第8話 あぁ夏休み!

フラット「あれ、あ!バトラー、起きて!」

ナックル「あぁ?もう朝か...!集合⁉︎」

フラット「そうだよ、急いで!」

ナックル「おう、急ぐぜ!」

フラット「荷物まとめてから来て良かったよ」

ナックル「そうだな!よっしゃ、走るぜ!」

フラット「ちょっと待った!その荷物、

ちょっと見せて」

ナックル「駅でな!今何時だ?」

フラット「えーっと...7:51!余裕だよ?」

ナックル「まあ行こうぜ!レッツラン!」

フラット「あ、ちょっと待って!荷物見せろって!」

ナックル「バレなきゃ犯罪じゃないんだぜ!」

フラット「もう、神業・ステップジャンプ!」

ナックル「なっ、お前天空の力も使えんのかよ⁈」

フラット「じゃ、駅まで行こっか!神業・飛翔!」

ナックル「ウォォ!スゲェ、空とんでるよ、俺!」


1節 ドキドキサマーフェスタ!

フラット「駅みっけ!降下!」

ナックル「もっと飛んでたいぜ!」

フラット「ダーメ!荷物確認しないと」

ナックル「ヤベっ、えっと...そうだ!」

鞄を開けてナックルはポリ袋を取り出す。

ナックル「これやるよ!お前の大好きなチョコだ!」

フラット「何もないけど?」

ナックル「これは澄んだ心を持ったやつにしか見えない

バジー特製チョコだ!見えないってことは

お前の心は汚れてるってわけだ」

フラット「バトラー、別に僕チョコ大好きなわけでも

ないし、今はいらないから。っと、着陸!」

ナックル「おっと、それじゃあ...バイなら!」

フラット「あ、待て!」

エド「うわっ⁉︎」

ナックル「ギャフ⁈」

フラット「バトラー!大丈夫?」

エド「いててて...駅の中は走っちゃダメっすよ!」

ナックル「すまん...」

ノール「何してるの?」

スラリア「トラブル発生だね!幸先悪いね、エド」

スター「怪我してない?どっか痛かったら言って」

エド「大丈夫っすよ!それよりフォールは

どこっすか?」

クレア「アイツはまだ来てない。多分ギリギリー」

フォール「俺いるぞ?」

クレア「うわぁ⁉︎何変装してんだよ⁈」

フォール「へへ、サプライズ大成功!」

フラット「これはサプライズというよりドッキリだよ」

ノール「たしかに。だが凄い。こんなに変装が

上手いなんて」

スラリア「凄いけど役者じゃないんだから」

フォール「いや、役者だろ。イベントに出る

ファイターだろ?」

フラット「そうだけど、別にファイターだし、そこまで

変装しなくてもいいと思うけど」

ノール「でも、目立つやつはそれぐらいした方が

いいと思うけど。なぁ、バカ虎」

ナックル「俺はまんまでいいだろ!ファンに

挨拶できるしな!」

エド「今日はペーターさんがいないからって、

ファンサービスしたら罰ゲームっすよ!」

フラット「あ、それいいね!」

スラリア「したら何する?」

フラット「秘密だよ」

スター「ごめん、今来た!兄ちゃんのジュース、

買ってきたよ!」

クレア「あ、ありがと」

スラリア「あ〜!妹を出汁に使った〜!」

フォール「ひでぇな」

クレア「ちげぇって!勝手に...」

スター「うん、兄ちゃんに頼まれたんだ!」

クレア「おいスター⁉︎嘘つくなよ!」

フラット「ふーん...そうなんだ。妹思いじゃない

クレアねぇ」

クレア「ちげぇって!」

フォール「あ、リニア来たか。おい、乗るぞ」

フラット「あ、バトラー!荷物!」

ナックル「ヤッベ!俺先に乗ってるぜ!」

フラット「あ、待て〜!」

クレア「ほっ、良かった」

スター「兄ちゃんがお仕置きされるの見たかったな〜」

クレア「そんな理由で仕置きされてたまるか!」

エド「ほら、喋ってないで行くっすよ」

ノール「先に行ってる。でも、フラット、

自分を思い出せたみたい」

スラリア「たしかにね。なっ君のことバトラーって

呼んでた。昔、なっ君から聞いたことある。

弟みたいなやつにバトラーって呼ばれてたって」

クレア「あの2人ってそんな昔からの仲なのか」

フォール「おーい!早くこーい!」

スラリア「あ、今行くよ〜!ほら、行こう!」

クレア「ちょ、手を繋がなくたって行けるから!」

スター「あ、スターも手繋ぐ〜!」

エド「ちょっ、置いてかないでっす!」


フラット「あれ、バトラーどこ行った?」

ナックル「これをここに仕舞えば...よっしゃ、

これで完璧だ!」

ノール「何してるの?バカ虎の席は

そこじゃないでしょ。あっちだよね?」

ナックル「あっと、すまん!間違えてたか」

フラット「あ、いた!さ、荷物!」

ナックル「はいよ、何も入ってないぜ」

フラット「そう?じゃあ席について確認させて貰うよ。

バトラー、もしキウイなんて入れてたら...分かるな?」

ナックル「お前、時々昔に戻ってるぞ?」

フラット「そ?まぁいいから!こっちだよ!」

フォール「そこじゃない、うしろだ」

フラット「あ、そうだった?間違っちゃったか」

スラリア「おーい!」

クレア「おい、もう手、離せって」

スター「あ、顔赤い!照れてんの?」

エド「もう、先に行かないでくださいっす!」

フラット「皆来たね。えっと席は...」

全員は各々の席につく

フラット「さて...荷物を...」

ナックル(お願いだ、気付くなよ)

フラット「...あれ?」

ナックル(何があれ、だ?)

フラット「...キウイ見っけ!」

ナックル「嘘だろ⁈」

フラット「本当」

ナックル「な、何で分かった?」

フラット「えっ、冗談だよ?」

ナックル「じょ、冗談⁈...あ!」

フラット「てことはこの中にキウイがあるんだよね?」

ナックル「ね、ねぇよ!」

フラット「ない?本当に?」

ナックル「おう!」

ノール「...この中でしょ?」

ナックルの荷物の中から一つのカップ麺を取り出すと、

ノールはその後蓋を開ける

ナックル「げっ⁉︎」

ノール「あった。はい、キウイ」

フラット「一回開けてそれから瞬間接着剤で

蓋をもとに戻すって...何かの事件に使われそうな

手口で隠すとは...さて、お仕置きだ。

磔の刑と火炙りの刑、どっちがいい?」

エド「そんな罰ゲームっすか⁈」

フラット「冗談。じゃ、罰ゲームだよ。

執行・ゴキブリ百匹落とし」

スラリア「えっ⁉︎」

ボトボトと空から無数のGが落ちてくる。

ナックル「うわぁ、キモい、キモい⁉︎」

スラリア「これ本物⁉︎」

フラット「何匹か本物だよ」

エド「マジっすか⁉︎」

クレア「このっ、このぉ!」

フラット「これも冗談。はい、解除」

スター「あれ...消えた?」

フォール「そういう術をここで使うなよ」

フラット「間違えて皆に幻術かけちゃったから

誤魔化そうと思って」

ナックル「こりゃ完全に戻ってる」

エド「昔のフラットってこんな感じだったんすか⁈」

フラット「なんか、おかしかった?じゃあ改めて、

俺はフラット・クラリオ!よろしく!」

クレア「...あぁ、よろしく!」

フォール「頼りがいのある隊長になったな、よろしく」

エド「どんな形であれ、フラットはフラットっす!」

ノール「改まられると、なんかくすぐったい...

普通でいい」

スラリア「私は付き合ってまだそんなに経ってないけど

キャラがすごく変わったのは分かる」

スター「でもフラットらしさも残ってる。ただ、

更に子供っぽくなったけど」

フラット「え、子供っぽい...」

ナックル「そうだな、前のお前は大人びてたような

気がするな!それがなくなった感じだ!」

フラット「...嬉しくない。で、このキウイは...

食べちゃおっかな〜!」

ナックル「ひ、一切れぐらいいいだろ⁉︎」

フラット「しょうがないな〜、じゃあ一切れだけ。

その代わり反省書だよ?」

ナックル「何の反省書だよ⁉︎」

フラット「アハハハ!ナイスツッコミ!」

ノール「本当に子供っぽい」

放送「まもなく、熱海行きリニアモーターカー・

ライト号が発車致します」

フラット「じゃあ席につけよ!」

クレア「全員もう座ってる。立ってるのは

お前だけだぞ、フラット」

スラリア「座れって言ってる人が立ってると

言うこと聞けないな〜」

フラット「いや、立ってる奴いるけど」

フォール「チッ、バレたか。トイレはいいだろ?」

フラット「あ、トイレ⁉︎ごめん、行ってこい!」

スター「おトイレ行きたいのに遮ったね」

エド「酷いっすね〜」

フラット「わざとじゃないから問題ないよ!」

ナックル「お、出発するみたいだぜ!」

フラット「シートベルトはつけた?」

スター「兄ちゃん、それスターの!」

クレア「あ、ごめんな、はい」

エド「あれ、これ伸びないっすよ⁈」

スラリア「あ、何か引っかかってるよ...ってエドの

荷物じゃん。この紙袋...何?」

エド「それは...見てもいいっすよ」

スラリア「どれどれ?」

折り畳まれた口を広げてスラリアは中のものを出す

エド「どうっすか?俺のいた世界の文化っす!

俺の手作りネックレスっす!」

スラリア「キレイ...色鮮やかな真珠」

エド「集めるの苦労したっす」

スラリア「で、これどうするの?」

エド「実は...フラットに渡そうと思ってるっす。

俺をこんなこと考えるようにしてくれたお礼に...

おかしいっすか?」

スラリア「全然。絶対喜ぶよ、フラットなら」

エド「そうっすよね!あ、シートベルト...よしっす!」

フォール「ふぅ、何とか発車までに間に合った〜。

それじゃベルト締めてっと」

フラット「バトラー、楽しみだね!」

ナックル「そうだな!今日は何をしようか!」

フラット「海行って、山行って、温泉満喫して...

することいっぱいだね!」

ナックル「楽しみなのはよく分かるぜ。お、

どうやらもう出るようだ」

ピロロロロロロ!

放送「お待たせいたしました、本機はただいま

熱海に向け出発致しました。停車駅はー」

フラット「ん〜、ちょっと寝よっと」

ナックル「寝ちまうのか?ったく、昨日は

よく寝れただろ?」

フラット「へへへ、いいじゃん」

ナックル「生活リズム狂っても兄ちゃん知らんぞ」

フラット「スーっ、スーっ」

ナックル「本当寝るの早いな。隊長さんよ、

もうちょっと威厳ってもん見せろっての」


放送「横浜、横浜です」

フラット「あれ...!本当に寝ちゃってた⁈」

ナックル「ガゴォー、グォー」

ノール「バカ虎、起きろ!」

クレア「いびきうるさいぞ!ていうか、フラットが

隣にいるんだったら起こしてくれよ!」

フラット「いや、俺も寝てたし!」

フォール「こんなうるさいいびきを隣にして、

よく寝れるな」

スラリア「でも、フラットらしいけどね」

スター「ていうか早く起こしてよ!お客さんにも

迷惑でしかないよ!」

フラット「そうだね...よっと」

ナックルから取り上げたキウイをフラットは手に持つ

フラット「ほーら、キウイだぞ〜?」

ナックル「ん?」

ピキピクとナックルの耳が動く。するとー

ナックル「キウイ!」

フラット「わっと、どうした?」

ナックル「今、キウイがたしかにー」

フラット「ないよ、一切れは夜ね。ちゃんと

冷やしてるから傷まないよ」

ナックル「そうか...夢でも見てたのか」

クレア「フラット、いびき対策道具とか持ってたり

しないか?」

フラット「ある!バトラーのいびき結構うるさいから。

でもあとちょっとで熱海だしいらないでしょ」

ノール「それもそうか。とにかく、バカ虎の

いびき本当にうるさかった」

ナックル「す、すまねぇな!」

エド「...」

スラリア「エドを見習ったら?すごい静かだよ」

フラット「静かっていうか、顔色悪いよ?酔った⁉︎」

エド「だ、大丈夫っすよ、これぐらい...うぅっ⁉︎」

フラット「ダメだよ!あと18分停車するから。

バトラー、一緒に手伝って!」

ナックル「おう!立てるか?」

エド「な、何とかっす...」

ナックル「そういえばお前、酔いやすいっけな。

すまん、忘れてた...」

エド「いいっすよ...うっ⁉︎」

フラット「立ち話させないで!ゆっくり歩けば

いいから、ゆっくりね!」

エド「はいっす...」


数分後ー

フラット「遅いな〜...」

ナックル「あ、来たぜ...って何か買ってるし」

エド「すみませんっす!お待たせしましたっす」

フラット「それ...便箋?誰かに手紙でも書くの?」

エド「そ、そうっすよ!お世話になった人が

静岡にいるっすから!」

ナックル「?お前流れ着いたのってたしかー」

エド「さぁ、リニアに戻るっす!」

フラット「あ、ちょっと待ってよ!エド〜!」

ナックル「おい、酔いが治ったからって走るな!」


ノール「あ、戻ってきた」

エド「よいしょ!あと10分したら熱海っす!」

スラリア「ごめん、隣にいても酔ってるなんて

気づかなかった...はい、お水。さっき自販機で」

エド「あ、ありがとっす!気が利くっすね」

フラット「ちょっと...待てって...エド、落とし物」

エド「あ!ちょっと見せてくださいっす!」

フラットの手の中にあったのはプレゼントの入った

あの紙袋。エドは慌てて中を確認する

エド「あっ...割れてるっす...」

フラット「うわぁ、何そのネックレス!キレイ!」

エド「...全然綺麗じゃないっす。これ、誰が

踏んだっすか⁈」

ナックル「お、俺だ...すまん...」

エド「ナックラーさんっすか⁉︎いつもいつも、

俺のもの壊すっすよね⁉︎わざとじゃないっすよね⁉︎」

スター「エド、落ち着いて!喧嘩はダメだよ!」

エド「引っ込んでろっす!俺はナックラーさんと

話してるっす!」

ナックル「だからすまんって言ってるだろ」

フラット「バトラーも謝ったんだからいいでしょ?

何そんなに怒ってるのさ?」

エド「これはフラットへのプレゼントっす!

台無しにしたのに責任感じないナックラーさんが

悪いっすよ!」

クレア「おいおい、すっとこどっこいはそのこと、

ちゃんと知ってたのか?」

ナックル「いや、今知った」

フォール「じゃあ悪いのはエドだろ?

そんな大事なものを嘔吐する時にわざわざ持ってくか?

置いてくだろ、普通」

エド「踏んだらいやっすもん!」

スラリア「と、とにかく座って!ね?」

ナックル「そうだな。後で同じの買ってやるからよ」

エド「これは手作りっす!どこにも同じものなんて

ないっす!」

フラット「べ、別に僕の術で直せるけど?」

エド「それじゃ意味ないっす!俺が丹精込めて作った

プレゼントっすもん!俺1人で作らないと

プレゼントにはならないっす!」

フラット「...エド...じゃあ僕からプレゼントするね。

それでおあいこ」

エド「え...おあいこってどういうことっすか?」

フラット「これ、貰うね。どんな形であれ、

プレゼントだもん。プレゼントは気持ちを

受け取るもの。だから俺はぼろぼろだとしても、

エドの気持ちを受け止めたってわけ」

エド「...すぐ作り直すっす。集めるのは大変っすけど...

