第26話 最終節 動き始めた運命
?「もう・・・終わりにしよう」
ユーリック「終わり・・・?認めない!あたしを封じ込めて
幸せに笑うコイツらを人形にするまでは!」
?「あなたはあたしで、あたしはあなた・・・それでいい。
だからこうやってこの夢の世界にこれた」
その夢の中に急に現れたのはフラット達も知らない金髪の女性だった。
?「スター・・・ごめんね、折角あなたがくれた自由だったけど・・・
もうダメみたい。あたしの運命、もうここまでみたいだから」
クレア「おい待て待て、お前・・・ユーリックなのか?」
?「そう、これがあたしの本当の体。家族と最後まで一緒にいれて
あたしは幸せだよ。なんて、強がりかな。でもこんな事件を引き起こしたのは
スターを守ろうとしたあたしのせい。もう終わらせなきゃ」
フラット「待って!まだ終わりじゃない!」
ユーリック「もう無理なの。あたしを受け入れてくれたあの体も・・・
もう使えないから。シャンには悪いけど・・・あたしも分かってた。
だからこれでいい。クレア、スターのことを心配するのもいいけど
程々にしてあげなさいよ」
ユーリック(負)「バカにするな!」
ユーリック「っ!」
クレア「させねぇ!」
遂に本性をあらわし、アリジゴクと化した負のユーリックは
触手を四方八方へ伸ばした。
クレア「んなことは・・・分かってるっての!でもスターは俺にとって
かけがえのない家族だ!それはもちろん、ユーリック!お前もだ!
だから勝手に消えるなんて、許さねぇかんな!」
ユーリック「クレア・・・前はあたしを家族じゃないって言ってたくせに。
でもありがとう。あたしも全力でいかせてもらう!」
ラルバ「待ってください!今のユーリックさんの神力は!」
ユーリック「そう、もう残ってない。でもね、あるものをペーターさんから
さっき貰ったから大丈夫!いくよ、天命石!」
ユーリックが掲げた七色の石が強い光を放った。
フラット「うっ⁉︎何⁈」
ユーリック(負)「なっ、あたしの力が⁉︎まだ・・・まだ終らせやしない!
やっと掴めた・・・自由なんだぁぁぁ!」
ユーリック「な、なんて力⁉︎」
ラルバ「任せてください!第一発砲『炎』術・『流星弾』!」
1発の銃弾が破裂して流星群のように辺りに落ちては爆発を起こした。
クレア「ちょちょ、おい!こっちも危ねぇ!」
ビリー「なら俺が!第一闘志『木喰』術・『プラントストーム』!」
木葉が風の中を荒れ狂っては銃弾を防いでいく。
ビリー「まだまだ!第二闘志『光』術・『ブライトレイン』!」
暗い夢の世界を光の雨が照らしていく。その全貌が明らかになり-
フラット「嘘でしょ・・・⁉︎」
なんとそこには無残な姿となった死体の山があちらこちらにあった。
エド「前よりも酷い有様っすね・・・」
ラルバ「うっ・・・!」
ビリー「こんなにも沢山の人が・・・!絶対に終わらせます!俺達警察は
治安を維持するために生まれた組織!あくまで公務でも人々のためでもある!
最終闘志『情熱』術・『制裁‼︎正義之鉄槌』!」
アリジゴク目掛けてビリーは人工神器を振り翳した。
ユーリック(負)「オロカモノメ!クラってやる!」
ラルバ「させません!標準・・・よし!催涙弾!」
ラルバは見事にアリジゴクの目に催涙弾を撃ち込んだ。
ユーリック(負)「ガァァっ⁉︎」
ビリー「いっけぇぇぇ!」
ユーリック「ギィィィ・・・!いだ・・・い・・・あたしの顔が・・・
こんな・・・こんなはずじゃ・・・!折角あの人がくれたこの体を・・・
こんな形に・・・キャッハ!キャッハハハハ!あなた達、こんなことしたら
あの人を怒らせちゃうよ?キャッハハハハ!キャッハ-」
ユーリック「今しかない!天命石!」
ユーリック(負)「あの人に・・・栄光あれ~!」
その絶叫を残して、天命石の中へと負に堕ちたユーリックは吸い込まれた。
ユーリック「これで・・・終わり。結局・・・叶わなかったなぁ」
ユーリックの体はだんだんと光へ変わっていく。
スター「お姉ちゃん・・・?」
ユーリック「ふふっ、何泣きそうな顔してんの。もともとスターに嫌な思いを
させた姉なのに、いなくなるのが嫌なの?」
スター「・・・だって!家族だもん!兄ちゃんがいて、お姉ちゃんがいて、
皆がいてスターがいる!もっと・・・一緒にいたいよ!」
ユーリック「スター・・・」
クレア「俺も正直・・・スターと同じだ。お前がいなけりゃスターは
1人寂しいまま、あんな地下牢で死んでいっただけだ。その礼ができりゃ
何でもいい!」
ユーリック「クレアまで・・・でも、あたしはこの世に体を持つことなく
死んでいった。そのまま魂だけ残ったあたしを、スターは見つけてくれた。
そして・・・魔女と呼ばれた」
53年前-
スター「・・・?ねぇお姉ちゃん、なにしてるの?」
ユーリック「えっ?」
スター「スター、あなた会ったことない・・・もしかしてお引越ししてきたの?
