第12話 星の輝き
1節 変わった景色
ナックル「今帰ったぜ!」
フラット「...あの声を聞くことも...ない...か。でも…もういい」
ナックルの部屋だった場所で片付けをしていたフラット。
ただ静寂な部屋にあの声が響くことはもうない。
フラット「僕が泣いてちゃ皆を元気づけることもできない!
僕ができなきゃいけないこと、まだまだある!」
翌日ー
フラット「おはよう皆!」
クレア「...あぁ、おはよう」
エド「...」
フラット「ちょ、少なくない?これだけ?
どうしたんだか」
クレア「あんなことがあったんだ。ノールは
休みたくもなるさ。スターも同じく」
エド「フラットは元気っすね」
ペーター「1番傷つくと思ってたが」
フラット「...いつまで凹んでるつもり⁉︎こんな今を
バトラーに見られたら怒られるよ!」
クレア「フラットは強いんだな」
フラット「クレア...辛くないわけじゃないけど...
僕は隊長。それに今僕が悲しんでたら何も始まらない!
だから...だから...」
フラットはたしかに強くはなった。それはあくまで1人でいる間だけ。
同じ理由で悲しむ友を前に泣けないわけがなく―
フラット「ごめん、ちょっと外行ってる!
すぐ戻るから!」
ペーター「あっ...無理してまで...」
浅草公園―
フラット「ダメだ、泣くな!バトラーに見られたら
絶対怒られるよ...僕が出来るのは皆を元気づけること!
だから悲しむ暇なんかー」
デラガ「悲しむことも大事だ」
フラット「デラガ...?」
偶然公園で休んでいたデラガにフラットの声が聞こえていた。
デラガ「たしかに悲しみを乗り越えるのも大事だと
今なら言える。でも、乗り越える悲しみをなくして
何になる?」
フラット「でも...僕は皆を!」
デラガ「だからと言って強がるな。1人の時は
泣いたっていい。ラルバがそう言ってた」
フラット「...っ!」
デラガ「それでいい。堪える必要はない。悲しまず
ただ笑顔でいる方が冷酷だ。お前はそうじゃない」
フラット「っ!...っ!」
デラガ「...俺に出来ることか」
ポンとフラットの頭に手を置くデラガ。優しく頭を
撫でている。フラットにとってそれは懐かしい温もりで
溢れていた。
フラット「ありがとう。少し落ち着いた」
デラガ「お前の気持ちも分からないわけじゃない。
だが、自分に正直になることも大事だ」
フラット「うん、頑張ってみる。でも...やっぱり、
皆の前では笑ってみる!それが僕の
出来ることだから!」
デラガ「うん、さっきより口調が軽くなった。ファイトだ、フラット!」
フラット「はい!デラガも巡回には気をつけて!」
デラガ「おう!」
フラット「よし、戻るか!」
フラット「ごめん、今―ってさっきより暗い」
クレア「すまん、やっぱ帰る」
フラット「へ⁉︎」
エド「クレア...俺も帰るっす」
フラット「ちょっと待ってよ!まだデスクワークも
全然終わってないじゃん!一緒にやろ?そうだ、
じゃあ気晴らしにー」
クレア「お前はいいよな、お気楽で」
エド「憧れを失った気持ちも知らないで...
最低っすね」
フラット「えっ...2人とも!」
ペーター「いい加減にしないか!」
さっきまで静かだったペーターが怒声を上げた。
フラット「ペーターさん...!」
ペーター「君たちには悲しむことしかできないのか!
少しはフラット君の思いやりに応える気はないのか⁉︎」
クレア「...ないです。じゃ」
フラット「あ、クレア...」
エド「応えたいっすけど...今はまだ...」
フラット「じゃあ...せめて散歩しない?
それならどう?」
エド「...いいっすよ、散歩ぐらいなら」
フラット「じゃあ、行こう!」
エド「それで散歩ってどこっすか?」
フラット「どうしよっかな?エド、
行きたい場所とかある?」
エド「えっ、何で俺に聞くっすか?」
フラット「だってエドを元気づける散歩だし。
エドが好きな場所言ってよ」
エド「好きじゃないっすけど...プラネタリウム!」
フラット「プラネタリウムか...いいとこあったかな」
エド「...ハハ、真剣っすね」
フラット「当たり前でしょ?エドの行きたい所になら
どこにだって連れてってあげる!友達だもん!」
エド「フラット...」
回想ー
ナックル「それじゃ、俺達と来いよ!絆ってやつを
片っ端から教えてやるぜ!」
エド「絆...っすか?」
フラット「エド?おーい」
エド「フラット、俺達に絆はあるんすかね?」
フラット「絆⁉︎そうだな...断言できないけどある!
そう信じたい」
エド「...そうっすね!何事も信じることが大事っす!」
フラット「良かった、やっと元気なエドの声聞けた。
それでプラネタリウム...か。難しいなぁ」
エド「まだ考えてたんすね。なんだか懐かしいっす。
こうやってフラットと歩いてると」
フラット「そんなことあったっけ?」
エド「盛岡でノールと初めて会った時、
一緒だったっすよ!」
フラット「あぁ、あれか。一生懸命だったから
忘れてた」
エド「もう、覚えててくださいっす!」
フラット「ごめんごめん。でさ―?」
ふと気付くと、エドが後ろで立ち止まっていた。
エド「…フラットって凄いっすね。人を簡単に
笑わせられる。本当に...会えて嬉しいっす!
ナックラーさんがフラットを紹介してくれたから
今の俺がいるっす!本当に...本当に...幸せを
たくさんもらえて...!」
エドが一生懸命涙を堪えていることがフラットには分かった。
ゆっくりとエドに近づいて、自分よりも背が高いエドの肩を
2回叩いた。
フラット「...エド...僕もエドに会えて変われた。
一緒にいて笑い合える友達ができた。だから、
バトラーに怒られないように、一緒に笑い合って...
くれるかな?」
エド「...はいっす!これからも一緒っす!」
フラット「うん!」
エド「絶対に...絶対っすよ!もう誰も
失いたくないっす!」
フラット「大袈裟だなぁ、僕がいなくなると思う?」
笑顔でエドにフラットは尋ねた。
エド「思わないっす!」
フラット「じゃあプラネタリウムだ!いい所、
見つけよ!」
エド「あ、プラネタリウムは俺に任せるっす!
でも、夜しか見られないから先に朝食に
しないっすか?何も食ってなくて空腹っす!」
フラット「もう、ちゃんと食べなよ?じゃあ、
特別に僕の料理を振る舞ってあげよう!」
エド「やったっす!」
フラット「こっちだよ、僕の寮」
エド「ついてくっすよ!」
ペーター「...ナックラー。残りは俺だけに
なっちまったよ...早すぎだよなぁ、お前はいつも。
俺の先に行っちまう」
フラット「よっと、はい!チャーハン一杯お待ちどう!僕の自慢料理!」
エド「匂いだけで満足っす...」
フラット「ちょっと、食べてよ!」
エド「いいんすか⁉︎じゃあいっただきまーす!」
大きな一口を口の頬張るエド。
エド「ムグッ...ん!」
フラット「ど、どうしたの?」
ピタッと動きを止めるエド。そしてー
コトン...とチャーハンのお皿を机に戻す。
フラット「エド...美味しくなかった⁉︎ごめん!」
エド「違うっす...美味すぎるっす...」
フラット「な、泣いてる⁉︎」
エド「なんちゅうもんを食わせてくれたっすか...
一口で走馬灯が見えたっす」
フラット「死因が
エド「美味死って何すか美味死って‼︎」
フラット「もしくは
エド「もうどうでもいいっす。でもこれはこれで
危険っすね。美味いもので人は死ぬんすね」
フラット「多分、宇宙は広しといえども、
美味しくて死ぬのはエドだけだと思う」
エド「そんなことないっすよ!これ食べた人、
死んじゃうっすよ!」
フラット「バトラーは死ななかったよ?」
エド「あの人、舌がどうかしてるっすよ!」
フラット「アハハ、バトラーが聞いたら怒るよ」
エド「あ...そうっすね。でも、あの笑い声、
もう聞こえないっす」
フラット「わっ、そのなんだ...じゃあ、これ!
バトラーがくれた僕へのお守り!あげるよ!」
フラットが渡したのは木彫りのフラットに似た像だった。
エド「で、でもこれはフラットの...」
フラット「実は...ほら、何個もあるから!」
物置としているクローゼットから同じような像をフラットは
何個も取り出した。
エド「あ、じゃあ...貰うっすね」
フラット「うん!全然いいよ!」
エド「どうもっす!大事にするっす!」
フラット「うん...そうだ!これ、皆にもあげようよ!
バトラーの代わり...とまではいかないけど、ね!」
エド「あ、いいっすね…でもこれ、ナックラーさんの代わりというより
フラットの代わりのような気も…」
フラット「うぐっ…エド、頑張ろう!」
エド「誤魔化しが下手なやつっすね〜」
フラット「ただいま戻りました!」
ペーター「お、エド君も。フラット君、ちょっとだけ
いいかな?話があるんだ」
フラット「あ、はい分かりました。ごめんエド、ちょっと待ってて」
エド「全然大丈夫っすよ!」
フラット「じゃあ。行きます!」
ペーター「すまないね」
ペーター「ここでいいだろう」
フラット「で、話って?」
ペーター「実は...この異変でデ・ロワーは窮地に立たされている。
なにせ、ファイターに魔族が混ざってたんだ」
フラット「...じゃあ嘘ついちゃいましょ?」
ペーター「嘘...だって?」
フラット「ちょっと問題ある嘘ですけど...」
ペーター「どんな嘘なんだ?」
フラット「それはですね...」
フラット「はい、待たせたねエド!」
エド「あ、何の話だったんすか?」
フラット「内緒。後で話すよ」
エド「ケチっすね。まっ、いいっすけど」
ペーター「いやぁ、すまないね。あと...皆を
招集できるかい?銀座にアリジゴクが出たみたいだ」
フラット「分かりました...っていつもなら
ペーターさんがやることじゃ?」
エド「そうっすよね?」
ペーター「あ、いや...」
フラット「あー...エド、2人で行こう!」
エド「えぇ⁉︎」
フラット「いいから!大丈夫!」
エド「了解っす!」
フラット「じゃ、出撃!」
アリジゴク「ピギュゥゥ...!」
フラット「一体だけか!強さは...エリート⁉︎」
エド「2人ならなんとかなるっすよ!
第一鉄拳『零』術・『ボンバブルアッパー』!」
アリジゴク「ギャグ⁉︎」
フラット「第一審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃』!」
アリジゴク「ピギャウ!」
ファイター「ん?デ・ロワーの...!」
エド「トドメっす!第二鉄拳『光』術ー」
ファイター「よっと!」
フラット「えっ⁉︎」
ファイター「この手柄は俺のもんだ。お前らなんかに
渡してたまるか」
フラット「なっ...」
ダバンゴ「おいテメェ!親分にそんな口聞くたぁ、
いい度胸してんなぁ⁉︎」
ファイター「ヒィ⁉︎」
ダバンゴ「俺様が相手するぞ?あぁん?」
フラット「ちょ、そんな喧嘩腰に絡まないで!
ダバンゴ「親分...ったく、優しすぎるぜ」
フラット「とりあえず...まだ倒せてないから!
ていうか出張は⁉︎もう終わったの⁉︎」
ダバンゴ「あぁ、遭難事故の調査なら終わったぜ!
