闇の来訪編

第10話 枯葉舞い散り別れの季節

1節 闇開け、平和にー

脅威大量発生異変が片付き、1ヶ月後ー

フラット「営業終わったよ!」

ノール「はぁー、疲れた」

フラット「でも、オフィスが元に戻って良かったね」

クレア「異世界線の俺が壊すとは想像してなかったがな」

スラリア「お疲れ、はい紅茶」

スター「2人で作ったんだよ!ねっ、スラリア!」

クレア「手伝ったのか?いい子だな、スターは!」

スター「へへへ...あ、フォールがいないんだった!

今日から仕事があるって言ったのに!」

エド「しょうがないやつっすね。でも、

仕事といっても何すか?全然聞かされてないっす」

フラット「僕も...誰か知ってる人いないかな?」

ダバンゴ「おう、親分!課長が呼んでるぜ!」

フラット「あ、ありがとう!ちょっと行ってくる!」

ライ「ただいま戻ったでーってうわっ!」

フラット「なっ、何⁉︎」

ライ「す、すまないでござる。拙者、

虫が好きくないのでござる」

フラット「虫が?あぁ、アゲハ蝶...綺麗なのに」

ライ「どこがでござる⁈あんなマダラ模様の羽を

持った虫のどこが綺麗でござるか⁉︎」

フラット「分かった分かった、あと僕はペーターさんに

呼ばれてるから。また後でね!」


ペーター「お、来たかい」

フラット「あの、何でしょうか?今皆で作業をー」

ペーター「このデ・ロワーも人が増えただろ?」

フラット「えっ、あ、はい。たしかに昔に比べれば

人数は急に増えました」

ペーター「そこで、秋の体育大会なるものを開催する」

フラット「体育大会ですか⁈」

ペーター「イベントとしてね。できそうか?」

フラット「面白そうですけど...皆と相談しないと」

ペーター「いや、今回は君1人に委ねたい。

もちろん、プログラムも」

フラット「えぇ⁉︎そこまでですか⁈」

ペーター「ナックラーも、前まではイベントの台本を

書いていたんだ。隊長業務、きっちりこなしてくれ」

フラット「わ、分かりました。やってみます!」

ペーター「そうか、では頼む」


フラット「いきなりかよ...しかもプログラムまで...

イベントを1から考えるとは...?いや、やることは

決まってんだし、1からじゃないか」

ノール「フラット!何それ?」

フラット「これ?これはー」


ペーター「君1人に委ねたい」


フラット「...次の仕事だよ。イベント準備、

してたでしょ?あれ」

ノール「やっと決まったのか!で?何をやるんだ?」

フラット「体育大会だって」

ノール「へ、体育大会⁉︎お遊戯でもやれってこと?」

フラット「違う違う。スポーツの秋ってことで!

やるのはいつもと変わらない...けど!」

ノール「けど...?」

フラット「少し違う方法もある。今回は

コラボでいこうって!」

ノール「コラボか!面白そう!」

フラット「でしょ?じゃあ皆にも伝えてこよっか!」


全員「体育大会⁉︎」

クレア「子供じゃあるまいし、そもそもイベントだろ?

趣旨が変わっちまう!」

フラット「いや、もちろん普通のイベントもやるよ?

でも、折角の秋だし、スポーツも取り入れて、ね?」

スター「賛成!何やるの?」

フラット「まずはコラボだ!とりあえずタクマとヒナは

確定として...この前の夏休みで一緒になれなかった

ペイロゴンさん達はどう?」

ナックル「レスキューファイターがコラボ...

考えたことないが、アイツなら参加しそうだな、

こういう祭り関係は好きだしよ」

フラット「アイツ?」

エド「あぁ、あの育児なしっすか?たしかに

参加しそうっすけど...楽勝っすよ?」

ナックル「アイツを舐めない方がいいぜ。本気は

かなり強いからよ」

フラット「?あ、あとコンテストも行うよ!

業を見せて見てる人が点数をつけてく!美しさのね!

それは、できれば...」

スラリア「つまり女性にやってもらいたいと。

いいよ!やってみる!」

フラット「ありがとう!それで体育大会の方は、

障害物競走、ハードル競走、リレー、綱引き...

あと何がいい?」

ノール「それぐらいでいいと思うが」

ダバンゴ「おいおい、陸地だけで戦うのか?」

フラット「あ、そうか!海も使おう!」

クレア「こんな時期にか⁈」

フラット「こんな時期だから観光客もいないでしょ?

今しかないチャンスだよ!」

ライ「普通に走る競技も欲しいでござる!」

フラット「徒競走?まぁ...いっか!よし、入れると。

あとファイター支援課とSFAからも呼んで...うん!」

ナックル「売店準備がもっと忙しくなるな!」

スラリア「発注増やしておかないと!」

ダバンゴ「よっしゃ、早速泳ぐ練習だ!親分、

もちろん一緒に泳ぐよな!」

フラット「ふぇ⁉︎あ、うん...じゃあ、泳ごっか!」

「おいおい、隊長がそんな呑気でいいのか?」

フラット「...フォール。そういうお前も、

飲む暇あるならちょっとは手伝う!いい⁉︎」

フォール「はいはい、分かりましたよっと!」

ノール「コイツ、やる気あるのかないのか」

スラリア「とりあえず私はブロマイドとパンフレットの

追加オーダーしてくる」

スター「あ、スターも行く!」

フラット「じゃあ一旦解散!また夕暮れに!」


ダバンゴ「親分、もうお疲れか?遅いぞ!」

フラット「遅いって...これでも十分本気だけど...

ていうか、ダバンゴさんはガスペラス人でしょ⁈

追いつけるわけないよ!」

ダバンゴ「ガッハッハ!俺様の実力、分かったか!」

フラット「...はぁ。じゃあ、これで互角かな?

神力・飛翔!」

ダバンゴ「なっ、水中を飛んでやがるだと⁉︎

まるでペンギンだな...」

フラット(あれ?来ない?)

ダバンゴ「?」

フラット「何で来ないんだよ!」

ダバンゴ「いや、羽が危なっかしいんだよ!

俺様の鱗に傷付けてみろ?」

フラット「あ、ごめん」

ダバンゴ「...?あのワンコ...」

フラット「あっ!デラガさん!」

デラガ「?お前ら...」


ノール「ここのシーン、照明は弱でいいと思う。

中はちょっと強い」

エド「了解っす!えっと...これでいいっすかね!」

ナックル「ん...角度を調整しろ。少しずれてるぞ」

ライ「エド殿、ゆっくりやるでござるよ。

失敗したら、ナックル殿に落ちるでござる」

エド「分かってるっす、忠告どうもっす...

へ、ヘックシュン!」

ガシャン!

ナックル「なっ⁉︎」

ライ「危ないでござる!忍法・電光石火之術!」

ナックルに照明器具が落ちるギリギリのところで

ライの素早い動きがナックルを助ける。

ナックル「ヒィ〜、間一髪!」

ライ「くしゃみは仕方ないでござるが、こんな事故で

怪我をするのはやめでござる。

笑われ者になるでござる」

エド「すんませんっす」


スラリア「はい、追加でそれぞれ10万部ずつ...

パンフレットも同じく、はい」

スター「大変そう...ジュースでも買ってこよ」

スラリア「はい、宜しくお願いします」

ピッ

スラリア「スター...?いない?」


スター「ホットココアと...スラリアは何が好きかな?」

スラリア「あっ、ここにいた。どうしたの?」

スター「あ!」

スラリア「?レモンティー?あったかいのか...

今日は冷えるもんね」

スター「そうじゃなくて...スラリア大変そうだったから

何か一休みできるようにって...」

スラリア「レモンティーは好きだからいいよ。

ありがとう、スターちゃん。気を遣ってくれて」

スター「スラリアって、いいお姉ちゃんだよね!」

スラリア「そ、そうかな。照れるな...」


フラット「ふぃー、一休み!」

デラガ「こんなとこで会うとは奇遇だな」

フラット「デラガ刑事が温水プールって

違和感ありますけど...」

デラガ「泳ぎたくなる日もある。今日は休みだしな」

ダバンゴ「親分、俺様は少しサウナ行ってるぜ」

フラット「大丈夫なの?体温調節剤飲んだ?」

ダバンゴ「心配無用だぜ親分。俺様が同じ失敗を

繰り返すわけねぇってんだ!」

フラット「そっか。ならいいんだ」

デラガ「なんだこのガラの悪そうな男は?」

フラット「デ・ロワーに移籍したファイター、

ダバンゴさんです。水泳選手ですけど...

知らなかったですか?」

デラガ「あぁ、あの静岡のイベント戦闘にいた...

顔というかキャラが違うな」

ダバンゴ「あんなクソ真面目なキャラじゃ、

くすぐったくて仕方ねぇ。そんじゃ、行ってるぜ。

また後でな」

フラット「行っちゃった...デラガ刑事、

どうしますか?」

デラガ「まず公共の場で刑事と呼ぶな。今の俺は

ただの一般人だ」

フラット「分かりました、デラガさん!」

デラガ「...さんもいらん」

フラット「え...呼び捨てでいいってことですか?」

デラガ「あぁ、そうしてくれ」

フラット「はい、デラガ!」

アリケラ「あ、デラガ君...ここにいたんだね...って人⁉︎怖い…

デラガ「おいアリケラ、隠れるな」

アリケラ「だって...デラガ君の背中は安心するから...」

デラガ「...フラット、コイツはレスキューファイター、

ペイロゴンとコンビのアリケラ。普通はこんな感じに

育児なし。だが、いざとなればファイターだ」

フラット「あ、この人が...あの!デ・ロワー主催の

体育大会にぜひ参加してください!」

デラガ「その話はナックラーから聞いている。

ぜひ参加させてもらおう」

アリケラ「えっ、人前に出る...うぅ」

デラガ「いつもファイターで人前に出てるだろ...」

アリケラ「や、やらせてもらいます...」

フラット「ありがとう!あとはラルバ巡査と

フェアード警部だ!」

デラガ「フェアー、結局イベント出られなかったと

ショック受けてるからな、喜ぶだろ。俺から

伝えておく」

フラット「じゃあラルバ巡査には僕から!」

デラガ「あぁ、頼む」

フラット「はい!」

ダバンゴ「親分、まだ話してたのか?」

フラット「うん、体育大会の話を、って大丈夫⁈

頭から湯気出てるよ⁈」

ダバンゴ「ちょっとな、ガッハッハ...」

フラット「ちょっ、危なー」

アリケラ「ぐっ...大丈夫ですか⁈」

デラガ「お、ナイス!」

アリケラ「とりあえず、更衣室に!デラガ君、

手伝って」

デラガ「俺か?身長差あるが...フラットなら

ちょうどいいが」

アリケラ「えっ...仕方ないですね、お願いします」

フラット「う、うん」


ノール「よし、調整完了」

ライ「次は何をするでござるか?」

エド「舞台の補強っす!これは俺1人で大丈夫っす!」

ナックル「たしかにお前1人でいいな。俺達は...

そうだな、セットの確認でもするか!」

クレア「すまん!今来た!」

ライ「病院は済んだでござるか?」

クレア「あぁ、まだ残り5ヶ月だってよ。早く治れ!」

ナックル「俺の術でもそこまでの怪我は治せねぇよ」

エド「スターならできそうっすけど」

クレア「それ思って聞いたらよ?」


スター「無理」

クレア「な、何でだよ?」

スター「長年神業を使ってないから鈍ってるというか

上手く力を操れないから。だからスターには無理だよ。

ごめんね」


クレア「ってさ」

ナックル「そりゃあ...まぁ仕方ないか」

エド「当分の間、ファイター活動は休業っすね」

ライ「つまり、収入がなくなるでござる」

クレア「げっ、それは...」

ペーター「その心配はないよ」

バルシア「営業課に入ってもらいますから!」

キルユウ「金についての心配は不要というわけだ」

クレア「営業課は何を?」

ペーター「主に特別承認ファイターはお得意先と

交渉をしてもらう。詳しい話はこの2人から

教えてもらってくれ。よろしくな」

バルシア「了解です!」

キルユウ「あぁ、任せてくれ」

ペーター「それで...何をしてるんだい?」

エド「イベント準備っす!体育大会もやるっすけど、

いつも通りのイベントもやるっす!」

ペーター「フェスティバルみたいにするのか...