どこから来たの、教えて!」
ユーリック「どこからって・・・え~っと・・・」
母「スター、そろそろ晩御飯の時間だから帰ってきなさい」
スター「あっ、はーい!じゃあまたね!」
ユーリック「またって・・・変な子。あたしが見えるなんて・・・
でもさっきの人、どこか懐かしく感じたな・・・ちょっと行ってみよう!」
どうせスターにしか自分のことは見えないという事実を逆手に取り、
ユーリックはスターの入っていった家に忍び込んだ。
スターの家-
ユーリック(案外普通の家か)
スター「ねぇママ!早く食べようよ~!」
母「ダメよ。この子に手を合わせてあげなさい」
スター「う~!でも本当なの?このお姉さんがスターのお姉ちゃんって」
ユーリック「・・・⁈」
ユーリックは偶然、スターとスターの母が仏壇に手を合わせているのを
見てしまった。その仏壇に書いてあったのは、ユーリックの名前だった。
スター「さっきのお姉ちゃんもユーリックって名前だって風が教えてくれたよ?
さっき木の下で会ったお姉ちゃん」
母「いやぁね、風は悪戯好きなの。会えるわけないでしょ」
スター「嘘じゃないもん!」
母「はいはい、じゃあご飯にしましょう」
ユーリック「スターは覚えてないかもね。昔のことだから」
スター「うん・・・でもお姉ちゃんとはまだ一緒にいたい!」
「ったく、ワガママだなぁ。俺が来るハメになっちまったじゃねぇか」
ラルバ「あっ!あなたは!」
ビリー「東京奪還時に使われた武器の思案者である永月さん!」
ケーベス「警察の方にはそうやって伝わってんのか。助かった~」
スラリア「でも、ケーベスが来たってことは⁈」
ケーベス「俺の能力に頼ってくれるのは嬉しいけどよ。いいか?
一生に一回だけの術だ。それを踏まえた上で願ってくれよ」
スター「そんなの言われなくたって・・・スターはお姉ちゃんと
一緒にいたい!別れたくない!」
ユーリック「・・・この夢を終わらせて、幸せになりたい」
ケーベス「よし、分かった。人工神業・願望叶実」
ユーリック「・・・ありがとう、みんな。これで夢も終わるね。
神業・目覚・・・クレア、これ!」
先程負に堕ちたユーリックを閉じ込めた天命石を、ユーリックは
クレアに投げた。
クレア「うぉっ⁉︎ちょ、これ-」
戸惑うクレアと共に全員は夢の世界から消えていった。
作戦司令室-
バルシア「全員のバイタル、回復!」
ペーター「作戦は成功か」
シャン「・・・ユーリック・・・」
医療ポッドに中に幸せそうな寝顔を浮かべている体をシャンは
切なそうに見つめた。
ナックル「ん・・・覚めたか」
ポッドの中にいた全員の意識が戻った。
フラット「作戦終了かな、全員大丈夫?」
バルシア「今医療ポッド解錠します!」
バルシアは医療ポッドの解錠ボタンを押し、カバーを開けた。
ラルバ「はぁ~!疲れました・・・」
ビリー「つ、疲れました・・・というか・・・怖かった~!」
ラルバ「うっわ⁉︎」
ビリーはいきなりラルバに抱きついた。
フラット「あちゃ、戻っちゃったか」
エド「さっきまでカッコよかったっすのに」
スター「良かったぁ、戻ってきてる!」
クレア「・・・これ・・・」
エド「ん・・・さっきの石っすね・・・」
ケーベス「ふわぁ~、いきなりの指示は勘弁だ。おかげで少し休みたくなった。
屋上行ってるぞ」
ペーター「あぁ・・・辛かったら今日はもう上がっていいよ」
ケーベス「・・・分かった」
スター「あれ?お姉ちゃんまだ起きてないの?」
クレア「・・・そういうことか。スター、ユーリックはもう-」
シャン「起きないの。もうずっと、長い長い眠りについた」
スター「えっ?」
その言葉に、スターの瞳が一瞬揺れた。でも-
スター「そんなわけない!だってスター願ったもん!お姉ちゃんと
一緒にいたいって、別れたくないって!」
クレア「その後にユーリックはなんて願った?」
スターの手に天命石を握らせて、クレアはそう聞いた。
スター「この夢を終わらせて、幸せになりたいって・・・」
シャン「・・・そっか。でも、それでいいのかもね」