だからダバンゴ様の復活だ!」
エド「エリート級のアリジゴク...少し本気で
行く必要があるっすね!」
フラット「じゃあ、あれを使おっか!」
エド「あれっすね!」
ダバンゴ「合点だぜ親分!」
全員「神魔石、共鳴!」
フラット「よし、いくよ!審判・凍瀧之結界!」
アリジゴク「ギュ⁉︎」
エド「やってみるっす!鉄拳・金剛百裂拳!」
アリジゴク「ギャフ!」
ダバンゴ「遊泳・龍蛇之舞!」
アリジゴク「ギィィィ...」
フラット「よし!勝ちだね!」
エド「ふぅ...まだ神魔石になれないっす」
ダバンゴ「そのうち慣れるから安心しとけ」
フラット「…思ったんだけどさ、何でダバンゴが?協力は
しないってあれだけ言ってたのに…」
ダバンゴ「…似てんだよ、アンタが。俺様を拾ったアイツにな。
心配で仕方なくだ。勘違いすんなよ!あくまで面倒を見るだけだ!
魔族のやつと協力する気はこれっぽっちもねぇからな!」
フラット「はいはい。それじゃ、帰ろっか」
ダバンゴ「あぁ、それとその事故起こした輩なら、
もう着いてるはずだぜ。さっきデ・ロワーの場所、教えといてやったから」
フラット「ありがとうダバンゴ、そこまでやっといてくれて」
ダバンゴ「これぐらい朝飯前だ!親分、後であのタイガーにも
言っといてくれよ!」
フラット「あ...ダバンゴ...その...」
ダバンゴ「?」
ダバンゴ「何だとぉ⁉︎タイガーがくたばった⁉︎
おいおい、冗談はよしてくれや親分!」
エド「冗談じゃないっすよ。先週、アザゼルが
襲ってきて...」
ノール「私は...!ノール・タール!」
アザゼル「チッ!どうやらもう消し時だな。
魔術・即死弾!」
ナックル「危ねぇ!」
ノール「うわっ⁉︎」
ナックル「ぐぅ⁉︎...」
フラット「バトラァァァァ!」
アザゼル「チッ、外した。まぁいい。
魂が集まるならな」
フラット「...って...いうことがあって」
ダバンゴ「そうか。生きてるやつにも終わりが来る。
それは仕方のないことだ」
エド「そうっすけど...なんか冷たくないっすか?」
ダバンゴ「人の死は何度も経験してるからな。慣れって嫌なもんだ」
フラット「ダバンゴ...」
ダバンゴ「決して悲しんでないわけじゃないからな!
変に曲解すんじゃねぇぞ!」
エド「まだ何も言ってないっすよ」
フラット「...あのさ」
ダバンゴ「?」
フラット「もうバトラーはいない。だから僕達の手で
この地球を守っていくしかない。だけど、
バトラーに笑って手を振れるようにまずは
生きていかなくちゃいけない」
エド「急に何すか?」
フラット「だから...イベントを行おうと思う!」
ダバンゴ「イベント⁉︎」
フラット「うん、だって...伝えなくちゃ!
ファンの人達に...このこと」
エド「えっ...でもナックラーさんがいてこその
デ・ロワーっす。だからもし伝えたら...デ・ロワーは
潰れちゃうかもしれないっす」
フラット「そんなに僕達って人気ない?」
ダバンゴ「んなこたぁないだろ。タイガーがいただけで
あんな支援力が集まるわけがねぇ」
フラット「そうだよ、僕達だけでも十分だよ!
バトラーを頼らなくたって...きっと大丈夫!
ファンを悲しませるのは嫌だけど...伝えなくちゃ。
それが今だからできることだよ」
エド「...はいっす!」
ダバンゴ「ってか早く帰らねぇと怒られちまうな。
ほら、さっさとしろ!」
フラット「あ、ちょっとは待ってよ!」
フラット「ただいまです!って、皆いないと話が
できないじゃん...もう、こうなったら!」
スター「えっ、緊急事態⁉︎」
ノール「あっそ」
クレア「行くしかねぇか」
数十分後ー
フラット「集まったか」
クレア「緊急事態ってなんだよ」
スター「早く行こう」
フラット「うん、じゃあ言うね!イベントを
開催しようと思う!」
「………」
オフィスが沈黙した。
クレア「...帰る」
スター「悪いけどそんな気分じゃないよ」
その場に来た全員が身支度を始めた。すると―
ダバンゴ「...テメェら!それでファイターか⁉︎
親分はな、悲しいの堪えて言ってんだぞ!
チッタァ気づけやゴラァ!」
エド「そうっすよ!今までだってフラットは
無理して皆を支えてきたっす!だからフラットの
希望に応えて欲しいっす!」
クレア「...イベント内容は?」
フラット「...バトラーの報告と、心機一転、
頑張っていくってとこ、見せようって...」
ダバンゴ「親分、俺様もまだまだってとこ、
見せてやるからよ!四大・水の長の力、
存分に見せつけてやるよ!」
フラット「そうだ...ってえっ!今なんて言った⁉︎」
ダバンゴ「お?だから、四大・水の長の力ってー」
クレア「四大...」
スター「水の長...!」
エド「本当なんすか、それ⁉︎」
ペーター「あぁ、本当だとも。四大の中では最年少。
でも実力は折り紙つき。ライもそうだよ」
フラット「えっ、ライもですか⁉︎」
ノール「...」
クレア「てことは...風の力!」
ダバンゴ「当たりだ!ライは風の長だ!雷術もそうだが
地術も大したもんだぜ!」
スター「見てみたいなぁ」
フラット「...皆...明るくなってきた!ねぇ、やろうよ!
イベント!盛大に盛り上げて...僕達が笑ってるとこ
見せつけようよ!心配無用だって!」
クレア「...そうだな。ウジウジしてても、仕方ないもんな。
よし、ここからだ!本気出していくか!」
スター「うん!ナックラーに笑顔でありがとうって
言えるように、スターも頑張ってくよ!」
ノール「...」
フラット「...ノール、その...今は1人がいい...感じかな?
だったら...今日は休んでもいいよ」
ノール「...邪魔?」
フラット「違うよ!ただ単に落ち込んでるから...その…
気休めというか...なんというか...」
ノール「じゃあ何で呼んだの?」
フラット「一応...連絡はした方がいいし...仲間だからさ!」
ノール「バカ虎が死んだ原因は私にあるのに?それでも
仲間って言えるの?」
フラット「勿論!皆もそう言えるよね?」
クレア「あぁ、同じ飯食って、同じ時を過ごしたら
それはもう仲間以外何でもないだろ」
スター「そうだよ!皆揃って仲間!誰も欠けちゃ
いけないんだよ!」
ノール「...優しすぎだよ、お前ら。ちょっと、
羨ましいな」
フラット「そんなことないよ!人を傷つけたくないって
思えるノールだって十分優しいよ!」
ノール「私は...もうそんなのどうだっていい。
どうせスラリアも...フォールも誰かを傷つける。
そんな2人、私はいらない!」
ダバンゴ「...あのなぁ、テメェ、自分一人の
ことだとでも思ってんのか?だったらとんだお花畑な
脳みそしてんなぁ!」
ノール「何だと⁉︎」
フラット「ちょっ、ストップ!ケンカはダメだって!
ノールも一旦落ち着いて!ね?」
ノール「...バカ虎がいなくなっても、お前は
変わらないんだな」
フラット「ノール...バトラーの代わりじゃないけど
今の皆を少しでも励ましたい。それが今、僕の出来ることだもん」
クレア「...そうだな。クヨクヨしてたら
笑われちまうな」
スター「フラット!まだまだ一緒に
張り切っていこう!」
ペーター「うん、まず一歩踏み出せー」
?1「お、盛り上がってんな!」
?2「お久!フラット!」
?3「クヨクヨムードはおさらばってか?」
フラット「あ...!ケーベスにコータスも!本当に来てたんだ⁉︎
ていうか何年ぶり⁉︎」
ケーベス「いやなに?お前が困ってるって聞いて
焦って飛び出してきたんだよ。で、覗いてたんだが
もう解決済みってな」
メダイ「昔とは大違いだね!」
フラット「あの時のことは忘れてよ。どうかしてたんだから」
コータス「本当にな。万引きで死刑とかイカれてる考えだったもんな」
フラット「だから忘れてってば!」
クレア「知り合いか?」
フラット「あ、紹介するね。ハチマキ巻いてるのは
永月ケーベス、黒上メガネは義弟のコータス、
その桃色の髪をしたのは龍神の力を持つメダイだよ」
スター「ケーベスにコータス、メダイだね!うん、覚えたよ!」
フラット「で、どうしたの?ていうか出所したんだ」
コータス「そんな重罪じゃねぇだろ。万引きで
そんな長い間留置されるわけないだろ?」
メダイ「でも、ヴァイス罪で留置期間伸びたけど」
フラット「にしては...早いね。もしかして、
スカウトされたとか?」
ケーベス「チェ、もうお見通しってか?」
フラット「えっ、本当に⁉︎」
コータス「俺と兄貴はファイターじゃないから整備課だけど、
メダイはファイターになったんだ。それも...ここのな!」
クレア「へ⁉︎」
エド「ここのって...どういうことっすか⁉︎」
ペーター「秘密にしていたんだ。フラット君に驚いてもらいたくてね」
フラット「そういうのはもっと早く言ってください!
ていうか整備課⁉︎ケーベスとコータスはたしかに
腕はいいですけど...期待しないほうがいいですよ。
悪ふざけが多いので」
ペーター「それを対処するのも君の役目だろ?」
フラット「あのですね、対処できない悪ふざけだから
言ってるんですよ?」
ペーター「いいじゃないか、面白そうだし」
フラット「...そういうことですか。分かりました、やってみます」
ペーター「君は物分かりが良くて助かるよ」
フラット「でも、何か壊れたとしたらペーターさんの
責任にしますからね!ただでさえ、無理難題なんですから」
ペーター「分かってるよ、承知の上だ」
フラット「それじゃいいですよ。3人とも、よろしく」
ケーベス「聞こえてたぞ」
コータス「酷いなぁ、俺達も頑張ってるのに」
フラット「頑張ってて、人が頼んだ発注品に
爆弾仕掛けるやつがいるか」
メダイ「あれはコータスの仕業だよ。ケーベスは
爆弾とか作らないしね」
フラット「知ってたなら止めろよな」
クレア「なんか物騒なやつらだな」
エド「大丈夫なんすか、これ?」
フラット「まっ、信じるしかないけどさ。さて、
これで心機一転だね!」
ノール「バカ虎のことは忘れろって言いたいの?」
メダイ「ノールちゃん!そういうことじゃないの!
フラットが言いたいのは変われってこと!」
ケーベス「あぁ、今までは今まで。これからは
その今までとは違う。虎のいない今を積み重ねていく」
コータス「だから、過去に甘えすぎるなってことだ」
フラット「ちょっと、台詞取らないでよ!」
ケーベス「へへっ、早いもん勝ちだろ?」
フラット「もう...」
ノール「...そうだな。過去に囚われてたら何の意味もない。
分かってるけど...バカ虎がいてくれたからそれが分かった。
でも...お礼も何も言えてないのが悔しくて...!」
フラット「それは僕だって同じ。助けられたのに
記憶を消されてお礼を言えずじまいだった。
だけど、笑ってくれた!それが嬉しかった。
きっと、どこかで笑ってると思うんだ。バトラーは
誰よりも騒がしい笑い声だったから辛いけど...
胸の中でずっと笑ってくれる。そんな気がするんだ」
ノール「...うん。ありがとう...分かるよ、
その気持ち。あと、ごめん。さっきは強く言って」
クレア「...ノール!よっしゃ、気合い入れて頑張ってこうや!」
全員「おーっ!」
夜ー
エド「...ナックラーさん...」
フラット「あ、エド...どうしたの?ため息なんかついちゃってさ」
エド「俺、やっぱりまだ辛いっす。前ほどじゃないけど
あの笑い声が聞こえないと思うと胸が痛いっす」
フラット「...実を言うとね、僕だって辛いし、
何より寂しい。あの部屋に戻っても、
ただいまって言っても、そこにあるのは
静寂でさ。ご飯作るのも一人前だし...あのテーブルの
椅子も一脚は空席で...片付けようと思っても...
