第26話 2節 愛しているから
事件の間、クレア達の寮-
クレア「ふぅ、とりあえず片付けも済んだし俺もレストランに
向かうとすっか!」
「ちょっといい?」
クレア「?なんだ、ユーリックか。どうかしたか?俺今から
フラット達と昼飯行くから休んどいた方がいいぞ」
ユーリック「・・・ねぇ、クレアはあたしの弟でしょ?」
クレア「あ、あぁ?どうしたんだよ、なんか口調変だぞ?」
ユーリック「だったらあたしの言うことは絶対に従わなくちゃダメだよね?」
クレア「お、おい・・・⁉︎これ・・・魔力⁉︎そういうことか、お前、
ユーリックの体を乗っ取ったってわけか⁉︎」
クレア「察しがいいのは相変わらずあたしを怒らせるんだね・・・
だからあたしはアンタら兄妹が憎い!あたしを封じ込めてアンタらだけ
自由なんて許さない!」
クレア「なっ、体が⁉︎」
ユーリック「キャハッ、キャッハハハハ!壊れろ、全部壊れろ!
あたしの欲望を枯らすまで、死にたくても死ねない恐怖を・・・キャッハハハハ!」
部屋に笑い声を残して、ユーリックはクレアを連れて夢の中へと
消えていった。
事件から10分後の路地裏-
死体のあった場所にはブルーテントが張られ、フラット達は
事情聴取を受けていた。
ラルバ「つまりはユーリックさんらしい笑い声を聞いて駆けつけたら
あの女性の死体があったんですね?」
ナックル「そうだ。しかも、フラットが体を支えてる最中に
急に頭が割れてな」
バルシア「だから兄貴の手を拭かせたんですけど・・・ダメでしたか?」
ラルバ「できればそのままにしてもらいたかったですけど・・・
時間的に大丈夫でしょう。特に支障はないですし、ルミノール反応が
出たので証明できましたから」
フラット「ふぅ・・・」
エド「大丈夫っすか?顔色悪いっすよ?」
フラット「ご、ごめん・・・あんなの見たらちょっと・・・」
ラルバ「目の前で見たら・・・キツイですからね・・・ビリー、今の情報は
書いてありますか?」
ビリー「は、はい!あと死亡推定時刻はフラットさん達の発見時と
ほぼ同じです!」
ラルバ「書いてあるならいいです。それより、ユーリックさんには
確実なアリバイがあるんですよ。今までの殺人事件においてですけど・・・」
フラット「・・・仮説はあるけど・・・これが立証されたらユーリックは
何も悪くないってことになっちゃうんだよね・・・」
ビリー「どういうことですか⁉︎」
フラット「ユーリックの負だけが動いてるって考えたら・・・どう?」
エド「負だけって・・・そんなのできるんすか⁉︎」
フラット「できるよ。ユーリックみたいな独特の魂ならね」
バルシア「兄貴~、俺もう帰っちゃダメですか?仕事が・・・」
フラット「ごめん!あともうちょっとだけだから!僕の考えを
言わせてもらっていいかな?」
バルシア「あ、ごめんなさい」
ラルバ「で、特別な魂って・・・?」
フラット「元々ユーリックはスターを可哀想だと思って監禁から
解放した。村で死んだ女性の体を借りてね。そこからスターの体と
ユーリックの体を、魂を交換して入れ替わった。たった一つ、
妹をあんな目に遭わせた復讐のために。でもそれはユーリックからしたら
愛情でもあった。スターを自由にしたいって願う・・・だから人を
殺すことに抵抗したくてもしちゃいけない。その葛藤でユーリックは
負に堕ちた。そして、サイコパスとなって人を殺し続け、やがてスターと
同化した。ここまでがユーリックの起こした最初の事件の流れだよ」
エド「そうっすね、そんな感じっす」
ナックル「でも、それがどうしたんだよ?」
フラット「でも、スター自体は正の心を持つ天使。だから負に堕ちたユーリックを
浄化してきた。でも再び外に出て新たな体を手に入れた。その時、
東京はどうなってた?」
ラルバ「!まさか・・・溢れていた魔力を浴びたってことですか⁉︎」
フラット「そういうこと。折角浄化されていたユーリックの負が
魔力によって蘇ったってことだよ」
バルシア「・・・つまり、この事件を起こしてるのはユーリックであって
ユーリックでない・・・」
フラット「そうとも言えないけどね。今までの事件とは明らかに
違う点がある。ラルバなら分かるよね」
ラルバ「はい。初めて損傷のある被害者が出ました」
フラット「これから言えることは、負のユーリックは神力を
持ち始めてる。他でもないユーリックからね」
