第9話 闇の先にあるもの

1節 生贄の術

ノール「いい感じだ、スラリア、腕が上がってる!」

スラリア「ノールには及ばないよ」

フラット「2人とも!大丈夫⁉︎」

スラリア「フラット!大丈夫に決まってるでしょ!

フラットに比べたら大したことはやってないよ」

ノール「フラット、この状況から見るに

私達の戦力に問題はない」

フラット「そうじゃなくて!俺達が集まったあの場所に

陣を作る。あのゲートを塞ぐ。だから、ノールは

木を集めてほしい!スラリアは魂を!」

ノール「木?どのくらいだ」

フラット「3本ぐらい」

スラリア「魂って...何に使うの⁉︎」

フラット「陣を発動するために必要な空気のことだ。

自然の力とでも言った方が良かったかな?」

スラリア「あっ、そういうことか!出来るよ、

任せて!」

フラット「よろしく!それじゃ俺は陣を作る!」

ノール「...よし、やるか!」

スラリア「フラットに助けられた分、

お返しするんだ!」


フラット「ここには水がある...この噴水を中心に

陣を作ろう...これでいい。俺がいなくても、

アイツらは強い。だから...いいんだ」


ナックル「フラット、俺は絶対お前の味方だ」


フラット「...ごめんバトラー。約束、守れそうにない」


ノール「木、集まった!」

スラリア「風よ、草よ、水よ...清らかなる精霊、

我に従え!神業・御魂召喚!」


クレア「全ての風よ、今我の命に従え!」

スター「清風なるものよ、今我に姿を見せよ!」


フラット「来た!」


ナックル「?あの光は...フラット⁉︎使わせるか!」

エド「ナックラーさん⁉︎どこ行くんすか⁈」


フラット「風も、魂も、木も集まった。あとは火!

皆は下がってて。かなり危険な陣だから」

クレア「お前は大丈夫なのかよ⁈」

フラット「結界を内側に貼るから問題ないよ」

ノール「気をつけろよ」

スラリア「...!フラット、ダメ!」

フラット「?何が?ほら、下がってろって!

神業・ゲート接続」

ノール達の足元に大きな穴が生じる。

フラット「...皆、ありがとう。さて...やるか。

あとは...木を燃やすだけ」

フラットは噴水を囲むようにして三角形状に置かれた

木々に火をつけていく。そしてー

フラット「完成...これでいい。俺1人の“犠牲”で、

皆が救われる。これでいい。悩みなんかない。

でも...バカだなぁ、俺。スラリアの力を

忘れてるなんて。おかげで俺のしたこと、バレちまう。

でも、それでもいいのかもしれないな」


ナックル「フラット!」

ノール「フラット」

バルシア「兄貴!」

キルユウ「兄貴」

クレア「天然天使!」

エド「フラット!」

タクマ「フラット!」

ヒナ「フラット」

ゴン「フラット!」

スラリア「フラット!」

スター「フラット」

フォール「フラット隊長」


フラット「...もう終わらせなきゃ。迷う暇なんかない!

世界において最も要となる力、風、地、水、火、

全てが集まりしこの場所に生贄を捧げん。

我、フラット・クラリオの御魂を以って、

脅威たるものを召喚しゲートを封印させたまへ!

発動・生贄ふうー」

ナックル「させるかー!」

フラット「うわぁ!」

ナックル「ギリギリ間に合ったぜ...ふぅ、ふぅー」

フラット「陣が...!何してくれた⁈」

ナックル「お前こそ何してやがる⁉︎生贄封印だぁ?

お前、俺達のこと信用してねぇのか⁈」

フラット「してる!してるから後を任せようとー」

パシンッ!

ナックルの平手打ちが辺りに響く。

ナックル「それでどうなると思ってやがる!

置いてかれた俺達は...何ができる⁈

お前がいたから俺は...俺は生きれてる!

他のやつだって一緒だ!お前のことが...

大好きに決まってる!お前は置いてって平気なのかよ!

アイツらを...今までを置いてっちまっていいのかよ⁉︎」

フラット「でも、このままじゃいつか...!」

クレア「ったく、俺達が死ぬわけねぇだろ?」

ノール「バカにしないで。あの程度、すぐに片付く」

スラリア「何1人でカッコつけてんの⁈私は...

まだ何もフラットに恩返しできてない!だから...

勝手に死のうとしないでよ!」

スター「フラットは皆の宝物だもん!スターにとっても

大切な宝物だから...ずっと一緒にいたい!」

フォール「責任感だかなんだか知らねぇけどよ、

仲間残しておっ死ぬ隊長がどこにいやがる⁉︎」

エド「そうっすよ!フラットは俺の側に

いてくれるって約束したじゃないっすか...

嘘だってんすか⁈」

フラット「皆...でも、俺があれを...!」

ナックル「誰もそんなこと望んじゃいねぇ。

俺達が望むのは、お前と一緒に歩む未来だ」

ノール「そうだ。お前がいたから私は笑える。

だから、私もフラットを笑わせたい」

クレア「俺だってそうだ。お前のおかげで少しは

素直になれた!だけどまだ完璧じゃない。だから、

お前とまだ一緒にいたい!」

エド「フラットの言葉で俺は救われたっす!

人のことを信じようって思えたっす!フラットの笑顔が

俺を...支えてくれてたっす。俺は...その笑顔をずっと

見ていたいっす!」

スラリア「私も!この力に与えられた使命よりも

自分の思いが大切だって教えてくれたから!

それにまだ恩返しできてないから...これからも

ずっと、ずっと一緒に歩いてたい!」

スター「フラットがいてくれたから、スターは

自由になれた!思い出だってできた!だから、

フラットがいない明日なんて嫌だよ...!」

フォール「隊員にここまで言われる隊長、

初めて見たぞ。お前が育ててきたものは、もう充分

実ったのか?まだだろ?お前に甘えてるんだからよ。

まだ栄養を送ってやんな!」

フラット「...」

ナックル「お前は1人じゃねぇ。俺達が絶対に

ついてる。抱え込まなくていい。ただ一緒に

戦ってくれ。仲間としてー」

全員「友達として!」

フラット「友...達...!」

フォール「おいおい、隊長さんが泣いてるぞ?」

クレア「今考えれば、フラットはずっと戦ってたんだ。

自分と、自分の使命にな...1人で...でもよ、

俺達を救ってくれたお前を俺達が救いたい。

それが人生ってもんだろ?」

ノール「そうだな。助け、助けられ...そうやって

生きていくのは愛があるからと教えてくれた」

エド「誰かを守ることが正義、力なんかじゃないって

教えてくれたっす!その正義でフラットも守るっすよ」

スラリア「今のフラットは前の私だよ!