そんな不恰好なネックレスは付けるべきじゃないっす」

フラット「ありがと。それじゃ座れよ」

エド「はいっす!」

フラット「ふぅ」

ナックル「お前、やっぱ変わったな」

フラット「そうか?俺は俺のままだと思うけど?」

ナックル「...お前が思ってないならそれでいい」


フラット「着いた〜!」

ナックル「お?まさか夏祭り中か⁈」

フラット「お盆祭りっぽいね。しかもこれ!」

ノール「ファイター自由参加制イベント試合?」

エド「もしかしてファイターなら誰でも

参加できるっすか⁉︎」

スラリア「そうみたい!すごい、やろうよ!」

フォール「丁度帰る2日前までか。楽しそうだ、

やってみようか!」

フラット「え、これって8月いっぱいまでの旅行⁈」

フォール「あぁ、言ってなかったか?」

ナックル「聞いてないぞ⁉︎」

ノール「そんなに東京出て大丈夫か?」

スター「まさか...スパークフラッシュ号が

熱海のどこかに?」

フォール「正解だ!ライトフラッシュ号は

まさに今日から泊まる宿の地下にある!」

フラット「よく許可取れたね」

エド「バジーもいるっすか?」

「いや、いるのは俺達です!」

「面倒臭い営業課の仕事から逃れてのんびりと

過ごせる...幸せそのものだ!」

ノール「バルシア、キルユウ⁈お前ら、仕事があって

同行できないって!」

バルシア「同行できないとは言いました!

でも、行けないとは言ってませんよ姉御!」

キルユウ「仕事はあのリニアを宿の地下に停めること。

はぁ、慎重作業は当分いいや」

フラット「2人、営業課だよね...

何で整備課の手伝い?」

バルシア「それはバジーさんから直々に教わって

操縦方法をマスターしましたから!」

キルユウ「バジーはまた新たな依頼で顔を

合わせられそうにないから俺達が兄貴達を運ぶよう

言われていますから」

フォール「今度はアカデミー本部からの依頼だろ?

やっと届いたか」

クレア「正社員でも情報は伝わるんだな」

フォール「それだけバイトは権力がないってわけだ」

フラット「なんかトゲのある言い方だ」

ノール「それでこの祭典、締切今日まで。参加するなら

早く申請したほうがいい」

スラリア「え、今日まで⁈会場はどこ⁉︎」

スター「会場はたくさんあるけど...申請はQRコードを

読みとってからだって。ささっと申請しちゃうね」

スターはファイター用のNPを取り出し、QRコードを

読み取る。

スター「参加人数は8人、所属事務所はデ・ロワー...」

エド「こんな祭典あったんすね。知らなかったっす」

ナックル「たしかにな。聞いたことなかったぜ」

バルシア「俺達も出たいです!」

ノール「お前らは特別ファイター権限だからー」

スター「できるよ?」

キルユウ「マジか嬢ちゃん!」

スター「うん、やる?」

バルシア「お願いします!」

スター「分かった、追加2人、バルシアとキルユウ」

キルユウ「よっしゃバルシア!これから特訓だ!」

バルシア「負けないぞ!レッツゴー!」

フラット「ちょっと⁉︎勝手に行くなって!」

スラリア「でも、まだ今日までにしては空きがあるね。

もう満員御礼かと思ったけど」

スター「募集人数が多いんだ。1500人まで

応募してる」

フラット「地球圏日本だけの範囲って感じで?」

スター「うん、日本ファイターだけ」

フラット「だとしたら、まぁ満員にはならないか」

ナックル「そんな人数を一気に集められるわけが

ないしな」

スター「申請完了!会場は熱海臨海公園だって!」

スラリア「海の近くか〜!めっちゃ映えるよ!」

クレア「こういう大会ってライブ放送されるだろ⁉︎

うわぁ〜、やる気出てきた!」

エド「日本トップのファイター企業の実力、

見せつけてやるっすよ!」

フラット「やってやろうか!真夏の炎天下に

弾けた戦闘見せつけてやるぞ!」

全員「おーっ!」


宿にてー

フラット「あ、いい眺め!」

スラリア「潮風が気持ちいい!」

クレア「よし、特訓といこうか!」

スター「あれ?なんかデ・ロワーの掲示板が

すごいことになってるよ?」

エド「どんな感じっすか?」

ナックル「おい、フラット。お前、帽子にタグが

つきっぱなしだぞ?」

フラット「あ、ありがー」

エド「えーっ⁉︎」

全員「うわぁ⁉︎」

スター「どうしたの⁉︎」

エド「ゼウスが直々に応援に来るみたいっす」

フォール「ゼウスが⁉︎まさか...結果次第じゃ、

正社員になれるチャンスかもしれんな」

クレア「マジで⁉︎よっしゃ、絶対に優勝してやる!」

スター「醜態を晒すわけにはいかないもんね!

二人組形式の大会だから兄ちゃん、一緒に

頑張ろうね!」

エド「じゃあ、フラット!よろしくっす!」

フラット「うん!」

ナックル「俺だろ、フラットとのペアは!」

エド「俺っす!」

ナックル「いいや俺だ!」

ノール「私は誰と組むの?」

スラリア「私とでいいでしょ?」

フォール「俺はどうすればいい?」

フラット「じゃ、僕と組もっか!バトラーとエドは

2人で組んで!」

ナックル「なっ、何でコイツと⁈」

エド「そうっすよ!ナックラーさんと組んで

どうするっすか⁈」

フラット「2人仲良しでしょ?」

ナックル「な、仲良しだぁ⁉︎」

ノール「あぁ、喧嘩するほど仲がいいとも言うから...

そっか、仲良しだから喧嘩するのか」

フォール「あぁ、あり得る」

スター「ナックラーはエドのこと本当は好きなんだ」

ナックル「違う!フラット、変なこと言うなよ!」

バルシア「お似合いだと思うけどな〜」

キルユウ「な?何が不満なんだか」

エド「不満っすよ!迷惑ばっかかける

ナックラーさんなんかとペアだったら即負けっすよ!」

ナックル「言ったな!よし、賭けといこうじゃねぇか!

俺とお前が組んで、負けたらお前の勝ちだ!

だけど勝ったら俺の勝ちだ。いいな!」

エド「望むとこっすよ!どうせ勝つのは

俺っすけどね!」

スター「す、スターは知らないよ?じゃあ、

部屋に戻ってるね」

ノール「なんか面白い展開になったな。明日の開会式が

楽しみだ。それじゃ私も部屋に戻る」

スラリア「早く賭けなんか辞めさせてね。じゃ!」

クレア「フラット、今のお前ならどうする?

止める?止めない?」

フラット「勿論、止めない!」

フォール「だろうな。なんか答えもう見えてたし」

バルシア「で、俺達実はデ・ロワーのグループに

属されてなかったんですよ」

キルユウ「特別ファイター枠に入れられちまった。

まぁ、しょうがないのは分かってる」

フラット「じゃあ敵になるってわけか。2人とは

戦ったことなかったし、楽しみにしとく!」

バルシア「兄貴達と本気のバトル、楽しみに

しときます!」

キルユウ「それじゃ、俺達も部屋に戻ってるぞ」

フラット「また昼食で!俺達も部屋に行くとするか」

エド「そうっすね」

フォール「正社員の力、フラットにも見せてやるよ!」


昼食ー

フラット「うわぁ、海の幸いっぱい!」

エド「これ伊勢エビっすよね!一度生で食べて

見たかったんすよ〜!」

ナックル「それにこれサザエだぞ!もう大満足だ!」

フラット「鰻もあるし最高!」

クレア「海もいいが山の幸だって負けてない!ほら、

松茸にゼンマイとワラビだ」

フォール「刺身も美味いし酒も進む〜!」

フラット「あ、また飲んでる...明日からイベント試合が

あるんだよ?ガブ飲みしない」

フォール「なーに、俺は酔っ払わないって!」

バルシア「あ、兄貴!ここにいましたか!」

キルユウ「さっき釣りをしてたら...ほら!」

キルユウは手にさげていたクーラーボックスの中身を

フラット達に見せびらかす

フラット「凄い、ヒラメ!」

クレア「マダコも!」

バルシア「それと...ここにはヤリイカも!」

フォール「大漁だぁ!捌いてもらえよ!」

キルユウ「よっしゃ、行こうぜバルシア!」

バルシア「あ、待ってキルユウ!」

ノール「あれ、今キルユウ達いなかった?」

フラット「あぁ、釣りで獲った魚を捌いてもらいに」

スター「魚を...スターも釣りしたい!」

スラリア「じゃあ昼食後に行こっか」

フラット「釣りか...じゃあ大会しないか?」

クレア「いいな!多く獲ったほうが勝ちだろ?」

フラット「違うよ、一番価値のある魚を釣った人が

勝ちっていうルールで」

エド「いいっすね!盛り上がりそうっす!」

ナックル「その勝負乗った!景品はあるのか?」

フラット「じゃあ...自分が欲しいものを最下位に

買わせるってことで!」

ノール「まさかの金銭に関わるようなことを

フラットが口にするなんて...」

ナックル「本当、昔のお前だぜ」

クレア「キャラが変わってるが...面白いしいいか」

フラット「それじゃ、静岡堪能フルコースー」

全員「いただきまーす!」


2節 白熱‼︎フィッシング大会

フラット「それじゃこれより、デ・ロワー各社員による

釣り大会を主催する!」

全員「イェーイ!」

フラット「各自怪我や足元に注意して行うように!

船の上では決して騒がず、具合が悪くなったら

無理せず休むように!ペアは明日からのイベント試合と

同じとする!以上!それじゃ、開始!」

全員「おーっ!」


フラット「あそこ!鳥がいっぱい集まってる!

魚がいる証拠だ!」

フォール「よし、運転は任せとけ!」

フラット「任せるも何も自動運転だけど...」

フォール「そういう細かい事はいちいち気にすんな!

ほら、近づいてきてるぞ!」

フラット「よーし!それじゃ、釣りといこう!」


クレア「釣りって...初めてなんだよな...

こうであってるか?」

スター「スターも分からないよ!あ、引いてる⁉︎」

クレア「マジか、ってこっちも⁉︎」

スター「つ、強い...テレビで見たことあるから

見よう見まねでやってるけどあってるかな⁈」

クレア「俺も...!魚影みえてきた!あと少しだぁ!」

スター「くっ...!釣れたぁ!」

クレア「おっと!危ねぇ、落とすとこだった...

で、これは...ワカメ?」

スター「やった!兄ちゃん、タイだよタイ!」

クレア「あ、あぁ。良かったな」

スター「兄ちゃん、それ...ワカメ?」

クレア「なんか巨大なワカメ釣れた」

スター「ま、まぁ魚じゃないけど価値はあるから!

釣れなかったよりはマシだって!」

クレア「そうだな...釣れないよりはマシだな」


ノール「ふわぁ、釣りって案外暇なんだ」

スラリア「ちゃんと竿動かしてる?船の動きと同じだと

魚も警戒して近づかないよ?」

ノール「そうなのか?知らなかった、ありがとう」

スラリア「釣りはよく地球でやってたから。

月に行ってからは海がなくてできなかったけど」

ノール「何で地球から月に引っ越したんだ?」

スラリア「月の大学に受かって、母さんの実家に

一人暮らしすることになったから。それで

月で暮らすって決めてたんだけど...フラット達に

出会って地球に帰ろうって思った。母さんを置いてって

悔やんでたけど...ね」

ノール「母さんを置いてったか...私と似た境遇なの?」

スラリア「ノールも家族がいないの?」

ノール「一応養子だけどバルシアとキルユウがいる。

家族は一応はいる。だけど母さんと父さんは...

私のせいで...」

スラリア「あ...ごめんね。気にしないで。嫌なこと

聞いちゃったかな」

ノール「気にするな、スラリアは知らなかったんだ」

スラリア「ありがと...!引いてる!」

ノール「貸せ、手伝う」

スラリア「うん、一緒に!」


ナックル「なぁ...俺らってさ」

エド「情けないっすね...」

ナックル「自分が酔いやすいこと

すっかり忘れてるなんてよ...」

エド「全くもって同感っす...」


フラット「ん?あれバトラー達の船じゃない?」

フォール「何であんなとこ停まってんだ?」

フラット「エンジントラブルでも起きたか?

ちょっと行ってみよう!」

フラット達がナックル達の船に向かおうとした

その瞬間ー

水中[ピギャオーン!]

フォール「なんだ⁈」

フラット「今海の中から⁉︎」

フォール「おいおい、こんな海のど真ん中で

脅威のお出ましか?」

フラット「ちょっとキツイけど...フィールド作るよ!

神業・状態操作!」

フラットの詠唱で海の水が氷を張る

フォール「おぉ、滑りやすいがフィールドの完成だ!」

フラット「それじゃ...そろそろ来る!構えろ!」

フォール「了解、戦闘モード起動!」

異世界モンスター「ギャルオン!」

フラット「デッカいなぁ...しかもカツオか...

ある意味釣りだ!即刻倒してゲットだ!」

フォール「OK!任せとけ!まず1発くらっとけ!

第一暗黒『木喰』術・『無数葉之影踏』!」

フラット「おぉ、水型に木喰術は効果絶大!じゃ俺も!

第一審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃』!」

異世界モンスター「ギュギュ!」

しかし、鱗を固めた異世界モンスターには、

フラットの光の刃が通ることができなかった

フラット「なっ、硬い鱗だ...」

フォール「おい、尻尾きてるぞ⁉︎」

フラット「くっ、神業・結界!」

ギリギリのところでフラットの結界が

異世界モンスターの尻尾を跳ね返す

フォール「人手が足りねぇな...どうする?」

フラット「これは俺達の獲物だ!2人で倒す!」

フォール「あぁ、分かった!従うぞ!」


クレア「順調だ...だが...」

スター「価値のあるのはさっきのタイだけだね」

クレア「俺もさっきカサゴ釣ったのに...」

スター「糸が切れたのは仕方ないって!」

クレア「はぁ...ん⁈引いてる!しかも重い⁉︎」

スター「兄ちゃん、ファイト!」

クレア「こ、このぉ!くっ...負けるか〜!」

バッシャーン!


ノール「さっきの私達さ」

スラリア「うん、ちょっと油断しちゃったね」


ノール「やった!カレイだ!」

スラリア「やったね!勝ったんじゃない⁉︎」

ノール「あぁ!」

べちゃ!

ノール「うわぁ!」

ガッシャーン!

スラリア「ノール⁈大丈夫?」

ノール「私は...ってあぁ⁉︎」

スラリア「カ、カレイが...!」


ノール「ごめん」

スラリア「いいって!あ、また引いてる。ノールは

たんこぶができてるから頭冷やしといてね!」

ノール「ありがとな」

スラリア「お礼はいいよ!これ釣ったらまた話そ!」

ノール「分かった」


ナックル「なぁ、俺達この空眺めて何分経つ?」

エド「多分15分ぐらいっす」

ナックル「こんな長い間寝転がるの久々だぞ」

エド「フラットから聞いてるっすよ?講義中寝てて

いつも起こされてるって。本当っすか?」

ナックル「アイツめ〜、余計なことを」

エド「留年しても知らないっすよ」

ナックル「お前...元気になってねぇか?」

エド「ナックラーさんこそ...」

2人「アハハハ...!」

ナックル「よーし!元気になったことだし、最下位から

抜け出すために頑張ろうぜ!」

エド「はいっす!」


フラット「コイツ、手強い!」

フォール「他のやつらは、まさかこんな戦闘が

怒ってるなんて想像してねぇだろうな」

フラット「そうだろうね!さぁ、もう一回仕掛ける!」

フォール「フラット、待て!」

フラット「?何?」

フォール「やつ...息が苦しそうだ。魚だからえら呼吸を

しないと死んじまう...つまりは息をさせなきゃいい!」

フラット「そっか!ならいい手がある!」

異世界モンスター「ギャウ!」

フラット「行かせない!『束縛』!」

異世界モンスター「ググッ⁈ギ...ギャァ...グゥ...!」

フラット「フォール!今のうちにパラレルストーンを

切り離して!」

フォール「よっと!これでいいか!」

フラット「よし!戦闘モード解除!」

ピチッ、ピチッ!