ナックル「てことは、ユーリックの気分が優れねぇってのは⁈」
エド「神力を吸収されてるからっすか⁉︎」
フラット「そういうこと。あの体を動かしてるのはユーリックの
神力だけ。それが吸収され尽くしたら・・・負のユーリックが
今のユーリックを喰らい尽くして、完全にユーリックになる」
ラルバ「・・・でも何でそんな真似を?普通に体を乗っ取った方が
早いと思いますけど・・・」
フラット「そこまでは分からないけど・・・でも、今のユーリックが
危険な状態とだけは言える。実は・・・僕も知ってたんだ。いつかこうなるって」
バルシア「えぇっ⁉︎兄貴超能力者だったんですか⁉︎」
フラット「違う違う。スラリアから聞いてたんだ。ユーリックに起きた
些細な異変だけど・・・」
それは先月、ヌエを倒した後のこと-
スラリア「フラット!ちょっといい?」
小さな声でフラットにスラリアはそう尋ねた。
フラット「今?大丈夫だけど・・・?」
スラリア「ちょっとこっち!」
フラット「ちょ⁉︎」
スラリアはフラットの腕を引いて宿の裏に回った。
フラット「どうしたの?」
スラリア「あのね・・・ユーリックのことなんだけど・・・気になることがあって。
実はね、ユーリックの余命が見えてるんだ」
フラット「えっ、だったら直接本人に・・・」
スラリア「違うの!普通じゃないの!それが・・・うっすらと0って
ずーっと見えてるの!最初は体が誰かの死体だからかなって
思ってたけど・・・よくよく考えてみたらそんなわけないって分かったんだ。
だってあたしの目に見える余命は魂のものだから。それが0なわけがない!
だからフラットに教えときたくて・・・」
フラット「分かった、警戒しとくよ」
エド「そういうことだったんすね・・・」
ナックル「つまりはその時から既に神力を吸収されていたんだな」
ラルバ「そうと決まれば早速ユーリックさんの所に行きましょう!」
フラット「だから!ユーリックの所に行っても何にもない-」
「あるぞ。この標本にな」
フラット「えっ?」
その声に全員が息を呑んだ。その声は紛れもなく-
ユーリック「いやぁ、こうして会うのはお久しぶりかな?キャハッ!
やっぱりバレちゃったかぁ・・・あたしが目を覚ましちゃったこと♪」
ラルバ「自分から姿を現すとは・・・いい度胸ですね!速攻逮捕です!」
ユーリック「キャハハハハ!お馬鹿さんだねぇ、あたしは魂だけの存在、
捕まえられやしないんだよ!」
ナックル「だったら尚更だ!何で姿を見せた⁉︎」
ユーリック「いやぁ、あたしの夢に招待できる可哀想なメリーちゃんを
探しててね?でもあなた達は違う。あたしと遊ぶ資格なし。
というわけで、アディオス。あ、それと・・・あたしの家族は
あたしのものだから、あなた達になんかにはあげないよ?」
不気味な笑顔を最後に、ユーリックは闇に溶けていった。
フラット「なっ・・・そうだ、アイツ・・・あれ・・・誰だ・・・?金髪?だっけ・・・
あれ、何だこれ⁉︎」
エド「俺も同じっす・・・思い出せないっす!」
ナックル「くっそ、ダメだ!思い出そうとすればするほど・・・薄れていっちまう!」
まるでそれは夢のように、2人の記憶が全員の中から薄れていく。
それでも忘れちゃいけないという思いが頭を巡っていく。しかしそれも
だんだんと薄れていく。その2人は、この世界に存在していないと
その場にいた全員が思い込んでいく。
ナックル「・・・ていうか、今・・・何が起こったんだ?」
フラット「そういえば・・・え~っと・・・女性の死体を見つけて
通報して・・・ユーリックの疑惑を調べに行こうとしたラルバを
止めたんだ、そうそう」
全員の記憶の中には既にユーリックと話したという記憶すらも
残っていなかった。
それはその場にいた6人だけでなく-
ファイター課オフィス-
フォール「今帰ったぞ~」
ペーター「あぁ、お帰り。そこ空席だっけ?」
フォール「そうじゃなかったか?」
ペーターもフォールもすっかり忘れていた。
夢世界-
クレア「ん・・・⁉︎ここは⁉︎」
あまりに冷たい床を触って自分が今どこにいるかを把握しようと
クレアは試みた。そしてその声で-
スター「う、ううん・・・兄ちゃん?」
クレア「スター!どこだ⁉︎」
スター「後ろだよ、兄ちゃんのすぐ後ろ」
クレア「スター・・・良かった!」
スター「ちょ、そんな手で触らないで!」
クレア「えっ?」