自分に負けて生きることを捨てた...でもフラットが

教えてくれた!思いより大事なものはないって!」

スター「フラットが教えたことが皆の希望に

繋がってる。だからスターはフラットの思いに

助けられたんだ!だから...!」

フラット「...俺は...1人じゃない...!

(ここにあった...あの時探してた夢も、

希望も...そして思いも...!)

フラット「皆!ごめん!俺、間違ってた...!

一緒に...力を合わせて...戦ってくれるかな?」

全員は互いに顔を合わせて頷き合う。

全員「はい!」

フラット「ありがとう...デ・ロワー総員!

出撃!目標、アリジゴクの殱滅!」

全員「了解!」


その頃ー

独裁フラット「おいバトラー、いいか?」

ナックル?「何でしょう?」

独裁フラット「消えろ!神業・死刑!」

ナックル?「グハッ⁉︎何故...干渉できる...?」

独裁フラット「そりゃ当たり前だろ?お前の魂は

俺の世界のナックル・バトラーのものだ。

お前に干渉できる理由だ」

ナックル?「何をするつもりだ...?」

独裁フラット「この世界に、

『シークレットワールド』をぶつける」

ナックル?「何だと⁉︎この世界をチリにする気か⁉︎」

独裁フラット「あぁ、もう必要ねぇしな。

だからアンタの力奪ってやるのさ。さて...お前の心臓は

どんな味かね?」

独裁フラットは管理者の胸に神器を突き刺す。

そしてズルリと心臓を引っ張り出す

独裁フラット「これで何人目の心臓だ?だが...

美味そうな匂いがする...!」


フラット「何...この感じ...悪寒が...」

クレア「おい...どうした?顔色悪いぞ」

エド「調子悪いっすか?」

ノール「もう残りのアリジゴクは少ない。休んでも

いいと思う」

スラリア「そうだね。今しか休む暇ないし」

スター「看病はスターがするから、ね?」

フォール「いや、俺もさっきから悪寒がする。

上手くいきすぎてるんだ、独裁フラットが

去った後から。何かある!」

ナックル「俺も同じ読みだ!」

フラット「まだ休んでる暇はない!多分...

そろそろ来るよ!ゲートがまた光ってる!」

独裁フラット「アッハハハハ!これでこの街も

最後だ!貴様らが日の目を見ることは...ない!」


タクマ「チッ、来やがった!」


ダバンゴ「おい、あれ何だよ⁉︎」

ライ「大地...でござる!」


マドール「どうなってるの⁈」

ミッシェル「シークレットワールド⁉︎マジか...

この世界も終わりか?」

シャリー「もしこの世界にぶつかったら...!」

センリ「脅威に溢れ返る」

アスカ「そんなことさせない!この街は

私のかけがえのない場所なんだ!」

ゴン「絶対に守り抜く!」


フラット「...もし仮にアイツが俺なら...同じはず!」

ノール「おい、フラット⁉︎」

ナックル「どこにいく気だ⁈」

エド「闇雲に突っ込んでも意味ないっす!」

スラリア「それにシークレットワールドが

現れた以上、もう何も手はない!」

クレア「脅威に支配された世界、

シークレットワールド...!」

スター「そんなの使う時点でフラットじゃない!」

ナックル「...フラット!」

フラット「何?」

ナックル「犠牲になるのは俺だ。お前に傷をつけ、

そしてお前を裏切った俺の犠牲でいい!」

ノール「何言ってるバカ虎⁉︎」

エド「そうっすよ!変なこと言わないで

くださいっす!」

スラリア「なっ君!絶対ダメ!」

ナックル「すまん、行くぜ。止めるな、俺は守る。

大切なものを...!」

フラット「行かせるわけないでしょ⁉︎」

ナックル「どけ!誰かが下敷きになればミクロ単位で

ぶつからずに!」

センリ「ナックル。その役目は俺が」

フラット「センリさん...?」

センリ「この体を、コイツに返す時だ。ナックル、

お前にはあえて言わなかった。俺は...」

センリは戦闘モードを展開する。緑色の光が

いつにも増して綺麗に見えた

センリ「コノコエヲキイテ...オモイダセルカ?」

ナックル「...グリテール...?お前なのかよ⁉︎」

センリ「ソウダ。アイニク、コノザマダ。オレハ

モウスグホンモノニナル。ナラ、オレハモウ

キエルベキダ」

フラット「本物って...!人工アリジゴクに⁉︎」

スラリア「そっか、アリジゴクを喰ってたせいで

人工アリジゴクとしての本能に偏ってた!」

センリ「ナックル、ナカマヲマモルノガ

オマエニオレタチガタクシタネガイダ。

ケッシテマケルナ。アリガトウ」

グリテールはセンリの体から抜けていく。

その閃光はアリジゴクとは思えない正義に溢れていた

ナックル「2度もお前を失ったりしない!

俺が行くんだ!」

フラット「いい加減にして!」

ナックルのワガママにフラットは1つ喝を入れる

フラット「このままだと、グリテールさんが

望まない殺人を繰り返すことになる!

それでも生きてほしいの⁈そんな苦しんでまで

生きろって言うの⁈」

ナックル「...だけどよ...」

ノール「バカ虎、一つ言っとく。アイツは

死んでやっと解放される。今がその時だ」

スラリア「なっ君、私もそう思う。今のなっ君は

らしくないよ!誰かのために犠牲になるんじゃない、

誰かを助ける力になるんでしょ⁉︎」

クレア「今がその時なんだ。グリテールの苦しみを

なくすためにも、ここはー」

ナックル「そんなの分かってるさ!分かってるから

嫌なんだよ!アイツと...もっと話したかった!

もっと側にいたかった!本物の弟だったから...!」

フラット「えっ⁉︎グリテールが...バトラーの弟⁈」

スラリア「嘘...⁉︎」

クレア「...しゃあねぇなぁ!ノール!あれ、

壊せるか?」

ノール「...たしか私の神器にもそんな神業が

封印されてた気がする。今の支援力なら

解放できるかも」

フラット「まだ時間ありそう!ノールを

スパークフラッシュ号まで護衛してくれ!