できなくてさ...!」
エド「...そうっすよね。フラットが1番辛いっすよね。
だから...今度は俺が!俺がフラットを支えるっす!
その...頼りにならないかもしれないっすけど...
一緒に...その...暮らしてもいいっすか?」
フラット「へ⁉︎」
エド「だって...今のフラット、明らかに
無理してるっす。そんなフラットを、俺は笑わせて
みたくなったっす!ナックラーさんの代わりに
なれるように、努力したいっす!でも、
俺っすけどね」
フラット「...ふふ...アハハハ!もう...エドってば。
まさか僕が励まされるとはね。一本取られたよ」
エド「だって...お礼は言えるうちに言わないと
言えなくなる時があるっす」
フラット「分かってる。ありがと、エド。
さてと、じゃあ片付けられないな!あの椅子も、
あの部屋のものも!」
エド「部屋は片付けてくださいっす!」
フラット「酷いこと言うね」
エド「冗談っすよ。残しといてくださいっす。
でも...フラットの家っすか...!」
フラット「あれ、でも大学は違うけど...
あ、大丈夫か。東京の大学だもんね」
エド「そうっすよ!」
フラット「じゃ、荷物まとめたら来なよ。
バトラーの部屋、掃除しとくから」
エド「はいっす!あと...俺、フラットに会えて
本当に嬉しかったっす!ナックラーさん、
ありがとうっすぅぅぅぅぅ!」
フラット「...僕も。ありがとぉぉぉぉぉぉ!」
2節 部屋に光差し込みてー
フラット「ん...もう朝か!エド、起こさなきゃ!」
バタバタバタ...ガチャ!
フラット「ほら、おきろぉぉぉぉ!」
エド「うわわっ⁉︎」
ドサッ
エド「いててて...何すか⁉︎」
フラット「朝だよ、ほら起きた起きた!」
エド「まだ寝たいっす...」
フラット「もう...って、あ!」
まるで思い切り壁にぶつかったように砕け散った
めざまし時計がフラットの目に映る。
フラット「エド...!これは何⁉︎」
エド「...?そういえばなんか手が痛いっすね...?
手から血が出てるっす」
フラット「...買い直してくるからお金」
エド「うっ...欲しいものがあったっすのに...」
フラット「自業自得...って、ファイターなんだし
お金に困ることなんてないでしょ」
エド「欲しいのはそんな安っぽいものじゃないっすよ!
ナックラーさんの墓っすよ!今はまだ、遺骨が
中庭の手作り墓地っすよ⁉︎あれじゃ可哀想っすよ!」
フラット「あ、お墓はもうオーダー済みだよ。
大きいのにしたし、慰霊碑と、贈り物入れも
オーダーしたよ」
エド「贈り物入れ...っすか?」
フラット「まぁ、入れるとすれば思い出の品とかかな。
メッセージを書いて思いも一緒に届けてね」
エド「...いいっすね、それ。でも、思い出を仕舞うって
なんか寂しいような気もするっすけど」
フラット「そうかもしれない。でも、思い出を
分け合える幸せを感じられると思うんだ」
エド「...だといいっすね!」
フラット「それじゃ、朝食にしよっか!何がいい?」
エド「オムライスっす!」
フラット「...!」
エド「フラット?どうしたっすか?」
フラット「何でオムライス?」
エド「えっ?気分っすよ、気分!」
フラット「...気分か。バトラーもオムライス、
大好きだったから聞いてたのかと思った」
エド「違うっすよ。それより早く作るっすよ!
もう腹ペコっす!」
フラット「分かった。ていうか、だったら手間のかかる料理を
オーダーしないでよ。でも食べたいのか。しょうがない、
いい子で待っててよ」
エド「子供じゃないっすよ!」
フラット「ゲームしててもいいよ。バトラー、
よく待ってる間はゲームしてたから。怒っても
聞かなくて困ったっけな」
エド「ナックラーさん、子供がそのまま
大人になったって感じっすもんね」
フラット「アハハ、たしかに!じゃあ、待っててね。
すぐに作っちゃうから」
数十分後ー
フラット「はい、オムライス...って」
エド「うぉぉ!ここでメテオ!あ、外した!
って、あぁ!」
フラット「元気だなぁ」
エド「うぅ、負けたっす」
フラット「ほら、朝食。一旦止めてね」
エド「はいっす!あぁ、いい匂いっす」
フラット「それじゃ、ってこら!」
何も言わずにオムライスを口に運ぼうとしていた
エドの手を止めるフラット。
フラット「いただきますって言ってから!」
エド「うっ、厳しいっすね」
フラット「食卓のマナーはきちんと守ること!」
エド「はいっす」
オムライスを乗せたスプーンをエドはお皿に一旦戻す。
エド「いただきますっす。それじゃ!」
フラット「うん、いただきます!」
エド「うわぁ、オムレツがトロトロっす!」
フラット「そう?良かった!」
エド「こんな旨いのフラットのが初めてっす!」
フラット「そうでもないよ、専門店なんか行くと
中身に野菜やら肉やらが入ってたり、もしくは
特製ソースが入ってたりしてるんだから」
エド「違うっすよ、プレーンオムレツでって
意味っすよ!」
フラット「あぁ、そういうこと?ありがと、
でもこれ、母さんから教わった作り方だけど」
エド「フラットの母の味、食ってみたいっす!」
フラット「もういないけどね。でも、茶碗蒸しなら
まんま母さんに味だよ。ノールが気絶するほど
美味しいみたいだし」
エド「あれは驚いたっすよ!怖くて
食えそうにないっす」
フラット「酷いな〜」
2人「アハハハ...!」
クレア「おはよう」
ペーター「あぁ、おはよう。あとはフラット君と
エド君か。ていうか、エド君、何処いったんだ?」
ガチャ
フラット「おはようございます!」
エド「今来たっす!」
ペーター「エド君、何処に行ってた?」
エド「フラットの家に引っ越したっす!」
ペーター「えぇ⁉︎ちょっとそういうのは言ってくれよ。
中開けたら空部屋状態で驚いたぞ」
エド「だって昨日、ペーターさんいなかったっすもん」
ペーター「イベントを行うって急に言い出したから
その準備だったんだが」
フラット「えっ、昨日OK貰ってなかったので
てっきりダメだと思ったのに」
ノール「許可も降りたみたいだ。イベントは
行えるってことだ」
クレア「それで、場所は何処になったんだ?」
ペーター「熱海だ!冷え込んできたしね、
温泉旅行も兼ねてね」
スター「温泉⁉︎スター、大好きだよ!」
ケーベス「ちわーっす、ってなんだ?
盛り上がってるな」
メダイ「どうしたの?」
フラット「熱海でイベント!温泉旅行も!」
コータス「静岡か!じゃあ焼津にも行かせてくれ!
あそこの魚は旨いからな!」
エド「魚っすか!俺も行きたいっす!」
フラット「分かった、ちょっと遠いけど...
旅行も兼ねてね」
ノール「焼津港か。ならあれも買いたいな」
クレア「あぁ、お前のことだからカニとかエビだろ?」
ノール「ぐっ、バレてたか」
スター「イクラほしい!」
フラット「ハハハハ、丁度静岡だし、
僕が案内できるよ。でも、伊豆がよかったな」
ペーター「どうしてだい?」
フラット「よく親戚で集まってたホテルが
あったんですよ。あそこのバイキング、豪華で」
ペーター「...分かった。2週間熱海じゃ飽きるか。
1週間を伊豆にしよう」
フラット「わぁ〜、ありがとうございます!
よし、イベントに向けて張り切ってやろう!」
ケーベス「熱海か...のびのびできるな」
メダイ「うん!コータス、楽しみだね!」
コータス「...」
スター「な、何?スターの顔、なんかついてる?」
コータス「い、いや...髪の毛、ちょっとメダイ、
櫛貸して」
メダイ「あ、はい」
コータス「あんがと。女の子なんだから寝癖は
直しとけ。っと...」
スター「わ、ありがとう...」
メダイ「あ、スターちゃん、顔赤いよ?ていうか、
コータスも積極的だね〜」
コータス「ただ単にメダイの櫛は痛いからだ。
よし、こんな感じかな」
クレア「...俺が直すより綺麗に直ってる」
ケーベス「コータスは俺より器用だからな。
でも、距離感が不器用なんだよな」
コータス「兄貴、余計なことは言わなくていい」
ケーベス「分かった、悪かったって」
ペーター「ていうか君達来るのかい?費用は
あと1人分ぐらいしか出せないよ」
コータス「えっ⁉︎」
ケーベス「全員は無理なのか⁉︎」
メダイ「そっか...」
ケーベス「じゃあ、メダイ行けよ」
コータス「こん中で唯一ファイターだからな。
メダイが行くべきだ」
メダイ「えっ、あたし⁉︎2人はどうするの⁈」
ケーベス「俺達は仕方ない。留守番してるよ」
メダイ「でも...」
フラット「じゃあ、あれで行けばいいのに」
メダイ「あれ...あれか!」
ケーベス「あれを?最近使ってねぇし、
ちゃんと運転できるかどうか...」
コータス「なら俺が運転する。兄貴の運転はただでさえ
ペーパーなのにこの調子だとマジで事故る」
フラット「うん、じゃあよろしく」
コータス「任せとけ!」
フラット「あ、で、イベントはいつからですか?」
ペーター「11月3日だ。あと3週間あるね」
フラット「なら問題ないですね!じゃあ、
準備開始!」
サマエル「アザゼル...大丈夫なのか?
その傷...もう少し休んでおいた方が」
アザゼル「あの方の足枷になるわけにはいかん!
それに...この傷の恨みは死で償いきれないからな!
いかせてもらう!」
サマエル「アザゼル...!」
スラリア「どうしたの?」
サマエル「サリエル、アザゼルが飛び出して行った」
スラリア「ほっとけば?どうせ全部殺してくるでしょ」
サマエル「だが、あの怪我...!」
スラリア「死んだ時は仕方ない。アイツは
この中で力のある魔だし、心配無用だと思うけど」
べリアル「そうでもないぞ。心の拠り所としていた
シヴァがいなくなったことで、彼奴の力は
暴れ出そうとしておる。そのうち、自分さえ
壊してしまうじゃろうな」
サマエル「そんな⁉︎」
スラリア「その時はその時。サマエル、お前は
さっきからなんだ?自分のことだけ考えればいい。
他はどうでもいいだろう?」
サマエル「それは...そうですね。分かった」
フラット「もうちょっとネジを頂戴!足りない」
ケーベス「あぁ、ほいよ!」
フラット「結構錆び付いてたね。何年も
乗ってなかったの?」
ケーベス「捕まってから乗ってないからな...
3年ぐらいか?」
フラット「そんなに...ガタが来てないといいけど」
ケーベス「よし、整備はこんなもんだ。コータス!
エンジンつけてくれ!」
コータス「おう!」
バシュン...
フラット「あれ...バッテリー切れか。じゃあ...
はい、パラレルストーン」
ケーベス「サンキュ。よっと」
コータス「じゃ、もう一回!」
ブルン!ブオン、ブオン!
フラット「うーん、ガタきてる?」
ケーベス「いや、改造大成功だ!コータス、
降りていいぞ!」
コータス「分かった!」
フラット「改造って?」
ケーベス「あぁ、スピードを上げたんだ。
無理矢理だがな」
フラット「制限速度は守ってよ」
コータス「お前には言われたくないなぁ、
万引きした俺達を追っかけて時速200キロまで
バイクブッ飛ばしてきたんだぞ」
フラット「あれは今でもやってるよ」
ケーベス「尚更ダメじゃないか!」
フラット「へへへ、まっ、終わったなら
イベント準備に行こっか。もうすぐー」
アザゼル「見つけた!ぶっ殺す...!