フラット「カツオゲットだ!」

フォール「なんかあっけない終わり方だったな」

フラット「でも価値がまぁまぁある魚も獲れたことだし

続きといこう!」

フォール「そうだな!っと?ナックル達の船、

動いてるじゃねぇか」

フラット「あれ、何だったんだろ?」

フォール「トラブルじゃねぇの?まぁ動いたんなら

問題ないってことでいいだろうし、さっさと

釣り再開するぞ!」

フラット「分かった!」


クレア「どうだ?スターは釣れたか?」

スター「今のところはイワシが1番多いかな」

クレア「価値のある魚は今のところタイだけか...

へっくっしゅん!さみぃ...」

スター「兄ちゃん海に落ちて災難だったね」

クレア「あれカジキマグロだった」

スター「えぇ〜...獲れてたら優勝だったよ」

クレア「マジですまん。ていうかプロの漁師でも

獲るのはレアだぞ?姿を拝めただけでも奇跡だ」

スター「それもそうだね。風邪ひかないように

ちゃんとあったまってよ!」

クレア「分かってる。スターも頑張れ!」

スター「うん!」


ノール「こっちはイカとヒラメか...インパクトが弱い」

スラリア「たしかにね。っと、来たっ!」

ノール「よし、こっちも!それ!」

スラリア「捕れたって...サンマか...」

ノール「お、これは?」

スラリア「あ、スズキじゃん!美味しいよ!」

ノール「ここに来てようやく魚っぽい魚釣れたけど...

これ結構マズイほう?」

スラリア「どうだろ...釣れないチームとか

ありそうだし」


エド「ぜ、全然釣れないっす...」

ナックル「おい、このままだとビリだぞ?」

エド「釣れたのは...サンゴだけっす」

ナックル「えっ、サンゴなんて釣ってたか⁈」

エド「釣ったっすよ!ほら!」

ナックル「デカ⁉︎これかなりの値がするはず...?なぁ、

フラットが言った勝利条件は何だった?」

エド「一番価値のあるものを釣ったら勝ちって

言ったはずっすよ!」

ナックル「てことはよ、これ持って帰ればビリは

ないぜ!よくやったエド!」

エド「えへへ...じゃあもう釣れる気しないっすし、

先に帰って待つっすか」


フラット「あれ、バトラー達もう帰るの?

1時間も釣りしてなくない?」

フォール「場所を変えるんじゃねぇか?」

フラット「あっちにも鳥の群れできてるか。

ならそっちに向かうのかも」

フォール「でもよ、流石にクーラーボックスも

いっぱいになってきたしこっちは終了じゃねぇか?」

フラット「あと一匹入りそうだけど...いっか。

じゃあ帰ろう!」


クレア「ハックシュン!」

スター「体震えてる...もう帰ろう」

クレア「で、でも、まだそんなに...」

スター「へへ、これ何だと思う?」

クレア「それ...いけるな!」

スター「じゃあ帰ろっか!」


ノール「結構捕れたな。もういいだろ?」

スラリア「1番いいのは...スズキかタチウオかな。

これなら最下位はなさそうだし帰ろっか」

ノール「少し気持ち悪いし...」

スラリア「そうだったの⁈そういうのは

先に言ってよ!」

ノール「すまん、我慢出来ると思ったが...キツイ」

スラリア「分かった!帰るよ!」


フラット「結果発表!」

フォール「自信のある魚をここに持ってこい!」

ナックル「俺達は最後でいいぜ!」

エド「メチャクチャ価値のあるの獲ってきたっす!」

フラット「お、楽しみ!じゃあ最初は?」

スター「じゃあスター達から!はい!」

フラット「おっと、これはー」

フォール「金目鯛か!」

フラット「これより自信のある魚はある?」

スター「ないよ!それ!」

フラット「分かった。金目鯛で確定!それじゃ

次のグループ!」

ノール「負け確定だから私達のグループ」

スラリア「タチウオだよ」

フォール「タチウオか。刺身が美味いが

価値は金目鯛だな」

フラット「じゃあ次は僕達が。金目鯛には劣るかな、

カツオだよ!」

ナックル「えっ、あれって異世界モンスターじゃ⁉︎」

フラット「そうだよ、釣り上げた!」

エド「よく船で戦えたっすね」

フォール「圧勝だったけどな。さて、最後に

ナックル達だ。見せてみろ」

ナックル「見て驚くなよ...!これだ!」

フラット「?これって...まさか釣れなかったの?」

エド「いや釣れてるじゃないっすか⁉︎」

フォール「釣れてるって...まさかお前ら⁉︎」

ノール「完全にルールを忘れてるな」

スラリア「1番価値のある魚を釣るんだよ!」

クレア「価値のあるものじゃないぞ...ベックシュン!」

フラット「ていうかクレアどうしたの?」

スター「大物に引っ張られて海に落ちたの。

カジキだっけ?」

フォール「カジキぃ⁉︎釣れたら圧勝だったな」

クレア「あと一歩だったのに...さびぃ」

スター「ねぇ、とりあえず最下位はナックラー達で

いいよね?」

フラット「そう。レギュレーション違反ってことで」

スター「じゃあ兄ちゃんを寝かせてきていい?」

スラリア「あぁ、優勝したスターちゃんは

残ってていいよ。ノール、一緒に」

ノール「分かった。スター、ワガママ言っていいぞ。

この2人が破産してでも買ってやるって」

スター「本当⁉︎」

ナックル「ファイターの貯金が底なしなのは

お前でも知ってるだろ」

エド「そうっすね、普通にちょっとした高級車は

買えるっすよ」

フラット「エドの運転か...ちょっと乗ってみたい」

エド「えっ...いいっすよ!2人でドライブにでも

今から行くっすか⁈」

フラット「どうやって?」

スター「じゃあお祭りの出店の食べ物、全部買って!」

ナックル「は?そんなんでいいのか?」

スター「うん!そしたら皆で食べようよ!」

エド「可愛いワガママっすね!分かったっす、

一緒に夜、買いに行こうっす!」

フラット「それじゃ、ここで釣り大会もお開き!

祭りの開始時間は...いつだっけ?」

「?あ!フラットさん!」

「おろ?デ・ロワーも夏季休暇か?」

ナックル「この声は...!」

エド「ラルバにフェアードっす!どうしたっすか?

こんなとこで会うなんて奇遇っすね!」

フラット「何か事件?」

ラルバ「違いますよ!熱海で毎年行われる、

サマーフェスタのイベント戦闘に参加するんですよ!」

フェアード「毎年恒例でな。あと1人いるんだが」

ナックル「デラガだろ?いねぇもんな」

フェアード「あぁ、祭りのパトロールの準備をしてる。

こういう時にもクソ真面目なんだよな、アイツ」

ラルバ「それに海のパトロールもしてましたよ?

でも、暑くないんですかね?あの格好で...」

スター「水着で見回ってるんじゃないの?」

ラルバ「普通に警官服ですよ。警官が

そんな浮いた格好、はしたないって言い張って」

フェアード「本当、クソ真面目だよな」

エド「ていうか俺達もそのイベント戦闘に

参加するんすけど...」

ラルバ「えっ⁉︎まさかデ・ロワー全員が⁉︎」

フラット「うん。俺達全員。絶対負けないよ!」

フェアード「あっちゃー、ラルバ選んだの

間違いだったか!」

ラルバ「な、何でですか⁉︎」

フェアード「お前、フラットのこと相手にすると

絶対尻尾振ってそうだ」

ラルバ「流石に戦闘でそんなことしませんよ!それに、

本官以外に誰をファイターに呼ぶんですか⁉︎」

フェアード「うっ...それは...」

ナックル「まだ友達ができないのか〜?本当、

上下関係気にするよな、お前」

フェアード「う、ウルセェ」

ノール「フラット〜!」

フラット「あ、クレア部屋に戻せた?」

スラリア「うん、バッチリ!熱があったから

風邪薬飲ませといた!」

ラルバ「あぁ!スラリアですよね?

大ファンなんです!」

スラリア「えっ、ファン?ありがと...」

ラルバ「凄いですよね、サポーター兼ソルジャー!

デラガもファイターで参加すればいいですのに」

フェアード「それは無理だ。にしても、フラット。

思い出した。逮捕案件だが...人工アリジゴクに

先を越されたならいい。それにもうあの瞳は

してないって見れば分かる。これからも、

ファイターとして頑張ってくれ」

フラット「はい!頑張っていくつもりです!」

ラルバ「本官、フラットさんがどんな人でも、

あの言葉は本物だと信じてますから!フラットさん、

困ったことがあったらジャンジャン本官に

話してください!」

ラルバはフラットに飛びつく

フラット「うわっ、ちょっと⁉︎ハハッ、可愛い!」

フェアード「おい、だから尻尾ふんな!こっちに

当たってる!」

スラリア「なんかいい雰囲気...」

ナックル「そういえば他に知り合いは

参加してるのか?」

「あとは機密だ。我々が口に出す権利はない」

フェアード「デラガ...ってなんだその格好⁉︎」

ラルバ「えっ...まさか水着着なかったのって...

忘れたから?」

デラガ「ゴホン。さっ、私服警察官としてパトロールに

行くぞ。あと、人前で抱きつき合うな。みっともない」

ラルバ「は、はい!」

フェアード「警部である俺より上司のデラガに

従順なのはショックだ」

フラット「まぁ、気にしない気にしない!」

フェアード「そうだな...祭りにでも

パトロールに行くか」

フラット「それじゃ僕達も行こう!」

ナックル「そうだな!エド、大食い勝負といこうか!」

スター「罰ゲームのこと忘れてないよね?」

エド「覚えてるっすよ!」

ノール「じゃ、楽しむとするか」


スラリア「わぁ、何これ⁉︎」

エド「激辛肉まんっすよ!うーん、この舌が

焼けるような辛さ、たまんないっす!」

ナックル「もう食ってるのかよ。早いな〜」

フラット「そういうバトラーも食べてる!」

ナックル「リンゴ飴はいいだろ?コイツは5個も

食ってるぜ?」

スター「激辛はいいよ。皆で食べられるものにしよう」

フォール「...なぁ、俺ちょっと外れていいか?

トイレ行きたくて」

ノール「実は私も。後で合流するから!」

フラット「分かった!また後で」

スター「あ、あれやりたい!」

エド「金魚掬いっすか!いいっすよ!」


スター「むぅぅ...そこ!」

エド「お、上手いっすね!」

スター「...いける!」

ナックル「おぉ、3匹目!」

スター「で、でももう破けそう......って、あ!」

掬い棒がスターの手から滑り落ちる

「あっちゃ〜、惜しかったね、嬢ちゃん!」

フラット「?もしかしてゴン⁉︎」

ゴン「あ、フラット⁉︎」

スラリア「誰?」

フラット「ファイター関連の記事を書く

ゴン・フォスク。ファイターだ」

エド「もしかしてゴンさんもイベント戦闘に

出るっすか⁈」

ゴン「あ...それは言っちゃいけない約束なんだ。

当日まで出るかは口にしちゃいけない」

ナックル「そうだったのか、知らんかったぜ」

ゴン「まぁ、そういう風潮が生まれただけ。だから、

ルールじゃないけど」

フラット「なんだ...って詳しいってことはもしかして

毎年出てる⁈」

ゴン「あちゃ、勘がいいな。流石フラットだな。

で?ファイター名はあるのか?」

フラット「...あっ!」

ナックル「お前らねぇじゃねぇか!」

エド「もうじゃあ適当に...たしかナックルさんは

あだ名的な感じだったっすけど全然関係なくても

いいんすよね⁈」

ゴン「あぁ、ルールはない」

エド「じゃあ正義の鉄槌をくだす正義のファイター、

『ジャスティス・フィスト』!」

フラット「カッコいい...俺も考えないと!

法で導き、法で正す裁きのファイター、

『ジャッジメント・スピア』!」

スター「スターも考える!えっと、えっと...

夢と風の癒しを歌うヒーラー、

『リリーブ・ブリリアント』!」

スラリア「決めるの早いよ!

それじゃあ...母さんを真似て...これでいっかな。

皆を支え、そして闇を切り裂く、

『トゥウィンクル・デス』!」

フラット「なんか今言うのは恥ずかしいな...」

ゴン「それで、フラット。君のことはなぜか急に

思い出したが...君が変わったことは誰もが分かってる。

それに、多分被害者は思い出せてはいないと思う。

声が上がっていないから」

フラット「...」

ゴン「あぁ、気にするのが普通だよ。でも考えるな。

お前ならそう言ったぞ」

フラット「うん。分かってる」

スター「ありがと、狐のおじさん!エド、次行こ!」

エド「あ、はいっす!」

ナックル「次は...ってあれ、もしかして!」

タクマ「あと一発か...上手く狙いが定んねぇな!」

ヒナ「もうちょっとゆっくりやっていいと思うよ。

肩の力抜いて!」

デラガ「そうじゃない。もう少し銃口を上に上げて、

肩の力を抜く。そして一旦呼吸をして...撃つ!」

タクマ「やった!ありがとうございます...ってあれ?

デラガさん!」

デラガ「タクマか。イベント戦闘に?」

タクマ「はい!フラット達も参加するって聞いて!」

ヒナ「私はイベントもそうですけど、お仕事も

入っていたので!」

ラルバ「あっ、ここにいた!」

フェアード「えっ、タクマとヒナ⁉︎生で会ったのは

初めてだ!」

タクマ「初めまして、フェアード警部。お噂は

ラルバとデラガから聞いてます」

ヒナ「頼りがいのある警部さんって聞いてますよ」

フェアード「お前ら...」

ナックル「よう!東京はどうした?」

ヒナ「ナックラー⁉︎偶然だね!」

タクマ「東京ならもうほぼ直ったぞ」

フラット「そうなんだ...良かった」

ヒナ「あ、フラット!前の戦闘、かっこよかったよ!」

タクマ「おう!映えてた!もう一度見てぇなぁ!」

フラット「それじゃ、いつか!」

スター「スターも射的する!」

スラリア「分かった、おじさん、一回!」

?「おう、一回!」

ナックル「うお、この声は...久しぶりだな!」

?「お、ナックルか。2年ぶりだな!」

フラット「知り合い?」

ナックル「レスキューファイター、

ペイロゴン・バース。どんな過酷な状況下にいる

要救護者も救うやつだ」

ペイロゴン「君はフラット君だっけ?明日はよろしく。

ルールは開会式まで分からないけど、初心者同士、

仲良くやっていこう」

フラット「ペイロゴンさんも初心者なら手加減なしで!