エド、スラリア!」

スラリア「分かった!」

エド「了解っす!」

フラット「残りのアリジゴクをクレア、フォール!」

クレア「いいとも!」

フォール「やってやる!」

フラット「そして、独裁フラットとの勝負を、

俺とバトラー!」

ナックル「いいぜ!ノール!任せたぜ!」

ノール「もちろん。ヘマはしない!」

フラット「うん...!最終作戦だ!今までで

1番苦しい戦いになる!でも、今までたくさんの

苦難を乗り越えてきた!だから最後まで諦めず、

気を引き締めていこう!」

全員「了解!」


エド「ノール!この道が近いっす!」

スラリア「足元に気をつけて!」

ノール「大丈夫だ!お前らも早く!」

エド「はいっす!」

スラリア「エド、上!」

大きな看板がエドの真上から落ちてくる

ノール「神業・破壊!」

エド「た、助かったっす...」

ノール「油断大敵だ。あと少し、気を緩めるな」

スラリア「ノール!私は信じるよ!ノールのこと!」

ノール「ありがとう、こんな戦争、早く終わらせるぞ」


クレア「そこを退きやがれ!

第一突風『零』術・『水切之旋風』!」

アリジゴク「ギュピィィィィィ!」

フォール「この闇を変える闇を見せてやる!

第一暗黒『木喰』術・『無数葉之影踏』!」

アリジゴク「グギャァァァ!」

クレア「よし!倒したぞ!」

フォール「邪魔はさせない!隊長とナックルの道は

俺達が切り開く!」


フラット「貴様!もう逃がさない!」

ナックル「さぁ、勝負といこうじゃねぇか!」

独裁フラット「逃がさない?勝負?アッハハ!

バカじゃねぇの?お前らに俺が殺せるのかよ?

あとバトラー、こっちのお前は殺しちまった。

だから、テメェも死ぬんだよ!」

ナックル「くっ!俺はよ...!フラットを守るんだ!

テメェに負けるわけにはいかん!」

独裁フラット「やっぱバカだな。俺もフラットだぜ?」

ナックル「テメェはフラットじゃねぇ!全く別物だ!」

フラット「バトラー!コイツに何言っても無駄だ。

殺すしかない!」

独裁フラット「アッハハハハ!殺すか!

そうだよな!父親を殺せたお前ならそう言えるよな!」

フラット「なっ...殺した...」

独裁フラット「お前はその手で何人殺した?」

フラット「...俺は...」

ナックル「フラット!くそ、貴様!」

独裁フラット「ハン、面白くない。もう少し粘るかと

思ったんだが...もういいや。降下加速」

ナックル「なにっ⁈」


グリテール「コウカガ...ハヤクナッタカ。ドウヤラ、

チャクチチテンハココカ。ナックル、コンドコソ

ワカレダ。ウマレカワレタラ...イッショニナロウ」


ノール「接続完了!更新は...あ、支援力が足りない⁉︎

あとちょっと...!」

スラリア「...ノール!カメラ回した!視聴者に

お願いして!応援してって!」

ノール「...ありがとう」

エド「配信も始めたっす!」

ノール「今見てる皆!私を応援して!東京を

救える力が私にあるから!お願い!」

スラリア「集まってきてる...!いけるよ!」

エド「早くするっす!」

ノール「よし、いける!更新開始!」


クレア「まずい!シークレットワールドが

スピードを上げてやがる!」

フォール「どうするよ⁉︎止める方法なんて...!」


フラット「俺は...!俺は...!束縛!」

シークレットワールドを束縛で縛り付ける。しかし、

降下は止まらない。

フラット「くそぉ!止まれ!」

ナックル「貴様!何を願う⁉︎」

独裁フラット「願い?それはな...人間の皆殺しだ」

ナックル「...やはりお前は偽物だ。フラットなら、

自分の思いさえ忘れていた。お前はただの殺人鬼だ!」


ノール「急いで!まだ間に合う!」

スラリア「もうぶつかるよ!」

エド「間に合うわけないっす!」

ノール「私は...正しい破壊をするんだ!フラットが...

バカ虎が教えてくれた!お願い、うまくいって!

来たれ、『破壊之負翼』!

最終破壊『壊滅』術・

『ロストワールドクラッシュ』!」

とあるゲートが急に現れ、新たな大地があらわれる。

それはシークレットワールドとは異なり、緑豊かで

水もある自然溢れた大地。


フラット「あれは⁉︎」

ナックル「シークレットワールドじゃねぇ!

あれは...まさか!」


グリテール「ダガ...スピードガオソイ。コノママデハ、

サキニオチテクル」


ノール「フラット!なんとかその世界を

シークレットワールドにぶつけて!」

フラット「なんとかって言われても...あんな重いものを

束縛からぶん投げることはできない...」

ナックル「創造神の力をフル活用しろ。俺の神力を

提供してやる」

フラット「えっ⁉︎」

独裁フラット「させるか!第一審判ー」

エド「お前は邪魔するなっす!

第一鉄拳『光』術・『金剛百裂拳』!」

独裁フラット「グワァ!」

フラット「...いける!バトラー、あとは任せろ!

第一創造『霧之』術・『重力変化』!」

ノールの生み出した世界が一気に重力によって

引っ張られる。勢いを増した世界はそのままー

グリテール「グゥっ⁉︎」

フラット「危ない!神業・ステップジャンプ!」

グリテール「フラット⁉︎」

フラット「ギリギリ!あとは...!コアを...!」

グリテールを世界同士の衝突現場から遠く離れた場所に

立たせる。

フラット「今、人工アリジゴクから解放します。

俺を信じて絶対に動かないで、いい?」

グリテール「デキルノカ...?」

フラット「信じて。いい?」

グリテール「ワカッタ」

フラット「じゃあ...ゲート接続」

2人の間にドサっとある人物が降ってきた。

フラット「あ、あれ?あぁ、接続先間違った!

大丈夫⁈」

ナックル「あぁ...?ここはどこだ?」

フラット「ごめん、あと別れの挨拶は

今やった方がいい」

ナックル「別れ...⁉︎グリテール...!」

フラット「じゃあ...やるよ。コアは...見えた!