面白いこと提案するなぁ」

ナックル「?お前が考えたんだろ?」

ペーター「あっ、あぁそうだ!」

ノール「それで怪我はもういいの?深そうだったけど」

ペーター「まだ痛むが...痛いって言うほどでも

ないからね。心配してくれてありがと、ノール」

ノール「体は大事にした方がいいよ。この課の

課長なんだからね」

ナックル「なんかあったのか?機嫌良さそうだな」

ノール「?そうかな...いつも通りだよ」

エド「そうっすか?まぁ、それより、

準備再開するっすよ!」


スター「ねぇ、折角だしSFAにも連絡しようよ!

マドール達も呼ぶってフラット言ってたし!」

スラリア「んー...そうしよっか!じゃあ、

早速銀座支部にレッツゴー!」


スター「えっと、山手線...銀座...あった!

すぐいけるよ!」

スラリア「ありがとう、私電車なんて初めてだから...」

スター「月出身だもんね!リニアモーターカーしか

走ってないからしょうがないよ」

スラリア「いつ来るの?」

スター「あと2分後!ほら、ホーム行くよ!」


放送「間もなく、12番線に、北回りの、環状線、

山手線が参ります」

スラリア「12...番線?待って、ここ5番線!」

スター「あ!ごめん、間違っちゃった!」

スラリア「でも12番線って3階だよ⁉︎」

スター「走っても間に合わないよ!スターは

兄ちゃんみたいに風にはなれないし...」

スラリア「間に合うかな?急いで行くよ!

ほら、乗って!」

スター「...うん!」


駅構内にベルの音が鳴り響く。

スラリア「マズイ!間に合って!」

閉まろうとするドアになんとか乗り込む2人。

そこにー

駅員ロボ「駆け込み乗車は危険です、お客様」

スラリア「あ、すみません...」

スター「ごめんなさい...」

駅員ロボ「罰金500オズです」

スラリア「あ、はい。えっと、カード...あった」

スター「罰金...あった」

2人は駅員ロボの前にプライバシーカードを見せる。

そのバーコードを駅員ロボは解析する。

駅員ロボ「たしかに徴収しました。これからは

お気をつけください」

スラリア「ごめんね、スター」

スター「スターが間違っちゃったから...スラリアは

悪くないよ」

スラリア「ふふふ...」

スター&スラリア「あははは...」


フラット「全く、自分の体はちゃんと管理できてよ。

ガスペラス人の体調管理はできないんだから」

ダバンゴ「うー...チクショー!自己記録が

達成できねぇ!」

フラット「...まさか...」

アリケラ「倒れるまでサウナに...?」

デラガ「とんだ迷惑野郎だな」

フラット「はぁー...今日は帰ろっか」

デラガ「なら俺もついて行っていいか?

そろそろ昼だ。俺の奢りで美味いレストランでも」

アリケラ「えぇ〜!今日は僕と一緒に休暇を過ごすって

約束だったじゃん!」

デラガ「気が変わった。お前は残って

泳いでてもいいぞ?」

アリケラ「...!」

デラガ「冗談だ、そんな顔するな」

アリケラ「デラガが冗談を...明日地震でも起こる?」

デラガ「失礼な...やっぱ置いてく」

アリケラ「あぁ!ごめんって!」

ダバンゴ「俺様も腹が減った!ついてくぞ!」

フラット「分かった、ただ自分で払ってよ。

あくまでデラガの奢りは僕だけっぽいし」

ダバンゴ「別にいいぜ。金はいくらでもある!」

フラット「羨ましいなぁ...大学で結構キツいのに...」

デラガ「おい、置いてっちまうぞ!」

フラット「あ、はーい!行こう!」


クレア「そろそろ昼食にしないか?」

エド「そうっすね、腹減ったっす!」

ナックル「じゃあ今日は俺の奢りだ!ついてこい!」

ノール「あ、ちょっと待ってよ!

まだ電源切ってない!」

ペーター「後は俺達がやっとくよ」

ライ「いいでござるか⁈」」

バルシア「えっ、俺達も⁈」

ペーター「違う違う、バジーとな」

キルユウ「はぁ、驚いた...」

クレア「じゃあレストランに行こうや!」


ナックル「で?どこに行くかは決めたのか?」

ノール「私は寿司がいいな」

クレア「寿司か...」

バルシア「寿司だと200皿は裕に超えると

思いますけど」

キルユウ「この人数に大食い4人か...ありえる」

ナックル「全然いいぜ!今日入った給料は、

いつもに比べて2倍以上だ!こりゃあ、

経済をガン回す以外使い道ねぇだろ!」

ライ「バブル時代のような口でござる...

って、あれ...フラット殿?それにダバンゴ殿も!」

ノール「偶然同じ寿司屋!行こ!」

ナックル「ちょ、待てよ!ったく、行くぞ!」


スラリア「やっと着いた!それじゃこっち!」

スター「うん!SFAは...こっちだって!」

スラリア「兄妹揃って便利な能力だよね、それ」

スター「そう?でも情報を集める時に便利だよ!」

スラリア「いいなぁ...皆の秘密とか見れそう」

スター「スラリアって時々変なニヤけ顔するよね...」

スラリア「わっ!そんなことより、早く行こ!」


受付「ファイター課ですか?ご用件は」

スラリア「コラボイベントを開催したいので、

直々にお話を」

受付「承知いたしました。少々お待ちください」

スラリア「すぐ来るよ、あの人もいるから」

スター「うん」

ゴン「やぁ、君達か!今いるのは僕とマドールだけど...

アスカとミッシェルも呼ぶべきか?」

スラリア「いや、じゃあ伝えてください。明日、

コラボイベント、体育大会に参加してくださいと」

ゴン「体育大会か?面白そうだな」

スター「あのね、アスカなら得意な舞台があるんだ!

魅力的な業を見せるコンテスト部門!アスカは絶対に

食いつく話だから!」

ゴン「あぁ、分かった。マドールにも話しておくよ。

コラボとなると、他にも?」

スラリア「はい、ファイター支援課とジ・アフダンの

ファイターとも」

ゴン「なるほど、これはいい記事だ!交渉として、

記事書かせてもらいますね!」

スラリア「いいですけど...コラボできない

ファイター企業の人達には送らないでくださいよ?」

ゴン「それは分かってるとも」

スター「時々新聞の配達先間違ってるのに?」

ゴン「ぐっ...まぁ善処する」

スラリア「じゃあお願いしますね。それでは」

ゴン「あ、浅草まで送るよ。その前に...この情報を...」

鞄から白紙を取り出すと、ゴンは箇条書きに

さっき聞いた情報を書き出す。

ゴン「よし、完了!後は転送ロッカーに...」

転送ロッカーを開けてその白紙を入れる。

ゴン「転送先は11階のファイター課に...と!

はい、じゃあ送るよ!車乗って!」


転送ロッカー「照明玄関からお届けものです!」

マドール「あら?何かしら?」

転送ロッカーに届けられた荷物をマドールは確認する。

マドール「これは...紙?何か書いてあるわね。

コラボイベント、参加者、私、アスカちゃん、

ミッシェル君、ゴン君ね...コンテスト部門あり、っと。

全く、メールで送ってくればいいのに。

わざわざ古風ね。まぁ、ゴン君らしいか」


デラガ「結構混んでるな...」

フラット「でも座れたよ!」

ダバンゴ「寿司か!分かってるじゃねぇか!」

アリケラ「それは...いいとしても」

フラット「うん...」

ダバンゴにサインを求めるファンがフラット達を

取り巻いていた。

フラット「ダバンゴが有名スポーツ選手なの忘れてた」

デラガ「どうする?場所変えるか?」

フラット「いや、ここはー」

ノール「ちょっとどいてください。座りたいので」

エド「それに他の客に迷惑っすよ!」

ライ「ダバンゴ殿!変装してないでござるか⁈」

ダバンゴ「?おっと!忘れてた!」

フラット「...全く」

バルシア「ダバンゴ...ガスペラス星の⁈」

キルユウ「バルシア。そろそろ魚人に慣れろ」

バルシア「で、でも...あの鱗、どうしても...」

ダバンゴ「あぁん⁉︎俺様の鱗が気持ち悪りぃって

言いてぇのか⁉︎」

フラット「ダバンゴさん、口調、口調!」

ライ「イメージダウンするでござる!」

ダバンゴ「お、おう...」

フラット「それより、ラルバ巡査達には話届いてる?」

デラガ「あぁ、メールで伝えておいた。もしこれで

伝わってなかったら失格だが」

ノール「ホウレンソウができてないってことだからね。

でも、あの人が出来るとは思えないけど...」

ラルバ「誰が何をできないって言いました?」

ノール「だからラルバにはー...あれ...今の声...」

ラルバ「聞き捨てなりませんねぇ!本官でも

ホウレンソウぐらいはできますよ!

今だって...ほら!育ててます!」

フェアード「...はぁ」

フラット「あのねラルバ。そっちのホウレンソウじゃ

なくて、社会においてのー」

デラガ「フラット、コイツには何言ってもダメだ。

それぐらいバカだから」

クレア「いやいや、流石にそんなバカじゃー」

ラルバ「社会においてのホウレンソウ...?

あぁ!給食とかレストランとかに使われるやつですね!

あれ、かなり美味いですよね!」

全員(...本当にバカだコイツ)

デラガ「な?バカだろ?」

エド「こんなのがお巡りさんっすか⁉︎」

ナックル「世も末、だな」

ラルバ「へ⁈本官何か悪いことしました?」

フェアード「いつも通りだ、気にするな」

ラルバ「いつも通り...あ、オテンバ、

やらかしちゃいました?」

フラット「オテンバというより...天然...か?」

ノール「そう言うフラットも人のことは言えないよ。

時々変な勘違いするし」

フラット「えっ?」

ナックル「一昨日なんかー」


ナックル「おい、ここにあった

ドライバー知らないか?」

フラット「これ?」

ナックル「ちげぇよ!何で逆にゴルフ用のドライバーを

探してると思った⁈というかどこにあった⁈」

フラット「え?誰かの忘れ物」

ナックル「だったら俺に渡すな。ったく」


ナックル「ってことがあったが」

ノール「ほへは、ひふぁふひふぉれがあっふぁふぁら、

ひはははいよ」

(それは、近くにそれがあったから、仕方ないよ)

エド「食いながら喋らないっす!行儀悪いっすよ!」

ノール「ごく、ごく...ごめん、思ったことつい

口ずさんじゃって...でもその場合はフラットの近くに

そのドライバーがあったならそう言うしかないと

思うけど...」

ナックル「いやでもよ?俺がそれを

探してるわけねぇだろ?」

フラット「もう、どうでもいいでしょ、そんなこと!

それより折角寿司屋に来たんだし、食べようよ!」

ラルバ「そうですよ!」

デラガ「こういう食事の時だけは行動が、ってお前!

ここ机いっぱいのサーモンはなんだ⁉︎」

ラルバ「美味しいじゃないですか!ほら、油のってて

ほっぺたこぼれ落ちそうですよ〜」

フラット「でも...こんなに...ねぇバトラー...って、

マグロいっぱい⁉︎」

ナックル「食うか?話しながら取ってたらいつの間にか

こんなに溜め込んじまってな!」

フラット「...デラガ、奢りは僕の分だけでいいよ。

皆の分は僕が払うから」

デラガ「すまん、うちのバカが」

ラルバ「またバカ扱いして!うーん、このサーモン、

最高です!」

ナックル「食うか怒るかどっちかにしろよ」

フラット「そういうバトラーも、まだ残ってるのに

次のを取らない!」

全員「アハハハ...」


ゴン「着いたよ、浅草...?」

スター「スラリア、着いたよ?」

スラリア「すぅ、すぅ...」

ゴン「大変だったかな?」

スター「最近、スラリア頑張ってるから。でも起きて、

もう浅草だよ!」

スラリア「?浅草...!ごめん、寝てた⁉︎

ありがとうございました、乗せてもらって!」

ゴン「折角だしさ、昼食にしないかい?

美味しい寿司屋があるんだよ」

スラリア「えっ、でも...」

グゥ〜...