魔術・爆風!」
フラット「うわっ⁉︎この術...アザゼル⁉︎」
アザゼル「貴様ら...この傷の仕返し...?なんだ、
1人だけか」
フラット「...ケーベス、コータス。皆を連れてきて。
その後、なるべく遠くに逃げて」
ケーベス「えっ...」
フラット「いいから!」
コータス「兄貴!」
ケーベス「コータス⁉︎ちょ...」
フラット「いくよ、神魔石!僕が相手する!」
アザゼル「...シヴァがいないのなら相手にしたところで
無駄だが、まぁ、クラリオの血か。消しとくべきか」
フラット「来い、アザゼル!罪を裁いてくれる!
審判『零』術・『凍瀧之結界・爽』!」
アザゼル「魔術・『疾風』!」
フラット「爽なら...負けない!」
アザゼル「何⁉︎術ごと...凍ってく⁉︎」
フラット「アザゼル、貴様の魂、浄化してくれる!
審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃・浄!」
アザゼル「魔術・『逆風』!」
フラット「魔術に負けてる⁉︎まずい!
神業・ステップジャンプ!」
アザゼル「何処にいく?」
ケーベス「お前ら!アザゼルが来た!」
ノール「アザゼル⁉︎私が!私が...」
クレア「今のお前に神力はないんだぞ!お前は
行ったところで何になる⁉︎」
ノール「でも...」
スター「大丈夫だよ!任しといて!」
メダイ「私の力、見せてあげるよ!」
エド「頼もしいっす!俺達も負けてらんないっすよ!」
フラット「ちょ、キツい!ケーベス、まだ⁉︎」
アザゼル「追い詰めた!魔術・即死弾!」
フラット「⁉︎」
クレア「神業・烈風!」
アザゼル「何⁉︎」
クレア「あっぶねー、ギリギリセーフだったな!」
メダイ「フラット、あとは任せておいて!
神業・龍変化!」
スター「えっ、え〜っ⁉︎」
エド「な、何すかあれ⁉︎」
フラット「メダイ、本気でいく気だね!よし、
神魔石、フォームチェンジ!」
メダイ「ガルル...!」
(息吹『炎』術・『龍炎舞』!)
アザゼル「くっ、負けるか!」
クレア「ケガしてるのはたしかだが、
妨害ぐらいはできる!くらえ!
突風『炎』術・『四方爆破之矢・幻』!」
アザゼル「な、なんだこれは⁉︎」
スター「夢に落ちて、消え果てるがいい!
最終悪夢『悪戯』術・『デッドティータイム』!」
アザゼル「な...何が起こっている⁉︎私が幻術に
ハマっているだと⁉︎」
スター「かごめ かごめ 籠の中の鳥は
いついつ出会う 夜明けの晩に 鶴と亀が滑った
後ろの正面、だぁ〜れ?」
アザゼル「...!」
スター「キャハハ、振り向いちゃダメ。あ〜あ、
お兄さん、失格。じゃ、さよなら」
アザゼル「あ...あっ!」
スター「フフフ...キャハハハハ!お人形さんとして
遊んであげるわ!」
クレア「フラット、そろそろ」
フラット「うん、ユーリック、解除」
スター「あ、あれ?何が?」
フラット「これで...アザゼルは倒した」
メダイ「ふぅ〜、お疲れ」
ノール「アザゼル...倒せたの?」
フラット「うん、でも...魂だけが消えた。もしかして
ノール達と同じで魔族の魂の生まれ変わりの体を
利用してる?」
クレア「でも、もう魂と体は同化してる。殺さないと
解放されることはない」
メダイ「...じゃあ、スラリアもフォールも
同化する可能性が⁉︎」
ノール「...どうだろ?この体は抜け殻だった。だから、
中に魂が残っていれば同化は起きないと思う」
フラット「ノールは神業で何とかなってたけど、
あの2人は気力の問題なんだよな...スラリアは
いいとして、フォールは...」
クレア「心配するよりいい方向に考えようや」
スター「そうだよ、フラットらしく考えよ!」
メダイ「...何だろ、なんか嫌な予感がする」
「アザゼル...そうか、ヤったか」
エド「お前は...サマエル⁉︎」
ノール「スラリアを連れてったやつか!」
スター「スラリアはどこ⁈」
サマエル「スラリア...?あぁ、サリエルか。
残念だったな。スラリアとかいうやつなら...
とっくに消えたぞ」
クレア「なっ...⁉︎」
サマエル「神力も消えたし、気配もない。
残念残念。アハハハ!」
フラット「...スラリア...」
クレア「嘘だろおい...アイツが...消えた?」
ケーベス「おいおい、俺の力があればどんな悩みも
消せるんだ。それを応用すれば...何だってできる!
クレア、お前の悩み、消してやるよ!」
クレア「へ⁉︎」
メダイ「ケーベス、その技を使ったら...!」
ケーベス「永遠の命を持つ俺にそんな心配は無用だ。
煩悩削除!」
クレア「...?あれ、何に...?」
ケーベス「これで...いいだろう」
エド「どういうことっすか?」
ケーベス「スラリアが消えたことによる不安を
消した。悩みの元凶を。つまり、スラリアが
消えたという事実が消えた」
フラット「じゃあ...!」
ケーベス「でも1人分の悩みだ。あまり猶予は
ないけどな」
フラット「...だったら!」
サマエル「ちっ、厄介な野郎だ!消えろ!」
コータス「ハァ!」
サマエル「ぐっ、これは⁉︎」
コータス「魔力封じの銀粉爆弾だ!」
サマエル「くそ、やられた!」
フラット「コータス、ありがとう!」
コータス「な〜に、これぐらい楽勝だしな!」
エド「...ケーベス、永遠の命って...本当っすか⁉︎」
ケーベス「?あぁ、本当だ」
フラット「何?興味でもあるの?」
クレア「やめとけ、永遠の命は死以上に辛いぞ」
エド「違うっす...!俺...俺...!」
ケーベス「...あ、そういうことか。人工ものか。
だったら任せとけ。辛い目に遭う前にな」
スター「ど、どういうこと?」
ケーベス「じゃ、見せてやるよ。コータス、ナイフ」
コータス「あ、えっと...はい」
ケーベス「...心臓をひとつきで!」
フラット「あっ⁉︎」
ノール「!お前、何して...?」
クレア「...エド、お前...痛くないのか?」
スター「嘘...でしょ?立ってられるって...」
メダイ「...そういうことか。蓬莱の薬...」
フラット「それって...まさかエド!」
エド「そうっすよ、不老不死の力を、強引に
手に入れたっす。実験台としてっすけど」
コータス「ったく、人間は酷いやつだよな。
自分達で作ったものを無責任に人外で試そうってな」
クレア「そのものの言いようだと、お前ら、
全員人間じゃないのか?」
フラット「そうだよ。とは言っても、ケーベスは
人間に近いかな」
ノール「それって...?」
フラット「メダイは流れ者の龍神。コータスは
自然の全てを見たり聞いたりできる妖怪」
クレア「妖怪⁉︎そんなのいるのか⁉︎」
フラット「じゃあ、証拠。コータス」
コータス「しょうがないなぁ、普段は帽子で
誤魔化してるけど...よっと」
ノール「あ...角...」
コータス「俺は鬼族だ。自然と共に生きる者。
ただ、妖怪が住んでいた、幻妖界は壊れたけど」
ケーベス「で、俺が月のお姫様、輝夜姫の末裔、
永月ケーベス。まっ、偽名だけどな」
フラット「本名は永月一慶、だけどね」
ケーベス「言うなよ!」
フラット「もういいでしょ。月面帝国兵団なんて
もう壊滅したよ」
コータス「そうだったのか」
メダイ「知らなかったよ。壊滅か〜、良かったね、
ケーベス!」
クレア「月面帝国兵団って本当にあったのか?
あの幻の里と呼ばれた神酒海...実在したのか」
ケーベス「あぁ、結界に隠されているが。でも、
豊海とは関係を持ってたんだぞ」
クレア「?豊海なら雲海とも関係を...」
コータス「月妖怪の住処だったんだ、豊海は。
神酒海と関係があったのはそこだけ」
フラット「月にも妖怪っていたんだ。日本だけだと
思ってたよ」
ケーベス「それよりも、エドだっけ?お前の永遠、
解放してやるよ。俺の能力だ、何度使っても、
俺の命は消えないしな。でも、その前に傷の手当てか。
スター、よろしく」
スター「で、でもそんなケガ、治したことないよ⁈」
ケーベス「大丈夫、俺も月の薬なら持ってる。
それを使ったらすぐに術を」
スター「う、うん...」
ケーベス「よし、スター。今だ」
スター「神業・治療!」
フラット「...もしかして、痛みとか感じないの?」
ノール「そうだろうな。だが、たしかに
人工だな。本物の不老不死は傷なんてすぐ治る」
クレア「でも、今まで隠し通してきた理由が
分からない。普通に言えばいいのに」
コータス「人間は同類がいないと秘密は明かせない。
それに永遠の命なんて信じてもらえるわけがない」
メダイ「殺せって言っても殺せないでしょ?
だけどケーベスがいたから言えた。永遠の命以上に
重い悩みなんてないから」
ケーベス「よし、傷も治ったな。フラット、
血液を増やしてくれ」
フラット「あ、分かった。ありがと、色々と
教えてくれて」
コータス「...でも、メダイだって10000年生きるのに」
メダイ「でも、終わりはあるよ。
あと1000年、だけど」
フラット「神業・分子増殖」
ケーベス「...そのぐらいだな。よし、解放するぞ。
永悩削除」
エド「...?で、消えたんすか?」
ケーベス「分からん」
エド「はぁ⁉︎」
ケーベス「死ななきゃ分かるわけないだろ?命の悩みは
初めて消したし、まだ生きれるだろ、お前は」
エド「たしかにそうっすね...でも、それなら
自分の命も解放されるんじゃー」
ケーベス「あぁ、できた。が、やめた」
ノール「やめたって...どうして?」
ケーベス「さっきも言った通り、この術は
使用者の命を削る。それを知らずに俺は
何度もこの術を使ってきた。時には普通なら
魂が消滅してもいいような悩みまで消した。
だから、きっと解放したら、俺はすぐに
消えてしまう。でもそれはまだだ。大切なやつらの
悩みを全部消せたら...消えようと思う」
メダイ「そう言い続けて、もう8000年は経ったよね」
フラット「フェッ⁉︎そんなに...一緒なの?」
コータス「俺は違うぞ、そんな長く妖怪でも
生きられない」
ノール「コータスはいいとしても...そういえば、
メダイはあと1000年って」
メダイ「うん、大体だけどね。私は人間、というより
新人が地球を支配する前からいたんだ。
果てしなかった時間を経て、爺様の力を
やっと超えられそうなんだ!」
クレア「...9000年か...俺達神族でも5000年が限度。
それを...越すのか」
ケーベス「?お前は神族じゃないだろ。75%は
たしかに神だけど」
クレア「はっ⁉︎俺が神族じゃない⁉︎いやいや、
親父もお袋も神族ー」
スター「ううん、スターのママは天使だったよ」
クレア「えっ...お袋が天使...?」
フラット「なんか恥ずかしいね、僕達に
俺は神だって言ってたの」
クレア「う、うっせい!」
ケーベス「それより、これで痛みも蘇ったと思うぞ。
とは言っても最初は鈍いだろうけど。
脳が必要のない信号だって勘違いしちまってるかも
しれないからな。てことで、一応」
エド「...くすぐっふぁいっふ〜!」
クレア「つねられてくすぐったいって...鈍すぎだろ」
コータス「あぁいうもんだ、人間の脳っていうのは。
時間が経ってしまえば命に関わる信号でさえ
無視してしまうこともある。でも、だからこそ
面白い。俺達、妖怪とは違うところがな」
メダイ「うん!人間って面白いよね!普通の生物の
中では頭も良くて寿命が長い。それに気づかずに
生きられてるんだもん」
フラット「バカにしてるでしょ」
ケーベス「多分、そんな気はないと思うぞ。
その2人、口が悪いからな」
エド「悪いって言うよりそれに気づいてないだけにも
思えるんすけど」
クレア「...あ、ていうより早く帰ろうや!イベント、
やるんだろ!」
フラット「忘れてた!準備中だったんだっけ!」
エド「そうっすね!帰るっす!」
フラット「で、こっちは終わったから、クレア達の方を
手伝うよ。ほら、貸して」
ノール「お前は働きすぎだ、休んでろ」
スター「そうだよ、スター達に任せてよ!兄ちゃんは
不器用だからいなくてもいいけど」
クレア「何を〜!俺だってできるってとこ、
見せてやる!フラット、お前の仕事、少しくれや!」
フラット「もう...いいよ、やらなくて。自分の仕事は
自分でやるから」
ケーベス「...そこは相変わらず、だな」
コータス「何で手伝われるのを嫌うんだよ?頼りに
したっていいじゃんか」
メダイ「そうそう、前から嫌いだよね」
フラット「いいから!ほら、やろ?」
ノール「何隠してる?分かるぞ、お前が
隠し事してるの」
フラット「気にしないでいいって、こればかりは
どうにもならないことだし...」
クレア「フラット...じゃあ皆で作業しようや!
