラット「って、やっば!残り7分⁉︎急がないと!」
ベングル「ナックラー!競争仕切り直しだ!」
ダバンゴ「何で俺がお前らを止めたか分かってねぇな・・・」
フラット「2人とも、危ないから追いかけっこは宇宙船でやって」
ヒナ「いやダメだよ⁉︎」
タクマ「アッハハ、フラットらしいな」
フラット「だから今は急いで荷物預けるよ」
少し呆れたような声でフラットはそういった。しかし-
ベングル「預けるなら競争だ!」
ナックル「よしきた!」
フラット「・・・・・・こんの・・・バカ共ォ!」
いよいよフラットの堪忍袋の尾が切れて、怒声だけで2人の腰を抜かせた。
フラット「よし、じゃあ預けに行こっか」
ノール「・・・怖っ」
タクマ「あんなフラットの顔、見たことねぇな」
ヒナ「怒ることがないからね・・・ハハ」
宇宙船-
フラット「ハァ~!やっと乗れた!」
ケーベス「あぁ、ギリギリだったな」
ダバンゴ「ったく、俺様まで・・・」
タクマ「お前は元からギリギリだっただろうが」
ヒナ「だよね。でも本当はタクマ、嬉しいくせに」
タクマ「なっ、そんなことねぇよ」
ヒナ「えぇ~?ダバ君いなくなって泣いてたのは誰だったかな?」
タクマ「だ、黙れ!」
ダバンゴ「ほ~う、可愛いやつだなお前」
タクマ「ダァ~!もう俺はモール街行ってる!」
ヒナ「あっ、待ってよ~!」
ヒナは照れ臭そうな顔をして去っていったタクマを追いかけていく。
ベングル「今来たぞ・・・って何してんだ?」
ダバンゴ「アイツらは何も変わってねぇな。ちょっと羨ましいぜ」
フラット「ダバンゴ・・・」
ダバンゴ「ファイターでなくなっちまうと、こんなにも俺様って
弱虫だったんだな」
ベングル「何言ってんだ、誰もお前を強いなんか思ってねぇぞ」
ダバンゴ「ベングル、それはどういうことだ⁉︎」
ベングル「俺だってよ、四大・炎の長でこそあるが、別に格段強いって
わけじゃねぇ。強さだったらナックラーがずば抜けて1番だ。
でもよ、お前にしかないものがあるだろ?」
ダバンゴ「俺様にしかねぇもの・・・」
見回りロボ「お客様、旅行券をお見せください」
フラット「あ、えっと・・・はい」
ベングル「ここにあるぞ」
ダバンゴ「俺様のは・・・っと、そうだ、ウォッチフォンの中だっけな。よっと」
見回りロボ「確認できました、お手数おかけいたしました」
フラット「じゃあ僕達もどっか行こっか!」
ベングル「だな!ダバンゴ、久々に一緒に楽しもう!な!」
ニッとベングルは大きな笑顔をダバンゴに見せた。
ダバンゴ「・・・本当に距離感のねぇやつだな。言われなくても
そうするつもりだ」
フラット「まずはどこ行く?」
ベングル「そうだな、朝食食いたい」
ダバンゴ「安直だな。まあなら俺様も同じか。腹減ったしよ」
フラット「オッケー。レストラン街はこっちだね」
宇宙船は航路に沿ってまっすぐガスペラス星に向かっていく。
この先に待ち受ける喜びと哀しみを知らずに。ただ希望と未来を
箱舟は乗せて流れていく。
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