ゴン「遠慮はいらないよ。ほら、お腹空いてるなら

早く言ってな。奢りだ」

スラリア「そんな、悪いですよ!」

ゴン「デ・ロワー主催のイベントに

コラボさせてもらうんだ、これはその礼だ」

スター「ここまで言ってるんだし断っちゃ悪いよ」

スラリア「あ、ありがとうございます...」

ゴン「じゃあついてこい!こっちだ!」


フラット「やっと片付いた...じゃあ注文しよっか!」

カランカラン

スラリア「あれ、フラット⁉︎」

ゴン「君達もいたか!いや〜偶然!」

スター「皆で食べるお寿司はもっと美味しいね!」

フラット「それじゃ、集まって!皆で食べよ!」

その様子をー

?1「あの3人か...魔族が血を引くものは」

?2「我らが血鬼隊7人衆のうち、3つの御魂が

まさか上界に上がっていようとは...」

?3「とにかく彼奴等を捕らえんと」

?4「それは私がやっておきましょう。前世の記憶を

引き出せば、一瞬で我らの元に...」

?2「そうか、任せたぞ」

?3「ふぇっふぇっふぇ...待っておれよ、神の者共...」

?1「せいぜい残された平和に、

溺れ酔いしれておくがいい」


2節 開催‼︎秋の体育大会!

フラット「準備も完了!プログラムも完璧!

出場者も全て決定!言うことなし!」

ペーター「お疲れフラット君。なかなか手際がいいね。

最初からこんな大規模イベントを開催できるなら

これからが楽しみだ!」

フラット「はい!任せてください!」

ペーター「あと、ちょっといいか?

司令室に来てほしい」

フラット「はい、分かりました」


ペーター「まず1つ。以前戦った独裁フラットに

管理者の力があったことから、管理者はいなくなったと

考えて良さそうだ。これで脅威大量発生も収まるが...」

フラット「以前言っていた通りだと、魔族の動きが

活発化する...ですね?」

ペーター「そうだ。つまり、ファイターとして

本来の役目を果たす時が近い」

フラット「分かりました。覚悟しておきます」

ペーター「そこまで気合は入れなくていいよ。

それより、明日のことだけ考えればいい」

フラット「えっ?」

ペーター「ここに呼んだのはもう一件の方だ」

フラット「もう一件、ですか?」

ペーター「実はね、ここ最近、警察が狙われている」

フラット「どういうことですか?」

ペーター「今モニターに資料を映す...よし、これだ」

モニターに東京の地図が表示される。

ペーター「銀座で8人、八王子で14人、渋谷で23人、

他のも合わせたらおよそ200人もの警察官が重軽傷を

負っている。今のところ浅草だけ被害が出ていない。

あと関連性も見られている」

フラット「関連性...」

ペーター「その全員がファイター支援課なんだ。

つまり、浅草で言えばフェアードとデラガだ」

フラット「なら大丈夫です!明日からこっちに

呼ぶんです!安全の保証はとれますよ!」

ペーター「明日ならな...まぁ大丈夫か。よし、

それでは話は終わりだ。帰っていいぞ」

フラット「はい!失礼します!」


ナックル「フラットおせぇなぁ」

エド「ナックラーさん?どうしたっすか?」

ナックル「フラット待ってんだが、来なくてよ」

エド「フラットならペーターさんと一緒にいたっすよ」

ナックル「そうか、ちょっと行ってくる」


バジー「わざわざ申し訳ございません、お手伝いまで

させていただいて...」

フォール「これぐらい朝飯前だ。それにコイツが

なかったらフラットは助けられなかったしな」

バジー「そう言ってもらえるとこの子も

喜びますわ」

フォール「この子って、まるで子供のように

考えてるのか?」

バジー「だって私の思いを受けて

作られているんですもの。子供と同じような

ものですわ」

フォール「面白い理論だな...おいノール!

パラレルストーンは積み込み終わったか?」

ノール「あともうちょっと!クレア、それはまだ!」

クレア「おっと、そうか...ってうわぁ!」

ノール「ちょっ、うわぁ!」

フォール「おい、大丈夫...?」

スター「ギリギリ...大丈夫?」

スラリア「すごぉい!流石スター!」

スター「えへへ...」

バジー「危険ですから丁寧に慎重にお願いいたします」

全員「はーい!」


フラット「はぁ、大変だったぁ」

ナックル「おっと、見つけたぞ!ほら、帰るぜ!」

フラット「今日はデ・ロワーに泊まるつもりで

いたんだけど...」

ナックル「そうか?最近寮に来ないから

心配されてるぞ」

フラット「じゃあイベントが終わったら寮に顔出すよ」

ナックル「分かった、無理すんなよ」

フラット「ありがと、それじゃ」

ナックル「大丈夫...か。アイツなら」


?1「デ・ロワーの四大の連中はどうだ?」

?3「いい感じじゃよ。我々の動きを、

わらわの策略に見事にはまり、

気づいておらんわい」

?1「そうか...ではやつがあの3人を目覚めさせるまで、

我々が更に手を加えよう」

?3「ふぇっふぇっふぇ、いいアイディアじゃ」


イベント当日ー

フラット「皆、今日は来てくれてありがとう!」

ファン「おぉぉぉぉ!」

フラット「では早速参りましょう!オープニングを

飾るのは、美しいコンテスト部門!

最初の出場者は...マドール&アスカ!」

マドール「私の糸裁き、しかと見ておきなさい!」

背中に背負うボビン型の人工神器から糸を巧みに操る

マドール。その糸は七色の光を放つ。

フラット「うわぁ、序盤からド派手に決められた...

スター、スラリア、いける?」

スター「任せといて!」

スラリア「キレイな音色で観客を惑わすから!」

アスカ「それではフィナーレ!」

突如現れたアスカがマドールの糸を切っていく。

その糸くずはトランプに変わる。

フラット「あ、司会戻るね!」

舞台へフラットはかけていく

フラット「フィニッシュ!さぁ、今回の点数は...

94.512!高得点です!」

マドール「ふふん、こんなものね!」

アスカ「それでは次を!」

フラット「はい!次はジ・アフダンより、

タクマとヒナ!」

タクマ「俺たちの舞台はこっちだ!」

ヒナ「海と空のショーを見せてあげるね!

今日もよろしく!」

フラット「それでは皆さん!海上ステージを

ご覧ください!」

タクマ「よっしゃ!ドルフィンスウィム!」

ガスペラス人の長所を活かした業を見せるタクマ。

その泳ぎはもはや舞だった。

ヒナ「それじゃ、皆!応援よろしく!

海面跳び!」

ヒナは海面を水平に沿って飛ぶ。その波紋は涼しげで、

美しかった。そしてー

ヒナ「それでは...タクマ!」

タクマ「おう、セーの!」

タクマとヒナは手を繋ぎ、海中に潜る。

フラット「...凄い。けどヒナ大丈夫かな...?」

タクマはヒナを連れて海から抜け出る。

タクマ「ヒナ、頼む!」

ヒナ「行くよ!空舞!」

タクマとヒナは空で舞を舞う。まるで空をも含む

シンクロショーであった。

ヒナ「あとは...何だっけ?」

タクマ「えっ⁉︎」

ヒナ「忘れちゃった!」

タクマ「ちょっ...アドリブいくぞ!新技、いけるか⁉︎」

ヒナ「うん!やってみる!」

タクマ「よし!ヒナ!いっけぇー!」

ヒナを思い切り投げ飛ばすタクマ。ヒナはそのまま

重力に従って海に落ちる。

観客「えぇっ⁉︎」

ヒナ(大丈夫、タクマを信じて...あそこ!)

ヒナはタクマの落下地点を見極め、勢いよく飛び出す。

タクマ(ぐっ、少しズレた!)

ヒナ(失敗しない!)

タクマを落とすまいとギリギリ腕を引く。

ヒナ「からの...えーい!」

力任せにタクマを引き上げる。そして2人は

抱き合う形になった。

観客「おぉぉ!」

タクマ「ヒナ...!」

ヒナ「皆さん!フィニッシュです!応援ありがとー!

新しいコンビ芸、ラブカップ!

見てくれてありがとう!」

フラット「さて得点は...84.497!SFAとは

10点差つけられた」

タクマ「マジか...他ので稼ぐ他ないか」

ヒナ「お客さんにヒヤヒヤさせちゃったかな...」

フラット「では次のチーム!警視庁ファイター支援課、

ラルバ巡査とデラガ刑事!ステージ戻りまして、

ビーチステージにご注目!」

ラルバ「まず一つ、空に1発!」

空へ向け、銃型の人工神器の引き金を引く。

ラルバ「...今!」

そして降ってきた銃弾に1発打ち込む。すなわち、

乾杯という芸当をやってのける。観客はその業を

やってのけるラルバに拍手や歓声を送る。

ラルバ「こんなものじゃないですよ!

デラガ、次が本番です!」

デラガ「任せとけ!」

ラルバ「それじゃ...三発!」

空に今度は3発の銃弾を撃つ。

フラット「三発も乾杯する気⁈」

デラガはその隙にラルバの正面に立つ。つまり、

ラルバの銃口の先に立っていることになる!

観客「あれ、大丈夫なの?」

観客「あの刑事、モード入ってないぞ?」

観客「失敗したりしたら怪我じゃ済まないって!」

ラルバ「...!」

ラルバは三発、デラガの方へ撃つ。その音に恐怖を

覚えた観客は目を塞いだ。しかし響いた音はー

カン!カン!カン!ー

という金属音が響き渡る。そしてその弾をー

デラガ「...あぁ」

ラルバ「フィニッシュです!」

デラガは両手に四つ、歯で二つの銃弾を咥え、

無事に立っていた。

フラット「凄い...あ、点数...ってこれ...!

凄い、98.751!暫定一位です!」

ラルバ「大成功ですね!」

デラガ「成功しなかったら俺、やばかったぞ」

ラルバ「本官が失敗するわけないですよ!

本官達の前には敵なしです!」

デラガ「...ったく」

フラット「では次に参りましょう!デ・ロワーからは

2チーム出るので平均値で勝負させていただきます!

ではまず、ダバンゴとライ!次は海上ステージで

行います!では、始め!」

ダバンゴ「行くぜオラァ!」

荒々しい泳ぎから入るダバンゴ。しかしそれは

泳ぎではなく、舞であった。そしてライが雷を

海に落とす。それと共に跳ね上がるダバンゴ。

そして雷の間を通り抜ける。

観客に盛大な笑顔を見せつつ。

ヒナ「キレイ...」

タクマ「あんな泳ぎ、俺には出来ないや」

ダバンゴ「それじゃ次はこっちの番だ!」

鎖状の人工神器が海中で猛スピードに円を描く。

その中へダバンゴは入る。

ライ「拙者の雷に打たれるでござる!」

ダバンゴ「来た!」

ダバンゴは雷に向け、人工神器を投げる。塩水を

纏った人工神器は雷を纏う。その輝きは美しく、

観客を魅了した。

ダバンゴ「終わりだぜ!」

ライ「結果を言うでござる」

フラット「集計完了です!えーっと...98.846!

ファイター支援課を抜かした!次のコンビで

デ・ロワーの点数が左右される!では次は

ビーチステージにご注目!スラリアとスターによる

ラストショーをご覧あれ!」

スラリア「レディース&ジェントルマン!」

スター「太陽に負けない輝かしいショーを、

最後まで堪能してってね!」

スラリア「いくよ!奏でて、神業・和音!」

キレイな音があたりに鳴り響く。自分の思いを

奏でるという、封印されていた神業。そしてスターもー

スター「輝け!神業・フラッシュミスト!」

観客席を包み込むほどのキラキラと輝く霧が

広がる。そして更にー

スター「夢鳥に惑わされちゃえ!神業・夢鳥之舞!」

空に星のような点々と光る大きな鳥が羽ばたく。

それは観客を絶句させるほどの美しさだった。

スラリア「そして、夢は覚め、感動は消える。

儚き命は幻の如く消える。神業・夢消」

空の鳥も、輝いていた霧も、美しい音色も

一気に消える。それは夢の覚めたような

静けさにも似ていた。

フラット「...フィニッシュです!」

観客「...」

誰一人として声を上げない。その静寂に

不安を抱く2人。するとー

観客「もう一回!」

観客「もう一回!」

観客全体「もう一回!もう一回!」

全ての人がアンコールの拍手を送る。

スラリア「...やろっか!」

スター「うん!」

スラリア「いくよ!神業・和音!」

スター「術を変えるよ!打ち上げて!神業・夢花火!」

空に大きな花火が上がる。それはスターの願いが

幻術となって見えるという封印された神業。

スター「更にいくよ!空よ、闇に沈んじゃえ!」

青かった空が藍色に変わる。

スラリア「次は私が!全ての自然が抱く魂よ...