第一審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃』!」

グリテール「‼︎」

ピキっ!ピキピキ!パリーン!

グリテール「ぐっ...グゥ!力が...抜けていく...!」

ナックル「グリテール...!」

グリテール「ぐっ...ガァ...」

ナックル「グリテール!」

倒れかけるグリテールをナックルは抱き抱える。

ナックル「大丈夫か、おい!」

グリテール「...ナックル?あれ...?言葉が...出る!

体も普通!俺...どう見えてる⁈」

ナックル「あの時と同じだぜ!お帰り、グリテール!」

グリテール「ナックル...兄貴!」

ナックル「すまなかったな!俺がもっと強ければ...

お前を失わずに!」

フラット「...あとは2人で。さて...こんな戦争は

終わらせなきゃ!」


独裁フラット「チッ!俺の欲望をいつも...!

ならば貴様らの欲望も壊してくれる!

お前ら、ここに来てから見てないやつが1人、

いるだろ?」

スラリア「...ペーター!」

ノール「そういえば会ってない!」

エド「まさか...!」

独裁フラット「ペーターだけじゃない。

神業・磔!」

クレア「なにっ⁉︎」

スター「キャァァァ!」

フォール「くそっ!何のつもりだ⁉︎」

独裁フラット「お前らは人質だ!さぁ、俺の欲望を

叶えるために死んでもらうぞ!」

独裁フラットはグラディウスを磔を操作する陣の中心に

カンッと思い切り音を立てて振り下ろす。その瞬間ー

ノール「グワァァァァ!」

ノールの磔台に電流が走る。

独裁フラット「俺の邪魔をした罪さ。お前らも、

その罪を知るがいい!」

フラット「ふざけるな!」

独裁フラット「?ふざけてる気はない。

これが俺の法だ」

フラット「それが法?これが正しいとみなされるの⁈

こんなの法じゃない!お前の欲望だ!」

独裁フラット「お前だってそうだろ?コイツらを

仲間にしたのは罪滅ぼしだろ?」

フラット「違う!俺が仲間にした理由は、

ただ単に守りたくなったから!友達になって、

いろんな思いを分かち合いたいって思ったから!」

ノール「...フラット...!そうだ...私は...

まだ...!やれる...せめて!エド!神業・破壊!」

エドの磔台がノールの術によって破壊される。

ノール「あとは...任せた...」

エド「ノール⁉︎何で俺なんか...!」

フラット「ノールからの頼み!お願い、受け止めて!」

エド「...はいっす!俺達の正義、見せつけるっす!」

フラット「うん!いくよ!」

独裁フラット「貴様ら2人とも...ぶっ殺してやる!」


ノール「?ここは...?」

父親「ほらノール。明星が見えるかい?俺達はな、

あの明星から生まれたんだ。あの輝きが消えない限り、

俺達の力は消えない。だがな、決して忘れるな。

この力は誰かを傷つけてしまう。お前にはそんな真似を

させたりしない。約束な!」

ノール「あ...この力を得た時の...!」


母親「ノール、誕生日おめでとう!あなたの大好きな

ショコラよ!思う存分食べなさい!あ、その前に...

ロウソクを消してね!3、2、1...はい、おめでとう!

それじゃ、プレゼント!開けて」

ノール「母さん...このピン、大切にしてる」


バルシア「あ、あの...僕...バルシア、です...

優しく...お願いします」

ノール「あっ、バルシア...変わったな...昔は

こんなにオドオドしてたのに。でも、私にはー」


フラット「これからは僕達も家族だから!」


ノール「大切な友達がいてくれる。父さん、母さん。

私はまだ...生きます。少しは明るくなっても...

いいのかな?」


独裁フラット「まずい...!このままだと!

まぁいい!力を吸収するまで!」

ノール「...させない!私は...

まだ負けたわけじゃない!皆を助けられるのは

私だけなんだ!神業・破壊!」

スラリア「うわ!」

スター「いったーい!」

エド「クレア!危ないっす!」

クレア「うおっ⁉︎ありがと...」

エド「ギリギリっす...!」

フォール「ったく、目覚ますのおせぇよ!」

ノール「さて...どうする?ペーターも救った!」

独裁フラット「くっ...こうなれば、逃げるのみ!」

フラット「逃がさない!束縛!」

独裁フラット「ぐっ、この...!神業・破壊!」

フラット「なっ⁉︎その業は!」

独裁フラット「俺はデ・ロワーのやつら全員の力を

持っている。アイツら殺して心臓食ったからな!」

スラリア「心臓を...⁉︎」

スター「術の後継之儀⁉︎」

クレア「やっぱりフラットじゃねぇな。そんなこと、

こっちの独裁フラットでもしなかった!」

エド「お前にはフラットなんてこれ以上

名乗らせないっす!」

独裁フラット「...お前ら、これから死ぬっていうのに

元気なやつだな」

フラット「死ぬ...?俺達が死ぬわけない!皆、

生きて帰る!そう約束したんだ!かかるぞ!

デ・ロワー最後の戦いだ!必ず生きて...

皆でアレをやるんだ!」

全員「了解!」


最終節 最後の戦い!

独裁フラット「第一突風『炎』術・『四方爆破之矢』」

クレア「俺の技を真似るな!しかも全然なってない!

第二突風『零』術・『水切之旋風』!」

独裁フラット「何だと⁉︎」

クレア「お前の矢はフラットが放ったものじゃねぇ!

フラットの矢は...俺の予想を裏切るものだ!」

フラット「クレア...」

独裁フラット「黙れ!お前ら全員ぶっ潰してやる!

第一鉄拳『光』術・『金剛百裂拳』!」

エド「俺の業をそんな思いで使わせないっす!

第一鉄拳『零』術・『ボンバブルアッパー』!」

独裁フラット「ぐっ!エド?なかなかやるじゃねぇか...

お前が俺を傷つけるなんてよ!」

エド「俺の正義はフラットから教わったものっす!

でもお前には正義なんかないっす!

俺が『ジャスティス・フィスト』っす!」

フラット「エド...」

独裁フラット「そんな正義なんか消えちまえ!

第一死導『木喰』術・『死音奏風林』!」

スラリア「私の術を真似ても思いまでは真似られない!