冷たくなった誰かの頬を、シャンは優しく撫でた。
シャン「ごめんね・・・辛かったよね・・・私のワガママのために・・・!」
フラット「姉ちゃん・・・でも、ユーリックはどこに?」
ペーター「その石の中だよ。それは天命石。中に神力と化した
神や天使が宿るもの。ユーリックは残った神力のほとんどを
その中に入れて君達の所へ向かった・・・そして、その中に負のユーリックを
封じ込めた。これは正と負の力を持っている。でもそのうちに
浄化されて正に戻る。だから・・・スター、君が持つといい。
もともと君とユーリックは一緒だったんだからね」
スター「・・・もう・・・会えないの?」
エド「そうっすね・・・」
ナックル「そうだ、もう会えねぇ」
スター「だよね・・・嫌だよぉ・・・!」
スターの涙がユーリックが宿る天命石に溢れた。その瞬間、
眩い光を放った。
スター「!」
クレア「・・・目には見えなくても、そこにユーリックはいるんだ。
だからさ、寂しくはないだろ?俺に心配されたくないなら、泣かないでくれ。
俺は家族に泣いて欲しくないんだ」
スター「・・・うん!もう大丈夫。今のスターは、1人じゃないもん!
笑ってくれる皆がいる、一緒にご飯を食べれる時間がある、
同じ時間を同じ気持ちで過ごせる瞬間がある!もうあの時とは違う。
だから・・・スターは泣かない!」
その声に応えるかのように、天命石は2回瞬いた。それはまるで、
頑張れと背中を押すように。
ペーター「・・・ようやく1個目か。でもまだ足りない」
フラット「1個目って?」
ペーター「あぁ、あと7つ。ナックラーもそろそろ目覚めるかもしれないからね。
この世界にはない、新たな神力が」
エド「でもナックラーさんは天使長と言われたミカエルの末裔っすよ⁉︎
もとからその力は持ってるっすし・・・」
クレア「あぁ、もし残り75%の血が人間のものだったらな」
バルシア「とりあえず戻りましょう!俺もマジな方で仕事が!」
ペーター「あ、あぁ。ごめんね、足止めしちゃって。特別手当を
後で渡すからオフィスに来てくれ」
バルシア「えっ・・・やったァァァァ!」
フラット「良かったじゃん!」
バルシア「兄貴様様です!」
ラルバ「じゃあ俺達も署に戻りますね。報告書の提出もありますし」
ビリー「ま、待ってくださいよ~!」
ラルバの後についていきビリーも作戦司令室から出て行った。
バルシア「兄貴、
クレア「っとにフラットは懐かれるな」
フラット「じゃあ一旦、オフィスに戻ろっか」
ファイター課オフィス-
スラリア「本当にね!でも・・・その石の中の魂はどうなっちゃうんですか?」
ペーター「時が来れば昇天して冥界に行くよ。閉じ込められ続けるとかは
流石にないよ」
スラリア「なら良かった・・・」
フラット「でも、天命石って神魔石みたいな力があるんですか?」
ペーター「いや、神力の強化はできないよ。ただし、神器の強化ができる」
フォール「というか、フラットは知ってるだろ?俺と同じでペーターの力で
時超えしてんだからよ。天命石はそん時からあるぞ」
フラット「その時はフォールも子供だったでしょうが!」
ペーター「アッハハ、まあ知らないと思うよ。天命石は神器の力を
更に高める。そして空になった天命石は神器の材料となる。その君達の
神器だって天命石がもとなんだよ」
スラリア「えぇ⁉︎でもあたしの神器にある弦は⁉︎」
クレア「あれはお前が張り替えてるだろ。ただハープの材料が
天命石ってだけでよ。俺だって弓の弦は張り替えてるしよ」
スラリア「あ、そうだっけ」
クレア「でもよ、俺とスターのこと、忘れてなかったんだな。
やっぱハッタリだったか」
フォール「ハッタリじゃないんだなそれが。スラリアが覚えてたんだ」
スター「本当⁈嬉しい!」
スラリア「あ、いや・・・クレアのことを思い出したんだ。だって実際、
クレアといた今までが夢だったら、全てが幻になっちゃうもん」
クレア「スラ・・・ありがとな」
ペーター「ところで、まだノールは帰らないのか?」
フラット「迎えに行ってきます。早く帰るようにメールも送ったのに