今、自由を舞え!神業・大地魂之懷舞!」

藍色に染まった空に、まるで星のような

眩い光を放つ木々や水などの自然の魂が舞う。

観客「キレイ!」

デラガ「これは俺たちの負け、だな」

ラルバ「こんな景色が見られるなんて...この前の

事件が嘘みたいです」

アスカ「あーあ、スラリアさん達、あんな素敵な術を

使えるなんて聞いてなかったよ」

マドール「私達もまだまだってことね」

スター「そして、闇はまた光に包まれる」

スラリア「目に見える魂もいつかは消える。

でも、悔いのない一生を生きられたら...

誰もがこの魂のように舞える」

観客「あ、空が...」

観客「終わらないで!」

フラット「...これでフィニッシュです!

さぁ、点数を...って嘘⁉︎」

スラリア「どうしたの⁈」

スター「一大事⁉︎」

フラット「集計...100点です!」

スター「100点...やったぁ!」

スラリア「お疲れスター!てことは...!」

フラット「平均値、99.423点で、

現在デ・ロワーがトップ!」

ダバンゴ「アイツら、やるじゃねぇの!」

ライ「見事なものでござった」

タクマ「序盤から大差ついちまったな」

ヒナ「次を頑張ればいいよ!」

タクマ「そうだな!」

フラット「それでは次の競技に移ります!

臨海公園にて10:30から開始いたします!

お時間になりましたら指定された席におつきください」


フラット「だぁ〜、疲れた!」

ナックル「おい、お前の出番だぞ次。大丈夫なのか?」

エド「そうっすよ!俺とライも出場するっすから、

足引っ張らないでくださいっすよ!」

フラット「分かってる...ただ...」

スラリア「ふぅ、ふぅ」

スター「もう無理〜!」

フラット「流石に新技を披露し続けてあの2人は

体力限界っぽいね」

フォール「さてと、綱引きまでは時間あるな、酒でも

飲んでくっか!」

クレア「ダメに決まってるだろ!ほら、戻れ」

ノール「今日は飲んでいい日じゃないよ」

フォール「分かりましたよっと。でもちょっとぐらいは

いいじゃねぇかよ」

フラット「絶対ダメ!飲みすぎて

酔っ払われても困るから!」

ペーター「おい、外」

フラット「え?外ですか?」

舞台袖から外の様子を見る。外は雨が降っていた。

フラット「雨が...今日は晴れるって...ていうか、

人工気象装置は?稼働してるはずですよね?」

ノール「今週はメンテナンス中だ」

エド「どうするっすか?」

フラット「...大丈夫!臨海公園にはあれがあったはず」

ナックル「あぁ、雨除け用の展開式屋根か。

でもあれは許可がねぇと使えないぜ?」

フラット「この公園の持ち主は区長だよ?」

ノール「流石に今から許可をもらいに行くのは

間に合わない」

フラット「お客さんには悪いけど、延期にするしか

ないか。スリップでもして怪我したら元も子もないし」

エド「苦肉の策っすね」

クレア「折角カメラも用意したのに...」

フラット「まぁ、さっきのコンテスト部門の点数は

メモしたし、明日晴れれば続けるから。それでいこう」

クレア「そうだな」


10:30ー

フラット「お客様にご連絡いたします。この雨の

影響によるお怪我や病気になるリスクを踏まえ、

本日のイベントを延期いたします。延期日は改めて

ご連絡致しますので、本日は終了となります。

誠に申し訳ございません」

観客「仕方ねぇよな」

観客「雨だもん」

観客「それにあんなショーを見れただけで満足!」

フラット「ふぅ、良かった。反論が出て来なかった」

ナックル「それで、日程はどうするよ」

フラット「明日やれればだけど...多分無理だよね」

ノール「明日中に地面が乾くかどうか、だよ」

エド「でも残念っすね。雨で中断させられるなんて...」

フォール「で?今日はもうやんないんだろ?じゃあ、

酒飲んでもいいよな?」

フラット「もういいや。好きにして」

フォール「じゃ、行ってるぞ」


ラルバ「残念ですね。今日はコンテストだけですか」

デラガ「仕方ないだろ。それにしてもこの雨、

嫌な予感がする」

フェアード「気のせいだろ?俺達も帰るぞ」

ラルバ「はい!」

デラガ「もう少し警戒したほうがいいと思うが...

まぁいいか。分かった、ラルバ、お前はこっちに

来ず、臨海公園前派出所に戻れよ」

ラルバ「分かってますよ!でもその前に

祝いにしましょ、祝い!デラガとの芸、今日が初めて

成功したんですから!」

フェアード「初めてって...怪我でもしたのか⁈」

デラガ「防弾チョッキ着てたので怪我はしていない。

ただ、発注を頼む」

デラガは上着を脱ぐ。着ていた防弾チョッキは

所々穴が空き、防弾チョッキの役割を

果たせそうにはなかった。

フェアード「発注か...分かった。それで祝いか...

よし、いいだろう。ただし発注があるから先に2人で

やっていてくれ。すぐ向かう」

ラルバ「分かりました!さっ、行きましょ、デラガ!」

デラガ「あぁ、行くぞ!」


タクマ「ヒナ、帰るぞ」

ヒナ「...ごめん、私のミスで点差が...」

タクマ「気にすんなって、まだ終わってないしよ!」

ヒナ「ありがとう...そうだね!終わってない!

次からまた頑張ろう!」


ダバンゴ「ライ、よくやったぜ!テメェ、

やっぱ俺のパートナーだぜ!」

ライ「ダバンゴ殿もいい泳ぎでござった!

戦闘の時もよろしくでござる!」

ダバンゴ「おうともよ!」


クレア「ったく、やんなっちまうな、この怪我」

スラリア「そう言わないで。早く治すために

リハビリしてるんでしょ?」

スター「そうだよ!それに、弓術の練習もちゃんと

やってるから腕も鈍ってないもんね!」

クレア「そういうスターは神力の練習、出来てんのか?

最近見てないぞ?」

スター「へへ、兄ちゃんには秘密にしてたんだ!

これ!戦闘モード、起動!」

クレア「お、おいこんな中で...?それ、神器⁈」

スター「うん!スターも、神器手に入れたんだ!」

スラリア「わぁ、ブーメラン!風って感じ!」

スター「後で手合わせしよ、スラリア!」

スラリア「いいよ!任せて!」


ナックル「で?急にどうしたよ。お前から相談って

珍しいな、ノール」

ノール「ちょっと、ね。最近、ヤケに悪寒が

止まらない。何かが近づいている...そんな気がする」

ナックル「...同感だ。俺もそんな気配は感じていた。

多分だがフラットは感づいてるな」

ノール「やっぱり...でも言わないのが

フラットらしいか」

ナックル「余計な心配はさせないか、アイツらしいな」


ペーター「今日はお疲れ。とりあえず帰っていいよ。

おっとその前に、前に言ったこと、

ちゃんと調べておいてくれ」

フラット「了解しました!」

ペーター「そんな気張るなって。最初会った時も

言っただろ?メリハリつけろって」

フラット「分かりました!フラット・クラリオ、

行ってきます!」

ペーター「よろしい」


フォール「ここの酒はやっぱ美味い!」

バルシア「フォールさん、分かってますね!」

キルユウ「お前は飲み過ぎだ。少しはゆっくり飲め」

バルシア「そういうキルユウだって強いお酒、

飲んでるじゃんか!」

キルユウ「俺はいいの!ゆっくり飲んでるから!」

バルシア「キルユウ、酔っ払ってるし...」

フォール「アッハハ、もっと飲めよ!」


ペイロゴン「すまんなキャベル。コンテスト部門に

出せなくて」

キャベル「しょうがないですよ、隊長」

ペイロゴン「まぁ、3競技出場式だからな。

残り5競技のうち3つに出場すれば良い」

キャベル「はい!頑張りましょう!」


?2「ったく、面倒そうな依頼しやがって。

まっ、お茶の子さいさいって感じに終わらせれば、

俺の才に気付くだろ。それじゃ、一つやってくるか!」


フェアード「よっと、これで発注も終わりだ!」


ラルバ「警部、そろそろ発注も

終わってるんじゃない?」

デラガ「お前は俺の前だとタメ口だよな。

まぁ、いいけどよ。お前と話してると楽しい」

ラルバ「え?デラガっぽくないこと...明日地震でも

起こるのかな?」

デラガ「お前までキャベルと同じこと言うのか!」

ラルバ「ハハハ、冗談だよ冗談!」


フェアード「ヤベっ、もうこんな時間かよ!

アイツら待ってるだろうな!」

?2「お、丁度いいカモが!その命、もらった!」

ドン!

浅草警察署付近に銃声が鳴り響く。

フェアードの足元にはボタボタと血が垂れ落ちる。

フェアード「ぐっ...⁉︎ガァ!」

?2「始末完了...アハハハ...アッハハハハ!」


ラルバ「やっぱりこのステーキは美味い!」

デラガ「おいラルバ、お前のNPに着信入ってるぞ」

ラルバ「あれ、本当だ...警部から?」

NPに入ってきた着信に応えるラルバ。しかし、

立体映像に映し出されたのはとある救急隊だった。

ラルバ「マルド?どうしましたか?」

マルド「どうしたもこうしたもない!いいから

浅草病院まで来い!フェアードが...

フェアードが撃たれた!」

ラルバ「えっ⁉︎」

デラガ「おいマルド!今なんて言った⁉︎」

マルド「だからフェアードが撃たれた!」

ラルバ「...警部が...撃たれた...?」

デラガ「誰にだ⁈」

マルド「そこまではまだ...だが気をつけろ!

この事件、最近起きている事件と関連してる可能性が

かなり高い!」

デラガ「分かった。それで容体は⁉︎」

マルド「...それは...来てから伝える」

デラガ「...おいマルド、まさかー」

マルド「僕の口からはこれ以上...言わないよ」

ラルバ「そんな!」

デラガ「ラルバ、一旦深呼吸しろ。フェアードが

そんな簡単にくたばるやつか?」

ラルバ「でも...!」

デラガ「こういうドッキリが好きなやつだろ?

信じろ、フェアードを」

ラルバ「...デラガ...!」

マルド「デラガ、お前1人で来てくれ。ラルバには...」

デラガ「ラルバ、アイツの声、

後で聞かせてやるからよ。ちょっと待っててくれ」

ラルバ「必ず...」

デラガ「あぁ、必ず聞かせてやる」


フラット「えっ⁉︎フェアード警部が...!」

ペーター「あぁ、さっきドクターファイターの

マルドから入った情報だ。これで浅草初の

被害者だ。しかし...敵も侮れないな。

手にかけたやつ全て...消してるんだからよ」

フラット「!ペーターさん、それってー」

ペーター「深く考えるな、フラット」

フラット「そんな...!ラルバ...デラガ...」

ペーター「君のせいではない。あのフェアードでさえ

気配に気づかなかったんだ。相当なやつってわけさ」

フラット「そんな簡単に片付けていい話じゃないです!

ラルバが...デラガが悲しんでる!放っとけません!

僕も浅草病院に行ってまいります!それでは!」

フラットはペーターとの通信を終えて、

急いで浅草病院へ向かう。


ラルバ「必ず...生きててください、本官の...

俺の“憧れ”!」


3節 憧れは憧れのままー

マルド「来た!」

デラガ「...フェアードは...どうしてる」

マルド「眠ってるよ。もう...二度と覚めない眠りに」

デラガ「......くそっ!俺が...俺が!」

マルド「デラガ、落ち着いて、ね?気持ちは...

すごく分かるよ。フェアードさんに救われたから...