よろしくお願いします!」

エド「あ、スター景品ゲットっす!」

ペイロゴン「えっ⁉︎あ、見てなかった...

人生ゲームだね。はい」

スター「ありがとう!後でやろう!」

ノール「あ、いた!」

フォール「お?射的やってんのか!俺もやる!」

ナックル「あぁ、それなんだがそろそろ帰らねぇか?

ちょっと人混みで暑くなってきた」

スター「あ、金魚に餌...」

スラリア「あ、金魚掬いやったの?いいなぁ、3匹も」

スター「あげないよ」

スラリア「分かってるって。明日、私もやろうっと!」

ラルバ「あれ、帰っちゃうんですか?」

フラット「明日になったらまた会えるし!」

デラガ「お前はすぐにフラットに抱きつこうと

するから避けられてるんじゃないか?」

ラルバ「ふぇっ⁉︎」

フラット「違うよ、ただこんなに買ったから、

そろそろ帰らないと冷めちゃうよ」

ラルバ「だったら本官達の出店で食べていくのは

どうですか?もうお店、閉まってますから!」

フェアード「一応海の家だからな。問題はないと思う」

デラガ「くれぐれも冷蔵庫を開けるなよ」

エド「そんなことしないっすよ!」

デラガ「ならいい」

ナックル「じゃあ案内してくれ。ラルバのやってる

海の家も見てみたいしな!」

フォール「警察が近くにいると落ち着かないな...

まぁしょうがねぇか」

フラット「何ぶつぶつ言ってるの!行くよ!」

フォール「あ、あぁ!」

スター「待って、金魚どうしよう...」

フラット「あ、じゃあジャンケンで買い物に行く人を

決めようか!よし!」

全員「出さなきゃ負けよ!ジャンケンポン!」

スラリア「あ、私と...」

クレア「俺か。いいだろ、まだ腹減ってないしな。

それに明日の朝食が俺達の釣った魚だろ?なら、

腹を空かせておくのは当然だ!」

エド「大食い脳っすね」

フラット「それじゃ俺達は海の家に行ってる。

買い物終わったら...後で詳細送るからそれを

頼りに来て」

クレア「了解!スラリア、行くぞ!」

スラリア「あ、ちょっと置いてかないでよ!」

ナックル「お似合いじゃねぇか?」

ノール「ラルバ、案内よろしく」

ラルバ「はい!こっちです!」


3節 開催‼︎サマーフェスタ!

スター「お祭りのご飯美味しいね!スター初めてだから

すごく楽しい!」

ラルバ「初めてですか?」

フラット「色々あったんだ。自由が

なかったっていうか...」

デラガ「自由がない...か。俺の知り合いにも

そんなこと言ってたやつがいたな」

ノール「自由がないって言っても地下に

閉じ込められたって意味だ」

デラガ「束縛ではないのか。アイツは...センリは

束縛されていた」

フラット「センリ⁉︎」

フォール「センリって...この前一緒に戦った⁉︎」

フラット「デラガ刑事、詳しく教えてください!」

デラガ「その前にお前ら、センリに会ったのか⁈」

ナックル「会ってるぜ、俺は37年前から」

エド「俺もこの間会ったっすよ」

デラガ「...アイツは48年前から行方不明の

ままなんだが」

フラット「あの...!俺知ってます。何があったのか」

デラガ「本当か⁉︎」

ナックル「何でお前が知ってる?」

フラット「センリの口から聞いた。間違い無いと思う」

デラガ「教えてくれ」

フラット「はい。センリさんは悩みに悩んでいてー」

センリから聞いた話をフラットは事細かにデラガに

伝える。


その間、クレアとスラリアー

クレア「このぐらいの水槽でいいか?」

スラリア「あの金魚は大きくなると思うから

この大きい方がいいと思うよ」

クレア「これか?」

スラリア「そう...あ、クレア。ちょっとごめん」

クレア「へ⁈」

スラリアはクレアの口の下を手で触る

スラリア「青のり、ついてたよ。さっきたこ焼き

食べながら来たからその時についたんだね」

クレア「い、言ってくれれば自分で取ったのに」

スラリア「いいんだよ!クレアのこと、私が

面倒見ないといけないって思ってるし!」

クレア「な、何でお前が俺の面倒見るんだよ⁈」

スラリア「だってあの時、河原で転んで

川に落ちかけたの助けたのは私だよ?もしいなかったら

溺死してたんだし私が面倒見るのは当然でしょ?」

クレア「ぐっ...それは...そうだな...はぁ〜。

ったく、でも俺の顔を触るのは違うぞ。あと、

そういうお前も唇、焼きそばの野菜ついてるぞ」

スラリア「えっ⁉︎」

クレア「嘘だよ」

スラリア「もぉ〜、変な嘘はやめてよ!」

クレア「ごめんって!あとは水草と土か...」

スラリア「あ、それは買ったよ!十分でしょ?」

クレア「お、助かる!...あのさ、

少し買い物続けてもいいか?買いたいものが

あるからよ」

スラリア「?いいよ」

クレア「じゃあこっち」

スラリアを連れてクレアは衣服コーナーへ向かう


デラガ「...そうか。ありがとう、フラット。

アイツのこと知れて良かった。人工アリジゴクに

携わっているのは抵抗を覚えるが、裏計画でないだけ

マシか。にしても中途半端な人工アリジゴクか...

そんな存在が残れるのか?」

フェアード「たしかにそうだな。中身の空っぽな

アリジゴクに中身があるんだ。それは...

もはやアリジゴクとは呼べない代物だ」

ラルバ「ん〜!これ美味しいですよ!」

エド「オムそば最高っす!」

ノール「空気読め、そこの犬とヒョウ!」

ラルバ「ほ、本官は犬じゃないです!金剛狼族です!」

エド「それに思ったこと言って何が悪いっすか!」

ナックル「コイツらに空気読めほど無理難題はないぞ」

スター「ムにゃ...」

フラット「あれ、寝ちゃった?」

デラガ「ちょっと待ってろ。毛布あるから」

ラルバ「...デラガって、子供がああ見えて

大好きなんですよ」

フェアード「理由も知らずにそんな笑顔で言うな」

フラット「理由?」

フェアード「アイツは、子供も奥さんも、親も

失ったんだ。43年前のアリジゴク大量発生でな」

ラルバ「えっ⁉︎」

フェアード「その時のアイツは、ファイター成り立て。

C級アリジゴクすら上手く相手にできないほどの。

だから...守れなかった。家族をな」


43年前ー

妻「デラガ!この子達を...お願い!」

デラガ「ダメだ、お前も来い!」

妻「私は...いいの。お義母さんと一緒にこの子達も

連れてって!私の足じゃ、足手まといになるだけ!」

子供1「お父さん、ママも一緒に!」

妻「ワガママ言っちゃダメ!それに...きっと私が

いなくなったら私のことはデラガ以外忘れる...

それでもいいから!」

子供2「パパ、痛いよ」

デラガ「くっ...ビアス!後で必ず迎えに来る!

その時までは...そこから動くなよ!」

妻「...分かった」

デラガは急いで地下シェルターへ子供と母親を

連れて行く。

妻「...ごめんなさい。私、デラガに嘘ついちゃってた。

その責任を...とらないといけないから...」

ビアスはデラガの子ではない者が眠るお腹を撫でる。

妻「さようなら...ごめんなさい!」

アリジゴク「ギュ?ピギャァァ!」

1匹のアリジゴクがビアスを一飲みにする


子供1「...パパ!」

デラガ「どうした⁈」

子供1「僕のママって...誰だっけ?」

デラガ「⁉︎...ビアス...!」

子供1「パパ、どうしたの⁉︎」

子供2「パパ、危ない!」

デラガの子供が、デラガを庇うために倒木の

下敷きになる

デラガ「ユーテル!この...どけっ!どいてくれ...!

頼む、せめてビアスの約束は果たさないと...!

俺は...!俺は...!」

しかし例えファイターとはいえ、幾多もの倒木が

積み重なった丸太を動かせるわけがない。

そしてある現実がデラガの目に映る。それは、

倒木と倒木の隙間から見えた、どす黒い色をした

ユーテルの血液だった

デラガ「...ユーテル...⁉︎」

子供1「パパ!アリジゴクが!」

デラガ「な、何⁉︎くっ...!」

子供1「うわぁ、パパ〜!」

デラガ「なっ、後ろからも...!くそ!コイツめ...!

離れろォォォォォ!」

その叫び虚しく、子供と母を喰ったアリジゴクは遠くへ

行ってしまう

デラガ「くそっ、俺は...俺は...!まだ喰われるわけに...

いや、喰われてもいいんじゃ?」

「そこにいる人を...喰わせてたまるか!

第一突進『光』術・『光纏タックル』!」

アリジゴク「ギャオン⁉︎」

ナックル「アンタ、立てるか?」

デラガ「......」

ナックル「おい...?とにかく、今は逃げるぞ!」


フェアード「...というわけだ」

ナックル「...俺、余計なことしちまったか?」

フェアード「いや、逆に君は正しいことをした。

喰われたとして、その魂は消えるだけだ。あの世で

会えるわけでもない」

フラット「デラガ刑事にそんな過去が...」

ラルバ「だからあんなに必死でアリジゴクと...

同じ悲しみを持たせないように...」

フェアード「というよりかは、敵討ちだよ。アイツが

戦闘中に思っていることは。アイツの顔はそんなことを

思っている顔には見えない」

エド「敵討ちっすか...」

ラルバ「あの...!デラガも参加させませんか⁈

このイベント戦闘に!」

フェアード「このイベント戦闘って、

もう締め切られたぞ⁈」

ラルバ「フェアード警部、初日は休んでください!

本官とデラガでやってみたいんです!」

フェアード「...お前がワガママ言うと

止まんねぇからな。分かった、やってみろ」

ラルバ「流石警部です!本官、デラガの心を嫌でも

開いてみます!」

フォール「...家族を守る...か」

フラット「フォール?」

フォール「少しな。俺にも、家族がいれば...きっと、

そんなこと思えたんだろうな」

ノール「フォール、もしかして家族を知らない?」

フォール「俺はな、物覚えがある時から俺と

血の繋がった家族じゃない家族と一緒にいた。

だから旅に出た。本当の家族を探しに。でも、

とうの昔にいなかった」

フラット「捨て子だった?」

フォール「違う、俺は経済的に親戚に預けられていた。

愛したくても愛せない...そんなのひでぇ話だろ?

だから会いに行って...驚かせようと思った」

ノール「そう...だったんだ」

フォール「なんか暗い話になっちまったな!

もう夜だしそろそろ戻るか!」

フラット「まだクレア達が来てない。待とう」


クレア「この服?いやこれも!」

スラリア「ねぇ、何で女性用の服見てるの?」

クレア「お前、誕生日だろ?」

スラリア「えっ、どこで知ったの⁈」

クレア「お前の部屋のカレンダー、丸してあった日が

今日だったからよ、もしかしたらなって」

スラリア「...」

クレア「サプライズにこっそり買おうって思ったけど、

一緒に選んだ方がいいだろ?お前の好み分からんし」

スラリア「...クレア」

クレア「どうした?」

スラリア「...私が好きなのはこう言う服装だよ!

そ、それじゃ先帰ってるね!プレゼント...待ってる!」

クレア「あっ...」


ナックル「照れてる証拠だぜ!」


クレア「スラリア...分かった、探してみる!」

クレアは店員にスラリアと似た服があるかどうかを

尋ねて探し求める


翌日、熱海臨海公園にてー

放送「レディースアンドジェントルマン!

お待たせしました!熱海市主催大型イベント戦闘!

これにて開催致します!」

観客「ワーっ!」

放送「ここ熱海臨海公園では4つのファイター企業が

争います!まず東ゲート!東京警視庁の

ファイター支援課から出場!ラルバ・シュート!

フェアード・クローバー!今日は来れないため、

代わりにデラガ・ファング!」

観客「ワーっ!」

ラルバ「善行する者には花を、

悪行をする者には銃弾を!

公務に走るガンマンウルフ、

『ウィルダニス・トリガー』、ただいま推参です!

今年もバンバン打ちまくります!」

観客「ラルバーっ!」

デラガ「ラルバ、俺は言うべきか?」

ラルバ「当たり前です!ほら!」

デラガ「...人々の生活を脅かす者を取り抑え、

それ相応の罪を与える、

『パッション・ポリス』!今日だけだがよろしく」

観客「キャー!」

フラット「女性ファン多いな...」

フェアード「おう、あと2グループの紹介が終わったら

お前達だぞ。相手はよく知ってる連中だ」

フラット「えっ?」

放送「続いて北ゲート!宇宙圏ナンバーワンの企業、

SFAから4人の出場!順番に、

マドール・ジェフィカ!ゴン・フォスク!

ミッシェル・タイリッシュ!碧月アスカ!」

マドール「今日も素敵な技で魅了させちゃうわ、

『タイトファッション・モデラー』、ド派手に

決めちゃうわよ?踊り酔いしれる準備はいい?」

観客「マドールちゃーん!」

ゴン「この盛り上がりを永遠に残します、

『フォーエバー・フォトグラファー』、

カシャカシャといいワンシーンを

撮らせてもらいます!」

観客「しっかり残せよー!」

ミッシェル「闇に紛れて悪なる心持つ血を吸う、

『ミッドナイト・ヴァンパイア』、朝だろうと

空にカリスマ溢れて飛ばせてもらう!」

観客「ミッシェル様ー!」

フラット「えっ、ミッシェル⁉︎

公認ファイターだったんだ」

アスカ「面白いマジックを見せてあげる、

『マジカルミラクル・マジシャン』!今日は私が

たくさんのショーを見せてあげる!」

観客「楽しみにしてるよー!」

放送「そして西ゲート!ジ・アフダンと

スポーツ界屈指のあの2人がコラボ!

まずは松尾タクマ!綾川ヒナ!」

タクマ「どんなとこでも自分忘れずに輝く俳優、

『シャイニング・アクター』!

今日が初めてだけどいい戦闘を演じてみせます!」

観客「ファイト、タクマ!」

ヒナ「いつでもどこでも小鳥のヒナです!

『アイドルファイター・ディープブルー』が輝く舞を

踊りに踊ってみます!」

観客「今日も可愛いよー!」

ヒナ「ありがとー!」

放送「そして!スポーツ界からも!

ダバンゴ・スウィリッシュ!賜志崎ライ!」

ダバンゴ「この俺と水中で勝負したいのはどいつだ?

この、『スプラッシュ・アリゲーター』が

敗北を教えてやるよ!」

ライ「風雷の如く推参したでござる!拙者の雷が

この地を駆け巡るのをご覧じてあげましょう!

『忍者・ライ』、雷光と共にいざ!」

観客「カッコいいぞ!」

放送「そして最後に!なんと地球圏ナンバーワン企業、

デ・ロワー総員がこの場にいます!もはや私は

呼べません!全員出てきてください!」

フラット「えぇ⁉︎い、行こう!」

全員「りょ、了解!」

全員は慌てた足取りで会場に出る。

観客「きゃー!本物ー!」

フラット「それじゃバトラーから!」

ナックル「おう!どんな闇も打ち払う、

絶対無敵のファイター!皆、俺の名はー」

観客「真光之ナックラー!」

ナックル「ありがとう!」

フラット「俺⁈ゴホン...」

一息フラットは吸い込む。

フラット「法で導き、法で正す裁きのファイター、

『ジャッジメント・スピア』!今日もどんどん

裁いてくよ!」

観客「裁いちゃえー!」

ノール「次は私か...スゥ〜...ハァ〜...よし。

誰かのために今日も私は破壊する、

『カレクト・クラッシャー』!破壊が美しいと思える

瞬間を作り上げてみせる!」

クレア「次は俺か...よっしゃ、胸張って!