自分の手をクレアは確認した。その手は血で真っ赤に染まっていた。
クレア「な・・・まさかこの床の赤いのって・・・⁉︎」
ユーリック「そう、あたしがぶちまけた紅茶。ほら、飲みなさい。
あたしが特別に淹れてあげたのよ?」
湯気が立つティーカップ。しかしその匂いは鉄のようなものだった。
スター「いや・・・いらない!」
ユーリック「そう、姉のあたしに逆らうって言うのね・・・なら・・・」
壁に刺さっていた一本のナイフをユーリックは手に取り、スターの背中に
強く突き刺した。
スター「キャァァァァァァ!」
クレア「スター⁉︎」
ユーリック「痛いでしょう?でも残念、ここは夢の中。死ぬことも出来ず、
ただ永遠の苦痛に悩み続ける・・・そして負に満ちたこの空間じゃ、
神力も扱えない。キャハッ!あなた達2人はあたしのマリオネット、
もう逃がさないよ?それに・・・アンタらの存在も夢のようなものになった。
もう既にアンタらが友達とか呼んでるやつらの記憶の中にはアンタらは
消え去ってるかもね、キャハッ、キャッハハハハ!」
クレア「そんなはずねぇ!」
ユーリック「?」
クレア「アイツらは・・・俺達のことを忘れるはずねぇよ!負に染まったお前には
分からねぇかもしれねぇけどな!」
ユーリック「・・・やかましい犬みたいに吠えていろ。どうせここには
誰も来られない。来たところであたしがたっぷりとおもてなしを
させてもらうから安心なさい」
クレア「その言葉が虚勢になるのを楽しみにしてるぞ」
ユーリック「・・・ふん!」
ファイター課オフィス-
スラリア「ただいま~・・・あれ、ここ空席だっけ・・・?」
手伝いを終えてスラリアもオフィスに戻った。そして空席と変わっていた
クレアの席を見下ろして違和感を覚えた。
スラリア「・・・違う、絶対違う!いた!ここに・・・あたしの忘れちゃいけない人・・・
あたしを、愛してくれた人!夢なんかじゃない・・・!」
一生懸命にその名前を思い出そうと記憶という記憶を全て思い出そうとするスラリア。
そして一瞬だけ、その笑顔が顔を覗かせた。そして自分がたしかに口ずさんだ、
かけがえのないたった一つの名前を。
スラリア「・・・クレア!」
ペーター「クレア・・・!そうだ、クレアは⁈」
フォール「クレア・・・そういや見てねぇな。というか・・・何で俺達
アイツのこと忘れてたんだ?」
スラリア「・・・もしかしてみんなも⁈」
全員の記憶の中からクレアという記憶が消えているという事実に
勘づき、スラリアはネックフォンでクレアの名前、特徴を全て
メールに書き留め、一斉送信した。
フラット「メール・・・?」
エド「俺もっす・・・」
ナックル「俺にもだ!」
バルシア「俺にも来た!」
4人はスラリアのメールを確認し、そして-
フラット「そうだ・・・クレア!」
エド「そうっすよ、クレア忘れてたっす!」
ナックル「忘れるわけにはいかねぇのに・・・くそっ!」
バルシア「まんまと敵の罠に引っかかった感じですね・・・」
ラルバ「クレアさんがユーリックさんの手中に・・・助けに行きましょう!」
フラット「残念だけど・・・ラルバはこれ以上関わらない方がいいよ。
危険すぎる。部外者があのユーリックに近づくのは」
ラルバ「危険がなんですか⁉︎我々ファイター支援課は、危険を顧みずに
ファイターの手助けをすることこそ本望!危険な任務から手を引くなんて
愚行は禁じ手です!」
ナックル「だってよ。こりゃテコでも動きそうにねぇな」
フラット「・・・分かったよ。でもビリーはどうする気?」
ビリー「・・・やらせてください!俺はやれる!」
先程までのオドオドしていたビリーが、見違えるほど胸を張り、
頼もしそうな声色でそう答えた。
エド「えっ・・・なんか人変わってないっすか?」
ラルバ「これですよこれ!警察学校のデータのビリーです!」
フラット「本気モードってやつかな?まあ・・・危険と承知で
やるって言うなら止めないよ。じゃあ・・・行くよ。ただ、夢の世界に行くには
仮死状態にならないとダメだし、その上ユーリックの神力が
残ってないと夢の世界に行けたとしてもユーリックの居場所までは
辿り着けない」
ナックル「だな。こっちの俺はそうやってお前らの所に行ったんだろ?」
エド「そうっすよ!無茶して死にかけたんすからね?」
バルシア「あの、ユーリックの神力なら吸収できてますけど・・・」
