飛翔編
第21話 春になったぞ!全員集合‼︎
東京奪還の翌年の春ー
フラット「ただいま!今戻ったよ~!」
エド「大学も終わったっすよ~!」
クレア「お、やっと来たか」
ペーター「やっとって、まだ午後の2時だよ?」
クレア「俺のとってはやっとだ!」
フラット「本当にせっかちだよね」
ここはデ・ロワー。脅威から人々を守るための
ファイター雇用オフィスである。他にも学校や企業などの
施設も取り揃えた一つのビルである。
クレア「にしても、やることねぇなぁ。最近はほとんど
雑務ばっかで、ファイターらしいこと何もしてねぇぞ」
ペーター「平和になったってことでいいじゃないか。何か不満でもあるのかい?」
クレア「暇なんだ、それぐらい分かれよ」
ペーター「課長の俺にそんな口聞けるのはナックラーぐらいだったぞ」
クレア「はん、すっとこどっこいと同類なのは屈辱だな」
フラット「それよりノールから連絡あった?」
ペーター「あぁ、俺の方には来たよ。今日の午後には帰れそうだって。
お土産楽しみにしとけってさ」
エド「盛岡の土産っすか・・・楽しみっすね!」
フラット「あとはスラリアだけか。クレアも月に行けば良かったのに」
クレア「俺はもう帰らねぇって決めたんだ。それでいいだろ?」
エド「なんか複雑な言い方っすね・・・」
クレア「まっ、これでノールが来ればイベントも出来るだろ。
ちょっとは楽しいことが増えるってこったな」
相変わらずの口調でクレアは席から立った。
フラット「どこ行くの?」
クレア「ちょっとトイレだ。すぐ戻る」
そう言って自動扉が開いた途端ー
「わっ⁉︎」
クレア「うわぁ!」
エド「えっ、誰っすか?」
聞き覚えのない声にエドがそう言った。
ノール「誰って失礼な!クレアが急に飛び出してきて驚いただけだけど⁉︎」
フラット「い、いや別にノールの口からあんな女の子っぽい
声が出て驚いたわけじゃー」
ノール「やっぱりそうだった!折角のお土産は没収!」
フラット「えぇっ⁉︎」
ペーター「ハッハハ、お帰り、ノール。盛岡はどうだった?」
ノール「疲れただけ。駅着いたらすぐー」
昨年11月、盛岡ー
ノール「やっと着いた・・・?」
盛岡に着いたリニアモーターカーから降りたノールを待っていたのは
カメラを持った盛岡の新聞記者に色紙を持った大勢の人、そしてノールが
知る人までが群衆を作っていた。
ノール「もうずっと取材やらサインやらで、休暇をとってるとは
到底思えないぐらい疲れて・・・もう当分盛岡はいい」
ペーター「そういうことならデ・ロワーでもあったよ」
エド「あったっすね。デ・ロワーが建て直されてすぐにテレビ局から
出演オファーだったり取材だったりと忙しかったすよね」
フラット「そんな中でも平気で酒飲んでた主犯は、もうどうかしてるよ」
ノール「そういえば・・・フォール、たしかにいない」
フラット「もういいよ。どうせ呼びに行っても意味ないから」
「それは失礼だな」
その声がフラットの真後ろから聞こえた。
フラット「うわぁっ⁉︎フォール⁉︎」
フォール「俺は言われた通りに買い出し行ってたんだが?何が
呼びに行っても意味がない、だよ。そんなに俺って信用ないか?」
エド「100人中100人がそう答えるっすよ」
ペーター「反省しているようにも見えないし・・・やっぱり罰は
必要だったんじゃないかい?」
フラット「今からでもやります?」
フォール「わ、分かった!俺が悪かった!」
フラット「はぁ・・・で、ノール。お土産って?」
ノール「前沢牛を50パック」
エド「えっ⁉︎」
フォール「おいおい、よく買えたな」
ノール「あ、これ処分品。せいぜい今週しかもたないからって
知り合いの精肉屋から貰っただけ」
フラット「じゃあ、これだけあるわけだしすき焼きでも作る?」
フォール「おいおい、酒のつまみには牛すじだろ」
エド「これには牛すじに当たる部位がないっすけど」
ノール「そこはすぐに売り切れるから、もう処分品もなかった」
フォール「ちぇ、それじゃ意味がねぇんだよな」
ペーター「ワガママばっか言ってないで少しは喜んでもいいんじゃないか?