誰かの背中を押せる風を吹かせる、

『カインドウィンド・トルネード』!

いい風が吹くよう...祈っとけ!」

観客「今日もイカシテルー!」

エド「俺っすね!うわぁ、緊張するっす...!

正義の鉄槌をくだす正義のファイター、

『ジャスティス・フィスト』、熱海の地で正義を

叫びに来たっすよ!」

観客「ファイト、エード!」

スラリア「私の番か!早い...落ち着け私...!

皆を支え、そして闇を切り裂く、

『トゥウィンクル・デス』!今日は人生に残る

思い出を作っていきましょう!」

全員「一生で1番の日だ!」

スター「私だね、昨日たくさん練習したから大丈夫!

夢と風の癒しを歌うヒーラー、

『リリーブ・ブリリアント』!今日は清々しい日に

しようね!スターとの約束だよ!」

観客「絶対守るよー!」

フォール「デ・ロワー唯一の正社員級ファイター!

闇を操り光を作り出す、

『クリエイティブ・ダークマター』!

今日も闇を操りまくって光を咲かせるぞ!」

観客「フォール!」

フラット「最後に俺かよ...締めが1番緊張する...

皆、俺達のイベント戦闘、最後まで楽しんで!」

放送「さぁ、早速試合に参りましょう!その前に

今年のルール確認です!まず戦闘での勝敗、

次に合計獲得支援力数、最後に観客達による

いい勝負を見せてくれたで賞ポイントの3ポイント制で

つけます!あと、デ・ロワーの人数が多いので

分配します!ファイター支援課チームに2人、

そしてもう2人をある別チームに入れます!

まずファイター支援課チーム!決めてください!」

ラルバ「そりゃもう決まってますよ!

フラットさん、一緒にー」

放送「あ、フラット選手とフォール選手のタッグは

既にとられていますので!」

ラルバ「本当ですか⁈じゃあ...」

デラガ「クレアとスターのチームを」

クレア「俺達か?すっとこどっこいの方じゃ

なくてか?」

スター「まだ戦績も少ないし、足手まといに

なっちゃうかも...」

デラガ「だからだ。熟練したファイターになるため、

指導させてもらう」

ラルバ「デラガ...?」

放送「それでは決まりました!ファイター支援課に

クレア選手とスター選手のタッグが加わり、

そしてセンタースポット、四大チームに

フラット選手とフォール選手のタッグが加わります!」

ナックル「はぁ⁉︎フラットとフォールが

四大のチーム⁉︎」

スラリア「...凄い!」

エド「ファイトっすよ!いつも通りでいいっすから!」

ノール「この試合、ゼウスも見てるんだろ?

なら頑張るだけ頑張ってこい。たとえ敵だとしても、

これは誇れることだから」

フラット「嘘...やった!やったぁ!」

フォール「喜びすぎだろ。全く」

四大1「初めまして、フラット君。

僕は四大・木喰の者だ。ベングルという」

四大2「私は四大・零。グリオという名だ。

君達2人の推薦をしたのは私だ。よろしく」

フラット「ご期待に添えられるよう頑張ります!」

フォール「硬っ苦しいなぁ。そんなんじゃ、

命が足りなくなるぞ」

ベングル「いや、そうでもないよ。初対面の相手に

そこまで言い張れる度胸があるってことは、戦闘に

緊張感を持ってる証拠だ」

グリオ「それを判断し推薦した。フォール君も、

普通に見ればダメだけど、本当は違う。

そういうやつも嫌いじゃない」

エド「...羨ましいっす」

ナックル「そうだな...ちょっと悔しいぜ」

ノール「私達も負けてられない。頑張ろう!」

スラリア「そうだね!私達も頑張んなきゃ!」 

クレア「デラガさん、俺ついてきます!」

スター「スターも!フラットに負けてられない!」

デラガ「そうか。その思い、忘れるな!」

ラルバ「なんだかんだ言って乗り気じゃないですか」

デラガ「...少し気に入った。以上だ」

放送「それでは第一ステージの発表です!

ラルバ選手、デラガ選手のタッグと、

タクマ選手とヒナ選手のタッグによる

イベント戦闘です!他の選手は控え室に!」

ベングル「僕達の控え室はこのエレベーターから

行ける。来い、案内するから」

グリオ「案内する前に観戦しろ。ベングル、お前は

少し学習しろ」

フォール「素人から学ぶって...四大が?」

グリオ「ベングルは勇気だけはすごくたくましい。

だが実力がついてこない。無駄な動きが多いからな」

フラット「そっか。タクマ達は無駄な動きが一切

見られない」

グリオ「そう。それを学習しろって話」

ベングル「分かったよ、先に観戦な。でもこの2人は

いいだろ?お前だってべた褒めしてたし」

グリオ「...その話はするなと言ったはずだ」

ベングル「僕の弱点を2人の前で言ったお返しだ!」

グリオ「分かってるなら努力しろ!」

フラット「まあまあ、とりあえず控え室に

行きましょ?」

フォール「そうだな、ここも使われるんだろ?」

ベングル「ここもっていうか、この公園の敷地内全部を

使ってもいい!」

フラット「全部をですか?面白そう!」

フォール「いろんな手段が使えるな」

グリオ「毎年ありきたりな手段しか使うやつばっかで

飽きてきた。2人には奇抜な手段を使えるとも

期待している。あと、先に言っとくが第二ステージは

お前らが出る。準備しとけ」

フラット「は、はい!」

フォール「こんな序盤からか...いいステージ

持ってくるじゃん!」

ベングル「それじゃ、控え室に行こう!」


ラルバ「何度だって撃ちまくりです!

第一発砲『零』術・『ボンバブルショット』!」

ヒナ「ヒナ、踊ります!皆ー!応援してね!

第一舞踏『木喰』術・『雁之舞』!」

ラルバ「な、人間が空を⁉︎」

ヒナ「ヒナは鳥です!これで...フィニッシュです!」

ラルバ「ガァ⁉︎」

実況「おーっとラルバ選手、ここで敗北‼︎」

デラガ「やるな、しかし俺は負けん。

第一確保『炎』術・『迷宮之獄炎獄』!」

タクマ「えっ⁉︎くっ...」

デラガ「そして...時は満ちる」

タクマ「うわぁぁぁぁ!」

実況「タクマ選手敗北!ここに来て最終決戦が

繰り広げられます!残り時間1分!どんな結末が

迎えられるでしょうか⁈」

デラガ「容赦はせん!いくぞ!

第二確保『零』術・『大瀧之大氾濫』!」

ヒナ「ヒナ、もっともっと舞っちゃいます!

今日は特別ボーナスで、笑顔いっぱい見せますね!

第二舞踏『零』術・『水中滑空』!」

デラガ「何⁉︎自ら滝の中に...くそ、見えない!」

ヒナ「皆さーん!ヒナはどこでしょう?

第三舞踏『炎』術・『フレアステップハイキック』!」

デラガ「グワァァァァ⁉︎」

実況「デラガ選手敗北!ジ・アフダンチームの勝利!」

ヒナ「皆ー!今日も応援ありがとー!」

観客「ヒーナ!ヒーナ!」

実況「それでは結果を発表します!

獲得支援力数、ジ・アフダンは46218!

ファイター支援課は39862!

次に獲得票数!ジ・アフダン14679、

ファイター支援課は16322!ここで1ポイント!

しかしこの戦闘はジ・アフダンの勝利です!」


フラット「あちゃ、ラルバ巡査達負けか」

ベングル「負けでもポイントは入った。

まだ分からんぞ?できればパーフェクト勝ちを

狙った方がいい」

グリオ「そうだ。1ポイント差しかつけられないのは

キツイからな。3ポイント差もつけられればデカい」

フラット「分かりました!パーフェクト勝ちを

狙えばいいんですね!」

フォール「デ・ロワーに任せてくれれば1発!

見てろ!行くぞフラット!」

フラット「うん、相手は誰だろ?」

フォール「いきなりデ・ロワー同士で戦うとか?」

放送「第二ステージの出演者は、四大チームから

フラット、フォール選手。SFAから

マドール・ジェフィカ、碧月アスカ選手」

フラット「あ、マドール達か」

フォール「何気に厄介だな...気合い入れていくぞ!」

フラット「フォール、肩の力抜いて。

いつも通りでいいから」

フォール「相手は宇宙一だぞ⁈」

フラット「宇宙一の実力と、地球一の実力、

見せてやろうか!」

フォール「...あぁ、そういうことか。分かったよ、

一緒に頑張ろう!」


マドール「初戦でフラット君達とはね...私の糸に

絡むことがないよう、気をつけておきなさい」

アスカ「フラットさん、私のマジックに

気を取られないでね」

フラット「お二人も、俺の裁きに

わめいたりしないように」

フォール「俺の闇に踊らされるなよ?」

審判「それでは、第二ステージ開始!」

マドール「一気にたたみかけるわよ!

第一宝飾『炎』術・『フレイムオーナマント』!」

フラット「おっと、神業・水流!」

実況「フラット選手、噴水の水を利用したー!

これはいい判断です!」

フラット「!フォール、上注意!」

フォール「分かってるっての!お前は前だけ見てろ!」

フラット「うん、じゃあそうする!いくよ...!

第一審判『炎』術・『永久黒炎結界』!」

マドール「嘘、囲まれた⁉︎アスカちゃん、ヘルプ!」

アスカ「はい!」

フォール「させねぇ!くらえ!

第一暗黒『木喰』術・『無数葉之影踏』!」

アスカ「キャア⁉︎」

マドール「アスカちゃん⁉︎...ぐっ⁉︎」

フラット「フォールもやるじゃん!」

フォール「...足りない」

フラット「え?」

フォール「もっと楽しみたい」

フラット「まだ終わってないよ!」

フォール「そうだが...もう終わる」

フラット「そうだね...じゃあ終わらせよっか...?

待って!終わっちゃダメだ!」

フォール「そういうことだ。わざと負けて票数と

支援力数で勝つ気だ!」

マドール「あら、バレちゃった?」

アスカ「やっぱりデ・ロワーには普通に戦って

勝てませんよ」

フラット「危なかった...それじゃあこっちは

映えを意識した技で決めるよ!」

アスカ「フラットさんの映える技か...させないよ!

第一芸当『霧之』術・『不可視之焼玉』!」

フラット「見えないなら...こうするまで!

神業・ウォーターシールド!」

アスカ「あぁ、焼玉が!」

フラット「隙あり!ド派手に映えろ!

第一審判『零』術・『真‼︎凍瀧之結界』!」

アスカ「ぐっ、身動きが!」

フラット「そして...氷は砕ける」

アスカ「私の...負けです」

実況「おっと、アスカ選手敗北!

さてマドール選手、立て直せるか⁉︎」

マドール「あらら、アスカちゃんったら...」

フォール「人の心配する余裕があるなら

自分の心配もしといた方がいいぞ!

第二暗黒『霧之』術・『ドローニアダーク』」

マドール「えっ、目が⁉︎」

フォール「捕らえられたら...夢の中。

鮮やかに決めたぜ!」

実況「ここで第二ステージ終了!

四大のデ・ロワーのタッグが勝利!支援力数は

四大のデ・ロワーが...すごい数です!184272!

続いてSFAは47521!圧倒的な差を見せた

デ・ロワー!続いて票数です!

四大のデ・ロワーに27831票、SFAに2170票!

パーフェクト勝利です!フラット選手と

フォール選手に盛大な拍手を!」


フラット「ふぁ〜!疲れた〜!」

フォール「やらしい手を使ってきやがって。

おかげで負けかけた!」

ベングル「パーフェクト勝利おめでとう!」

グリオ「カッコいい締めだった。フラット君も

新技を披露して客の目を向けるのは流石だ」

フラット「ありがとうございます!次は明日で

いいんですよね?」

ベングル「そうだ!ほら、あの画面見てみろ。

デ・ロワーとファイター支援課に行った仲間が

戦ってるぞ!」

フォール「本当だ、一緒に応援するか!」

フラット「じゃあ俺はノール達!」

フォール「俺はクレア達だ!」


4節 失って気づくもの

実況「第三ステージ終了!デ・ロワータッグが

イベント戦闘で勝利、続いて支援力数でも勝利、

投票数でも勝利!パーフェクト2回目です!

そしてただいまのファイター支援課のポイントは

いまだ1ポイントのみ!巻き返せるか⁈」


クレア「チッ...あと一歩のとこで!」

スター「ごめん、ノールに回復の邪魔されて...」

ラルバ「まだまだ序盤ですよ!そんなにショックを

受けないでください!このぐらいの差、

なんとか勝ち続ければいいだけです!」

デラガ「そんな簡単ではない。勝敗ならともかく、

支援力、票数共に負けているということは

観客の気を引けていないということだ。

フラットやフォール、ノールにスラリアが

できていることがお前達はできていない。それが問題」

クレア「それはそうだけど...」

ラルバ「デラガだって出来てないですよ!これ、

個人データですけどデラガの獲得支援力、

すごく少ないですよ!」

デラガ「...だがお前は早くやられただろ」

ラルバ「...デラガっていつもそうですよね。

自分の反省はしないくせに相手を反省させます」

デラガ「とりあえずクレア、スター。技を磨け。

そこからだ」

クレア「わ、分かりました」

スター「スターも?結構支援力稼いだよ〜!」

デラガ「黙って従え。支援力稼いだのはたしかだが、

何も攻撃していなかった。なら攻撃の基礎練習からだ」

ラルバ「...本官ちょっとフラットさんの所に

行ってます。すぐー」

デラガ「ラルバ!お前もだ」

ラルバ「サボりじゃないです!あと本官は

フラットさんから教わってもらいますから!」

デラガ「...既に控え室の鍵は閉めてある」

ラルバ「えっ⁉︎ちょ、本当に開かないです!」

クレア「はぁ⁉︎おい何考えてー」

デラガ「警察になるための試練と同じだ」

ラルバ「...クレアさん、これは従うしかありません。

この目をしてるデラガは本気です」

クレア「しょうがねぇな。やるだけやろう」

スター「スターも?まぁいいか」


夕暮れー

フラット「残念だったな〜、クレア達」

フォール「あぁ、それに四大のイベント戦闘も

凄かった。色々学べたし」

ノール「あ!フラット」

スラリア「見てた?クレアと戦ってたの」

フラット「うん、いい戦闘だったよ」

スラリア「ありがと!」

エド「俺達も勝ったっすよ!」

ナックル「スポーツ界屈指のファイターを

倒してきたぜ」

フォール「スゲェ、あの2人結構強いって聞いてたが」

エド「たしかにライは強かったっす。でも...」

ナックル「あのダバンゴってやつはそこまで...な」

ノール「ていうかクレア達、遅い?」

スラリア「ねぇ、とりあえず食事にしない?」

フラット「?それもそうか。もう6時だし」

ノール「どこにいく?」

スラリア「じゃあイタリアン!折角だし!」

フォール「折角?」

ノール「...あぁ、近くにあるっけ。あそこ」

フラット「あ、この時間ならラルバ達のやってるかも」

ナックル「よっしゃ、行ってみようぜ!」

エド「決まりっすね!あの3人の料理、

食べてみたいっす!」

フラット「じゃあこっちだ!行こ〜行こ〜!」


しかしー

フラット「あれ?誰もいない...?」

ノール「失礼。この感じだと...いますよね?