返信がないってことは・・・多分、いや絶対あそこだから」
エド「あそこ・・・?ってどこっすか?」
フラット「辺りが騒がしすぎて電話の音に気づかない場所っていえば?」
スラリア「遊園地・・・とか?」
フラット「そう、遊園地。だからちょっと行ってくる。この辺で
遊園地といったらあそこしかないしね」
ナックル「じゃあ折角だしついでに飯もそこで食おうぜ!予約時間も
結局過ぎちまったしよ」
フラット「あぁ~・・・食事代は払っておくよ」
スター「皆で払お?フラットだけの責任じゃないじゃん」
フラット「あ、ありがとう。それより・・・あの人って誰だったんだろ・・・
ユーリックが封じることを優先しちゃって分からずじまいだったけど」
ペーター「あぁ、それなら分かったよ。魔粉を蘇らせた人物も、
ユーリックをアリジゴクにしたやつもね」
フラット「えっ、本当ですか⁉︎」
ペーター「あぁ、フラット君やフォール、シャンにとっては
驚きかもしれないけどね」
フォール「だ、誰なんだ⁉︎」
ペーター「タケル・・・いや、アザゼルだよ」
タケルはフラットの古くからの親友だが、前世であるアザゼルの魂と
無理矢理同化され、東京を闇に沈ませた1人である。
フラット「タケルが⁉︎何で⁉︎」
ペーター「騙されてるだけだけどね。今どこにいるかもわかっている。
ただ、君達の力じゃ決してそこには行けないよ」
スラリア「それって・・・地獄ですか⁉︎」
ペーター「その通り、地獄だよ」
フラット「でもタケルなら魔粉だって分かるはずじゃ-」
ペーター「彼は魔者だよ?俺達みたいな天使とは違うんだ。あって当然のものが
まさか事件と関わってるなんて思わないだろ?」
スラリア「例えば感染病にはこんな意外なものが対策になった、
みたいに灯台下暗しってパターン?」
ペーター「そういうことだ。それに地獄にいるせいで連絡も取れない。
直接行こうにもアイン達がいないと地獄には行くことすら叶わない。
現状はどうすることもできないってわけだ」
クレア「つまりは旅人達の退治してきた神獣や魔獣を味方にするのが
優先事項ってわけか。で?結局ヌエのやつはどうなったんだ?」
ペーター「アイツならユーリックがカウンセリングをして
普通に戻ってきてる感じだ。最初は結構手こずってたみたいだけどね」
ナックル「だろうな。エドみたいに言葉届かずだったんだろ」
エド「ちょ・・・たしかにあの時の俺はそんな感じっすけど、ナックラーさんには
言われたくないっす!」
フォール「でもよ、これで俺達のゴールはとりあえず決まったんだろ?
じゃあよ、そろそろ飯行こうじゃねぇの。腹減って死にそうだ」
スター「うん、スターもぺこぺこ~!」
フラット「じゃあキャンセル料は全員で出すとして、まずは
ノールを迎えに-」
ノール「ただいま~、ごめん遅れちゃった」
フラット「あっ、自分から来た。散々メールとか電話とかしたけど
気づかなかった?」
ノール「それが私のネックフォン壊れたから修理しに行ってて、
キルユウとご飯食べながら全員のこと待ってたけど来なかったから
キャンセル料も払って帰ってきたんだけど・・・ごめん」
フラット「あ~・・・ならいいよ。でもご飯食べちゃったのか~・・・
じゃあノールは残って仕事する?」
ノール「それでいいならそうしてるよ。何も協力できなかったから
その罰ってことで。ありがとう」
フラット「全然。ネックフォンも直って良かったね。じゃあ皆、
ノール待たせるのもあれだしなるべく早く帰ってこよっか!」
スター「ダメ~!皆で行くの!だって仲間はずれは良くないもん!」
フラット「えっ、でも・・・」
クレア「あのなぁ、たしかに仲間はずれは良くないことだが、
食事すましたノールが行っても何も食べれないだろ?結局仲間はずれになっちまう」
エド「でも、だからと言って1人でオフィスに残すわけにも
いかないっすよね。ペーターさんも食事来るっすよね?」
ペーター「いや、食堂で済ます気だったけど・・・」
ナックル「たまには俺達とついあってくれても良いじゃねぇか?