滅多に前沢牛をこんなに食べる機会はないんだし」
クレア「にしても、いい赤みだな。これなら焼肉の方がより美味く
食えるんじゃねぇか?」
ノール「えっ・・・私、焼肉は・・・ごめん」
フラット「まあ、ノールも女の子だもんね、脂っこいのは嫌いなのも
当然っちゃ当然だよ」
ノール「もってどういう意味⁈」
フラット「あ、気づいちゃったか~」
ノール「フラット!今日という今日は許さない!」
ペーター「それで神業を使うようなら、俺が許さないぞ、破壊神のノール」
ノール「分かってる、ただの脅し文句だ」
ペーター「とりあえず点呼をとるぞ。風神、クレアラント・ゴールド」
クレア「ん!」
ペーター「ヒーロー、エド・リック・ティガ!」
エド「はいっす!」
ペーター「邪神、フォール!」
フォール「おうよ!」
ペーター「破壊神、ノール・タール!」
ノール「さっき呼んだだろうに」
ペーター「最後に、隊長、法神フラット・クラリオ!」
フラット「はい!」
ペーター「今このオフィスにいるのは以上この5人だな」
エド「でも何でまたいきなり点呼なんて始めたんすか?」
ペーター「アカデミーからの指示でね。最近、ファイター企業に
ファイターの変装をして悪巧みする連中が現れたみたいで、
そのための点呼を必ず行うように言われたわけさ」
フラット「その事件なら知ってます!最近だとジ・アフダンの
方でも起きましたよね?」
ペーター「おっ、流石はタクマ君と仲がいいだけあって情報が
早いね。その通り、渋谷でも起こったんだ」
クレア「まさか、ここに来るってわけねぇよな?」
ペーター「その可能性がないとも言い切れないからこうやって点呼を
とっているんじゃないか」
ノール「で、今その可能性があるのはスラリアとスターってわけ。
まあ、あの2人になりすますのは無理があるだろ。特にスターは」
フラット「そうかも。あんなワガママな子はスター以外にー」
「誰がワガママだって⁉︎」
フラット「うわっ⁉︎い、いつから帰ってたの?」
スター「さっきだよ!みんなが真面目そうな話してるからゆっくりここに
入ってきたの!なんか悪い⁉︎」
クレア「おいおい、それでスターのふりしてる気か?悪いが・・・
全然似てねぇよ!その面見せやがれ!神業・突風!」
スターに向かってクレアは術を仕掛けた。その瞬間、群がる#蜻蛉__かげろう__#が
一気に別れるように、スターの体が消えてしまった。
クレア「なっ・・・どうなってやがる⁉︎」
フラット「消えた・・・?」
ノール「消えたわけじゃなさそう。あれを見ればわかる」
そう言うノールが指差していたのは黄色く染まった空だった。
それは人工アリジゴクが現れたサインである。
フラット「じゃあ・・・あれは!」
エド「そういうことっすね、あれは人工アリジゴクっす!」
ペーター「そういえば、魔族騒ぎですっかり忘れてたな」
ノール「まだ片付けないといけないこと、残ってたな」
フラット「まあ、魔魂石があればー」
ペーター「魔魂石はもう使えないよ。あれは魔力が地上に溢れることで
ようやく力を発揮する石だ」
フラット「あぁ~・・・そうですか」
と、少し残念そうなフラットだったがー
ピロロン!ピロロン!
という着信音が彼を驚かせた。
フォール「俺、ちっと便所行ってるぞ」
フラット「ビックリした~!ヒナちゃん?でもバグ星に帰るって
前言ってたはずだけど・・・」
不思議に思いながら着信に応答した。やはり立体画像には
ヒナが映っていた。しかし背景には見慣れた、“浅草宇宙ステーション”と
書かれた看板がたっていた。
フラット「ヒナちゃん⁉︎今もしかして、地球にいるの⁉︎」
ヒナ「ピンポーン!さっすがフラット、大正解!」
フラット「でも、バグ星に帰るって!」
ヒナ「あれね、タクマと考えたフラットへのドッキリだよぉ~!