フェアード警部?」

フェアード「お?なんだお前らか。

アイツら知ってるか?」

スラリア「えっ、まだ帰ってないんですか?」

フェアード「あぁ、まだ全然。アイツらいねぇと

店も開けられねぇ」

フラット「...じゃあ俺達で開けよっか。美味しい料理、

ジャンジャン作ってこ!」

全員「了解!」


ナックル「焼きそば3つ、ラーメン2丁!」

フラット「ちょっとスラリア!厨房は俺とエドで十分!

オーダーやって!」

スラリア「ご、ごめん!」

ノール「ちょっと待って!レジが!」

フェアード「俺も手伝うぞ。1人じゃ大変だろ?」

フラット「ていうかこの作業を3人で

やってたんですか⁈」

フェアード「前まではこんなに混まなかったが...

今日の配信ライブで客が増えたか?」

エド「フラット!焦げてるっす!」

フラット「あ、ヤベ⁉︎危ねぇ...」


数時間後ー

ノール「や、やっと終わった...」

スラリア「海の家ってこんな忙しかったっけ...」

フラット「厨房設備の効率悪いでしょこれ...」

エド「言われたオーダー多すぎっすよそれに」

ナックル「結局、今やっと夕食だが...」

全員「入らない...」

フェアード「それより...アイツら帰ってこねぇな」

フラット「多分、控え室で寝てるんじゃないですか?」

ノール「そういうこと出来るらしいけど...」

ナックル「クレア達がそれをするかといえば...

しないよな」

エド「明日も戦闘っす!疲れてはいないっすけど、

緊張するっす!」

フラット「あんな大勢の前で戦うのは

あまりなかったから。俺も色々考えさせられた」

ナックル「でもよ、お前が四大のやつらに

スカウトされたのは驚いたぜ」

フラット「そう?えへへ...ってあれ?フォールは?」

フェアード「そういえばいないな?」

スラリア「お酒じゃない?働きたくないって

すぐどっか行ったの知ってる」

ノール「また酒か...?キルユウ達はどこにいる?」

フラット「あぁ、中央公園」

ノール「会場が別なのか」

スラリア「中央公園か...ちょっと都会だね!」

ナックル「ただ中央公園は...

あまりいい思い出がねぇな」

エド「何でっすか?」

フラット「グイグイ来ていい話じゃないと思うけど。

あ、最初にエドに言われた言葉言い返せる!

デリカシーないよ!」

エド「そんなこと言ったっすね!たしか...」


フラット「影薄のエド⁈」


エド「って俺に指差して言ったっす」

フラット「あれよりデリカシーない」

エド「そんな重い話っすか⁈」

ナックル「あぁ、俺とフラットが最後に敵として

戦った場所だ、あそこは」

フラット「...うん。覚えてる。でも、もう違う。

分かったからさ。大切なものが」

ノール「それがお前から教わったものか。たしかに、

温かいな」

スラリア「なっ君から紡がれて、

フラットから紡がれて、今度は私から...」

エド「誰に紡がれるんすか?」

スラリア「秘密!私の温もりは誰にいくかな?」

フラット「...そういえば今何時?」

エド「深夜1時っす」

ナックル「流石にもう寝ないとマズイ。フラット、

俺達も宿に戻るか」

フラット「しょうがない、あ!お代はここに

置いときますね、ご馳走様!」


デラガ「ほらほらどうした⁉︎もう終わりか!」

クレア「こんな深夜になってまでやるか!

もう帰らせてもらう!」

ラルバ「クレアさん、だから鍵はー」

クレア「そんなの俺には関係ねぇ!神業・風変化!」

スター「無理だよ、大体こういう施設は対神業用の

結界が張ってあるから」

クレア「...分かった。ただ明日もイベント戦闘は

あるんだ。終わりにしてくれ」

ラルバ「流石に本官も同意です。クレア達は

一般人です。ファイターであるだけで警察官試験と

同じようなことをさせる必要はありませんから!」

デラガ「ラルバ、ファイターは警察と同じ、

一般市民を守り抜く者だ。己の欲に負けてはいかない」

クレア「あのさ、そう言うんだったら少しは

自分も動いたらどう?」

デラガ「なっ、俺に指図するな!」

ラルバ「デラガ!そういう態度は恐喝ですよ!」

デラガ「甘えたこと抜かすファイターに

恐喝しているだけだ!」

スター「ねぇ、なんだかデラガ、機嫌悪い?」

クレア「...たしかに。朝会った時より機嫌が...」

スター「しかもクマできてる...寝てないのかな?」

クレア「あ...おい、俺達徹夜しちまったぞ...」

スター「本当だ...スターもう眠い...」

クレア「お前は寝とけ。あと10時間は寝れる。

でもここじゃ寝転べないか。お、ベンチ空いてる!

スター、ちょっと失礼!」

クレアはスターをおんぶする

スター「...?」

クレア「よっと...じゃ、寝てるんだぞ」


朝6:00ー

フラット「ん...朝か!」

宿の部屋の窓を思い切り開く

フラット「うん、いい天気だ!絶好の戦闘日和!」

ナックル「おい!眩しい!」

フラット「あ、起きた。今日は早起きだバトラー!」

ナックル「まだ6時だぜ⁉︎何すんだよ!」

フラット「運動しないと!」

ナックル「ったく...分かったぜ。エドも起こすか!」

フラット「...クレア来なかったか」

ナックル「おい、エド!」

エド「...?何すか?」

ナックル「運動しに行くぞ!」

エド「ウォーミングアップっすか?いいっすよ〜...」

ナックル「と言いながら寝るな!おいエド!」


フラット「ふぅ〜、ランニングバッチリ!」

ナックル「それじゃ朝食行こうぜ!」

エド「そうっすね!ってあれ、タクマ達じゃ

ないっすか?」

フラット「本当だ!おーい!タクマ!ヒナ!」

タクマ「お、フラット!」

ヒナ「3人も朝の運動?」

フラット「うん!そっちも終わったとこ?」

タクマ「あぁ!あとフラット!今日の相手は俺達だ!」

ヒナ「一緒に踊ろうね!」

フラット「踊りたいとこだけど

俺達は俺達で踊るからさ!一緒に踊るのは

また今度だ!」

エド「フラット、腹減ったっす」

フラット「あぁ〜、そうだった!ごめん、

それじゃまた後で!」

タクマ「おう!楽しい戦闘にしよう!」


フォール「あ、やっと来たか」

フラット「フォール⁈どこにいたんだ⁉︎」

フォール「昨日の深夜から今朝にかけて飲みに飲んだ。

美味かったぜ」

ナックル「酔ってねぇだろうな?」

フォール「何と勘違いしてる?

ただのトロピカルジュースだ」

エド「トロピカルジュースっすか⁈

飲みたかったっす...」

ノール「あ、おはよう。今日は早い」

スラリア「ノール早起きだよ〜。まだ寝てよ?」

ナックル「もう7時だぞ。あと3時間後でイベント戦闘も

始まるんだからよ、寝るんじゃないぜ?」

フラット「でもクレア達、結局帰ってこない」

スラリア「今日は帰ってくるよ。絶対」

ノール「どっからそんな自信が湧くんだ?」

スラリア「なんとなく...だけど」

フォール「おい、朝食来たぞ。いいからまずは食えよ」

フラット「あ、食べよっか!それじゃー」

全員「いただきまーす!」


全員「ごちそうさま!」

ベングル「フラット!ここにいたか!」

グリオ「フォール君も。そろそろ控室来て」

フラット「あ、はい。フォール、行こう」

フォール「あ、あぁ」


ベングル「フラット、今日の試合だが、ゼウス様も

見に来ている。しかも僕達四大の戦闘より

興味を持たれている。いい勝負をしてくれよ!」

グリオ「まぁ、言うまでもないとは思ったが、

ベングルがどうしても応援したいって聞かなくて」

フラット「...分かりました!応援、

ありがとうございます!」

フォール「いつも通りやるだけだが...いいだろ?

そのいつも通りに期待してるわけだし」

フラット「うん!じゃあやろっか!」

ピンポンパンポーン

放送「プログラムの変更をします。

本日予定されておりました第二ステージ、

四大チーム対ジ・アフダンの戦闘を、

四大チーム対ファイター支援課に変更いたします。

繰り返しお伝えしますー」

ベングル「ありゃ?まさかクレア君達かな?」

フラット「...何もなければいいけど」

グリオ「何かあった?」

フラット「昨日、クレアとスターが宿に

帰ってこなかったんです」

ベングル「そうか。でもただ控室に泊まっただけじゃ」

フォール「心配しすぎだって!アイツらなら

何かあっても神業でー」

フラット「こういう施設には神業による被害が

出ないように対神力用結界が張ってある」

フォール「そうか。まぁ、11時になれば分かるだろ」

フラット「そっか。じゃあいいかな。それに

ラルバ達から連絡無さそうだし」

グリオ「まぁそういう判断でいいだろう。

それと、早く呼びすぎたか?」

ベングル「いいだろ?話もしたかったし」

フラット「あ、いいですよ!じゃあー」


3時間後ー

実況「さぁ始まりました!デ・ロワー対ジ・アフダン!

ライバル関係の会社だけに、既に熱気が

込み上げてまいります!」

フラット「あ、もう始まる⁉︎」

フォール「誰だ!」

ベングル「ノール、スラリアペアか!このペアだと、

この相手はキツいか?」

ダバンゴ「昨日は負けたが今日は負けん!

行くぜオラァ!」

ノール「動きが単純!そんな動きじゃ...勝てないよ!

第一破壊『闇之』術・『闇夜行特急列車』!」

ダバンゴ「ウォッ⁉︎」

ノール「スラリア、ライの動き、見逃すな!」

スラリア「分かってるよ!見逃さない...!いける!

第一死導『光』術・『未練断切』!」

ライ「追いついただと⁉︎」

ノール「チャンス!これで一気にトドメ!

第二破壊『炎』術・『バンフレイムクラッシュ』!」

ライ「おっと!『雷陣ステップ』!」

ダバンゴ」「嘘だろー⁉︎」

ノール「逃がした!スラリア!」

スラリア「見えてるよ!私の目からイキイキとした魂は

逃げられないよ!さぁ、終わりにしよう!『響音』!」

ライ「うわっ、耳が!」

スラリア「集中力を欠いた今しかない!

第二死導『炎』術・『死誘炎爆』!」

ライ「グワァァァァ!」

ノール「よし!私達の前に強敵などいない!」

スラリア「私から逃れられる魂はいないよ!」


フラット「...スラリア...変わったな」

フォール「報告書から知ってるぞ。以前だったら

言いそうもないこと言ってるな」

フラット「うん。でも、もう大丈夫だ。

あそこまで笑えてるなら」

ベングル「...忘れてないか?次は君達だ」

フラット「あっと、行くよフォール!」

フォール「あぁ!」


クレア「ふわぁ...集中できるか俺...いや、

集中しねぇと!」

スター「兄ちゃん...大丈夫!スターがついてるよ!」

クレア「そうだな、ありがとう」

控室からフィールドに繋がるエレベーターで

こう会話を交わす。


フラット「あれ、まだいない?」

クレア「すまん、遅れた!」

スター「フラットとは敵になるの初めてだね!

負けないんだから!」

フォール「おっと、それはこっちのセリフだ!」

実況「第二ステージ開始!」

クレア「ここで一気に支援力を集める!

『突風之正翼』!」

フラット「珍しい翼の方がもっと集まる!

『審判之正負翼』!」

クレア「よっしゃ!今度はお前の本物の翼と

対決だ!本気の勝負、楽しもうや!」

フラット「こっちも負けるわけにはいかない!

第一審判『零』術・『真・凍瀧之結界』!」

クレア「こんなの避ければ...って追尾式かよ⁉︎」

フラット「はい、捕まえた!でも...今のうちに!

第二審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃』!」

クレア「ぐっ⁉︎」

クレアの体を覆っていた氷を光の刃は砕く。

フラット「...?クレア?」

クレア「くぅ...あぁ...!」

スター「えっ⁈どうしたの⁉︎」

実況「どうしたクレア⁉︎怪我か⁉︎」

クレア「あ、足が...!」

フラット「どうした⁉︎おい⁉︎」

スター「!アキレス腱が...切れてる!」

フォール「でも、フラットはアキレス腱なんて!」

フラット「氷...!神業・状態変化!」

噴水の水を氷に変えて、フラットはクレアの足に当てる


?「ほう、冷静だな」


フラット「あとは...フォール!救急車!」

フォール「分かった!」

フラット「スターは神業で治療を出来るだけ!」

スター「分かった!」

フラット(足に負担がかかった?いや違う...)

スター「...っ!」

フラット「スター⁉︎大丈夫⁈」

スター「上手く神力が...扱えない...」

フラット「スター...」

(この体に熱...神力の使いすぎか?)

フォール「救急車呼んだぞ!」

フラット「フォール、ちょっと病院に

ラルバ巡査とデラガ刑事も呼んで」

フォール「あ、あぁ分かった!」

フラット「クレア、ゆっくり寝転がれ。

足を動かさないように。俺も手伝う!スターも横に!」


フラット「...」

フォール「フラット!元気出せ!死ぬわけじゃないし、

ハキハキしろ!」

フラット「...ごめん。ちょっと待って」

ラルバ「フラットさん、今来ました!」

デラガ「何のようだ?」

フラット「今回のクレアのケガ、スターの神力疲労、

推測ですがあなた方2人のどちらかに原因があると

思っています」

ラルバ「...デラガです。無理に今日の朝まで

特訓させていました。止めても...聞かなくて。

スターさんはクレアさんが休ませたけど...

かなり疲れていたので回復できなかったのかと...

すみません!本官がついていながら...」

フラット「ラルバ巡査、ありがとう。今の話、

本当ですか?」

デラガ「本当だ。嘘偽りない」

フラット「そうですか。ラルバ巡査、フォール。

とりあえず今はスターの方に行ってて」

フォール「分かった」

ラルバ「フラットさん、ビシッと言ってください!」

フラット「...うん」

フォールとラルバはスターが寝ている部屋に入る。

フラット「さて...知ってるけどさ。ファイターとして

家族を守れなかったこと。でも...デラガ刑事は

何かしました?」

デラガ「何もしていない。何をしろと」

フラット「自分を見つめて乗り越えようと

しましたか?」

デラガ「乗り越えてしまえば...あの頃のことを

忘れてしまう」

フラット「だから同じ思いをさせないために

ファイターを鍛えるって解釈に辿り着いた?」

デラガ「そういうことだ」

フラット「...はっきり言いますけど、クレアもスターも

脅威には絶対負けません!実力はあります!」

デラガ「しかし戦績がない。世の中は結果が全て。

救えなければ意味がないのと同じ!」

フラット「違う!」

デラガ「何っ⁉︎何が違うと言うんだ!」

フラット「結果よりも...大事な思いがある!

誰かを助けたいって心の底から願える気持ち!

それが何より大事なんだ!」

デラガ「その気持ちを信じて、結果助けられなかったら

裏切りだ!取り返しのつかない...」

フラット「それがファイターに大事な心だ!