フラットの方の作業はもう終わったんだろ?」
ノール「私もやるの?壊しても知らないよ?」
スター「壊れても直せばいいだけ!
でしょ、フラット!」
フラット「もう...お気楽なんだから。分かったよ、
皆でやろうか。それじゃ、開始!」
バトラー、僕達、きっと歩ける。きっと笑える。
バトラー、お前の一言のおかげで僕達がいる。
ありがとう、届かないけど、ありがとう。
3節 さよならとは言えなくて
ノール「あぁ...またやった」
フラット「ノール」
ノール「げっ、フラット...大丈夫、すぐにー」
フラット「作業、代わろっか?クレアの配役、
ちょっと無理があるから」
ノール「...お前、変なやつだな。手伝うのは
好きなくせに手伝われるのを嫌うって。相手に、
自分にとって嫌なことをしてもいいのか?」
フラット「ち、違うよ。手伝われるのが嫌い...
じゃなくて...僕は...ううん、何でもない!ほら、
貸してって!ジャンジャンやっちゃおう!」
ノール「...お前の方がお気楽そうだが...
その方がお前らしいか」
フラット「えっと...これはこうなって、と。
あれ、ここの部品は?」
ノール「あれだよ。はい、ごめんね、
手伝わせちゃって」
フラット「別にこれぐらい、どうってことないよ。
それより、まずはノールが立ち直ってくれて
良かったよ」
ノール「立ち直ったわけじゃないけど...まぁ、
気づかせてくれたから」
フラット「...あのさ、ノールってバトラーのこと、
好きだったでしょ?」
ノール「はっ⁉︎な、何言ってんだ⁉︎」
フラット「何となく、ね。だって、なんだかんだ言って
一緒にいたし、何だろ...本気で話してるっていうか、
楽しんで話せてるように見えたから」
ノール「うっ...たしかに好きだったかも。だって、
私が変われたのはアイツの言葉があったからだし...」
フラット「それが普通だよ。バトラーを嫌う人なんて
いないと思う。良かった、ノールが正直に
言ってくれて。よし、修理終わり!ノールは皆のとこで
作業してて!僕もすぐ終わらせちゃうから!」
ノール「分かった、無理しないで!」
フラット「...無理、か」
クレア「お、こっちは終わりそうだな」
スター「でも、まだ売物整理が終わってなくて...」
メダイ「ちょ、このパンフレット、全部落丁してる!」
ケーベス「うわっ、この量全部かよ⁉︎」
コータス「これは...今からやって何とか間に合うか
どうかだぞ...」
ノール「あれ...どうした?迷いごとか?」
クレア「実はな、パンフレット全部が落丁しててさ...
そうだ!フラットなら直せるだろ!」
コータス「えっ...この量だぞ?」
クレア「どうせアイツ、全部やるからいいとか
言いそうだし?いいだろ」
ケーベス「...俺はやっとく。1人で出来ると言っても
任せっきりは性に合わない」
メダイ「ケーベスがやるなら私も。ね、コータス、
一緒にやろ?」
ノール「私もやる。神力は戻ってないけど...」
コータス「なら俺も。手先は器用な方だしな、
ノールはとりあえず用具の手入れを頼む」
スター「えっ、ダメだよ!ノールはー」
コータス「だからだ。神力が使えないうちに
作るという行為をしないとな」
ケーベス「おい、神力に慣れるのは妖力とわけが
違うんだぞ。時間がー」
ノール「時間...私、そんなに信用されてない?」
ケーベス「いや、別にそんなことはー」
フラット「そんなことないよ、ノールは頑張ってる。
ていうか、何勝手に配役決めてんの?」
クレア「フラット、丁度良かった!
このパンフレット全部落丁してんだ、直せるか?」
フラット「あ、それなら任せて!やっとくから、
じゃあノールとクレアは休憩でいいよ。
あとの5人は用具の手入れやって」
ケーベス「手入れに5人もいらんだろ。メダイと
コータスの2人も落丁の手入れでいいだろ?」
フラット「いいよ、手伝いは。僕1人で十分」
コータス「いや、新入りに仕事くれよ」
メダイ「そうそう!私達、右も左も分からないから
色々教えてほしいなぁ」
フラット「それもそっか...しょうがない、
じゃあ手伝って」
メダイ「ふふ、ありがとう!」
ケーベス「...流石メダイ、上手いことやるな」
エド「違和感なくやれてたっす…」
ノール「...で、私はどうすればいいの?」
ケーベス「休むよう言われただろ。お前達なりに
休んでればいい」
クレア「...だったら、用具の手入れでもするか」
スター「そうだね、それが兄ちゃんらしいけど...
不器用だからいいって」
ノール「そうだな、お前はいい」
クレア「そういうお前だって物壊すくせに!」
ノール「何をぉ‼︎」
クレア「お、やる気か?」
スター「ストップ、ストォォォォォップ!怒られても
知らないよ?」
ケーベス「いつもこんな感じなのか?」
スター「そうだよ!フラットが皆を変えたんだ!
ノールも前はあんな明るくなかったし、兄ちゃんも
前より正直になったし...」
ケーベス「そうか、フラットも変わったな」
クレア「?お前、フラットと知り合いだったな。
どんな感じだったか教えてくれるか?」
ケーベス「やだよ。今のアイツ見てたら、
あんな過去、話す気にもならんし」
ノール「クレア、何聞いてんだ。知ってるだろ?
フラットはあんな...私達以上の過去を背負って
生きようと...」
ケーベス「そんな感じには見えないけどな。
まっ、俺を試したんだろ?気遣えるかどうか」
クレア「あぁ、どうやら合格だ。悪かった、試すような
真似して。だが、今のアイツは無理してるのは
たしかだからな」
ケーベス「そのぐらいは分かってる。だが、俺は
手助けしないぞ。恩があるお前達がやるべきことだ」
ノール「それぐらい承知の上だ。フラットが何を
言おうが、勝手にやらせてもらう」
スター「それはそれでダメな気がするけど...」
ケーベス「で?結局どうするんだ?フラットのことは」
ノール「勿論支える。それが恩返しだから」
クレア「それに、フォールとスラリアを救うんだ。
あの調子でどうする?」
スター「そうだよ!絶対、連れて帰ってこようね!」
ケーベス「よし、なら始めが肝心だ!失敗したって
始められればいい!」
クレア「よし、行くぞ!」
全員「おーっ!」
フラット「落丁っていっても、3人も欲しかったかな?
まぁ、いいか。どうそっちは?」
コータス「完璧だ!終わりそうだぞ!」
メダイ「案外楽しいんだね!」
フラット「…そっか、なら良かった」
コータス「他に仕事はあるか?」
フラット「へ、もうないよ!今日は
デスクワークだけだしもう終わらせちゃったよ」
メダイ「えー、ないの〜?」
フラット「…だって…いないんだもん。皆いないから…
仕事が少ないんだよ!」
コータス「…じゃあ!俺達に仕事くれよ!」
フラット「えっ、だって整備課の仕事だって!」
コータス「あんなの俺達にかかれば楽勝だ!」
メダイ「そうそう!コータスとケーベスにかかれば
一瞬で片づいちゃうもんね!」
フラット「…でも…流石にキツいと思うけど…」
メダイ「フラット!皆を連れて帰るんでしょ?
だったら、私達を頼ってよ!折角再会を
果たしたわけだし、ね!」
コータス「理由になってないぞ、メダイ」
フラット「分かったよ、そこまで言うなら止めないよ。
さーて、仕事もひと段落ついたし、ここでー」
エド「仕事終わったんすね!それじゃ、
昼食に行くっす!」
スター「スター、お腹すいちゃった!」
ノール「私も。キルユウも誘っていい?」
フラット「じゃあ、ダバンゴ達も誘って、ワイワイしながら!」
クレア「そうだな!」
ペーター「楽しそうだね。でも、まだ忘れてるだろ?おい、早く来い!」
ベングル「ちょ、ちょっと待ってくれ!靴紐がパイプに
絡まって…うわっ!」
ガッシャーン!
ダンステード「だ、大丈夫かいな?」
ベングル「あ、あぁ…ってて」
ケーベス「ああっ!おい!宇宙船のパーツが!」
コータス「ウッソだろ⁉︎」
ノール「…フフッ!バカ虎二代目みたい!」
フラット「たしかに!あ、それであとは
ダバンゴとライか」
ダバンゴ「ん?呼んだか親分?」
ライ「皆がここに集まっていると聞いて
馳せ参じたでござる。拙者達の名を口にしていたのは
何故でござるか?」
フラット「あ、2人も来た。昼食に誘おうと思ってね。
これで全員かな。それじゃ、キルユウを誘って行こうか!」
キルユウ「さてと昼食にするか」
フラット「おーい、昼食に行こうよ!」
ノール「早くしろ!折角のお誘いなんだ。フラットの奢りだ」
フラット「は⁉︎ノール!そんなこと言ってないよ!」
ノール「ふふ、冗談だよ」
クレア「仲良いな、お前ら」
スター「羨ましいなぁ」
フラット「ちょ、茶化さないでよ!」
クレア「アッハハ、からかいがいのあるやつだよなぁ、
お前は!」
ダバンゴ「それより早く行こうぜ〜、腹と背中が
くっつきそうだ!」
ライ「急かすのは失礼でござる。急がば回れ、
この時間に行っても混んでて待つだけでござる」
ダバンゴ「ぐっ、お前は気が長いからいいよな」
ケーベス「どこ行くか?この人数じゃ好みも
バラバラだぞ」
メダイ「バイキングとかならいいと思うけど…」
コータス「お、なら俺に任せとけ!えっとな…
あったぞ!結構近くにある!」
エド「そこはいつも行ってるとこっすね。最近は
行けてなかったっすけど」
ダンステード「そこって…わいが毒魚
食ったとこやないか!」
エド「あー、そんなこともあったっすね」
ベングル「あそこは行ったことねぇな。ていうか、
大丈夫か?毒魚食わせるって」
エド「あれは初心者に調理させたからっすよ」
フラット「連れてきたよ!行こう」
ノール「じゃ、奢ってねフラット」
フラット「だから自分達で出してって!全員の代金は
流石に無理だから!」
ペーター「あ、俺はいいよ。昼食は
持ってきちゃったし」
フラット「あー、そっか。ペーターさんはいつも
弁当ですもんね」
ベングル「あれ、そういやグリオ見てねぇな。
ま、アイツはいかねぇか」
ダンステード「まぁ、魚を食わなきゃええ話やな。
よっしゃ、わいも行くで!」
ノール「それじゃ、レッツゴーだな」
クレア「ノールの口からレッツゴー…違和感だ」
ノール「いいから行くぞ」
ダバンゴ「お、これも美味そうだな!」
ライ「ダバンゴ殿、取りすぎでござる!そんなに
腹に入るでござるか⁈」
ダバンゴ「いちいちうっせぇなぁ、俺の腹は
地球人とは違うのよ!」
ライ「そうでござるか」
フラット「うん、やっぱりこうでしょ!」
ノール「お皿真っ赤…火星料理って激辛なのに、
よく食べられるよね」
フラット「えへへへ」
ノール「いや、褒めてないし」
クレア「お、月フェア!月見団子に…みたらしだろ!