警察やってんだもんね」


ナックル「アンタ、立てるか?」

デラガ「......」

フェアード「何ボケっとしてやがる!逃げるぞ!」

フェアードはデラガの腕を引っ張る。

そのデラガの腕は脱力し切っていた。瞳には一点の光も

なかった。ただ自分に対する怒りと情けなさを

見つめ返していた。


フェアード「大丈夫か...って野暮な質問か。

あからさまに目がイっちまってる。見たところ、

お前さんファイターだろ?誰かを失っちまったか?」

デラガ「...」

心ここにあらずといった表情でゆっくりと頷く。

フェアード「悔しいか。そりゃそうだ。でもよ!」

デラガの肩にそっと手を置くフェアード。

決してそんなデラガを叱ろうとはしなかった。

フェアード「悔しいと思えたならそれでいいさ。

絶望しちまえばそれでしまい。でも悔しいなら

お前は強くなれる。その思いが有ればな。どうだ?

俺のとこで働かないか?お前さんの無念を、

少しでも晴らすためにもよ!」


マルド「...デラガ...一応見てやってくれないか?」

デラガ「...俺がアイツと面会するのにお前は

来なくていい」

マルド「デラガ...」

デラガ「だってよ...情けねぇよ。俺は...あの人まで...

失っちまった!」

マルド「......」

「デラガ!」

マルド「⁉︎」

フラット「僕なら...一緒にいちゃダメかな?」

デラガ「フラット...」

フラット「僕も...謝りたい。調査を始めた初日に

こんなことが...知ってたのに...!伝えられなかった!」

デラガ「フラット、それはフェアードも知っていた。

だがアイツでも気づけないほどの...俺なら...

対処できた。俺なら...!」

フラット「...とりあえず入ろ?顔も見ないで...

泣くのは違うから」

デラガ「...そうだな」

2人は死体安置室に入ろうとする。しかし、

デラガの足は入り口をまたげなかった。

フラット「...」

デラガ「俺には...資格があるのか?アイツと...

いや、アイツとも...フェアードと呼ぶ資格もー」

フラット「...」

黙ったまま真っ直ぐな足取りでデラガに向かう

フラット。そしてー

フラット「バカなこと言ってる暇ないでしょ⁉︎」

デラガ「バ、バカだと⁉︎」

フラット「だって、フェアードさんが...そんなことを

言うはずないから!僕の知ってるあの人は...

優しくて、強くて...」


ラルバ「やっちゃいました」

フェアード「やっちゃいました、じゃねぇだろ!

この始末どうしてくれる⁈」


フラット「温かい人です。きっと...いや絶対!

デラガにも、ラルバ巡査にも

会いたがってるはずです!」

デラガ「フラット...」

フラット「僕が言えた口じゃないけど...デラガは

背負すぎだよ!ちょっとは...頼ってほしい」

デラガ「...ラルバも」

フラット「えっ?」

デラガ「ラルバも俺と初めて会った時、そう言った。

正直生意気だと思ってたが、その生意気が

お前の言う温もりなんだな」

フラット「...生意気は酷いな」

デラガ「す、すまん。悪く言っちまった」

フラット「まぁどうでもいいや!

ほら、会いに行くよ!」

デラガ「あぁ!」


ラルバ「...フェアード警部...」

ペーター「ここにいたのか」

ラルバ「ペーターさん...フェアード警部のこと、

何か知っていますか?」

ペーター「...ラルバ君、君がこの現実を

受け止めるかどうかは自由だ。聞きたいか?」

ラルバ「...やっぱり...そうなんですね...もう...

会えないんですね...すみません、これで!」

ペーター「あっ、ラルバ君!」


ノール「...この気配...!」

ナックル「あぁ、近いぜ!」

?2「おっと、偶然!」

ノール「お前は...?何だ?神器が...暴走してる...」

?2「神器?お前、その武器を神器と呼んでいるのか!

それは魔器だ!そうだろ?破壊之魔、モリガン!」

ノール「モリガン⁉︎ぐっ...!なんだ⁉︎頭が...!」

ナックル「どうした、ノール⁈」

ノール「モリガン...そうだ...私はモリガン...破壊する...

それが...我が役目...!」

ナックル「しっかりしろ、ノール!」

?2「アハハハハハ!もはやその者は、

ノールなどではない!モリガン様の復活だ!」

ノール「そう...私はモリガン。破壊と殺戮を司りし者」

?2「ようやく目覚めたか。さぁ、闇世界に

お戻りください」

ナックル「行くな、ノール!」

?2「こざかしい!第一魔術・『突風』!」

ナックル「グワァ!」

?2「さぁ、お供いたします。このアザゼル、

あなたのお側に...」

ナックル「行くな...行くなノール...!」

今にも絶えそうな意識の中で、ナックルは必死に

ノールの名を呼ぶ。しかしその声は...

ノールに届きはしなかった。


スター「第一突風『炎』術・『楕円爆破風』!」

スラリア「やるね!さぁ、次...?何この風...

なんか...来る⁉︎」

?1「ここにいたか、サリエル」

スラリア「サリエル...?どこかで聞いたような...」

?1「おいおい、自分のことくらい覚えとけよ?

まぁ、無理もないか。思い出さしてやるよ!この、

サマエルがね!」

スラリア「サマエル...!そうだ、私は...!」

スター「惑わされないで!こんな幻術、壊すだけ!」

サマエル「愚かなやつめ」

スター「な、何で壊れない⁉︎」

サマエル「本物だからだよ!嘘一つないね!」

スター「そんな...!」

サマエル「さて...お前の名は?」

スラリア「サリエル...堕天使サリエル...」

サマエル「そうだ、お前はサリエル。さぁ帰ろう。

我らが闇世界へ」

スター「行かせない!スラリアは

スターの友達だから!」

サマエル「やれ、サリエル」

スラリア「分かってる。そこをどけ!」

スター「キャッ⁉︎」

スラリア「殺すか?」

サマエル「やれるのか?」

スラリア「迷う暇など...ない」

サマエル「なら...やれ」

スラリア「あぁ」

スター「スラリア...!神業・夢化!」

スラリア「チッ!逃した!」


クレア「アイツらおせぇなぁ...」

スター「兄ちゃん!」

クレア「えっ、スター⁉︎どこだ⁉︎」

スター「うっ、うっ...!」

夢化を解除しクレアに抱きつき泣いているスター。

何があったのか分からないクレアは少し戸惑う。

クレア「どうしたんだよ?落ち着け」

スター「スラリアが...スラリアが...!」


バルシア「ふぁ〜...もう飲めない〜」

キルユウ「わざわざすまん。コイツが

飲みすぎたばかりに」

フォール「気にすんな、それじゃ...?」

?3「迎えに来ましたぞよ?マスティマ殿」

フォール「マスティマ...へぇ、俺のこと知ってんだ」

?3「はい、しかし己が役目に従わぬとは

どういうつもりかえ?我らが長、サタン殿が

お怒りになるのもさるべきかと」

フォール「そんなの知ったこっちゃねぇ。

俺の人生、好きにやらせてもらう!」

?3「ほう...このべリアルに従わぬと申すか。

ならば強制執行するまで!」

フォール「なにっ⁉︎」

?3「さぁ、我らが闇世界へ行こうぞ!拒否権など、

もはや貴様にないがな!」

フォール「ちくしょう...!フラット、すまねぇ...」


フラット「フェアードさん、眠ってるみたい...

デラガ、挨拶ー!ごめん!ちょっと外行ってくる!

何か...嫌な予感がする!」

デラガ「...あぁ」


フラット「なんだ⁈今肝が冷えるような...!」

ナックル「フラット...!」

フラット「バトラー!どうしたのその傷⁈」

ナックル「そんなことより、ノールが...!」

クレア「おーい、フラット!」

スター「フラット...うわぁーん!」

フラット「どうしたの⁉︎何かあった?」

スター「スラリアが...スラリアが...!」

クレア「スラリアが...サマエルと名乗るやつに

連れて行かれたそうだ」

フラット「サマエル...!それって堕天使⁉︎」

ナックル「ノールも、アザゼルとかいう奴に!」

フラット「となると...フォールは⁉︎」

?4「アッハハハハハ!残念だったな!

モリガン、サリエル、マスティマ...全ての魔族は揃った!

これで血鬼7人衆完成だ!」

クレア「何者だ⁉︎」

?4「私はベルゼブブ。アブを操る者」

フラット「堕天使...ベルゼブブ!」

ナックル「フラット、さっきから何だよ、

堕天使って!」

フラット「昔、母さんから聞いた神話だ!だが...

本当だったのか...」

ベルゼブブ「では...これで。あと、残念だったなぁ、

あの天使の警官。死んだんだってな?」

フラット「!まさかお前が⁉︎」

ベルゼブブ「いや?やったのはアザゼルだ」

ナックル「誰のことだフラット⁉︎」

フラット「フェアード警部のことだ...」

クレア「おっさん、くたばったのか⁉︎テメェ...

許さねぇ!」

ベルゼブブ「恨むなら私でなくアザゼルを恨みなさい。

それでは...これで」

フラット「待て!くそっ!」

スター「...皆、もう帰ってこない?」

フラット「えっ?」

スター「やだよ!ノールもスラリアもフォールもいて...

8人全員揃ってデ・ロワーだもん!やだよ...

皆と一緒にいたいよ!」

フラット「...そういえばエドは?」

ナックル「見てねぇなそういや」

フラット「エドのことだから多分あそこ!

僕...行かなくちゃ!」

ナックル「お、おいフラット⁉︎」


フラット「エド!」

エド「?どうしたっすか?今明日のイベントに向けて

調整中っす!雨もやんで地面も乾いたっすからね!

明日にはー」

フラット「エドぉ!」

思いとどまることなく、フラットはエドに抱きつく

エド「ど、どうしたっすか?」

フラット「良かった...良かった!」

エド「本当にどうしたっすか?話聞くっすよ」


エド「そうっすか。あの3人が...」

フラット「僕...隊長失格だね。隊員のことも守れないし

フェアード警部も...」

エド「フェアード警部のことはペーターさんから

聞いたっす。でもフラットは悪くないっすよ。

俺が言えたセリフじゃないっすけど...

フラットは隊長失格じゃないっすよ!」

フラット「エド...」

エド「だって...今までフラットがいたから俺達は

苦難を乗り越えられたっす!もしフラットが

いなかったら、今の俺はなかったっす。

きっと今も全員もっす」

フラット「...」

エド「フラット、自分ばかり責めないで、

分かち合わせてくださいっす!」

フラット「エド...!」

エド「我慢しなくていいっすよ。誰だって

辛い時はあるっす。泣いたって...いいんすよ」


翌日ー

ペーター「ということだ。昨晩起こった出来事から、

かなりマズイ状況に陥った」

クレア「マズイ状況?」

ペーター「血鬼7人衆は第5天魔戦争で神軍の7割を

滅した、桁外れに強い魔だ」

スター「...でも、何でスラリア達は魔になったの?

前までは普通の天使にー」

フラット「負翼」

スター「えっ?」

フラット「負翼背負し天使、前世魔が者なり。

前世魔が者、魔器に残されし記憶蘇る時、

魔が力目覚めん。母さんから聞いた話だ。

今でもよく覚えてる」

エド「つまり、負翼を持つ天使は魔族で、

その生まれ変わりがノール達ってことっすか!」

ナックル「それで魔器に残された記憶が蘇る理由は?」

フラット「たしか...魔器に封印されし力、

魔器の記憶なり。その記憶、封じられるべきものなり。

その力解放されし時、即ち記憶甦らん」

ペーター「なんてことだ...俺達が強化してきたものは

封印された記憶を...!」

スター「でも、そうなるとフラットはどうなの?

正負翼でしょ?」

フラット「正負翼は詳細がない。一度だけ母さんから

聞いてはいたけど...正か邪、どちらかに偏るかによって

力の意味が変わるってことしか...」

ナックル「つまりバランスが大事ってことか」

クレア「それより助けられるのか⁈」

フラット「魔が力、心奪いし時、その者が御魂、

我忘れ、心忘れ、誅される時ばかり待つのみ...

心まで魔の力に染まれば助けられない」

スター「じゃあもう...!」

フラット「多分もう無理」

エド「そんな簡単に諦めるもんすか!