失敗して悔やんで...そして強くなる!あの2人は

それを知ってる!デラガ刑事、あなたは

強くなれましたか?なれてませんよね⁈」

デラガ「なんだと⁉︎」

フラット「怖がってるだけだろ⁈あの出来事を

また繰り返されることが!」

デラガ「...怖がっている...?俺が...あの出来事を...」

フラット「だからファイターを育てて同じ目に

遭わせないようにしてる。でも、デラガ刑事は⁈

自分の恐怖を乗り越えられてない!何も変わってない!

強い人は育てず、見守るんだ!あなたは...今のあなたは

刑事としてもファイターとしても失格です!」

デラガ「言わせておけばー」

ラルバ「その通りですよ!」

フラット「ラルバ⁉︎」

ラルバ「デラガ!やっぱりまだ...!」

フラット「ラルバ巡査!落ち着いて!俺が言っとく!」

ラルバ「...」

フェアード「そうだぞ、ラルバ。ここはフラットに

任せてやれ。邪魔したな、では」

フラット「はぁ」

ラルバはフェアードに連れられ部屋に戻る

デラガ「...で?何が失格だって?」

フラット「だって、人を守る者が人の気持ちを

分からなくてどうする⁉︎クレアの傷も、

スターの疲労も見たら気付くレベルだったはず!」

デラガ「ファイターたる者、どんな過酷な状況でも

人を守れなければいけない!」

フラット「それは隊長である俺の役目!

それにあの2人にはその勇気はある!

でも、デラガにある⁈」

デラガ「そ、それは...」

フラット「逃げてるだけじゃん!自分の経験した、

嫌なトラウマから!」

デラガ「...」

フラット「それに...デラガ刑事も分かってるでしょ?

そんな自分に」

デラガ「...何故そう思う?」

フラット「目の下のクマ。すごいできてる。

寝てないでしょ?」

デラガ「お前はそこまで推測できるのか」

フラット「でもさ、分かってるならやらなきゃダメ!

やらないのは卑怯者だ!」

デラガ「乗り越えろって言いたいのか?」

フラット「そう。でも乗り越えるってことは

忘れるってことじゃない。笑えってことだよ」

デラガ「笑う...俺は笑っていいのか?」

フラット「俺がデラガ刑事の子供だったら

絶対そう言ってます!」

デラガ「...」


子供1「パーパ!」

子供2「父さん!」


デラガ「...許してくれるだろうか...俺の弱さを...」

フラット「許されない罪なんてないです。

それに、生きて、覚えられているならそれで

いいと思う。忘れられていないんだから」

デラガ「...そうか。俺は家族の生きた証を

守っているのか...なるほど。俺が生きてる限り、

アイツらも生きているのか...」

フラット「そうですよ!だから...乗り越えても

忘れたりしません!デラガ刑事が忘れない限り!」

デラガ「...ありがとう、フラット!」

フラットにデラガは崩れる。

フラット「デラガ刑事⁉︎大丈夫ですか⁉︎」

フェアード「どうした⁈」

フラット「デラガ刑事が急に...」

ラルバ「...大丈夫です。寝てるみたいですから」

フェアード「ん?デラガ笑ってるぞ、ラルバ」

ラルバ「あ!本当ですね!やっぱりフラットさんは

凄いです!」

フラット「そんなことないって!でも、大事なこと

まだ伝えてない」

フォール「それは後でもいいだろ?それより、

あの戦闘、どっちの勝ちだ?」

フェアード「あぁ、そのことだが、四大チームに

3ポイント入ったぞ」

フラット「えっ⁉︎ダメ!2ポイントを

ファイター支援課に入れるようにしないと!」

フェアード「いいんだよ、私の部下がやったことだ。

責任は取らないと。賠償金も払わせてもらうから」

フラット「そこまで...本当にいいですって!」

フォール「これはお前が決める話じゃないだろ?」

フラット「そうだけど...無理した2人にも非は...」

フェアード「君は優しすぎるよ。たまには怒ったって

いいと思うけど」

ラルバ「...デラガに思い切り怒ってたような...」

フラット「それは言わないで」

医者「手術成功です。ただ半年ほどはファイター活動を

自粛してください」

フォール「分かった、本人にも伝えておく」

フラット「ありがとうございました!」

ラルバ「とりあえずデラガを運んどきます。では!」

フェアード「病院の費用も払うから。

あ、あとフラット君、外で待ってる人がいるから」

フラット「えっ、誰だろ...ちょっと行ってきます!」


5節 闇の再訪

フラット「あ、あの人かな?」

?「フラット君!」

フラット「えーっと...どなたで?」

?「私はゼウスだ」

フラット「えっ⁉︎あ、どなたなんて失礼を!」

ゼウス「アッハッハ、君は丁寧だね。力抜いてくれて

構わないよ。ほら」

フラット「はい...」

ゼウス「まぁ立ってないでここ座りなさい」

フラット「し、失礼します」

ゼウス「君、今日の戦闘素晴らしかった。メリハリが

しっかりしていて、冷静な判断をできる。あと、

さっきのデラガ刑事との話を聞いていたが、

いいこと言うねぇ!」

フラット「えっ...そんなことないですよ!」

ゼウス「いや、私にはあんなこと言えないよ。

やっぱり、フラット君の才能かな?」

フラット「とんでもない!俺にできることってだけで...

それに今の仲間が温もりをくれたからでもあります」

ゼウス「自分に甘えないね。あと、東京にまた

近いうち大事件が起きる。できればもうそろそろ東京に

帰ってきてもらいたい」

フラット「えっ⁉︎あと何日ぐらいで?」

ゼウス「あと3日ぐらい」

フラット「分かりました。この大会は...棄権ですかね」

ゼウス「いや、四大チーム全体を棄権させる。

この意味が分かるかい?」

フラット「えっ...まさか俺が正社員に⁉︎」

ゼウス「あと、ナックル君、エド君、ノール、

クレア、フォールもだね。君を含めて6人は

正社員として働いてもらいたい」

フラット「じゃあほぼ全員ー」

ゼウス「棄権だね。あとスラリアとスターも

連れてきてくれるか?戦績が少ないからまだ様子見だが

この調子でいけば正社員にもなれそうだしね」

フラット「分かりました!となるとこの大会に

参加してるほとんどのファイターが棄権しますね」

ゼウス「8割は東京の企業だから...そうなるか」

フラット「じゃあとりあえず、デ・ロワーの方に

連絡入れますね。失礼します」


数分後ー

ノール「は、初めまして!ノール・タールです!

あの...その...よろしくお願いします!」

エド「エド・リック・ティガっす!

よろしくお願いしますっす!」

スラリア「初めまして、スラ・リアです。

母さんがお世話になりました」

フォール「フォールです、お久しぶりですゼウス様」

ゼウス「まだ2人は来れないか...ナックル君は

どうした?」

エド「今、クレアとスターの看病中っす!」

ゼウス「そうか。では伝えておいてくれ。

ナックル君、エド君、ノール、クレア君、フォール君、

フラット君、以下6名を正社員級ファイターに

命じる!」

ノール「えっ、今なんて?」

エド「正社員...って言ったっすか?」

フォール「俺は元から資格はあったが...」

フラット「...今言われた通り、戦績があるファイターを

正社員級ファイターに任命された」

スラリア「私はまだか...」

ゼウス「まだ戦績が少ないだけで、この調子で

あげていけばすぐなれる」

スラリア「...はい!」

フラット「それともう一つ。東京に再び、

あの独裁フラットが現れようとしている。

そのため3日後には東京に帰る。以上!」

ノール「これは...他の東京在住ファイターにも

伝えないと!私とスラリアはこの臨海公園付近の

ファイターに伝えるから」

エド「じゃあ俺は今のことをナックラーさんに

伝えてくるっす!」

フラット「フォール...って仕事ない」

フォール「あるぞ、デラガにまだ伝えられてないことが

あるんだろ?それ伝えてこいよ」

フラット「あ、そうだった!ちょっと行ってくる!」


ガラッ

フラット「あ、デラガ刑事起きた?」

デラガ「すまなかった。あと...ありがとな。

お前のおかげで救われた」

フラット「俺もだけど、ラルバ巡査も

頑張ってたんですよ!この大会にデラガ刑事を

参加させようって言ったのは巡査だから」

デラガ「な、何で俺なんか...」

ラルバ「デラガに明るくなって欲しかったからですよ!

本官は暗い顔してる人を放っとけないですもん!」

デラガ「...俺もお前みたいになれるか?」

ラルバ「本官みたいになったら叱られっぱなしですよ?

やめといた方がいいですよ」

デラガ「あ〜、そういえばそうだな。ハハハ!」

ラルバ「...デラガが笑ってる...流石フラットさん!」

フラット「うわ⁉︎ちょ、尻尾、尻尾!」

デラガ「...ハハハ!アッハハハハ!」

フラット「笑ってないで助けろ!」

フェアード「よーう!元気してるか、ってなんだ⁉︎」


クレア「そうか、半年ほどはファイター自粛か...」

スター「兄ちゃん...」

ナックル「...」

エド「失礼するっす!」

ナックル「エド⁉︎静かに入れ!」

エド「それよりビッグニュースっす!ナックラーさんと

クレアが正社員に選ばれたっす!」

クレア「正社員⁉︎マジで⁉︎」

ナックル「冗談だったら許さねぇぞ⁉︎」

エド「本当っすよ!ほら、新品の証明書も

貰ったっすよ!」

スター「エド、スターは?」

エド「スターは戦績が少ないっすけど、

この調子でいけばなれるって言ってたっす!

つまりは諦めるなってことっすよ!」

スター「分かった!頑張る!」

エド「あと、独裁フラットがまた東京に

現れるみたいっす。3日後には帰ることに

なったっすよ」

ナックル「おう、報告ありがとよ!」

エド「いや、いいっすよ。2人は安静にしとくっす」

クレア「でも半年か〜、なげぇ!」

スター「腕が鈍らないようにしないとね!」

クレア「勿論!ただ足腰が弱るな...」

エド「...クレア、一緒に明日海行かないっすか?

折角の夏休みだし、らしいことしようっす!」

クレア「行きてぇけどよ...」

ナックル「いいじゃねぇか!日光浴はできるだろ?」

スター「スターも遊ぶ!いいでしょ⁈」

エド「皆で遊ぶっす!思い出作りっすよ!」

ナックル「お前がそんなこと提案するなんてな!

今までだったら俺の役目だったぜ!」

エド「フラットの代わりっす!それじゃ、

また後でっす!」

クレア「明日、海でな!」

スター「バイバイ、エド!」


ゴン「本当か⁈ゼウス様がそう言ったのか⁉︎」

マドール「じゃあ今回は辞退しましょう。

早速東京に戻る準備よ!」

アスカ「セイ、大丈夫かな?」

ミッシェル「ったく、ファイターとして活動してる

真っ只中に!今度こそランケールさんの敵を!」

ノール「3日後には戻れるようにして」

スラリア「じゃあ次!タクマ君達だよ!」


フラット「とにかくデラガが落ち着いて良かった。

あと、もう一ついい?」

ラルバ「何ですか?」

フォール「この前東京各区が中破されたの、

覚えてるだろ?」

フェアード「あぁ、こっちは避難誘導するので

精一杯だったあれか」

フラット「それがまた近いうちに起こる可能性が

あるとゼウス様から聞いて」

デラガ「あれが起こるのか⁉︎」

フラット「あと...犯人は異世界線の俺です」

フェアード「...すまん、それは知ってる」

デラガ「やり方が昔のお前だからな」

ラルバ「でも今のフラットさんはフラットさんです!

あの独裁フラットは本官達も

手伝わさせてもらいます!」

フラット「よろしく!じゃあ皆さん、また今度!

帰るのは3日後ですから!明日は

まだ帰らないでくださいよ」

ラルバ「でもなるべく早く帰った方がいいと思います」

フラット「明日は海で遊ぶから!折角の夏休みだし

ただ戦闘して帰るのは違うし」

デラガ「...いいだろう。その3日後が丁度いい

日付なんだろ?」

フラット「はい、ゼウス様からの情報だと」

フェアード「そうか...じゃあ遊ぶか!」

フラット「良かった!じゃあ失礼します」


フラット「これで皆と遊べるかな。ヒナは戻れそうに

ないけど...あの2人、手伝ってくれるかな?」

ライ「?あ、フラット殿!」

フラット「あ、ライさん!」

ライ「何してるでござるか?」

フラット「東京に帰らないといけなくなって。

ちょっと緊急事態になりそうだから」

ライ「もしかして、ファイター関連の事件で

ござるか⁈拙者も引き受けるでござるよ!」

フラット「本当⁉︎ありがとう!」

ライ「拙者の故郷を壊させるわけには、

いかないでござる!」

フラット「えっ、ライってまさか、日本人⁉︎」

ライ「そうでござるよ!プレーン・アースに今は

移住してるでござるが、ファイター企業・忍に

入っているでござる」

フラット「純粋血統の日本人...初めて見た!」

ライ「まぁ、5000人も人口がいないでござる。

当然でござるな」

フラット「あ、じゃあ3日後に一緒に帰るから!

明日は海で遊ぼう!」

ライ「お、よさげでござる!拙者の電光石火の泳ぎ術、

とくと見てるでござる!」

タクマ「あ、ライさん!ここに...?フラットも。

どうしたよ?帰り支度は済ましとくぞ」

フラット「あ、もう伝わってるんだ。

じゃあダバンゴさんには?」

タクマ「探してるとこだ。まぁ、どこにいるかは

おおよそ検討がついてる。ライさんにはー」

フラット「俺から話しといてる。あとタクマ、

明日は海で遊ぼう!」

タクマ「遊ぶか...まぁ3日後に帰るんだしいいか!」

フラット「ヒナは無理?」

タクマ「明日から丁度仕事が入ってるからな」

フラット「そっか。タクマの方は俳優業は?」

タクマ「来月から!だからちょっとファイター業は

休みになっちまうか」

フラット「やっぱり二刀流はキツいか。じゃあ、

ダバンゴさんには伝えておくから。また明日」

タクマ「おう!あとダバがどこにいるかは

分かってるから、俺が伝えとくよ」

フラット「悪い、助かる!」

タクマ「なーに、元気付けてくれたお返しだ」

フラット「ライさんはどうする?俺は帰るけど...」

ライ「拙者はもう少しここにいるでござる。

空気が美味いでござる!」

フラット「そうかな...」

ライ「精神を研ぎ澄まし、感じるでござる。

風の音と波の音を。それが空気の味でござる」

フラット「それは俺もやってるが...あ!じゃあ公園で

勝負しませんか⁈きっと楽しいです!」

ライ「勝負でござるか...いいでござるよ!

フラット殿と勝負はしてみたかったでござる」

フラット「じゃあ臨海公園に行きましょ!」


ライ「やっぱり空気が美味いでござる!じゃあ、

拙者の生み出す『雷術』、とくと味わうでござる!」

フラット「いいとも!来い!」

ライ「拙者の雷は心まで響かせるでござる!

第一稲妻『雷』術・『轟雷光‼︎」

フラット「うわっと!神業・結界!」

ライ「拙者の雷に耐えられるでござるか⁈」

フラット「からの...『土壁』!」

ライ「ぬっ、まさか地面で自分を覆うなんて...

流石でござる!」

フラット「そして...!ちょっと面白い芸当を。

第一審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃』!」

ライ「上空に⁉︎何をする気でござるか⁉︎」

フラット「神業・飛翔!」

ライ「まさか⁉︎させないでござる!」

フラット「たくさん光を溜め込んだ洸一閃を...

弾き返す!『束縛』!」

フラットは洸一閃を神器で掴む。そしてー

フラット「このまま...!届けぇ!」

ライ「当たらなければいいだけでござる!