第一死導『炎』術・『死炎奏歌』!」

独裁フラット「くそっ、なんなんだコイツら⁈

俺の欲望を次々と!だがこの術で終わりだ!

第一悪夢『闇之』術・

『デッドティータイムドリーム』!」

スター「あれはユーリックの⁉︎でも、スターはもう、

あの力に負けない!今の自由を守るって決めたから!

第一正夢『光』術・『自由懷乱舞』!」

独裁フラット「なんだこの光は⁉︎スターにこんな力ー」

スター「力じゃない!スターが欲しいのは

皆といられる幸せ!アンタなんかに壊させない!

フラット達がくれた今を守るんだ!」

フラット「スター...」

独裁フラット「チッ!もう終わりにしてくれる!

フォールとやら、貴様の力、奪わせてもらう!」

フォール「...俺の力を奪う?できるのかよ、お前に!」

独裁フラット「来い、人工アリジゴク!」

フラット「なっ、まさか⁉︎」

ノール「アイツ、もう既に天使じゃない。

人工アリジゴクだ!」

フォール「やっぱお前、フラットじゃねぇや。

そんな非道徳的なこと、昔のコイツでも

しなかったしな。テメェは自分の罪でも数えてやがれ!

第一暗黒『木喰』術・『無数葉之影踏』!」

独裁フラット「ガァァァ!」

フォール「テメェの法は正しさなんて一欠片もねぇ!

テメェの欲の塊だ!」

フラット「フォール...」

ノール「ついでに教えてあげる。私はそんな欲、

大っ嫌い!だから...壊しちゃうよ!

第一破壊『闇之』術・『闇夜行特急列車』!」

独裁フラット「ギィィィ!」

ノール「フラットが教えてくれた!私の破壊で

救えるものがあると!私はこの街を...この皆を...

この世界に住む皆を守る!」

フラット「ノール...!」

独裁フラット「テメェら好き放題言いやがって...!

許さねぇ、許さねぇぞ!」

フラット「皆。あとは“僕”がやる。自分との決着は

自分でやらなきゃ!」

スラリア「今、僕って」

フラット「こんなやつと同じじゃ嫌だからね。

さぁ!勝負といこう!終わらせる!」

独裁フラット「やれるってか?おいおい、

これが本気だとでも思ったら大間違いだ。

来い!『混沌之正負翼』!」

フラット「混沌⁉︎てことは...!皆!逃げるよ!

神業・飛翔!」

フラットは皆を連れ遠くへ飛び立つ。

その瞬間、辺りで大爆発が次々と起こる


ノール「ここは...!」

スラリア「東京が...!」

フラット「バトラー、別れは済んだ?」

ナックル「フラット⁉︎」

フラット「バトラーの出番だよ!」

クレア「どういうことだ⁈」

スター「ナックラーに出番って?」

フォール「まさか...生贄に⁉︎」

フラット「違う。ミカエルの末裔として役割を!」

ナックル「...あぁ!奥義の出番か!」

エド「奥義...?」

ノール「神の血を引くものには一生に一度しか

使えない業、奥義がある。ミカエルの奥義は全てを

救済するというものだ」

エド「全てを救済っすか...!カッコいいっす!」

ナックル「いいぜ!グリテールとの約束、

果たしてやるとも!」

フラット「じゃ、お願い!皆も協力してね!

僕はアイツと決着をつける!絶対に帰ってくるよ!」

スター「絶対だよ!絶対帰ってきてね!」

フラット「分かってる。じゃ、よろしく頼む!

神業・飛翔!」


フラット「終わらせにきたよ!独裁フラット!」

独裁フラット「来たか...さぁ、ショーの始まりだ!

貴様の法の過ちに気づかせてやる!」

フラット「それはこっちの台詞だ!グラディウス!」

独裁フラット「ハァァァァァァ!」

フラット「うっ!さっきとは比べ物にならない程に

力が強い⁉︎くっ!」

独裁フラット「どうした?さっきまでの勢いは?」

フラット「まずい...支援力が集まらない...!

力も...入らない⁉︎」


ナックル「この世に生きるすべてのものに捧げる...

闇ありし所、光生まれん。我、光作りし者とならん!

奥義!『救済之真光』!」

ノール「あ...空が!」

エド「明るくなってきたっす!」

クレア「青空が...戻った!」

スラリア「...!ねぇ、あそこ!」

スター「何あれ...結界⁉︎」

フォール「おいおい、あれはアリジゴクだぞ⁈

まさかアイツ、フラットを消化させる気じゃ⁉︎」

ナックル「フラット!行くぞ!」


フラット「ぐっ...なんだこの空間...変に暑い!

しかも時間が経つに連れて支援力が

集まりにくくなってる」

独裁フラット「おらおら!ボーっとしてたら

危ねぇぞ?」

フラット「しまった!グワァァァァ!」

独裁フラット「面白いねぇ!もっと鳴けよ。

良い声でさぁ!」


ナックル「くそ!この!このぉ!」

ノール「どいてろ!私が破壊する!

第二破壊『炎』術・『バンフレイムクラッシュ』!」

アリジゴク「グォォォォォォ⁉︎」

巨大なアリジゴクは東京中に響くような声で叫ぶ

ノール「よし、いけー」

しかし、ノールが開けた穴はほぼ一瞬で回復される。

スラリア「ちょっとやそっとじゃ中に入れない!」

フォール「...手はある。コイツに喰われるっていう

手段がな」

スター「嫌だけど...」

クレア「それしか手はねぇか」

タクマ「ここにいたか⁉︎」

ダバンゴ「あっちは全部片付いた!」

ライ「それで青空が広がったと思ったら

この巨大アリジゴクを見つけたでござる!」

マドール「皆大丈夫⁉︎」

アスカ「片付いたと思ったらこんな巨大アリジゴクが

ど真ん中にいるなんて...」

ゴン「これが最後って解釈でいいんだよな!」

ミッシェル「おい!フラットはどうした⁈」

ナックル「実はこの中で独裁フラットと戦っている」

タクマ「なっ、なら早く助けねぇと!」

スラリア「回復力が桁違いに早いの!」

ナックル「...そうだ!ペーターなら!」

ノール「アイツなら何とかできるのか?」

ナックル「賭けにはなるがな。アイツがもし、

神力を使えるのなら上手くいく!なにせ、アイツは

時の神だ。回復力を遅らせるのはお手の物だぜ!」

スラリア「でも、もう神力はないってー」

ナックル「アイツはたしかに戦闘をする分の神力は

残っちゃいない。だが、神業を操る程度なら

残ってるはずだ!」

バジー「その必要はありませんわ!」

クレア「バジー⁉︎」

バジー「あっ、クレア様...ってそうじゃない!