お?冷凍コーラスか!これ合うんだよなぁ!」
スター「兄ちゃん、はしゃぎすぎ!恥ずかしいなぁ」
クレア「ん?お前の皿、可愛いな!」
コータス「あ、本当だ。俺とは大違いだな。
お前も見習えよ、メダイ。スターの方が、女らしいぞ」
メダイ「ひど〜い!私だってちゃんと
デコレーションしてるのにー!」
ケーベス「デコレーション…は合ってるが…
ハンバーグにチョコソース?」
メダイ「意外に合うよ?」
ベングル「あ、それ分かるぞ!脂っこいのに
甘いのつけると美味いよな!」
メダイ「そうそう!分かるよね!」
コータス「コイツら舌おかしいんじゃないか?」
ダンステード「せやな。ハンバーグの旨味が
勿体無いで。信じられんわ」
ノール「キルユウ、酒ばっか持ってこうとしないで。
午後も仕事はあるんだからさ!」
キルユウ「そういうお前だって酒を―」
ノール「?これ、ジンジャエールだけど」
キルユウ「…ややっこしい!」
ノール「もう、怒られてもしらないから」
キルユウ「今日ぐらいは飲んだって大丈夫だっての」
数分後―
フラット「よいしょっと」
タクマ「?あ!デ・ロワー全員集合か?」
ヒナ「うわぁ、四大の人達で一杯!」
フラット「全員で食事会なんだ。2人も一緒にどう?」
ヒナ「それじゃ、おじゃまするね」
タクマ「それで全員じゃねぇだろ?あれ、ノール?」
ノール「っ!」
タクマに呼ばれて、ノールは驚いた。自分が罪人と
見られているのではないかという不安にかられた。
ヒナ「大丈夫、分かってるから。ゼウス様が
話してくれたんだ」
ノール「ゼウス様が?」
タクマ「魔族の活発化、だろ?ナックラーのことは…
本当にショックだな」
ヒナ「大学も寂しくなっちゃうね」
フラット「うん…でもね!別れあれば出逢いある!
それが分かったんだ!ね!」
ケーベス「あぁ、そうかもな」
コータス「偶然ではないがな」
メダイ「でも、フラットにまた会えて嬉しい!」
フラット「えっ…」
ヒナ「お、愛されてるじゃん!」
フラット「いやいや、えっ、何で⁈」
メダイ「今のフラットなら大好き!」
フラット「ちょ、どゆこと⁉︎」
タクマ「お前って、誰からも愛されるよな」
ノール「俳優もそういう職業のような気がするけど」
タクマ「俳優として愛されるのとは訳が違う」
クレア「にしても、ゼウス様は勘づくのが早いな」
ダバンゴ「そりゃそうだろ。地球1のファイター企業の
トップだ。情報網も地球1に決まってるだろ」
ベングル「お、やっぱりハンバーガーホイップサンドは
美味いな!メダイ、そのチョコハンバーグも
一口くれよ!」
ヒナ「えっ…ちょ、なんか今、宇宙が聞こえたよ?」
タクマ「異次元料理でも作ってたのか?」
フラット「気にしないで!ちょっと独特なだけだから」
ヒナ「独特…?」
コータス「独特というより、毒毒だよ」
ケーベス「言えてるな」
ライ「で、ダバンゴ殿。箸が止まってるでござるよ?
まさか、限界なんて申さぬでござるよな?」
ダバンゴ「ギク!な、な訳ないだろ?」
ダンステード「あの量を食えるのは虎君だけやろ。
ダバ君には無理やと思うなぁ」
ダバンゴ「ダンステード!ダバ君と呼ぶなと言ってるだろうが!」
ヒナ「まぁまぁ、ダバ君!」
ダバンゴ「ヒナ!テメェらおちょくってるだろ!」
ライ「はぁ、拙者が食べておくでござる」
タクマ「うわっ、フラットの辛そ!
こんなの食えるのか?」
フラット「うん、食べてみる?」
タクマ「いや、遠慮しとく。俺が食ったら体温上がる」
ノール「キルユウ、もっと取ってくれば?」
バルシア「そうだそうだ〜、取ってこいよ〜!」
キルユウ「ノール、これで酔ってないと?」
ノール「…これ、ノンアルコール…じゃない。
バルシア〜!」
バルシア「バレちった!てへっ!」
キルユウ「おえっ!」
ノール「ちょっと…気持ち悪い」
ヒナ「ケーベス君のお皿キレーイ!ちょっと、
写真撮っていい⁈これネットに載せたら映えるよ!」
ケーベス「は、映える?」
コータス「いい感じの写真…って感じかな?
スターの方が綺麗だと思うけど」
スター「えっ…いやそんなことないよ。いつも通り」
ヒナ「スターちゃんのは、何回も載せてるから
新鮮味のある写真が欲しいんだ!」
ケーベス「まぁ、いいとも。はい」
ヒナ「ありがとう!それじゃ、カシャっと!」
ダンステード「それより…えーっと…誰やったっけ?」
タクマ「タクマです!自己紹介も3回目ですけど!」
ダンステード「あー!そうやったな!わい、
名前覚えんの、ホンマに苦手やさかい」
タクマ「はぁ…」
ダンステード「あ、それでや。最近どうや?」
タクマ「最近って?」
ダンステード「実はな…君達を四大・地の正社員に
指名したいんや。どや?」
タクマ「えっ…四大…⁈それに達って!」
ヒナ「私もですか⁈」
ダンステード「せや!どうや?」
タクマ「もちろんです!いいんですか⁈」
ヒナ「ちょっとタクマ、どっちなの!」
ダンステード「ハハハ、そう焦らんとも大丈夫やで。
時間はあるさかい」
タクマ「いや、やらせてもらいます!」
ヒナ「ちょ、そんな大声で言わないでよ!」
フラット「アッハハ、大騒ぎだね」
ノール「あれ、私達はどこの四大に属してるんだ?」
ベングル「君達はゼウス様からのスカウトだっただろ?
ゼウス様から聞かされてないのか?」
フラット「はい、特に何も」
ベングル「じゃあ、もしかしたら新グループでも
作ってくれるんじゃないか?」
クレア「新グループ?」
ベングル「今までなかった区分のグループのことだぜ!
俺達火も、他のとこもゼウス様が作ったんだ!」
ダバンゴ「にしても、何で俺様が長を任されたんだ?」
ライ「拙者も、そこには納得がいってないでござる」
ダバンゴ「だろ?若い連中に任せる理由が分からん」
ダンステード「わいは若くないなぁ。おっさんや」
ベングル「自虐ネタかますなぁ。お、やっべ!
時間ねぇ!急いで食うぞ!」
フラット「嘘っ、もう13:30なっちゃう!」
クレア「はぁ⁉︎おい、仕事開始時間って!」
スター「13:35!まだこんなに残ってるのに!」
ノール「これは全員まとめて説教だな」
キルユウ「バルシア、寝るなぁ!」
バルシア「ムにゃ…?」
フラット「カオスだ…っハハ」
フラット「すみませーん!遅れました…ってあれ?」
ノール「いない…?」
クレア「お、写真があるぞ?これは…?誰だ?」
スター「うわぁ、キレイな人」
クレア「でもこの格好…第五世界の…?」
ノール「あぁ、たしかに」
フラット「…この人、どっかで…?」
ペーター「あ!何勝手に見ているんだ⁈」
クレア「あ、ごめんなさい!置いてあったので…」
ペーター「これは…大切な写真だ」
クレア「課長のお袋とか?」
ペーター「いや、俺のじゃない。俺の友達のだ」
ノール「…年齢と合わないが…まぁ、いいか」
ペーター「それより、君達、遅刻したね。
仕事増やそうかな」
フラット「あれ、そういえば四大の人達は?」
ノール「それなら中庭だ。スピカと戯れてるぞ」
フラット「えっ、見てみたい!」
クレア「おい、仕事増えたんだぞ。そんな暇ないって」
フラット「だよねー…あ!それでイベント!
まだ申請書類作ってないじゃん!」
ノール「じゃ、作るか。でも…私は出られないか」
クレア「大丈夫!売店でファンと話せる!」
ノール「…ファン…残ってくれてるわけー」
フラット「残ってるよ!一般人には嘘の情報を
流してるから」
ノール「…?」
フラット「ノール達は魔族のふりをして、魔族の動きを
調査していますってね」
ノール「信じてくれてるのか?」
フラット「ノールとの戦いの時、アカデミーだけに
中継流したから」
ノール「…ありがとう」
クレア「さーて、じゃ、作るか!」
エド「そうっすね!すぐに作っちゃおうっす!」
ダバンゴ「ふぃー、腹一杯だー!」
ライ「ダバンゴ殿、拙者に感謝するでござるよ!
こんな腹を膨らませたのは初めてでござる」
ダンステード「でも、このワンコロかわええなぁ!
家で飼いたいわぁ」
ベングル「お前らよく触れるな…怖い…」
ライ「ベングル殿は種族的に拒否反応を
引き起こすのでござるか」
ダバンゴ「こんな愛らしい動物がこえぇって、
可愛いなぁ」
フラット「皆さーん!」
ダンステード「おう、フルード君!」
フラット「フラットです!それより、
イベントどうです?」
ダバンゴ「どこでやるんだ?」
フラット「熱海。どう?」
ダンステード「この時期の熱海はええなぁ!温泉で
のんびりできるやないか!」
ベングル「お、温泉か!よっしゃあ!」
ライ「温泉はいいのでござるか。面白いやつでござる」
ダバンゴ「熱い水は苦手なんだが…」
フラット「水風呂もあるよ」
ダバンゴ「よし、行く!」
フラット「単純…あ、でイベント申請書類作らないと
いけないのでオフィスに来てくれますか?」
ライ「手書きでも良いでござるか?拙者、機械は
苦手でござる」
フラット「もちろん!じゃあ来てください!」
クレア「おせぇなぁ。早く来てくれぇ…
パソコン煙出てるから〜」
フラット「ただいま〜、ってわ⁉︎パソコン、
どうしたの⁈」
ペーター「いや、急に爆発してね。
熱も持っていなかったのに…」
フラット「とりあえず、神業・凝固!」
ジュウ〜…
フラット「よし、で…どうします?買い直すしか」
ペーター「そうだね。仕方ない、
バジーに直してもらうか」
フラット「えっ、でもバジーは今、バトラーのお墓を
設置していますけど…」
ペーター「あっ、そうだったね……」
フラット「?」
ダンステード「そういやピーターちゃん、虎君の
ファイター離脱届け、出してへんやん。
早よ出してくれとゼウス様も言っとったで」
ノール「え、出してなかったの⁈」
クレア「珍しいな、課長が出し遅れるなんて」
スター「怒られちゃうよ!」
ペーター「…すっかり忘れてたよ。明日には出せるから
安心してくれ」
ダンステード「それなら安心や。にしても
危なかったわ〜、言い忘れるとこだったで」
ペーター「……」
フラット「ペーターさん?」
ペーター「はぁ」
フラット「ペーターさん、お疲れ様です。
コーヒー持ってきました」
ペーター「フラット君、ありがとう。ミルク多めだね」
フラット「僕の好みですけど…大丈夫ですか?