たまには労ってやりてぇしな!」
ペーター「ナックラーがそう言うなら仕方ないな」
ノール「じゃあ私も行くけどちょっと待って。仕事のデータ、
ネックフォンに同期しちゃうから・・・よし、できた、行けるよ」
スラリア「あぁ!ノール、服新しい!」
ノール「気づいた?キルユウに選んでもらったんだよ。前より
全然センス良くなってて」
フラット「じゃあお礼しないとね」
ナックル「行くんじゃなかったのか?」
フラット「あぁ、ごめんごめん。行くよ!」
いつものバイキング-
フラット「今日は・・・花の惑星・カモーラルのフルコースか・・・
あんまり好きじゃないな・・・」
ナックル「そういやそうだったな。お前、香辛料とかも嫌いだしな」
フラット「匂いがキツイのは苦手なんだよね。今日は普通のでいいや」
クレア「お前は勿体無いよなぁ。紅茶も苦手だろ?」
フラット「コーヒーはいけるんだけどね。とりあえずはこんなもんかな」
スラリア「えぇ~、カモーラルフード美味しいのに・・・」
スター「ね?フラットってバカ舌だよね」
エド「本当っすよね。あんな辛いの食って低血圧なのも不思議なくらいっすもん」
ナックル「なんかの病気かって疑っちまうよな?」
フラット「全員して失礼な。それよりフォールが心配だよ。ほらあれ」
フォール「テキーラもう一杯!」
ノール「アイツは罰の意味を分かってないな・・・」
全員がフォールを見て呆れたような顔をした。
スラリア「でも・・・こんな平和が続くといいな」
クレア「そうも言ってられないけどな。神獣と魔獣がこの地球にだって
いることは間違いねぇ。片っ端から調べなきゃいけなくなったな」
フラット「まぁなんとかなる!そう信じよ!」
エド「フラットのその言葉を聞くとかえって安心するっすね」
ナックル「本当にな!」
全員「あっははははははは・・・」
その夜-
スター「・・・ここなら見えるかな」
生物学の教科書と参考書、資料集、それと標本を持ってスターは
田んぼの広がる田園地帯に来ていた。
スター「今までの調査結果が正しいなら・・・ここになら生息してるはず!
ちょうど今日ぐらい・・・お願い!」
すると真っ暗闇で何も見えない田んぼに、緑の蛍光色があちらこちらに
見え始めた。
スター「やっぱり!ここだ!ゲンジホタル!」
今までスターは生物学部の研究で絶滅危惧種となっているゲンジホタルの
生息地を調べていた。そしてようやく見つけることができた。
しかしそれは自分の功績のためでなく、少し前にユーリックが話していた
とある思い出話を再現するためであった。
2月のこと-
ユーリック「スター覚えてるかな?あたしと会ってすぐにホタルが
たっくさん田んぼから溢れてきたあの景色。あの幻想的な景色を
今のスターともう一回見たいなぁって」
スター「・・・お姉ちゃん、無理だった・・・ここじゃ・・・そんな数のホタル、
いないよ・・・!」
ユーリック「知ってる?成虫のホタルは幼虫の間に摂った栄養だけでしか
生きてけないんだって。だから綺麗な光で輝いて飛べるのは
ほんの僅かな一生の間だけ。あたしはホタルみたいになりたい。
輝いて、短い一生の間に恋をして、人を笑顔にする・・・そんな風に
生きられたら幸せなんだろうね」
スター「・・・何も・・・恋してないくせに!」
その声と共に強く天命石が光を放った。スターに喝を入れるかのように。
スター「お姉ちゃん・・・そっか・・・愛してたんだね・・・そう・・・ならお姉ちゃんは
ホタルみたいに綺麗だよ!」
そう言い切った途端、目の前の田んぼの水が黄緑色に染まっていた。
スター「えっ・・・!」
それは木々も電柱もないからこその光景だった。満月の光に包まれて
ホタル達が群がり、綺麗な蛍光色を決まりのない舞で漂わせていた。
スター「こんなに・・・お姉ちゃん、これだよね!」
スターは天命石を掲げてその光景を見せた。天命石はただただ
その光を反射していた。
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