あれぐらいの嘘に引っかかったフラットが東京を救ったなんて、
今でも信じられないよ」
フラット「ヒナちゃん、それは酷いよ?」
ヒナ「だって、デ・ロワーのみんなじゃ、冗談が通じないと思って」
フラット「まあ・・・スラリアの冗談につきあってればね」
ヒナ「あ、ちょうどそのスラちゃんに会って一緒にいるから、
電話代わる?」
フラット「あ、じゃあこっちも代わるよ。クレア~、ちょっと電話」
そう言ってフラットはウォッチフォンをクレアの方に向けた。
立体画像もちょうどスラリアを映していた。
クレア「スラリア⁉︎おいそこ、浅草宇宙ステーションじゃねぇか⁈
帰ってくるのは明後日のはずだろ⁉︎」
スラリア「予定より早く帰れたからね。月のお土産も買ってきたから
後で分けるね。あとさ・・・何か気づかない?」
クレア「何かって・・・あ!」
スラリア「何⁈」
クレア「髪伸ばした!違うか?」
スラリア「それもあるけど!もう一個!」
クレア「ん~・・・コーデ?」
スラリア「違う!もう、ネックフォンをクレアとお揃いにしたの!
何で分かんないかなぁ?」
クレア「んなの分かるか!それに俺はもうネックフォンじゃねぇし。
この前壊しちまって、しょうがねぇからリングフォンに変えたんだ」
スラリア「えぇ~、折角の新品なのに・・・まぁいいか。それじゃ、
あたしもそっち向かうね。ヒナちゃん、ありがと」
ヒナ「はいはーい!それじゃ、私ももう話ないから切っちゃうね。
また暇があれば遊び行くから!まったねー!」
相変わらずのアイドルとしての明るい振る舞いと共に、ヒナは
通信を終えた。
クレア「ん、あんがとよ、フラット」
フラット「まっ、2人は付き合ってるからね~」
エド「お熱いっすね~!」
クレア「お前ら、からかってるだろ⁉︎」
ノール「まあ、からかうと思う。クレアとスラリアは、ある意味で
お似合いだと思うし」
クレア「どういう意味だ!」
ペーター「まあまあ、ケンカしないで」
フラット「それに、これでファイター課も全員集まったわけだし、
明日には花見でもしよっか!」
エド「今夜は牛肉パーティっすよね!」
ノール「2日間はお祭り騒ぎか、ハメ外しにはうってつけかも」
クレア「そうと決まれば、早速中庭の飾り付けだな!」
エド「もう午後3時過ぎっすよ?夜には間に合わないっす」
ペーター「キャンプキットがあれば大丈夫そうかい?」
フラット「あと、クッキングキットですね。流石に全部を焼肉で
済ませるにはもったいないですし」
ペーター「分かった、ちょっと倉庫から持ってくるよ」
ノール「じゃあ私はキルユウとバルシアも呼んでくるか」
フラット「黒狼と黒豹なら肉は大好きだよね。でも営業課の方は
暇なのかな?やっと得意先の企業も建て直しが終わったばっかで
忙しそうだけど・・・」
ペーター「大丈夫、社長の話だと営業課は特に忙しくないみたいだよ。
今は整備課が1番忙しいらしいけど」
ノール「じゃあ、ケーベス達は呼べないってこと」
ペーター「そうだね、まだ復興作業が残ってるみたいだし、
悪いけど俺達だけでやろうか」
フラット「そうですね。よし、スターが帰ってきたら準備しよっか」
フォール「今戻ったぞ・・・?何だ?」
フラット「スターが帰ってきたら、今夜の牛肉パーティの準備を
始めようって話になったから」
フォール「で、結局何を作るんだ?」
フラット「焼肉とカレー・・・ビーフシチューかなぁ」