ついてきてください!私が手がけた最終兵器の

出番ですわ!」

エド「最終兵器っすか?」


フラット「ガハッ!」

独裁フラット「力が入らないだろ?お前は俺の

手のひらの上で踊らされているんだよ!」

フラット「くっ...!」

独裁フラット「このままゆっくりと消化されるか、

今俺によって消されるか、どっちがいい?」

フラット「...第三審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃』!」

独裁フラット「無駄だ!お前に支援力は集まらない」

フラット「...」


バジー「今すぐ起動します!」

エド「これは...」

ノール「飛行船?」

バジー「早くお乗りになってください!

今は一刻を争います!」

フォール「そうだ!早くしろ!」

ナックル「置いてっちまうぞ!」

スラリア「フラットを助けられるならついてく!」

スター「今度はスターが助ける!」

全員は飛行船に乗る。


バジー「これは緊急脅威対策兵器、軍艦・ヴィオラ!

パラレルストーンのエネルギーを最大限に引き出した

レーザー光線が脅威を攻撃いたします!」

ノール「パラレルストーンはどれだけある?」

バジー「数は...128個ですわ!」

スラリア「それだけあるなら問題ないね!」

ナックル「何でもいい!早く出てくれ!」

バジー「はい!主導力エンジン稼働!空路確保!

パラレルストーンパワー供給最大!発信致します!」

スラリア「と、飛んでる!」

ナックル「フラット、今行くからな!待ってろ!」


独裁フラット「ふーん、結構タフなんだ。でも、

消化に至ってはタフでも耐えられない」

フラット「もう...立ち上がれない...力が全然...

入らない...約束...したのに...!」

独裁フラット「健気なもんだなぁ〜!使命を全うし、

そして死ぬなんてよ!」

バジー「健気なんかじゃありませんわ!」

独裁フラット「⁉︎どこから⁈」

バジー「主砲発射!パラレルストーン出力最大!」

ヴィオラから七色の光を放つレーザーが放出される。

それは巨大アリジゴクを射抜く

アリジゴク「ギャピィィィィ!」

バジー「今ですわ!皆様、衝撃に備えてください!」

バジーはヴィオラのアクセルレバーを思い切りあげる。

限界点を超えるぐらいに。

バジー「オーバーヒートしても構いませんわ!

今はフラット様を...お守りするんです!」

ヴィオラはまっすぐ巨大アリジゴクのコアへ

突進する。その衝撃はすさまじく、鋼鉄なヴィオラを

へこませるぐらいのものだった。それでもー

アリジゴク「ギィィィ...」

パリーン!

バジー「アリジゴクの撃破に成功!これで、

いいはずですわ!」

フラット「...皆!」

バジー「さぁ、出撃してください!この戦闘に...

この異変に終止符を!」

全員「了解!」

独裁フラット「お前らが何人来ようと知れたこと!

無駄な足掻きにすぎない!」

クレア「おうおう、いきがってくれるなぁ!」

フォール「フラットを痛ぶったこと、一生後悔さして

くれる!テメェに引導を渡してやる!」

ナックル「立てるか、フラット。後は俺達に任せろ」

エド「助けに来たっすよ!今度は俺達がっす!」

ノール「こんな私利私欲なフラットには、

負けるわけにいかない!フラットの約束は

私達が叶える!」

スラリア「余命が...見える。でも、お前みたいなやつの

余生なんかに慈悲なんかない!必ず...倒す!」

スター「この街を壊したこと...絶対許さない!

スターの本気、見せてあげる!」

独裁フラット「黙れぇ!貴様らの正義など、

俺の前では無力な塵に等しい!

第一審判『闇之』術・『闇花誓峰』!」

スター「負けない!スターは...守るんだ!

絶対...負けないんだ!

第二突風『光』術・『絶対必守‼︎光纏風』!」

独裁フラット「何だと⁉︎どこにそんな力が⁉︎」

スター「力じゃない!フラットを...皆を思う、スターの

気持ちは...どこまでも強くなれる!」

独裁フラット「グワァ⁉︎」

クレア「そうだ、例えこの身が朽ち果てても、

思いが枯れない限り俺達は正義を掲げる!

足の怪我がなんだ、こんな痛み、今までのフラットが

味わってきた痛みに比べれば!『突風之正翼』!

最終突風『真実』術・『永久懷之光風』!」

独裁フラット「くっ...!俺は...負けるわけには!」

ノール「お前は破壊しすぎた。その怒りを...知れ!

来い、『破壊之負翼』!絶対に勝つ!

最終破壊『爆破』術・『混沌之隕石落下』!」

独裁フラット「ぐっ、避けるしか!」

スラリア「逃がさない!この街に住む命を

危険に晒したこと、その罪を許しちゃいけない!

来て、『死導之負翼』!奏でて!

最終死導『和音』術・『死奏不協和音』!」

独裁フラット「グゥゥ...⁉︎」

フォール「お前のやり方、何もかも気にくわねぇ!

第一暗黒『木喰』術・『無数葉之影踏』!」

独裁フラット「グハッ!」

エド「俺の正義は壊れることなんかないっす!

フラットの傷は俺の傷っす!その痛み、

分からせてやるっすよ!

来るっす、『正義之人工正翼』!

最終鉄拳『正義』術・『絶悪続光爆裂拳』!」

独裁「貴様ら!よってたかって!」

ナックル「苦しんでる今しかねぇな!

フラットのくれたこの力...使わせてもらう!

『哀モード』 起動!俺の思いは...不滅!

姿を現せ、『悲哀之正翼』!もう、終わらせる!

最終突進『悲涙』術・『放光‼︎涙星タックル』!」

独裁フラット「何だとぉぉ⁉︎負けるか⁉︎」

ナックル「テメェには温もりなんか、

見つけられやしねぇ!だったら俺が...