必ず手はあるはずっす!」

クレア「そうだよな!諦めちゃいけんよな!」

バジー「その通りですわ!」

ナックル「バジー...」

ペーター「昨日、ペーター様からそのことを聞いて、

いよいよ私の師匠が必要になったと確信いたしました」

フラット「師匠?」

バジー「いらしてください!」

?「おう!何やしょげた顔しとるのぉ!

ほら、シャキッとし!自分らファイターやろ?」

バジー「この人が、私の師匠、四大・地の

ダンステード様です」

ダンステード「よろしゅうな!ほな、早速で悪いが

ちょっくらテストさせてもらいまっせ!」

ナックル「テスト?」

ダンステード「せや!この石持って、このヘルメット、

かぶってもらえるかいの?」

ナックル「こうか?」

ダンステード「ええ感じや!ほな、早速計測開始や!」

フラット「何の計測ですか?」

ダンステード「今持たせてるのは神魔石っちゅう、

特別な石でな、あれを通じて神力を測定しとるんや。

お、出てきたでぇ!どれどれ...うーん、実力はあるが

神業、使っとらんやろ?」

フラット「えっ、ナックルさん神業使えるの⁈」

ナックル「いや使えねぇよ!」

ダンステード「何や、知らんのか?

ファイターっちゅうのは神の血を少しでも引いた者なら

誰でもなれるんやで。と言うても根性や力がないと

なれないって思われがちやけど」

スター「てことは、ナックラーはミカエルの末裔だから

ファイターってこと?」

ダンステード「そういうことや。ほなら次は

エド君や。この石持って、メット被って測定開始や」

エド「はいっす!」

ダンステード「君もおんなじやね。神力を使うてない。

実力あってもダメなんや!この神魔石っちゅうのは、

ただの石やない。生きてる石なんや!」

クレア「生きてる石ってどういうことですか?」

ダンステード「この神魔石はな、神力と魔力が

ぶつかってできたものや。神力も魔力も、

自然が生み出すエネルギーを使って生み出すものや。

その自然のエネルギーの結晶がこの神魔石なんやで」

フラット「...それで神魔石を使うということは...」

ダンステード「これをうまく使いこなせれば、

あの3人も救えるはずや!迷うてる暇ないで!

奴らの動きはこんなものじゃあらへん!」

フラット「分かりました!」

ダンステード「では次、フラット君」

フラット「お願いします!」

(必ず...助けに行くんだ!それが...

今の自分に出来ること!)

ダンステード「な、何やこれ⁉︎凄い神力やで!

こんな数値、見たこともない!ほんまにすごい...!

メイターがはち切れそうになるやなんて...」

フラット「何これ...神魔石が...呼んでる?」

バジー「何か聞こえるのですか?」

フラット「神魔石が僕を呼んでる...そんな気がして」

バジー「!ダンステード様!」

ダンステード「せやな!おいバジー!例のもの、

見せてやれれや!」

バジー「はい!こちらに来てください」

フラット「は、はい!」

ダンステード「それじゃ次、クレア君!」

数分後ー

ダンステード「クレア君もスターも合格だ。

フラット君達のとこへ行ってこい」

ナックル「俺達は不合格か...」

エド「しょうがないっすよ、神力のこと、

知らなかったっすもん」


フラット「これは...!」

バジー「私達整備課が汗水垂らして

完成さした最高傑作、神器強化パーツですわ!

神魔石を用いてできていますので、高い神力を

お持ちでないと操れません。フラット様と

クレア様、スター様は合格されましたので」

フラット「で、これは常備するべきなの?」

バジー「いえ、ここに保管なさってください。

今の東京は魔力も放出されています。

もし汚れてしまえば新たな神魔石が必要になります。

あともう一つあります。この神魔石、

自分の命と引き換えに魔を滅することができる力も

あるそうです。そんな真似、させたくありませんが...

いざという時のために教えておきます」

クレア「その必要はいらない」

スター「だってスター達は絶対負けないもん!」

バジー「...そうですわね。私も気付かぬうちに

弱気になっていましたわ」

フラット「いや、多分僕達も気付かぬうちに

弱気にはなっていますよ」

クレア「まぁそうかもしれねぇな。でもよ、

ウジウジしてたって何にもなんねぇしよ」

スター「そうだよ!ノール達を絶対助けるんだから!」

ダンステード「せやで!その意気や!」

フラット「いい?絶対に3人を助け出すんだ!

僕達はたとえ離れ離れになったとしても、

一緒に過ごした時間は本物!だから...

何としてでも皆といられる未来を!」

全員「おーっ!」


デラガ「...」

ラルバ「あ、デラガ!フェアードは...?」

デラガ「...ラルバ。それは聞くな」

ラルバ「デラガはいなくなったりしないよね?

ずっと...一緒だよね?」

デラガ「お前こそ、いてくれるのか?」

ラルバ「俺がデラガから離れることはないよ!」

デラガ「だよな...信じてるぞ」


アザゼル「さてモリガン。宴の準備はいいか?」

ノール「あぁ、いつでも。なぁ、サリエル?」

スラリア「いつでもいいよ。いやぁ、懐かしいね、

闇世界。神の世界などという偽りとは違く、

欲に素直で美しい」

フォール「お気に召したようだな。

まだ俺は慣れていないが」

サマエル「安心しろ、すぐに馴染む」

ベルゼブブ「おや?どうやらやつら、神力の本領を

やっと発揮したようだ」

ベリアル「遅いのぉ、妾が喋るのより遅いわい」

サマエル「それで?あそこに仕向けた連中は

まだバレてないか?」

ノール「あぁ、四大のどれが偽物かなんて

話してもいなかった」

アザゼル「なんだ、大したことねぇな。四大って

名乗ってるくせに五つもグループがあるのおかしいって

思わなかったのか?」

フォール「さぁな。俺達も四大レベルまでは

行ってねぇし大した情報は持ってねぇよ」

サマエル「そうか」

ベリアル「してどうする。そろそろ出ておいた方が

良いと思うぞ」

ノール「だったら私が行こう。奴らの弱点は

私がよく知っている」

スラリア「躊躇わないようにね。失敗は許されないよ」

ノール「あぁ、分かっているとも」

アザゼル「では任せたぞ」

ベルゼブブ「その前に、これを」

ノール「魔石か。貰っとく」

ベルゼブブ「失敗するなよ」


ダバンゴ「いや〜、入って早々大事件だな」

ライ「その上参加者死亡に開催者行方不明...

八方塞がりでイベント中止でござる」

ダバンゴ「全く、東京がこんなに大変だとな」

ライ「帰りたいとは思わないでござる。

あんな怠けた星よりこの地球にいたいでござる」

ダバンゴ「堅物かよ。お前らしいが」

ライ「それより、魔族が問題でござる」


ペーター「魔族は悪魔や堕天使の力をひくものだ。

ノールは流れ者だったようだが...」

フラット「どうして言い切れるんですか?」

ペーター「今、この世界を支配しているのは

昔、キリスト教と呼ばれて信仰されていた

神だ。しかしノールの先祖はモリガン。これはケルト神話という

この世界線には存在しない破壊神のなんだ」

クレア「となると、タール家の何代目かが

この世界に流れてきたわけか」

ペーター「そうなる。スラリアは堕天使、フォールは

悪魔、と言うよりサタンに近い存在」

スター「サタン…悪魔の長って言われてるあれ⁈」

フラット「近いってどういう意味ですか⁉︎」

ペーター「フォールの先祖はマスティマ。サタンと

同じ役目を果たしたと言われている」

フラット「何でそこまで知っているんですか?

フォールの目撃情報はないはずです」

ペーター「フォールは知っていたんだ。自分の先祖が

マスティマであることを。四大も、ゼウス様も

知っていた。だが咎めなかった。アイツは、

アイツの心は魔族のものなんかじゃなかった」


フォール「本日より正社員に認められました、

フォール・パトリックです!」

ベングル「よろしく頼むぞ!」

グリオ「まだ正社員だ。あまり気を抜くなよ」

フォール「はい!その前に1つ。俺の先祖は

魔族の1人、マスティマです。だけど、俺は

そんなこと気にしないです。俺は俺、その意識を

忘れずファイターやらせてもらいます!」


スター「じゃあ何で⁈何で...」

ペーター「恐らく、あの3人を強制的に魔族に戻した。

そういうことだろう」

フラット「じゃあ人工アリジゴクと同じ⁉︎」

クレア「しかもセンリの...グリテールと同じ、

中途半端な魔族ってわけか⁈」

ペーター「あぁ。そのせいで望まない破壊と殺戮を

繰り返してくだろう。そして心は壊れて、

魂に宿る光も消える。こういう魂胆だろ」

フラット「...許さない!」

スター「フラット?」

フラット「そんな死より苦しいような真似で、

あの3人を...!絶対許さない!」

クレア「あぁ、襲ってきた時が勝負だ」

ペーター「それでは司令室に戻ってくれ」

全員「了解」


ノール「...ごめん、フラット。少し裏切るよ...

第一破壊『闇之』術・『闇夜行特急列車』!」

ノールの“神業”がデ・ロワーに向けて放たれる。


フラット「うわっ、なんだ⁉︎」

クレア「攻撃されてる!誰だ⁉︎」

バジー「敵影捕捉!ノール様です!」

スター「もう来たの⁉︎」

ナックル「行くしかねぇだろ!」

エド「そうっすね!」

フラット「ちょっと待って!クレア、スター!

僕達は神魔石を持って戦闘に行くよ!急いで!」


ノール「...ごめん。折角...助けてくれたのに」

ナックル「ノール!」

ノール「おっと、来たか?このシヴァを相手に

勝てるわけがない!」

エド「ナックラーさん、俺達だけじゃ勝てないっす!」

ナックル「時間稼ぎだ!」

ノール「何をごちゃごちゃと...消えろ!

第一魔術・破壊!」

ナックル「おっと!」

エド「ギリギリっすよ⁉︎」

ノール「外したか。まぁいい。次は当てる」

フラット「ノール!」

ノール「?やっと来た。待ちくたびれたよ」

クレア「...今はモリガンだ。俺達に歯向かうってなら

承知しねぇぞ!」

スター「ノールを返して!」

ノール「...戯言を!第二魔術・

『バンフレイムクラッシュ・怒』!」

フラット「危ない!神業・結界!」

ノール「お?面白い。どこまでもつか...見ものだ」

フラット「守るんだ...!僕が...皆を!」

キーン!

バジー「ダンステード様、フラット様の神魔石が!」

ダンステード「せやな!いけるで!」

バジー「了解!神魔石、フォームチェンジ!」

フラット「えっ⁉︎何これ⁉︎」

バジー「それが対魔族兵器、カムイですわ!」

フラット「カムイ...!」

クレア「何だ何だ?あの兵器は⁉︎」

スター「カッコいい!」

ナックル「あれが...神魔石か⁉︎」

エド「イカしてるっす!」

フラット「よく分からないけど...やんないと!」

ノール「神魔石...そうか、手に入れたか。

なるほど、面白い展開だ。出てこい、

『デストロイヤー』!」

フラット「ノール...いいよ!もう一度、

勝負といこう!」

ノール「よし...やろう!」

ダバンゴ「おっと、その前に!」

ライ「此度は拙者も!」

フラット「2人とも...って⁉︎もう神魔石⁉︎」

ダバンゴ「俺達は極秘任務だ!ここに配属されたのも

四大の決定だからな!」

ライ「ノール達が操られるのも

想定内だったでござる!」

フラット「じゃあ2人...アカデミーだったの⁉︎」

ナックル「おい!集中しろ!」

エド「来てるっすよ!」

フラット「ヤバっ⁉︎」


最終節 枯葉紅葉舞う頃に

フラット「ヤバっ!」

ダバンゴ「伏せてろ!遊泳・クライムスウィム!」

ノール「なにっ⁉︎」

ライ「今でござる!落雷・轟連雷!」

ノール「ぐっ、術式破壊!」

ライ「拙者の雷は絶対に負けないでござる!」

ノール(...そう。これでいい。私は傷つけられない。だから...殺して)

フラット「⁈この声...ノール!」

バジー「ノール様の内部から些細な神力探知!」

ダンステード「まだ生きてるんやな!