バトラーは苦いって言ってましたけど」
ペーター「ノンシュガーかい?ちょうど良いよ、
眠かったからね」
フラット「クマできてますもんね。ちゃんと寝ないと
健康に悪いですよ」
ペーター「…あぁ、そうだね」
フラット「…あの…無理だけはしないでくださいね。
では、今日は僕も帰りますね。失礼します」
ペーター「…無理…か。カナリア、
君の言ってた通りだ。フラット君は優しい子だよ。
罪なほどな」
最終節 エド覚醒‼︎
フラット「おっはよーう!」
エド「朝から騒々しいっすね…あ!俺大学っす!
急がないとっす!」
フラット「あ!ワックスかけたばっかだからー」
エド「わっ、ワァァー!」
クレア「イッテェー」
スター「朝から何してんの?」
クレア「階段から落ちただけだ!」
スター「また怪我しなくて良かったね」
クレア「そうだな…よっと。それじゃ、朝食だ」
スター「あ、スターはデ・ロワー行かないと」
クレア「あ、そうか。今日から学校だったな!
頑張ってこいよ」
スター「うん!行ってきまーす!」
クレア「いってら―って制服!お前パジャマ!」
スター「?あぁ!ま、待って、今戻―って、あっ!」
フラット「大丈夫?」
エド「ん…あ!あれ…?」
フラット「銀大まで送ったから、
後は自分で行けるよね?」
エド「あれ…俺転んだはずじゃ?」
フラット「うん、だから気を失ってるうちにバイクで」
エド「え〜!100キロ越えバイク、
乗ってみたかったっす〜」
フラット「別にそんな飛ばしてないよ」
エド「なら良いっすけど。じゃ、行ってくるっす!」
フラット「うん、行ってらっしゃい!」
ノール「おはよう…ってどうしたクレア?
ものすごい負のオーラ全開だぞ?」
クレア「いや…スターをおんぶして保健室のある
5階までエレベーター使ったんだよ。そしたら、
小学生に見られてからかわれてさ。冷や汗かいたわ」
ノール「あー…どんまい」
クレア「子供は好きだが、からかわれるのには
慣れてなくてさ、もう最悪」
ペーター「君達は朝から元気だね。エド君は大学だから
今日は遅いが…フラット君、遅いな…」
フラット「ハァ、ハァ…何でエレベーター
止まってんの?ていうか、非常停止って
表示されてたな…31階だったけど…ってここか。
ん?あれ、着いてはいる…開かなくなった?」
ギギギギ
スター「…あ!」
フラット「スター⁉︎大丈夫⁉︎ていうか…えーっと…」
スター「怖かったー!」
フラット「いや、スターなら抜けれたでしょ⁈」
スター「…あ、そうだった」
フラット「何かした?」
スター「開けるボタンと間違って
停止ボタン押しちゃって…」
フラット「えっ、でもあれってカバーされてるはず…」
スター「カバー?何もなかったよ?」
フラット「…たしかに…誰かが悪戯でもしたのかな。
そういえば、社員用のエレベーターが一台も
空いてなかったけど…不思議だな…」
サマエル「やはり俺がくると嫌なことが起こるな…」
フラット「すみません!色々あって遅れました!」
ノール「色々って…」
フラット「エドが転んで気を失って銀大まで送ってから
こっちに来たらエレベーター全台使われてて、一台は
緊急停止してて開けたらスターがいてって、
朝から大変でした〜!」
クレア「えっ、スターが緊急停止⁉︎」
ノール「少し落ち着け、日本語不足で意味不明だ」
フラット「ど、どうかしたの?」
クレア「アイツ、朝転んで…ていうか、俺も転んで、
エドも転んだのか⁈」
フラット「うん…僕は転ばなかったけど」
ノール「私も、朝転んだ。誰かがポイ捨てした空き缶を
踏んづけてすっ転んで、おかげで腕にすり傷」
フラット「えっ…これって…」
ペーター「シンクロニシティとも言われる現象かもね。
何か起こる前触れにならないといいが」
ノール「フラットも気をつけたほうがいいぞ」
フラット「う、うん」
広報「浅草にアリジゴク出現!数は3。デ・ロワーは
出撃してください!」
ペーター「魔族じゃないか。よし、出撃だ!」
ノール「私はカメラだけど…頑張ろう!」
クレア「2人しかいねぇけど、頑張ろうや!」
フラット「うん、デ・ロワーしゅつげー」
「ちょっと待って!」
フラット「?」
メダイ「私、私もいるから!」
フラット「あ、ごめん!それじゃ、気を取り直して!
デ・ロワー、出撃!」
全員「了解!」
サマエル「…何でこうなるかな」
アリジゴク「ギュルル…!」
サマエル「やっぱ疫病神なのか?」
フラット「いた!アリジゴク!」
サマエル「?あ、そうか。ちょうどいいのか。
アザゼル、仇は取る!」
ノール「中継開始!」
クレア「よし!まずは普通に行こうや!」
フラット「OK!」
メダイ「えっ、普通にって…!」
フラット「あ、メダイはあれでいいよ」
メダイ「だよね!神業・龍変化!」
フラット「じゃ、こっちも!」
クレア「うっわ!えっ、これメダイ⁉︎」
フラット「メダイは龍神だからね!
これが本当の姿ってやつ!」
クレア「に、にしても図体デカイな…」
メダイ「グル⁉︎」
クレア「えっ…」
ノール「女にむかって図体デカいって…最低だな」
クレア「あ、いや、えーっと…」
フラット「あ、って集中!」
クレア「おっと、そうだった!」
フラット「第一審判『炎』術・『永久黒炎結界』!」
クレア「第一突風『炎』術・『四方爆破之矢』!」
アリジゴク「ギュゥゥゥ…」
メダイ「ガル!」
(第一伊吹『零』術・『
アリジゴク「ギギュ!ギュギュ!ギュー…」
クレア「ふぅ、楽だったな」
メダイ「さーて…クレア?図体デカくてごめんね?」
フラット「僕知〜らない」
ノール「帰ってよ。無理に絡む必要はない」
フラット「そうだね、帰ろ」
クレア「置いてくなって!」 グイッ!
フラット「うわっ!」
ノール「あ、フラットも転んだ」
メダイ「えっ、何、皆して…私?」
クレア「お前、今日転んだか?」
メダイ「えっ?ケーベス達は転んだけど?」
フラット「やっぱり…」
クレア「課長が言ってたように…」
ノール「シンクロニシティだ」
メダイ「?」
サマエル「うーん…面白くない。何かないか?」
エド「あ、何だ、もう倒し終えたんすね」
フラット「あ、エド!」
サマエル「…?お、アイツ!いい過去、
持ってるじゃねぇか!使えるものは使ってくれる!
見てろよ…アザゼルの仇、そして俺の力!」
フラット「圧勝だったね!」
ノール「そりゃ、特級未満だったしな。だが…」
クレア「…」
ノール「死んでる奴もいるが」
メダイ「全く、レディに対して失礼!」
フラット「いや、メダイってもうー」
メダイ「フラット?」
フラット「冗談だよ冗談。で、どうしよっかな?
暇だ〜!」
エド「さっきの広報、講義終了ギリギリで
良かったっす…でも、遅れたとこは誰かに
聞かないとっす!」
サマエル「いた…魔術・操り人形」
エド「…?」
サマエル「さぁ、その幸せを俺が奪い取ってくれる!」
エド「気のせいっすか…?あれ…俺何で大学に?
か、帰るっす!」
フラット「ふわぁ〜、することない」
クレア「だな」
エド「ただいまっす」
ノール「お、おかえり…?あれ、大学は⁈」
フラット「まだあるはずじゃん!どうかしたの?
調子悪い?」
エド「別に、何でもないっす」
フラット「…?」
ペーター「おい、この感じのエド君って…」
フラット「ノールが来る前の…へ⁉︎」
クレア「おいおい、何だよ急に。どうした?」
エド「気軽に話すなっす」
フラット「いや…僕が会う時より酷い」
ペーター「俺とナックラーが会った時ぐらいだな」
ノール「…ん⁉︎おい、魔力だ!」
フラット「へ⁉︎」
ノール「微かにだが、エドに魔力を感じる。まさか、
魔族に操られてる…?」
フラット「マズい…スターでどうにかなる?」
ノール「分からない。無理に解除するよりかは
元を倒すのが良いと思うぞ」
フラット「それもそうだよね…でも…元って?」
クレア「そういうのを辿る装置、あるだろ?」
フラット「あ!」
ノール「ありそう?」
フラット「エドの魔力がこの黒点だよね?でさ、
このうっすいけど、黒い筋が見えてるんだ。
これをなぞると…スカイツリーの真上!」
クレア「まさか敵も、こんな装置があるとは
知らないだろうな」
ノール「…どうやら、スラリアもフォールも、
こっちのこと何も話してないみたいだな」
クレア「あぁ、こっちのことを何も知らないとはな」
フラット「罠かもしれないけど…とりあえず
行ってみよう!」
サマエル「アッハハ!絶好調!面白い!」
フラット「何が、絶好調だって?」
サマエル「はぁ⁉︎何故この場所が⁉︎」
クレア「風から聞いたのさ!俺の力だぞ!」
メダイ「さぁ、観念して素直にー」
サマエル「良いのか?俺を倒す、か。ハッハハ!
出来ると思ってるのか?」
フラット「出来ないなんて答えは僕は出さないよ!
さ、本気でいくよ!天魔石!」
クレア「全力でいかせてもらう!天魔石!」
メダイ「神業・龍変化!」
サマエル「魔術・心操!」
フラット「神業・正裁!」
クレア「ナイス!突風・水切之旋風・爽!」
サマエル「何⁉︎魔術・
クレア「な⁉︎術が跳ね返され⁉︎」
メダイ「ギャオーウ!」
(第一伊吹『零』術・『氷柱槍』!」
サマエル「くそ、庇われた⁉︎」
ノール「エド、どうだ?」
エド「…アイツ、悪者っすか?」
ノール「そうだ。正義ではない」
エド「そうっすか…戦闘モード起動っす!」
ノール「エド⁉︎勝手にいくな!」
フラット「えっ⁉︎」
エド「第一鉄拳『光』術・『金剛百裂拳』!」
サマエル「ん?痛くも痒くもないぞ」
エド「なっ⁉︎」
フラット「クレア!援護お願い!」
クレア「援護⁉︎どうする気だ⁈」
フラット「エドを助ける!」
クレア「了解だ!」
フラット「メダイ、力貸して!」
メダイ「グル!」
サマエル「無駄だ!エドとやら、お前の過去を
全て我が物にする!最高魔術・アイデンティティオペレート!」
エド「ぐっ…グルル…!」
フラット「えっ⁉︎これって…まさか!」
クレア「マズイ…ショック状態だ!くそ、
スターがいれば!」
フラット「これじゃ…攻撃できない!」
エド「ガルル…!ガウ!」
フラット「うわっ!どうすれば良い⁉︎できないよ…!