フラット「へ⁉︎」
バルシア「いやだってバジーの発明品も取り扱ってますし・・・あっても不思議じゃ
ないと思うけど・・・」
フラット「そっか!じゃあすぐできるね!」
エド「でもまたあんな世界に行くんすか?いやまあ・・・それしかないとは
分かってるっすけど・・・」
ナックル「まあ嫌だよな。俺だってできりゃやめてぇよ」
ラルバ「ど、どんな世界なんですか?」
フラット「見れば分かるよ。まあ危ない場所、じゃあないかな」
ラルバ「ゴクリ・・・」
息を呑む程の恐怖を覚えたラルバ。しかし新人の手前、怖いとは
口にすることなく-
ラルバ「大丈夫です、連れていってください!」
フラット「う、うん・・・?あ、ちょっと待って、姉ちゃんにも
連絡しないと・・・」
念のためにフラットはララクス・バッテンに連絡を入れた。
ララクス・バッテン-
シャン「電話?もしもし、こちらララクス・バッテン、ファイター課」
フラット「もしもし⁉︎ユーリックが事件を-」
シャン「はぁ?今ユーリックなら目の前で寝てるけど。それがどうかした?」
フラット「そのシャンにはもう、神力はないの!」
シャン「・・・知ってる。分かってたから」
フラット「えっ?」
シャン「いつか、ユーリックはこうなるって・・・分かってた。
たとえ負の力が満ちていない今、体を与えてもね・・・どうせこうなってた。
ごめんね、私が提案したことのせいで・・・」
フラット「だったら・・・だったら何で提案したのさ⁉︎分かってて
こんなことになってるなら、姉ちゃんが悪いんだよ⁈分かってるの⁉︎」
シャン「分かってるに決まってるでしょ!でも・・・この体を
動かして欲しかった・・・私の願いだったんだ・・・この世界に飛ばされて
私を初めて受け入れてくれたこの体を・・・ただ・・・!」
フラット「姉ちゃん・・・でもそれとこれとは別だよ!たとえどんな事情が
あったとしても、法の神の力を継ぐ僕達がそんなことしたら
法そのものを侮辱してるってことだからね!」
シャン「私は家柄よりも-」
フラット「姉ちゃん!そのせいで何人の被害者が出てると思ってるの?
姉ちゃんなら分かると思ってたけど・・・やっぱり変わらないんだね。
自分優先なところは」
シャン「!」
フラット「もういい。姉ちゃんのワガママには付き合ってられない。
ペーターさんからは許すように言われてたけど、もう限界!姉ちゃんとは
絶縁させてもらうから!アカデミーからも独立させてもらいます!」
シャン「ちょ、ちょっとまっ-」
「ピッ(通話終了音)」
フラットはシャンとの絶縁宣言とデ・ロワーの独立宣言を言い放ち、
通信を終えた。
フラット「・・・僕は法の天使であり続ける。それが僕の生き方だから・・・
行くよ。悪夢だっていつかは覚めるものだから!」
バルシア「じゃあデ・ロワーの地下へ行きしょう!」
ラルバ「ビリー、初の大手柄を取るよう頑張りますよ!」
ビリー「はい、ラルバ巡査!」
ナックル「俺達をピエロみたいに操ってくれたこと、後悔させてやるぜ!」
エド「絶対に救い出してみせるっす!」
6人はパトカーに乗り込み、急いでデ・ロワーに向かった。
デ・ロワー作戦司令室-
スラリア「来た!」
フラット「フォールもいたんだ!助かるよ」
フォール「珍しくノールがいないけどな」
ナックル「アイツ、デートでメールにも気づいてねぇんだろ」
エド「フラットからの罰ゲーム確定っすね・・・」
ラルバ「それよりも、早くその神力でユーリックさんの世界に!」
フラット「待って。今回の作戦にあたるのはスラリア、エド、
ラルバ、ビリー、そして僕の5人。バトラーとフォールは危険を感じたら
作戦に入るように!」
ナックル「つまりは待機ってわけか」
フォール「まあ、全員が一気に行くよりはいいだろ。俺は賛成だ」
フラット「じゃあ、各自医療ポッドに」
作戦にあたる5人は頭に仮死状態にする装置を付けて医療ポッドに入った。
バルシア「よし、電力上昇、神力注入!」
夢世界-
ユーリック「♪かごめかごめ・・・
キャハッ、もう飽きちゃったなぁ。もういいや、君はいらない。
じゃあ・・・そうだなぁ、抉り出し、かな?」
男性の中からズルリ、ズルリといとも容易く内臓を抉り出していく。
一瞬でこときれた男性の口からはただ止まぬことなく血が溢れていく。
ユーリック「キャハッ、キャッハハハハ!あま~いチョコレートの出来上がり!