ちょっとええか?」

フラット「ダバンゴ、ライ!攻撃やめ!」

ライ「えっ?」

ダバンゴ「何でだよ⁉︎折角いい感じなのに!」

フラット「いいから!」

ダンステード「せや!それでええ!フラット君、

神魔石の力を最大限引き出すんや!」

フラット「神魔石の力を...最大限に?」

バジー「神魔石に神力を預けるんです!神魔石は

必ず共鳴してくれますわ!」

フラット「了解しました!答えて、神魔石!」

キーン!

フラット「これは...!」

バジー「そして...支援力を全て使ってください!

つまり、翼を用いて最終技を!」

フラット「翼を...『審判之正負翼』!

最終審判『救済』術・『天使之ー」

アザゼル「モリガン!」

フラット「えっ⁉︎」

惜しいところにアザゼルが邪魔に入り、

術が遮られる。

アザゼル「まだ力が戻っていないのか。とにかく、

闇世界に戻りましょう」

フラット「あ、待って!」

アザゼル「神が気安く我々に逆らうな。ではこれで」

クレア「おい待て!」

アザゼル「闇溶け」

スター「あっ!」

ダバンゴ「逃しちまったか」

ライ「逃げ足の速い敵でござる」

フラット「ノール...まだ生きてる!」


ダンステード「お疲れやで!」

バジー「あの...ノール様の件ですけど...」

フラット「その前に状況を報告します。ノールの魂の

生存を確認。何者かがノールを連れ去りこれを逃した。

以上です」

ナックル「フラット...?」

エド「なんかいつもと気迫が全然違うっす」

フラット「作戦司令室内での私語は慎め」

ダバンゴ「おいおい、どうしちまったよ親分?

アンタらしくないぜ?」

スター「なんか変だよ?」

クレア「フラット、何抱え込んでるか知らんが

お前1人の問題じゃない。それは分かってるよな?」

フラット「いや、僕は隊長だ。仲間1人助けられないで

何が隊長だよ⁉︎」

ナックル「おいフラット⁉︎俺が追いかける!」

エド「ナックラーさん!俺達も追うっすよ!」

クレア「やめとけ。ここはすっとこどっこいに

任せるとしよう」


フラット「...何やってんだろう...ムキになったって

何にもなんないのに...」

ナックル「お前は抱えすぎだ。昔っから1人でよ」


それは高校の時ー

フラット「これは僕の仕事だよ。バトラーは

いいって。疲れてるでしょ?」

ナックル「いや、お前孤児院に、バイトで

また孤児院だろ?俺が代わるって」

フラット「いいって、バトラーに迷惑かけちゃうし」


ナックル「たまには俺にも背負わせてくれ」

フラット「...お節介だよね、バトラーは」

ナックル「なんてったって俺はお前の兄貴だろ?」

フラット「...じゃあさ、僕は隊長失格かな?」

ナックル「へ?」

フラット「だって...隊員1人も助けられないで...

隊長なんて名乗れないよ!」

ナックル「フラット!」

フラットの頭に1発、ナックルは思い切り

ゲンコツする。

フラット「いって⁉︎」

ナックル「そういうとこが、1番隊長らしくねぇぞ!」

フラット「バトラー...」

ナックル「隊長は弱音を吐くな!隊員を支えるのが

役目であり、できなきゃいけないことだ」

フラット「分かった。やってみる」

ナックル「まぁ、お前になら、いやお前にしか

出来ねぇな。いつも通りでいいぞ」

フラット「いつも通り?」

ナックル「あ、そっか。普通でいいぜ」

フラット「普通で...うん!やってみるね!」

ナックル「そんじゃ、帰るぞ。アイツらも

心配してるぞ」

フラット「はーい!」


一方浅草臨海公園派出所ー

ラルバ「警部...」

デラガ「ラルバ、今日から俺が警部になったんだが?

何空見て警部なんて言ってんだ?酷いやつだな」

ラルバ「よく冗談言えるね」

デラガ「俺だって辛いけどよ...フェアードに

笑われないように俺は警部をやらないとな」

ラルバ「デラガは強いんだね...」

デラガ「別に強いわけじゃない。誤魔化してるだけだ」

ラルバ「誤魔化せないよ、辛いのは」

デラガ「...まぁ、頑張るしかない」

優しくラルバの肩を2回叩くデラガ。その挨拶は

フェアードとラルバが初めて会った時と同じだった。


ラルバ「ママ、パパ、お兄ちゃん...うぅ!」

フェアード「君、大丈夫か⁈」

ラルバ「えっ?」

フェアード「ほら、逃げるぞ!」

フェアードの背中に乗っけられ、ラルバは

脅威の群れから離れていく。


フェアード「君、家族は?」

ラルバ「...」

ただ首を振るラルバ。

フェアード「そうか...?君、その手に持ってるのは?」

ラルバ「パパの拳銃...脅威に襲われたら使えって...

パパ...!」

フェアード「ほら、泣くな。辛いな...よしよし」

優しく肩を左手で叩きつつ、右手でラルバの涙を拭う

フェアード。その手はただただ優しく温かく...


ラルバ「フェアード警部...」

デラガ「...俺じゃ代わりにはなれないか?」

ラルバ「明日、また会いに来てくれる?」

デラガ「あぁ、いつだって会いに来てやる」

ラルバ「ありがとう。明日には笑って会えると思うよ」

デラガ「なら約束だ。お前の笑顔、早く見たいからな。

じゃあ俺は帰ってるぞ」

ラルバ「また明日!」


デラガ「ふぅ、あのラルバでさえ傷ついてるんだ、

俺もしっかりしないと!」

アザゼル「...魔を解き放し御魂...」

デラガ「⁉︎誰だ‼︎」

アザゼル「ほう、私を感じるとはやるな」

デラガ「貴様...何者だ⁉︎人間じゃないな!」

アザゼル「私は魔族のアザゼル。これで浅草の治安を

守る者を殺すのは2人目だ」

デラガ「なっ、貴様がフェアードを...!

それに他のやつらも...必ず逮捕してくれる!」

アザゼル「気付かないのか?お前の腹」

デラガ「へ...⁉︎いつの間に...⁉︎」

アザゼル「さぁ、これで終いだ」

デラガの胸に銃を突きつけるアザゼル。

しかしー

ラルバ「デラガは俺が守ります!」

ズキューン!

アザゼル「なにっ⁉︎」

アザゼルの拳銃に1発の弾丸が当たる。

ラルバ「ごめんデラガ!ストーキングしてた!

護衛だけど犯罪だからね!後で反省させてもらう!」

デラガ「す、すまんラルバ。助かった」

アザゼル「チッ、たかが2人、どうにでもー」

フラット「2人じゃないよ!」

ダバンゴ「俺達も一緒だぜ。テメェのような

胸糞悪い連中に尻尾巻かれてたまるか⁉︎」

ライ「仲間同士を争い合わせるなんて残酷かつ

下衆な行為、許されないでござる!」

フラット「いくよ!神魔石フォームチェンジ!

出でよ、カムイ!」

ダバンゴ「おっしゃあ!やってやるとも!」

ライ「粉骨砕身の覚悟で挑むでござる!」

アザゼル「チッ、面倒なことになっちまったか。

まぁいいだろう。片をつけてやる」

ラルバ「あれは...一体...?」

フラット「ラルバはデラガを連れて逃げて!

かなり大規模な戦いになるから!」

ラルバ「分かりました...って逃げる⁉︎本官も

戦います!」

フラット「ラルバは神魔石を持ってないから

危険すぎる!それにデラガが危ない!」

ラルバ「この状況下...分かりました。

デラガ、行くよ」

フラット「それじゃ、デ・ロワー戦闘開始!」

ダバンゴ「了解だぜ!」

ライ「承知した!」

フラット「審判・凍瀧之結界!」

アザゼル「魔術・熱湯!」

フラット「なにっ⁉︎」

ライ「アザゼルは水の力を操るでござる!」

ダバンゴ「だったら...!ライ!やつに1発、

雷撃だぜ!」

ライ「やってみるでござる!落雷・轟連雷!」

アザゼル「魔術・水流!」

ダバンゴ「よっしゃ!来たぜ!

遊泳・トルネードスマッシュ!」

アザゼル「よっと!へ〜、なかなかやるな!

ならこっちも...!魔術・血悪流!」

フラット「うわっ⁉︎」

ライ「フラット殿!落雷・電光石火之術!」

フラット「あ、ありがと!」

アザゼル「いい仲間思いだな...

いいもの見せてもらったし、礼に教えてやるよ。

俺達が警察を襲う理由」

ダバンゴ「何だと⁉︎」

アザゼル「俺達はな?サタン様を復活させるために

魂を集めているのだ。そこで警察はこの世界の治安を

守っているものだ。だからこの街に刺激を与えるために

殺しているのさ!」

フラット「そんな理由で...!」

ダバンゴ「テメェら、やっぱ胸糞悪いわ。

元海賊の俺様が言うのもなんだがなぁ!」

ライ「人の命をそんな理由で消すなんて...

許されたものでもないでござる!」

アザゼル「勝負と...いきたいが夜明けか。

帰らしてもらう。魔術・闇溶」

ダバンゴ「チッ、また逃がしたか!」

ライ「いと仕方ない、帰投でござる」

フラット「...先帰ってて、ちょっとラルバ巡査のとこに

立ち寄ってから行くよ」

ライ「了解でござる」

ダバンゴ「ちゃんと帰ってこいよ親分」


フラット「あ、いた」

ラルバ「フラットさん!どうかしました?」

フラット「デラガはどうしてる?」

ラルバ「怪我は浅かったので治療を終えて今奥にー」

デラガ「ん?フラットか」

フラット「良かった、無事だったんだね」

ラルバ「あの...神魔石とは?」

フラット「この石のことだよ。神力と魔力の衝突で

生じたものだって」

ラルバ「それが神魔石ですか...本官も欲しいです!」

フラット「高い神力が求められるんだって。

だから鍛えないと...」

デラガ「フラット。ラルバの神力は並外れだ。

上手くは扱えないがコントロールできれば

ピカイチの才能だ」

フラット「デラガが言うなら...でもバジーに

相談しないことには...」

デラガ「ありがとうラルバ。お前のおかげで

この程度の怪我ですんだ」

ラルバ「いや...デラガが無事で何よりだよ」

フラット「ねぇ、もし良かったらだけど...

ペーターさんに頼んでファイター支援課をアカデミーに

入れてもいいかな?」

デラガ「えっ、それって...!」

ラルバ「スカウトですか⁉︎」

フラット「一応...ちょっと待って。ペーターさんに

聞いてみるから。失礼」

キィ〜、バタン


フラット「はい、ファイター支援課をアカデミーに

加えてほしいんです」

ペーター「たしかにアカデミーには空きがあるけど...

ゼウス様に聞かないと何も...」

ゼウス「おっと、連絡中だったか?」

ペーター「ゼウス様⁉︎どうされました⁈」

ゼウス「?いやな、魔族の動きを見てアカデミーの

空きを埋めようとな。いいとこあるか?」

フラット「丁度良かった!何人空いてますか?」

ゼウス「お、空きか?えーっとな...東京で14人だ」

フラット「それだけいるなら...ラルバとデラガを

アカデミーに加えてください!」

ゼウス「ラルバとデラガ...あぁ!あの2人か!

たしかにいい人材だ!」

ペーター「ゼ、ゼウス様⁉︎」

フラット「それって...じゃあ!」

ゼウス「そうだ。これで残り12人か」

フラット「ヤッタァァァァ!すみません!

僕は2人に報告してきます!では失礼します!」

ゼウス「あ、おいフラット君⁉︎あらら、

切っちゃったか」

ペーター「フラット君に用事でしたか?」

ゼウス「あぁ...だがあの様子ならいいか。

落ち込んでると思ったが」

ペーター「さぁ...あの子は隠しますからね。

自分より相手を思いやる子は結構心を

見せませんし」

ゼウス「たしかにね。ああいう子こそ、

手がかかるんだ」


フラット「デラガ、ラルバ巡査!

報告報告ーってうわー!」

ラルバ「ちょっと、大丈夫ですか⁈」

デラガ「そんな大慌てで入ってくるなよ」

フラット「そ、それよりもう大ニュース!