最後に見せてやる!温もりってやつをよ!」

独裁フラット「なっ⁉︎」

独裁フラットが手にしていた神器が真っ二つに折れる。

それは、敗北を意味していた。

フラット「そこまでにしよう。あとは僕が」

独裁フラット「...⁉︎ナメるな...!手はまだある!

神業・壊滅!」

フラット「⁉︎神業・ゲート接続!」

全隊員の足元に空間をつなぐゲートを開ける。

しかし、フラットは間に合わずー

フラット「ヤバっー」


ノール「いてて...ここは?」

スター「デ・ロワー専用地下シェルター?」

ナックル「フラット⁉︎フラット!」

クレア「フラットがいない!」

フォール「チッ!逃げ遅れたのか⁉︎」

スラリア「そんな...!」

ペーター「俺に...任せろ!」

バルシア「ダメですよ!そんな怪我してるんです!

安静にしててください!」

キルユウ「折角俺が塞いだ傷をまた広げる気か?」

ノール「お前ら、何で⁈」

バルシア「姉御、置いてくんですもん!」

キルユウ「急いでリニア乗って帰ってきたんだ。

そしたらこの有様、驚いた」

ペーター「とにかく...俺が行く!時戻しは...

まだ使える!」

ナックル「それじゃダメだ!またこうなっちまう!」

エド「...手はあるっす。多分っすけど、まだフラットは

生きてるって思うっす。さっきの術を使ってから、

アイツの動きが見られないっす」


フラット「...?ここは...」

独裁フラット「お前に聞きたいことがある。いいか?」

フラット「何?僕に答えられることなら」

独裁フラット「なぜお前はこの街を、

人を守ろうとする?お前を裏切ったものだ」

フラット「それは僕の勘違いだったんだよ。

裏切った人間より、僕を心配したり、

励ましてくれたやつがすぐそばに居た」

独裁フラット「誰だ⁈」

フラット「バトラーと、あの孤児院にいた子供達や、

ペーターさん。皆、気付かぬうちに笑顔をくれた」

独裁フラット「...俺は...ならどうして今戦える⁈

その信頼を裏切ったんだぞ⁈」

フラット「過去は過去。気にしちゃいけない。

今を生きることに僕は全うしたい。自分にしか

できないことをしながら、ね」

独裁フラット「俺にしかできないこと...

それはなんだ⁉︎教えてくれ!」

フラット「...ごめん、教えることはできない。

それを知るのは自分の力で。アイツらも、自分で

気付いた。少しヒントを与えてね。だからヒントは

あげるよ。お前の力で誰かを救うことを考えろ」

独裁フラット「救う⁈俺がか⁉︎できるわけー」

フラット「できないって思うからできないんだ!

それに、お前はただの欲求のままに動いてるだけで

周りに目を向けてない!だから気づかないんだ!」

独裁フラット「周りに...どうやったらできる?

俺は...ワガママだがやり直したい。今のお前を見てると

羨ましいって気持ちに襲われる。こんなの初めてだ」

フラット「...それが温もりだよ!」

独裁フラット「えっ⁈これが...温もり?」

フラット「うん!羨ましいんでしょ?僕達のこと。

やっぱこうなりたいでしょ!でもやり直す...か。

いいよ、何とか試してみる。それでも、もし同じ失敗を

繰り返したらもう手は貸さないよ!いい?」

独裁フラット「あぁ!いいとも!俺は...

お前になりたい!何故か心からそう思える」

フラット「そうか...僕もそう思えた時があった。

バトラーに抱きしめられてね。あの時の涙が...

優しくて、切なくて。迷惑かけたって思ったら自然に」

独裁フラット「迷惑...あぁ、たっぷりかけた。

なるほど、これがお前の思った温もりか。

俺、ここに来て良かった。すまなかった、

お前にまで迷惑をかけて。俺の力で直してー」

フラット「それには及ばないよ。こっちは僕に任して、

お前はやるべきことをやってこい!」

独裁フラット「...分かった。それじゃ、俺は戻るか」

フラット「その前に、1つ。僕の知った温もりを

分けてあげるよ。ほら、手を貸して」

独裁フラット「?ほらよ」

フラット「じゃあ...『審判之正負翼』。

最終審判『救済』術・『天使之救済』」


ノール「...!あそこ!」

ノールが指差す先の空に一筋、眩い光が降り注ぐ。

クレア「あれは...!フラットだ!」

エド「それにアイツもいるっす!」

スラリア「なんか...解決した感じ?」

フォール「全く、心配かけさせやがって」

スター「でも、一件落着だね!」

ナックル「...帰ったら胴上げしようぜ!」

フラット「行くよ!皆待ってるから!神業・飛翔!」

独裁フラット「うわっ、スピード出し過ぎだろ⁉︎」

フラット「アッハハ!こんなんで音をあげるなって...

って、あっ⁉︎」

ナックル「ガハッ⁉︎」

フラットは前方不注意で、ナックルと思い切り衝突する

ナックル「ってぇ...!フラット!」

フラット「わぁぁ、ごめん!」

ナックル「ごめんじゃねぇ!待てこのぉ!」

2人の喧嘩に、一同は平和が戻ってきたことを実感する

スラリア「戻ったね、いつもに!」

スター「うん!ほら、空が青いよ!」

クレア「風も...きれいだ」

フォール「よっしゃ!今日みたいな日には、

酒を飲もう!」

エド「そうっすね!飲んで歌って食っての

大騒ぎっす!」

ペーター「...コイツら、やりやがった」

タクマ「今度はここかよ...って⁉︎」

ヒナ「独裁フラット...?さっきと大違い」

ダバンゴ「おう!やっと合流したぜ!ったく、

デ・ロワーの仮ファイターとして入ったのに、

こんな面白そうな事件に参加できないなんてよ!」

ライ「まぁ、良かったでござる。万事解決でござるな」

ナックル「このぉ〜!」

フラット「いててて!ちょっと離してって!

まだ終わってないし!」

ナックル「えっ?」

フラット「っと。ペーターさん!」

ペーター「あ、あぁ?」

独裁フラット「...俺の異世界線を繋ぐ力と...