だって…友達だもん!」
サマエル「ハハッ!友達?ソイツが?仲間を
傷つけようとするやつを、友達?」
クレア「…!お前がそうさしてんだろ!」
サマエル「っ⁉︎面白い、やれ!」
エド「ギャウ!」
フラット「⁉︎言いなり…!」
メダイ「グゥ!」
フラット「メダイ…?」
メダイ(フラット、大丈夫!今のフラットなら!)
フラット「…メダイ…分かった、やってみる!」
クレア「おいフラット!」
エド「ガルルル…!グギャ!」
フラット「神業・束縛!」
エド「グゥ⁉︎」
フラット「あの時とは…違う。もしこれが
エドの過去なら…きっと求めてる答えは…」
エド「グルル…!」
フラット「神業、解除!」
エド「ガルっ!」
クレア「危ねぇ!」
フラット「見せてよ!エドなりの正義!」
エド「ギャウ!」
エドはフラットの顔面を思い切り殴る。勢いにのまれ
そのまま地面を滑っていく。
クレア「フラット⁉︎おい、大丈夫か⁉︎」
フラット「ってて…全然大丈夫!さぁ、エド!
もっと見せてみろ!」
エド「……グッ」
サマエル「?おい、どうした!早く行け!
我の命に従え!」
エド「ガルル……」
フラット「ほら、どうした⁉︎そんなものか、
お前の正義は!正義っていうのは!」
ナックル「正義って言うのはな、フラット」
フラット「正義っていうのは…」
ナックル「自分が正しいと思ったことを貫く」
フラット「だけじゃないんだ!」
エド「!」
フラット「他人と力を合わせて、より笑い合える瞬間を
作れる力のことなんだ!」
エド「…!」
ナックル「エド、お前の正義は正義だ。だがな、
それだけじゃねぇ!他のやつらとも協力して、
もっとおもしれぇ日を作れる力のことなんだぜ!」
エド「…ナックラーさん…!」
(俺は……俺の正義は…!フラット達といられる日々を
守り続ける力っす!)
サマエル「何だと⁉︎糸が…切れる⁉︎ありえん!
こんなのありえない!」
エド「俺は…忘れないっす!フラットが…
ナックラーさんがくれた幸せを!俺は……
やっと見つけたっす!ずっと…ずっとこの毎日を
笑って過ごしていたいっす!」
無機質な声「強い
天魔石、共鳴可能。願望をインストールしますか?」
フラット「これって…覚醒⁉︎エド…!
やっと見つけたんだ!バトラー、エドの初舞台、
見守っててよ!承認!」
エド「!この光は…!」
フラット「エド!僕が叶えるよ!約束したから!」
サマエル「貴様ら〜!もはやどうでもいい!
友情など、裏切りにうってつけの道具に過ぎん!
アザゼルの仇は、我が自らとってくれる!」
クレア「言ってくれるな。だがな、友達ってのは、
時には裏切るもんだ!裏切っても、裏切られたやつが
許すかどうかで先の展開は変わる。お前の賭けは
失敗ってわけだ!」
フラット「それに、友情は道具なんかじゃない!
お互いの心を繋ぐ、誰もが持ってる手なんだ!
サマエル!お前は人の触れてはいけない傷をえぐった!
その罪を…僕達2人で罰するよ!エド!」
エド「はいっす!」
サマエル「ほざけ!世の中キレイゴトで
片付くと思ったら大間違いだ!条理とやらを
見せてくれる!魔術・リピートペイン!」
エド「見えるっす…俺の正義に反する道が!
フラット、こっちっす!」
フラット「うわっと!」
サマエル「なんだと⁉︎」
エド「今の俺の目には、全てがお見通しっす!
憧れた光はずっとここにあるっす!だから…!
俺はもう曲げたりしないっす!」
フラット「そう!間違ったら僕達が正す!それが、
僕達の正義なんだ!」
エド「拳に全てを捧げるっす…俺の思いも、痛みも、
そして正義も!」
フラット「応えて、グラディウス…僕の法へ導く光を!」
フラット&エド「悪を断ち、正に導く!
正義審判・無限革命武槍!」
サマエル「なっ⁉︎グワァァァァ!」
フラット「ふぅ…」
エド「……」
サマエル「ま、まさか…我が負けるとは…!」
?「……」ザッ、ザッ、ザッ
サマエル「申し訳ありません、サタン様…!
お、お待ちください!まだ機会を!
まだアザゼルのように負けたわけでは!
必ずや倒します!」
サタン「…必ずだ。いいな?」
サマエル「はい…ご期待に添えられず申し訳ありません」
サタン(誰も最初から貴様などに期待してはいないわ)
フラット「あ…逃がしたか」
クレア「ちっ、あの距離じゃ、俺の矢も届かねぇな」
メダイ「プハ〜、暑かった〜!頑張ってたじゃん、
フラット!」
フラット「いや、メダイが勇気づけてくれなかったら
飛び出せなかったよ。ありがと」
メダイ「えへ、どういたしまして!」
ノール「おい、早く帰って来いって!」
フラット「あ、帰ったらアレでしょ?」
クレア「お、そうだな!」
フラット「てことで!ほらエド、早く早く…?」
エド「……ごめんなさいっす…俺が油断したばかりに、
こんなことに巻き込ませたっす…ごめんなさいっす!」
フラット「…」
クレア「…ったく」
メダイ「何も分かってない!」
ノール「フラット、教えてやれ」
フラット「エド、そうじゃないよ。謝んなくていい。
さっき、エド自分で言ってたじゃん!曲げないって!
エドは、笑ってればいいんでしょ?だったら、
謝んなくていい!だって、何があっても、
僕達はエドの友達だから!」
エド「…そうっすね!」
クレア「ずっと、笑っててやるよ。約束だ」
エド「はいっす!」
フラット「それじゃ、帰ろっか!」
全員「了解!」
ペーター「帰ってきたか」
フラット「はい!」
ペーター「え〜……」
バジー「ナックル様のお墓、できましたわ。
フラット様の要求通り、贈り物入れもついていますわ。
それと、ナックル様のー」
ペーター「あ、いや、それは俺が言うよ。ナックラー…
じゃないな、この度、ナックル・バトラー隊員の
死亡脱退が、アカデミーが承知した。今日にて、
ナックル・バトラー隊員は、正式に脱退が決まった」
フラット「…はい、了解しました。それじゃ!
アレ、やろっか!」
クレア「賛成!」
ノール「あ、私はいい。カメラしかやってなかったから」
メダイ「ダーメ!仲間なんだから入って入って!」
ペーター「君達…」
フラット「いつまでもクヨクヨしてたらバトラーに
怒られちゃいますから!それに…見えなくても、
バトラーはいます」
ペーター「…そうなのかい?」
フラット「はい!今日の戦闘で気付けたんです!
いなくても、いるんだって!」
バジー「そうかもしれませんね。ナックル様は
目立つお方なので」
クレア「おい、撮るぞ!」
エド「フラットも、お二人もこっちっす!」
フラット「おっとと…ほら、いるじゃないですか」
ペーター「…あぁ、いるな、たしかに」
バジー「えぇ…目では見えませんが」
クレア「それじゃエド!掛け声よろしくな!」
エド「任されたっす!勝利のVサインー」
全員「キメっ!」
フラット「…あ」
クレア「どうした?」
フラット「ほら、ペーターさんとバジーの間!
バトラーの写真が!」
エド「あ、本当っす!面白いっすね」
ノール「本当、目立つな」
ペーター「バジー。君の言ってた通りだね。
フラット君は隊長にすべき人材だった」
バジー「やっと分かっていただけましたか。
ナックル様よりも素晴らしい希望を与えてくれる。
私の見立て通りでしたわ」
ペーター「そうじゃなくてね」
(カナリア…君になかったものがあの子にはあるよ。
君の果たせなかった願いも、彼なら果たせるだろう)
フラット「ほえー、これがバトラーの墓か」
ノール「想像してたより大きい」
エド「これなら、ナックラーさんもきっと満足っすよね」
クレア「分かんねぇぞ?もしかしたら夢の中で、
キウイが欲しいってダダこねるかもよ?」
フラット「あはは!ありえる!」
エド「…ナックラーさんに胸張れるように、
これからも頑張っていこうっす!」
クレア「もちろん!」
ノール「私も、またファイターになれるように!」
フラット「そうだね、頑張ってこー!」
全員「おーっ!」
その夜
エド「出来たっす」
フラット「?エド…こんな時間にどこ行くんだ?」
エド「…ナックラーさん、言葉にできないんで
手紙で失礼するっす」
贈り物入れに手紙を入れようと、
エドの腕は伸びていく。しかし、あと一歩のところで
ピタッと止まってしまった。
エド「やっぱり…無理っすよ…!これを入れたら…
本当にさよならじゃないっすか!嫌っすよ…!
さよならなんて…言いたくないっすよ!」
フラット「エード!何してるの?」
エド「⁉︎」
フラットの声に驚き、咄嗟に手紙を背中に隠すエド。
エド「お、お墓参りっす…」
フラット「ふーん…あ!ねぇ、あれってオリオン?」
エド「あ…!」
ナックル「ふーん、実験台ねぇ…ま、話してくれて
サンキュな。約束通り、誰にも言わないぜ。
ん?お、あれってオリオンか?」
エド「あれは…金星っすよ。オリオンはこんな時間に
見られないっす」
ナックル「ヘェ〜、お前って星に詳しいんだな」
エド「俺の世界だと、星は神様っす。だから、
知ってて当然っすよ」
ナックル「ふーん」
エド「オリオン…俺の大好きな星っす。また…
一緒に見られたっす!」
フラット「?エドって、星好きなの?じゃあ!」
フラットはエドの腕を引っ張って、芝生に倒れこむ
エド「わぁ!」
フラット「こうやって芝生の上で寝転がると、
もっと星が見えるよ」
エド「……綺麗っす…」
フラット「まるで、バトラーみたいだね。
キラキラと瞬いて、夜明けまで輝こうとする…
僕ね、輝きにはなれないと思う」
エド「えっ…」
フラット「エドを見てて思ったんだ。
僕は輝くんじゃなくて輝かせるんだって!
引き立て役なんだって分かった」
エド「引き立て役…っすか?」
フラット「うん、そう。不満はないよ。
笑ってくれるから」
エド「…俺は、フラットも輝けると思うっすよ。
俺の背中を押してくれたフラットは、
輝いてたっすもん!」
フラット「エド…ありがと!あと、冷え込んできたし
そろそろ寮に帰ろ?」
エド「あ、じゃあちょっとだけ、待っててほしいっす!
オフィスに忘れ物したから取ってきたいっす!」
フラット「えっ、それなら僕がー」
エド「いいんすよ、俺の不始末なんすから」
フラット「まぁ…分かった。なるべく早く来てよ」
エド「はいっす!」
フラットはスクッと立ち上がり、中庭を後にする。
エド「…ナックラーさん、輝きすぎっすよ。
フラットがあんなこと言ったの、ナックラーさんの
せいっすよ!だから、ゆっくり休んでくださいっす」
エドはそう告げると、贈り物入れに、手紙を入れる。
エド「さよならじゃないっす。昨日までの自分との
別れっす!それじゃ、しっかり休むっすよ!」
エドはたしかな歩幅で駆け出す。足音を奏でる芝生が
静寂な中庭に響き渡る。そのリズムはただ早かった。
ナックル「…やっぱり、あれはオリオンだったか。
お前の嘘に、何で気づかなかったかな〜?
まっ、いいけどよ。泣くんじゃねぇぞ!エド!」
ナックルは手紙の上に手を置く。
ナックル「…これが、お前の答えか。貫き通せよ、
お前の正義!」
第3話 星の輝き 完!
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