ノール「じゃあ私はしぐれ煮でも作ろっと」
クレア「なら俺はスターと肉じゃがでも」
料理の名前が一気に飛び交う中でー
「やっと終わった~・・・いる~?」
疲れきった声色が入り口の方から聞こえた。
フラット「あ、帰ってきた」
クレア「今度は本物っぽいな」
スター「ちょっと、本物って何?ていうかもう疲れたからシャワー室、
借りるね。あと、さっきスラリアと会ったよ。じゃあ」
それだけ言うと、キーボードの入った楽器ケースを少し乱暴に
机に置いてさっさとシャワー室に向かっていった。
フラット「・・・久々の高校で、久々の吹奏楽だもんね、疲れるよ、
うんうん、分かる」
クレア「お前は何部だったんだ、高校の時」
フラット「僕は軽音部。バトラーと同じだったよ」
「ヘェ~、軽音部だったんだ!」
ハキハキとした声がオフィスに響いた。
クレア「本当に帰ってこれたのか!てっきりいつものジョークだとばかり
思ってたわ!お帰り!」
スラリア「じゃあ早速お土産。冷凍コーラス」
クレア「ウォイ⁉︎コーラスは俺、苦手なんだぞ⁉︎」
スラリア「アハハハ!こっちがジョークだよ?」
フラット「スラリア、夜にノールが持ってきた牛肉でパーティするけど
大丈夫?疲れてるならー」
スラリア「牛肉⁉︎食べたい食べたい!最近ずっと食べてなかったから
焼肉したい!それと全然疲れてない!」
フラット「そ、そっか。じゃあいっか。なら準備始めよっか!」
中庭ー
フラット「じゃあ早速ー」
「ワンワン!」
1匹の黒犬がフラットめがけて一直線に駆けていった。
フラット「うわっ!ハッハハ、今日も元気そうだね、スピカ。
ヨシヨシ、でも今は準備があるからね、ハウス!」
スピカ「クゥン・・・」
指示には従うものの、寂しそうな顔して時折振り返っていた。
フラット「もう、しょうがない。ごめん、僕ちょっとスピカと
遊んでるから準備は任せてもいい?」
クレア「なら俺も!」
フラット「まあ、不器用なクレアに任せるのはあれだし、いいよ。
おいで、スピカ!」
スピカ「ワウ!」
一気に嬉しそうな顔で腕を広げるフラットにスピカは飛び込んだ。
フラット「グッドボーイ!ごめんね、じゃあ任せる」
ノール「イベント準備に比べたら全然マシだから」
スラリア「普通にやっちゃうから任せてもらっていいよ」
エド「よいしょっと・・・道具はこれで全部っすか?」
フォール「そうだな、フラットが言ってたのはこれで全部だ」
スター「ねぇ、スターもやんなきゃダメ?」
フラット「いや、疲れてるなら寝てても良かったのに」
スター「だって今寝ちゃったら夜に眠れないもん」
「おろ?何してんだ?」
まるで今まで眠っていたような声が聞こえた。
スター「コータス⁉︎今日、学校休んでたじゃん!」
コータス「あんなのズル休みに決まってんだろ・・・ふわぁ~・・・
科学も数学もない火曜の授業に出る気はねぇっての」
スター「赤点になっても知らないからね。折角半年で高校昇格試験で
合格できたのもったいないよ?」
コータス「俺は理系にしか興味ねぇし、歴史なんか学ばなくても
俺はずっと見てきてるしな」
ノール「私達は準備やろうか」
エド「そうっすね、夫婦漫才なんて古臭いっすもん」
フォール「たしかここにキャンプキットだったな」
スターとコータスの会話を無視するように、全員は自分の仕事に
つき、進め始めた。
一方その頃、異世界線にてー
元・独裁フラット「ふぅ、世界の管理って案外疲れるんだな・・・?