あなたの力を合わせて、俺をもう一度あの世界に

戻して欲しいんです。その怪我をつけた俺が

こんなワガママ言っちゃいけないってのは

分かってます!でも...やり直さなきゃ

いけないんです!」

ペーター「...いいよ。やってやろう」

独裁フラット「えっ⁉︎」

ペーター「フラット君、その代わり、

失敗するなよ。約束だ。あと、時々でいいから

顔を見せること。いいか?」

独裁フラット「...はい!」

ペーター「それじゃいくぞ。フラット君、集中しろよ。

神業・時戻し」

独裁フラット「神業・パラレルゲート接続」

フラット「凄い...!」

独裁フラット「ぐっ...キツイ!」

ペーター「頑張れ!あと少しだ!」

独裁フラット「は、はい!」

クレア「でも、時戻しは時を逆行するだけで、

いつかその運命にー」

フラット「大丈夫。今のアイツなら、きっと、

きっと新しい世界を作り出せる」

ナックル「そうだな!もしかしたら、俺達の今も

存在しなかった世界だったりしてな!」

フラット「ハハハ、そうだったらいいね!

僕達だけの世界ってカッコイイ!」

独裁フラット「できた!フラット!」

フラット「へ?」

独裁フラット「ありがとよ!俺なりの世界、必ず!

必ず作り出してやるよ!それじゃあな!」

フラット「約束!じゃあ、またいつか!」

独裁フラットはゲートをくぐる。その横顔は、

どこか笑っているように見えた。悪意などない、

まっすぐな笑顔を。

フラット「それじゃ、僕達も修復作業、始めよっか!」

全員「おーっ!」


フラットは思い出すのをやめる。目の前には酒を飲むフォールがいて、

少し目を逸らせば窓の外は復興作業中の東京の街と、差し込む陽の光。

その眩しさにフラットは目を細めた。

フォール「フラット?どうした?」

フラット「あっ!いや、何でもない!フォールが入った

初日から忙しくなったなぁって」

フォール「そうだな。偶然に決まってるがな。

あっ、マスター!コイツに水!」

フラット「ちょっと、フォール!そうじゃなくて、

復興記念イベントの準備!」

フォール「あぁ?あれ、俺やるんだっけか」

フラット「当たり前でしょ!ほら、皆も

一生懸命やってるんだから手伝って!

ダバンゴさんもライさんもそろそろ帰ってくるはずー」

ダバンゴ「おう隊長さん!ここにいたか!」

ライ「皆の者が呼んでおられるでござる」

フラット「あ、分かった!フォール、行くよ!」

フォール「へいへい」

フォールは仕方なさそうに席から立つ。その瞬間ー

フラット「あっ!忘れてた!」

ダバンゴ「どうしたいきなり大声出してよ⁈」

ライ「驚くでござる!」

フラット「アレやってなかった!どうしよ...」

フォール「イベント開けたら、協力してくれた

ファイター達に集まってもらって、やればいいだろ?」

フラット「それでいっか!じゃあ皆のとこにいこ!」


ノール「あ、来た」

クレア「おーい!」

スラリア「早く来てー!」

スター「ちょっと見て欲しいんだ!」

フラット!なになに?」

ナックル「セーのー」

全員「フラット、誕生日おめでとう!」

フラット「へ⁈」

エド「ナックラーさんが教えてくれたんすよ!」

スター「今日、9月3日はフラットの誕生日って!

だから今日はイベント準備が終わったら

パーティしよ!」

クレア「もうケーキ8ホール予約しちまったしさ!」

フラット「そんないっぱいは食べられないって!」

エド「何言ってるんすか!全員呼ぶんすよ!

ファイター支援課もSFAの知り合いファイターを

全員っす!」

フラット「...楽しそう!賛成!」

ノール「もう呼んでるけどね。ほら、パパッと

終わらせて誕生パーティーにしよう!」

フラット「その前に墓参り行っていい?

そろそろ20日経つから」

ナックル「あぁ、行ってこい!」

スラリア「家族に報告しないとね!」

フラット「ありがと!少し行ってくる!」


フラット「父さん、これ、返しに来たよ。

僕からのプレゼントだもん。父さんが

持ってるべきだよ」

フラットはぼろぼろのままの写真と手紙を

父親の墓に置く。

フラット「あと...これ。父さんがよく飾ってた、

ガーベラだよ...僕、皆と生きる。やっと見つけた

答えだから。この今を生きる喜びを分かち合ってく。

だから心配しないで」

フラットはそっと振り返る。そこにはー

フラット「皆...!」

ノール「私達も来た。一緒にお墓参り...ダメだった?」

クレア「ダメでもやらせてもらうがな!友達だろ?」

エド「それにフラットの大切な家族っす!」

スラリア「だったら私達にとっても家族でしょ?」

スター「フラットが暗い顔してたらスターが

笑顔にする!」

フォール「ほら!いいだろ?お前からも

何か言えって!」

ナックル「フラット、これからもよろしくな!

一緒に頑張ろうぜ!ずっとな!」

ダバンゴ「俺様の足元に及ぶかわかんねぇけどよ...

アンタの実力とやらは見せてもらったぜ!

よろしくな、親分!」

ライ「拙者も精進して参るでござる。

よろしく頼みでござる、大将殿!」

フラット「皆...こちらこそ宜しく!」


一方その頃ー

独裁フラット「ん?」

ペーター?「困るな、勝手に入られちゃ」

独裁フラット「...こっからか」


以前のパターン―

独裁フラット「今日からここは俺の支配下となる。

テメェは消えな!」


独裁フラット「...もう同じ過ちは繰り返さない!」

ペーター?「君?」

独裁フラット「すみません!入り方知らなくて...

その、ファイターになりたいんです!」

ペーター「あぁ、分かった。急に来ないでくれよ?

では測定に入る。こっちに来てくれ」

ナックル?「おっと⁈フラット!」

独裁フラット「バトラー...!」

ナックル?「今まで...どこ行ってたんだ⁈

探したんだぞ!この馬鹿野郎!」

独裁フラットに、思い切り飛びつく。その温もりは、

どこか懐かしく、どこか悲しいような切ないように

感じられた。

独裁フラット「これが...温もりか。バトラー、

ありがとう。これからはずっと側にいるから」

ナックル?「約束だぞ!」

独裁フラット「うん...!」


フラット「それじゃ、戻るか!」

全員「おーっ!」

僕達は生きていく。これからを。まだ僕達の物語は

始まったばかり!この喜びを紡いで、

また一歩踏み出す!


Light Fallen Angels エピローグ編・完!

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