さぁ次はどんなお菓子を作ろうかな?」
怯える人々を見つめながらユーリックはその内臓を口に運ぶ。
クレア「くっそ、神力が使えれば!」
スター「痛いよ・・・!」
クレア「スター・・・スラならこんな状況、一気に変えれるのに!」
ユーリック「まだ助けを請うとは面白いね・・・無駄だと言ったはずだよ?
神力もロクに扱えないこの場所で戦うなんて、できるわけがないんだから!」
「じゃあ魔力を持つあたしなら、奏でられるってわけね。魔奏・ポワゾンメロディ!」
辺りに溢れた負のエネルギーが一気にその音で一箇所に集まった。
ユーリック「⁉︎」
スラリア「あたしの音は、魔力にも神力にもなれる!あたしの前世が
魔者だったおかげでね!フラット、今がチャンスだよ!」
フラット「分かってるよ!神業・仲裁!」
負のエネルギーがフラットの神力で一気に中和された。しかしあまりに
強すぎた負の力に、フラットの神力は底を尽きた。
フラット「ちょっ・・・ごめ・・・もう無理・・・」
エド「大丈夫っすよ!あとは指揮を頼むっす!」
スラリア「ここにいる人達からしか支援力は貰えないけど・・・
あたしが何とかするから!」
クレア「俺もやってやる!スター、ちょっと待っててくれよ。
これが終わったらすぐに病院連れて行ってやるからな」
ラルバ「怪我してるんですか⁉︎」
フラット「今なら・・・大丈夫!」
クレア「そうか、スター、今なら治せるぞ!」
スター「うっ・・・神業・・・!癒風!」
苦痛に耐えてスターは神力を引き出した。
ユーリック「貴様ら・・・あたしの欲望を次々と!
気に入らない、気にイラない、気にイラナイ、キニイラナイ!
キャハッ、キャッハハハハ、キャッハッ!そんなにあたしと遊びたいなら
遊んであげる。永遠の、覚めない悪夢の中でね!」
フラット「来るよ!」
クレア「どうせアイツはアリジゴクだ、いつも通り戦えば勝機はある!
さぁ、勝利に導け、『突風之正翼』!」
スラリア「迷える#命__みこと__#を導け、『死導之負翼』!」
ラルバ「本官も本気でいかせてもらいます!『発砲之人工正翼』!」
ビリー「燃える闘志、俺はめげない!やり通すまで!『闘志之人工正翼』!」
エド「俺が本当の夢ってやつを教えてやるっすよ!『正義之人工正翼』!」
ユーリック「キャハハ!本気になってくれるんだ~!あたしの友達は
みーんな何にも言わないからつまんなかったんだ!あなた達となら
仲良く遊べそう!『悪夢之負翼』!さぁ、アソビマショ!」
夢の世界が一気にねじれた。
ユーリック「キャッハハハハ!ズルなんて言わせない!この世界は
あたしのものだから!キャハハ!みんな消えるの、孤独なんて
消えちゃえばいいの!」
クレア「孤独だと⁉︎」
ユーリック「一人ぼっちで寂しいならみんなで死んじゃえば
寂しくないでしょ?」
スラリア「違う!」
ユーリック「?」
スラリア「一人ぼっちで寂しいと思うのは、誰だってそう!でもね、
それで死のうとした時、必ず誰かが手を伸ばしてくれてる!
あたしだって・・・逃げようとした。でもこの手を掴んでくれた
フラットがいて、あたしに生きる希望をくれたクレアや皆がいてくれる!
だからあたしはここにいる!」
ユーリック「・・・戯言を。まずは貴方からあたしの人形にしてあげる!
第一悪夢『闇之』術・『血染之恋愛物語』!」
血のような紅色のハートがスラリアを押さえ込んだ。
クレア「スラ⁉︎待ってろ、神業・突風!」
しかしそのハートは飛ばされるどころかより強くスラリアを圧迫していく。
ユーリック「キャッハハハハ!あなた達の誰かを思い続ける心、
それが大切な人を人形にしていく!キャッハハハハ!」
「神業・夢終!」
その声と共に夢の世界が溶けていった。
ユーリック「なっ・・・⁉︎」
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