なんだ、この反応・・・」
管理者の力を奪った元独裁フラットは、フラット達のいる世界から
異様な反応を見つけた。
元・独裁フラット「・・・明らかに良い反応とは思えないな。
無理に手を出すわけにもいかねぇし、ちょっと行くか」
フラット「ん・・・あれ、寝ちゃってた」
クレア「もう・・・日没か。スピカと一緒に寝ちまってたみたいだな。
そろそろ準備のほうに行くか」
元・独裁フラット「お、いたいた」
フラット「へ⁉︎ビックリした、どうしたのさ?」
元・独裁フラット「いや、まあ警戒しておけって言いに来ただけだ。
この世界に異変が起こるかもしれないからな。じゃあ、もう帰るぞ。
今日はアイツらと花見だからな」
クレア「花見か。楽しんでこいよ!」
元・独裁フラット「本当にこっちのお前は明るいよな。俺んとこの
クレアに見せてやりてぇよ」
クレア「あんな引っ込み思案な俺、どんな人生歩んだらなるんだよ」
元・独裁フラット「さぁな。まっ、それだけだ、じゃあな」
淡々と言いたいことだけ伝えると、彼は#世界渡__せかいと__#の力で
元の世界に帰っていった。
フラット「なんか変な気分だよもう・・・」
クレア「たしかに、自分と話してるんだもんな」
ノール「おい!何してたんだ?」
2人の背後から、怒りのこもった声色でノールは問いかけた。
フラット「あ、え~っと・・・寝てました」
クレア「バカ⁉︎何マジなこと言ってんだよ⁉︎」
フラット「そ、それよりどうしたの?」
ノール「ケンカしてるの分かんない⁉︎いいから早く来て!」
急に必死な目をしたノールを見て、2人はノールについていくことにした。
ノール「これで分かった?」
ノールが案内した場所は出来上がっていたと思われるパーティ会場で、
辺りには割られたテーブルやビリビリに破かれた、集合パーティと
書かれた垂れ幕に、抜かれた黒い毛と金色のが散乱していた。
クレア「この毛って・・・キルユウのか⁉︎」
フラット「こっちはエドの⁉︎」
ノール「バルシアが止めに入ったんだけど、巻き込まれて3人とも
医務室。で、聞こえるでしょ?医務室から」
2人が黙ってみると、完全防音の医務室から2人の揉める声が
微かに聞こえた。
フラット「まずい、クレア!すぐ行くよ!」
クレア「オッケー!」
医務室ー
フラット「入るよ、ってうわっ⁉︎」
慌てて扉を開けると、既に医務室の中は酷い有様だった。
クレア「おいおい、薬品棚ぶっ倒れてるぞ⁉︎」
バルシア「兄貴、早く!」
フラット「とりあえず・・・神業・拘束!」
ケンカを続けていたエドとキルユウを、フラットは神力で抑えた。
クレア「何があったらこんな大げんかに繋がるんだよ」
キルユウ「コイツがちゃんと俺の言うこと聞いてくれねぇから、
もう我慢の限界だったんだよ!」
エド「お前がいつ教えたんすか⁉︎」
フラット「あっちゃ~、短気な2人っぽいな」
バルシア「俺も止めてたんですけど・・・」
クレア「よく止めれたな、あの2人・・・俺だったら気絶させてたわ」
フラット「それこそダメだから。とにかく、何をしてたの?」
キルユウ「折角だからな、お前ら用の舞台作ろうって話になったんだ。
それで俺の設計図通りに、コイツにやらせたらよ?ポンコツって
言葉にすら失礼なほどバカすぎてな!」
クレア「設計図ってこれか?これ、無理だぞ。計算すると普通に
分かるがこの鉄骨の量じゃ、すぐに壊れるぞ。で、エドは?」
エド「コイツがこれでいいって全然聞かないっすもん!もう俺なりに
やらせてもらったっすけど、ああしろこうしろって、ただうるさかったっすよ」
キルユウ「俺が教えてたのをうるさいだと⁉︎」
フラット「なるほど。で、衝突して大げんかね。なんかもう、
2人してバカらしいよ」
キルユウ「なっ・・・!」
クレア「もう2人は今日のパーティ出禁な。ったく、バルシア、
お前は来れるか?」
バルシア「流石に出禁は俺も賛成です!」
フラット「だってさ。仲直りするまでそこにいてよ」
クレア「じゃあ、行こうや」
2人をそのままにしてフラット達はパーティ会場に向かっていった。
午後6時ー
フラット「本当に僕がやるの?」
クレア「折角知り合い全員呼んだんだ、お前がやれよ」
フラット「もう・・・じゃ、やるよ・・・」
一旦深呼吸して、フラットは気合いを入れた。
フラット「春になったぞ!全員集合!」
全員「おーっ!」
ヒナ「よ!始まった!」
タクマ「招待サンキュ!」
フラット「まあ、本当だったらもっと呼びたかったってのが
本音だけどね。結局ジ・アフダンの2人で限界だったよ」