これ以上にない大ニュース!」

デラガ「何だよ、早く言ってみろ」

フラット「2人とも、アカデミー所属のファイターに

なりました!」

デラガ「えっ...えぇ⁉︎」

ラルバ「嘘じゃないですよね⁉︎ていうか明日、

地球どころかブラックホールが発生しないですよね⁉︎」

フラット「まさか!アカデミーに空きがあったから

入れたんだよ」

ラルバ「それだけ...ですか?俺が最強だから...

とかじゃないですか?」

デラガ「それはないな」

フラット「ちょっと当たり!2人とも、実力を

認められてるよ!」

デラガ「ファっ⁉︎」

ラルバ「クーっ!了解しました!このラルバ、

ご期待に応えてみせます!」

フラット「...言っとくけどこのファイター支援課からは

移動しないよ?あくまで所属事務所が変わるだけ」

ラルバ「あれ?ていうかファイター支援課の指揮者は

誰でしたっけ?」

デラガ「...フェアードだ。アイツはファイターであり、

指揮者だったからな。アイツがいないと、他の連中が

上手いこと戦闘ができない」

フラット「指揮者...募集はかけないの?」

デラガ「指揮者は嫌われ者だ。例え募集を掛けても

集まらないだろう」

フラット「そっか...じゃあ新入ファイターは

移籍だけになるのか」

ラルバ「そうですね...誰かが指揮者に

目覚めてくれたら...そう思っちゃいます」

デラガ「仕方ないよな。ファイター兼指揮者は

なかなかいない。指揮者だけなら...話は別だが」

フラット「...あ!」

デラガ「どうした?」

フラット「あの子がいた!子供ですけど...

指揮者!」

ラルバ「?」

フラット「明日、案内します!

ここで待っててください!」

デラガ「あ、あぁ、分かった」


翌日ー

フラット「いるかな...」

ミッシェル「お?フラットか。何か用か?」

フラット「シャリーいるかな?」

ミッシェル「シャリーか?今は学校だ。アイツは

あれでも中学生。センリもな」

フラット「そういえばセンリさん、どうなったの?

グリテールさんが抜けた今、センリさんがー」

センリ「ミッシェル!忘れ物!」

ミッシェル「やっと来たか、ほらよ!」

フラット「えぇ⁉︎これセンリ⁉︎」

センリ「フラット!久々だな!」

フラット「えっ、めっちゃイケメン...」

ミッシェル「だろ?俺もそう思った」

フラット「ってそうじゃなくて!いつだったら

シャリー帰ってくる?」

センリ「?シャリーなら16:30には帰ってるぞ?」

ミッシェル「それぐらいだな。またその時に」

フラット「分かりました!」


デラガ「やっと来たか?遅かったな」

フラット「ごめん!ちょっと17:00ぐらいに集合して。

用事がある人、今いないから」

ラルバ「じゃあ秋ですし山登りでもしましょ!」

デラガ「いい運動になる。賛成だ」

フラット「僕も!いいよ!」

ラルバ「それじゃ、八王子に向けて出発!」


車内にてー

フラット「何で八王子?」

ラルバ「東京の山と言ったら高尾山です!ほら、

シートベルトつけてください!」

デラガ「もうつけてある。後一つ、追い越されても

スピード出すなよ」

ラルバ「いつも安全運転ですよ?」

デラガ「無自覚って厄介だな...まぁ頼む」

ラルバ「それじゃ出発です!」


数分後ー

ラルバ「あ、追い越された...いい度胸ですね!

勝負です!」

デラガ「おいラルバ!」

ラルバ「エンジン全開アクセル全開!

イッケェェェェ!」

フラット「ちょォォォォォっ⁉︎これ何キロ⁉︎」

デラガ「振り切れてる⁉︎」

フラット「違法だって!スピード違反‼︎」

デラガ「ダメだ、聞く耳持ってねぇ!」

ラルバ「イヤッフー!全速力は気持ちいいです!」

フラット「パトカー壊れちゃう〜!」


フラット「ちょ...休ませて...」

ラルバ「何で息が上がってるんですか?まだ山にも

登ってないですよ?」

デラガ「本当に無自覚なんだよな...後で免許アプリ、

確認しとけよ」

ラルバ「えっ?あぁ!また減点⁉︎」

フラット「...国道走るから...」

デラガ「よくそんなこと知ってるな...さては、

国道以外でぶっ飛ばしてるわけじゃ...?」

フラット「ギクっ...さ、さぁ!登ろっか!」

ラルバ「あ、待ってください!」

デラガ「おい、先に行くなよ!」


フラット「あ、紅葉...綺麗!」

ラルバ「今年は絶景ですね!いい感じに秋を

感じられます!」

デラガ「おいおい、山道で立ち止まるな。まず山頂に

着くまでは歩きながら景色を堪能しろ」

フラット「それもそうだね。よし、進もう!

山頂までかけっこだ!」

ラルバ「あ、だから走らないでください!

滑っても知らないですよ!」

フラット「うわっ⁉︎」

デラガ「おい、大丈夫か?ったく、面倒かけさせんな」

フラット「ってて...大丈夫。膝を擦ったぐらいだから」

ラルバ「ダメです!えっと...あった!邪魔になるから

こっち来てください。消毒と絆創膏で処置します!」

フラット「わざわざありがとう...」

デラガ「ラルバは用意周到だよな...?あれ...女の子?

まだ朝だぞ」

フラット「えっ?あれ...シャリー⁈」

ラルバ「どうしましたか?あ、終わりましたよ」

フラット「ありがと!ちょっとあの子のとこ、

行ってくる!」

デラガ「フラット⁉︎」


フラット「シャリー!」

シャリー「お兄さん...何か用かしら?私は忙しいの」

フラット「今日は中学校じゃないの?」

シャリー「そ、それは...早退したの。私は...

魔女だから」

フラット「魔女...あぁ、指揮者で...やっぱりその力は

嫌いなの?」

シャリー「嫌いに決まってるわ。この力が

あるせいで家族も親戚も近所の人さえも私のこと

気味悪がって...酷い話だわ」

フラット「じゃあ僕が証明するよ!シャリーが

魔女なんかじゃないってこと!」

シャリー「え?」

フラット「この前シャリーから救われたから、ね?

お返ししないと」

シャリー「...センリには秘密よ。バレたら叱られる」

フラット「流石に今日は無理だよ?脅威が

シャリーの中学校を襲ったら、その時に」

シャリー「じゃあ、そろそろ機会よ。八王子中学に

明日、アリジゴクが来るわ」

フラット「えっ⁉︎何で分かるの⁉︎」

シャリー「それが私の指揮者の力。脅威が

来るタイミングが分かる」

フラット「メッチャ便利じゃん!魔女じゃないよ!

もはや救世主だよ!」

シャリー「救世主...?でも私には戦う力なんて...」

フラット「違うよ、それが分かるなら人に教えて

逃げるように言えばー」

シャリー「無理よ。誰も信じちゃくれないから」

フラット「言ってみた?そのこと」

シャリー「伝えたわ。でも...私が

操ってるんじゃないかって逆に疑われて」

フラット「...よし、任せて。子供に説教するのは

大いに慣れてる!」

シャリー「説教って...」

フラット「元々は孤児院の先生!僕に任せといて!」

シャリー「いいの?」

フラット「当たり前!だからお返しだって!」

シャリー「ありがとう!」

フラット「わわっ⁉︎一応もう中学生だから!

そんな大胆に...」

シャリー「えっ...?キャァァァ!」

パシンッ!


フラット「...はぁ」

ラルバ「何でほっぺにモミジが?」

デラガ「別れ話でもしてたのか?」

フラット「違うよ!ていうかシャリー!

早く出てきてよ」

シャリー「け、警察...怖い」

フラット「人見知りしてないで早く。あるお願いが

あるんだ。それを聞いて欲しくて」

シャリー「わ、分かったわ...」

フラット「あのさ、公式コンダクターに

なってみない?」

シャリー「公式...コンダクター?」

フラット「そう!活躍すれば信頼を

得られるよ!」

シャリー「...お兄さんはそうだったもんね。

私もそうなれるかな?」

フラット「なれる!絶対!」

シャリー「...うん!やってみる!」

デラガ「で、でも君はまだ子供ー」

シャリー「子供扱いしないでくれるかしら?」

デラガ「し、失礼...?」

シャリー「というより、あなた達警察関係の

ファイター?もしかしてフェアードのおじさんに

代わる指揮者を探してたってところかしら」

ラルバ「ご名答です!ってあれ?知り合いですか?」

シャリー「知り合いというかそういう情報には

敏感だから、ミッシェル」

フラット「あ、そっか。じゃあ話も早い!」

デラガ「ミッシェル...?あの吸血鬼ファイターか。

気乗りはしないが、これも何かの縁だ」

シャリー「...ごめんなさい、やっぱりその話は

保留でもいいかしら」

フラット「えっ、どうして?」

シャリー「フェアードのおじさんの代わりは

私よりランケールがいいわ」

ラルバ「ランケールさん...ですか?」

デラガ「...やつと手を組めと言うのか?」

フラット「いや、ランケールさんと警察は...」

シャリー「なら諦めて帰ることね。私はできない。

おじさんの代わりは...務まらないわ」

フラット「...一応ヴァイスだから?」

シャリー「おじさんの力は見たことがない。

だからどういう風に力を使えばいいのか

分からないの。お手本がないから」

フラット「お手本か...そっか。デラガ、ラルバ巡査、

今日は帰りましょうか。用事も済みましたし。

ごめんなさい、貴重な時間無駄にしちゃって」

デラガ「用事って...これだったのか」

ラルバ「えぇ〜、折角ですし紅葉ぐらいは

眺めましょうよ!」

フラット「...それもそうだね。じゃあ眺めてこう」


展望台にてー

フラット「はぁ」

デラガ「どうした?ため息なんてらしくない」

フラット「この紅葉を見てるとつい考えちゃうんです。

僕達、もう元に戻れないのかなって」

ラルバ「そんなことないです!一度分かり合えたなら

必ず思いは届くはずですよ!」

フラット「ラルバ巡査...」

デラガ「俺も同意見だ。一緒に思い出を紡げたんなら

アイツらは絶対覚えてる。大事なものをそんな簡単に

捨てられるタマじゃない、アイツらは」

フラット「デラガ...そうだね。信じてみる。

きっと元通りになれるって」

スター「あれ?フラット!」

クレア「お、偶然だな!」

ダバンゴ「親分も散歩か?一緒に帰ろうぜ!」

ライ「拙者もお供するでござる!」

ナックル「ラルバ達も一緒か...?シャリーまで」

シャリー「私はもう帰るところよ。それじゃ」

フラット「あ、行っちゃった...」

デラガ「フラット、信じられるか?アイツらのこと」

フラット「もちろん!でもファイター支援課の

指揮者どうしよ...」

ラルバ「大丈夫ですよ!すぐに何とかなります!」

デラガ「そんな簡単じゃない。だが、そういう風に

楽観視するのもいいのかもな」

フラット「あ、モミジが...」

フラットの右手の中に一枚の真っ赤に染まった

モミジが舞い落ちる。

フラット「皆!必ず、またいつも通りに

戻ろう!」

ダバンゴ「は?おいおい、どうしちまった親分?」

フラット「いいから!」

ナックル「そういうことか、了解したぜ、隊長さん!」

スター「うん!必ず元通りになろうね!」

エド「ちょっと...先に行かないでっす〜!」

クレア「お、やっと来たか!」

ライ「もっと俊敏に登れるようになるでござる!」

エド「そんなこと言われても置いてかれたのは

酷いっす!」

ナックル「それはクレアが勝手に行ったからだぜ」

クレア「いやダバンゴが!」

スター「そうだよ!」

ダバンゴ「俺様は先に行くとは言ったがついてこいとは

一言も言ってねぇぜ」

ライ「ダバンゴ殿に追いつくのは楽勝でござる」

フラット「と、とりあえず一緒に帰るんでしょ?

だったらそれでいいよ!」

エド「まぁ、そうっすね。でもその前に

休憩したいっす」

フラット「分かった。じゃあー」

ダバンゴ「?おい、何だよあれ⁉︎」

ライ「何かがこっちに来てるでござる!」

フラット「なっ、まさか!」

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