クレア「四大の方はダメだったのか?」
フラット「旅行行ってるみたい、伝言でさ?」
伝言機能「ただいま旅行中です。御用の方は、3日後にもう一度
ご連絡いただいますよう、お願い致します」
フラット「いいなぁ、旅行!明日の花見やったらどっか行こ?」
ノール「ほら、2人もこっち。ステージ!」
クレア「そうだな!久々にやってやろうや!」
フラット「それはいいけど・・・エドはどうする?」
クレア「エレキのパートがない曲なんていくらでもー」
「ギャォォン!」
大きな咆哮と共に、地面に大きな衝撃が響いた。
クレア「おい、あれ!」
ノール「このタイミングで来るのは想定外だな」
フラット「アリジゴクと言っても、一級なら心配無用!いくよ!」
ノール「了解!」
クレア「いい指示頼むぜ、隊長!」
フラット「ウォッチフォンをドローンモードにして中継開始、
チャンネルに繋いで・・・いくよ、戦闘モード起動!」
フラットのウォッチフォンから2人に向けて光が照射される。
アリジゴク「ギシャァ!」
神力の解放に気づいたアリジゴクは尖った触手を2人に向けて
デタラメに伸ばした。
フラット「神業・束縛!」
しかし、フラットがその触手を一気に束ねた。
クレア「よし来た!まずはお手並み拝見といこうか、
第一突風『炎』術・『四方爆破之矢』!」
一本の矢が熱風を纏い、アリジゴクを中心に爆発した。
クレア「なんだ、意外にも弱いやつだな」
そう言いクレアが動きを止めた途端、爆発の煙の中から一本の
触手が現れ、クレアを突き飛ばした。
フラット「クレア⁉︎」
クレア「ってて・・・あっぶね~、アイツも視界が悪いみたいだな」
ノール「でも、煙のせいでこっちからも無闇に攻撃できないぞ」
ヒナ「ねぇ、何の騒ぎ⁉︎」
フラット「ヒナちゃん!ちょうど良かった!戦闘できる⁈」
ヒナ「う、うん!」
フラット「コード認証完了、オッケー、いくよ!」
ヒナ「久しぶりにオファーされたからには思いっきり舞わせてもらうよ!
第一舞踏『光』術・『シャイニングフラップ』!」
光の波紋に合わせてヒナはフラップを繰り返す。支援力は増し、
時には煙の中で舞い、アリジゴクの影を醸し出した。
ノール「よし、これなら狙える!最後に見せつけて終わらせる!
明星から生まれし破壊の力・・・!『破壊之負翼』!」
黒のオーラを纏う翼がノールの背中から生えた。
ノール「どう出てくるか・・・見せてみろ!
最終破壊『壊滅』術・『ロストワールドクラッシュ』!」
ゲートから小規模な島が現れ、アリジゴクを押し潰していく。
ノール「まっ、これでよし、と」
しかし、最後の足掻きと言わんばかりに一本の触手がノールを
縛りあげた。
フラット「任せて!グラディウス!イッケェェェェ!」
槍の刃が触手だけを切り裂くように、ノールに向けてフラットは
神器を投げた。
アリジゴク「ギュウゥゥゥ・・・」
しかし、グラディウスが触手を切り裂く前にアリジゴクが力尽き、
地上10メートル以上ある場所からノールが落下した。
クレア「マッズ!」
ヒナ「そうだ、テント!」
フラット「そっか、クレア!」
クレア「おう!神業・突風!」
クレアの神力でテントの布がノールの真下に行った。
ヒナ「あとは任せて!よっと!」
いつもは隠している背中の羽を迷うことなくヒナは出した。
そして羽ばたき、ノールをキャッチできるようにヒナは布を持った。
ちょうど布にノールは落ちるもー
ヒナ「わっ、結構・・・重い!」
ノール「えっ⁉︎」
クレア「あっちゃ~、同じ女でも、重いはアウトだろ」
フラット「ヒナちゃん、御愁傷様」
ヒナ「わ、わざとじゃないから!ごめん!」
怒らせたと思い、慌ててヒナはノールに謝った。しかしー
ノール「重い・・・そっか、私、重いんだ・・・」
ヒナ「あ、本当にごめん!そういう意味じゃなくて衝撃で重かっただけだよ!」
スター「ねぇ、早くステージ・・・って、ウソ⁉︎」
スラリア「アリジゴク出たなら言ってくれたらいいのに!」
エド「俺達も出たっすよ?」
フラット「いいのいいの。それじゃ・・・?エド⁉︎何で⁉︎」
エド「あっ・・・」
キルユウ「もういいだろ。済んだことにあれこれ言ってても・・・なぁ?」
エド「そういうことっすよ!」
フラット「なんか、似たり寄ったりだなぁ・・・まあいいや。
じゃあ、ステージ行くよ。今日からまたデ・ロワー、始動!」
全員「おーっ!」
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