拙者は雷にだってなれるでござる!

雷陣ステップ!」

フラット「逃げられないぞ!何故なら...さっき。

あるものをつけておいた」

ライ「⁉︎ついてきてるでござる⁉︎まさか...!」

フラット「っと。はーい、種明かし!答えは鉄粉!」

ライ「くっ⁉︎ここまででござる!」

フラット「はい、解除」

ライ「ま、負けでござる...」


フラット「はぁ〜...疲れた」

ライ「凄い戦闘だったでござる!」

フラット「頭使った〜!いやぁ、助かった」

ライ「どこに鉄粉なんてあったでござるか?」

フラット「偶然持ってただけ。さてと、そろそろ

帰らないと。勝負ありがとうございます」

ライ「拙者も楽しめたでござる!それでは、

さらばでござる!忍法・ドロン」

フラット「ドロンって...古風だ。じゃあ戻ろっと」


ゼウス「さて...この事件、解決できるかな?」


フラット「ただいまー!」

ノール「お帰り。もう全員集まってる」

スラリア「なるべく全員には伝えたよ!まだあと少し

いるかもしれないけど...」

ナックル「他に伝えたやつらから伝わると思うぜ!」

エド「で、明日は海っすよね!」

クレア「楽しんでこいよ」

スター「兄ちゃんもくるの!」

クレア「分かってる。ただ遊べないって話だ」

フォール「海か...水着持ってない」

フラット「あ、2着あるから貸すよ。明日ね」

フォール「サンキューな。まさか海に行くとは

思ってもいなかったし」

スラリア「熱海の海...綺麗だといいなぁ」

エド「あれ、フラット?俺のプレゼントは

どこっすか?」

フラット「あぁ、ほら、ちゃんと付けてる」

エド「なんだ、服で見えなかっただけっすか」

ナックル「...まだ割れてるのか?」

フラット「あと3つ!ゆっくり直さないと綺麗には

直らないから」

エド「丁寧作業なんすね」

フラット「エドからの大事なプレゼントだからね。

絶対に元通りにするよ」

フォール「なぁ、そろそろ温泉行かねぇか?

もう眠いんだ」

フラット「もう10時か。じゃあ行こう」

ナックル「おっと、クレアはどうするよ?」

フラット「じゃあ...クレア、介護は誰がいい?」

クレア「そりゃフラットだ」

フラット「分かった。それじゃ俺はクレアと部屋の

お風呂使うから皆は温泉で」


フラット「ゆっくりでいいから、ゆっくり」

クレア「イテっ!」

フラット「そーっと、そーっと...よし、じゃあ流すよ」

クレア「すまん、俺が怪我しなけりゃ...」

フラット「いいって、同じ時を過ごす家族みたいな

ものだしさ、俺達」

クレア「...そうだな、お前本当にペーターの言った通り

俺達を家族として見てるのな」

フラット「だって...そうじゃないの?」

クレア「...恥ずかしい質問してくんな。返しにくい」

フラット「アッハハ!それもそうだね。よし、

垢取り剤流し終わった!あとは...タオルで拭くだけ。

クレア、タオルどこ置いた?」

クレア「タオル?あぁ、脱衣所だ」

フラット「これか。じゃあ拭くよ」


数分後ー

クレア「ありがとな!おかげで体も綺麗になったぞ!」

フラット「うん、じゃあ俺もお風呂にするか。

ちょっと待っててな」


フラット「ふぅ...」

鏡の前にフラットはシャンプーボトルを置く。

「フラット」

フラット「えっ?」

フラットは自分が呼ばれた気がして振り返る。

しかしそこには誰もいない。

フラット「?幽霊とか?怖っ」

「幽霊ではない。君は私の声を聞け」

フラット「お前は誰だ⁉︎」

ゼウス「私だ、ゼウスだ」

フラット「この声...ゼウス様の能力ですか?」

ゼウス「そうだ。君に1つ相談があってね。

聞いてもらいたい」

フラット「何ですか?」

ゼウス「これから告げる名前は覚えているか?

賜志崎ライ、ダバンゴ・スウィリッシュ」

フラット「スポーツ選手のですか?

知ってますよ」

ゼウス「この2人を君の所に任せたい」

フラット「えっ⁉︎」

ゼウス「2人には伝えたが君に会えなくてね。

強引だがこういう形で交渉させてもらってる。

すまないね、驚かせてしまったかい?」

フラット「いや...分かりました。あの2人を...?

そしたらスポーツ選手の仕事は?」

ゼウス「もちろん続行だ。デ・ロワーにスポーツ課が

あるんだよ。そこに入ってもらう。掛け持ち可能な

課と聞いている」

フラット「了解しました。で、あの〜?」

ゼウス「?どうした?」

フラット「こっちの状況まで見えてます?」

ゼウス「...すまない。タイミングがー」

フラット「だぁ!早く解除してください!」

ゼウス「ハハ、失敬。冗談だよ。声の響きで

風呂にいると分かってはいたからね。じゃあこれで」

フラット「ふぅ...体冷えちゃったよ」


翌日、玄関にてー

フラット「それじゃあ海にレッツゴー!」

全員「おーっ!」

「ここか?デ・ロワーの連中が泊まってる宿は」

「ダバンゴ殿、そんな言葉遣いは無礼でござる!」

フラット「あ、ライさん!」

ナックル「あれ、アイツどっかで...」

ダバンゴ「あぁん⁈このダバンゴ様の顔を

もう忘れたのか⁉︎」

エド「ナックラーさん、ダバンゴはプライベートの時は

性格荒いって言ってるじゃないっすか!」

ノール「ダバンゴって、スポーツ選手兼タレントの?

最近はバラエティ番組でも顔見るけど...」

スラリア「裏の顔はあれってことだよ」

スター「ガラ悪い...」

フォール「ったく、これだからチンピラは」

ダバンゴ「なっ、チンピラだぁ⁉︎」

クレア「あまり騒ぐな。他の宿泊客の迷惑だ」

フラット「ちょ、ストップ!ケンカする前に

一言言わせて!この2人は今日からデ・ロワーに

転属された賜志崎ライとダバンゴ・スウィリッシュ」

エド「転属っすか⁈」

ライ「拙者は唯一無二の雷術を操る者でござる。

不束者であるがよろしく頼むでござる」

ダバンゴ「おい隊長さんよ、この連中と俺様は

実力の差がある。俺様は俺様の好きに

やらせてもらうぜ」

エド「なっ、勝手な行動はー」

フラット「いいだろう。許可する」

ダバンゴ「分かってればいいぜ」

ノール「フラット⁈何言ってー」

フラット「あぁいうのは気づかせた方が早い」

スラリア「でも怪我したら...」

フォール「そういうのも自己責任だろ?」

スター「スター、あの人嫌い」

フラット「まぁ、とにかく今日は遊ぶ!

これがメインだ!」


ナックル「ヒャッホーウ!飛び込め〜!」

フラット「ストーップ!準備運動してから!」

エド「そうっすよ!足つって溺れても知らないっすよ」

ダバンゴ「俺様はちょっくら酒でも」

フラット「ちょっ⁈」

クレア「ほっとけ、フラット」

ライ「...拙者もダバンゴに付き合うでござる」

ノール「へ⁉︎どこ行く⁈」

スラリア「変なやつら...」

フォール「...おもしれぇやつが入ったな」

エド「何が面白いっすか⁉︎」

ナックル「よっしゃ、運動済ませたし、今度こそ

飛び込むぜ!」

フラット「ゴーゴー!」


タクマ「おろ、もう集まってんじゃんか。俺達も

加わるぜ」

ヒナ「うわぁ、ノールすっごい可愛い!」

ノール「えっ、そう...?ありがとう」

スラリア「そういうヒナちゃんも可愛いよ」

ヒナ「ありが...?」

スラリアの胸にヒナは目を向ける。

ヒナ「...」

そして自分のものにも。

ヒナ「...スラちゃんの裏切り者ぉ!」

スラリア「ヒナちゃん⁈」

ノール「持たざる者からしたら裏切り者か」

スラリア「うっ、そういうノールだってないくせに」

ノール「私はサラシを巻いてるだけ」

スラリア「あぁ、そうですか...」


フォール「にしても、フラットの水着は

似合ってるなぁ」

フラット「でも大袈裟かな?ウェットスーツまで

着てくるのは」

ナックル「それが逆にマッチしてるから

似合ってんだぜ」

エド「そうっすよ!フラットにピッタリっす!」

フラット「そうかな?ありがとう...」

スター「おーい!ラルバ達も来たよー!」

フラット「あ、今行く!」

ラルバ「その必要はありませんよー!」

そう言うと、ラルバは猛スピードで水中を泳ぐ。

ラルバ「本官、泳ぎは大得意ですから!あ、あと

水鉄砲です!昔、本官が子供の時に銃の練習で

使ってたやつです!」

エド「すごい数っすね...」

ラルバ「これでサバイバルゲームしましょうよ!」

タクマ「何ワイワイ騒いでんだ?混ぜてくれよ!」

フラット「あ、いいよ。実は...って、このゲームは

タクマ有利じゃん!」

タクマ「何だよ、いきなり声荒げて」

ラルバ「この水鉄砲でサバイバルゲームをしようって

話をしてたんですよ!一緒にどうです?」

ナックル「おい!タクマはー」

タクマ「お!面白そうだ!やってやる!」

フラット「あ...はぁ〜」

ラルバ「デラガも警部も参加しますよ!

それじゃあ開始です!」


フラット「...あれ、いない?」

エド「スキありっす!」

フラット「おっと、目の前は!」

パシュッ!

エド「グブッ⁉︎」

フラット「狙いやすいよ!」


タクマ(水中にいれば問題なし!半魚人の俺に

勝てるやつはー)

フォール「見っけた!よっと!」

タクマ(?誰か潜ってーってフォール⁉︎まずい、

水風船持ちかよ⁉︎)

フォール(お、上がるか。でも上にはー)

デラガ「?そこだ!」

タクマ「ブハッ⁈」

デラガ「タクマ、退場だ」

タクマ「出待ちか〜!やられた!」

フォール「デラガ!」

デラガ「⁉︎何だと...」

フォール「油断大敵だな」

デラガ「気配を察知できなかった...俺も未熟だな」


フラット「あれ...フェアード警部とバトラーは...?」

ナックル「くっ、そこだぁ!」

フェアード「当たらねぇよ!そらそら!」

ナックル「くぅ〜!」

フラット「...一本もらい!」

ナックル「ぐっ⁈フラット⁉︎」

フラット「バトラーの負け!そして...警部も!」

フェアード「へ⁉︎」

フラット「冗談です。今!」

フェアード「油断ー」


フラット「はい!終わり!」

ラルバ「優勝はフラットさんですか...強いです」

フォール「お、あれはダバンゴとライか!」

フラット「?ゴミ拾いか。俺も手伝うか!」


ダバンゴ「ったく、海を汚すなんざ

最低な真似したがって」

ライ「ダバンゴ殿はそればっかりでござるな」

フラット「おーい!手伝いに来た!」

ライ「フラット殿!」

ダバンゴ「別にいいのに」

フラット「2人より皆でやった方が早いよ!」

ダバンゴ「皆?」

エド「手伝いに来たっすよ!ゴミ拾いやるなら

素直にそう言うっす!」

ナックル「この広い砂浜じゃ時間かかるどころか

日が暮れちまうぞ」

ラルバ「不法投棄されたゴミが観光客を怪我させるのは

お巡りさんとして見逃せないですから!」

フェアード「大声出すな!目立つだろ」

デラガ「ラルバはもう少し周りを考えろ」

フォール「やっぱり酒じゃなかったか。

まっ、分かってたけど」

ダバンゴ「勝手にしやがれ。俺様は1人で

やってるぜ。それじゃあな」

フラット「ダバンゴさん...俺が一緒にやるよ。

皆は協力してやってて!」


ダバンゴ「チッ、気に食わないぜ。手伝うだぁ?」

フラット「そう、手伝う」

ダバンゴ「...テメェ、俺様は1人でやるって

伝えたはずだ。さっさとどっか行きやがれ!」

フラット「ここが1番ゴミが多そうだから来ただけ。

にしても本当荒くれ者だね。一匹狼ってやつ?」

ダバンゴ「俺様は海を汚すような輩は

大嫌いなんだ」

フラット「いや俺荒らしてないし。ていうかただ単に

ここのゴミ拾いしようと思ったら偶然ダバンゴさんが

いただけ。ついてきたわけじゃない」

ダバンゴ「そうかよ。まぁここのゴミの量じゃ

俺様1人のゴミ圧縮収集機でも入りきらねぇな。

ちっと手伝えや」

フラット「はいはい。やっとくよ」

ダバンゴ「...ガスペラス星って知ってるか?」

フラット「タクマの故郷の?」

ダバンゴ「そうだ。そこに海底国家、

ギヴァシュってのがあってな。俺様の故郷よ」

フラット「ギヴァシュ...たしか海洋汚染による公害で

生活維持不可能国家になった?」

ダバンゴ「そうよ。今でも住めねぇままだ」

フラット「そっか...それがダバンゴさんの故郷か...

俺と似てるね」

ダバンゴ「お前も故郷なくしてるのかよ」

フラット「今じゃ住んでるのは脅威だけ。

特別重点警戒地域、浜松。そこが俺の故郷」

ダバンゴ「浜松...」


最終節 故郷思って

ダバンゴ「浜松...」

フラット「うん。もう住めない。生まれこそ違うけど

育ったのは浜松。いい街だったんだ」

ダバンゴ「そうか...テメェも同じクチか」

フラット「そうなる。さて、ゴミ拾い再開するか!」

ダバンゴ「あぁ、そうだな!」

タクマ「あれ、ダバじゃん!いたのか?」

ダバンゴ「タクマ。オメェ、ヒナはどうした?」

タクマ「ヒナなら仕事だ。いいじゃねぇか、

ダバ君って呼ぶやつがいねぇし」

ダバンゴ「あ、あぁ...」

ライ「ダバンゴ殿、手が止まってるでござる」

ダバンゴ「今やってるだろうが!邪魔すんな!」

フラット「あっ、袋破けてる!」

ダバンゴ「ヤベっ、どうしよ...くそ、

ボーっとするな俺様!」

フラット「...ダバンゴさん、もしかして

熱中症じゃない⁈汗すごいよ⁉︎」

タクマ「えっ、体温調整剤飲んでないのかよ⁈」

フラット「何それ⁈」

タクマ「俺達ガスペラス人は魚人。だから、

変温動物で体温が変わりやすいんだ!」

フラット「じゃあそれを飲ませればいいの⁈」

タクマ「そうだ、ダバ、薬どこだ⁉︎」

ダバンゴ「ねぇよ!置いてきちまった、事務所に」

タクマ「嘘だろ⁈俺ももう残り少ねぇけど...

はい!飲め!」

ダバンゴ「これはお前のだろ⁉︎」

タクマ「いいから!下手すると死ぬんだぞ⁉︎」

ダバンゴ「それはお前だってー」

フラット「体温調整剤ってどうすれば手に入る?」

タクマ「病院でだけど?」

フラット「分かった、ダバンゴさん、背負うから、

乗ってください!」

ダバンゴ「あぁ⁈お前に乗れだぁ⁉︎うっ...!」

フラット「いいから早く!ひとっ飛びで

病院に行きますから!」

ダバンゴ「...早くしろ」

フラット「う、うん」

(可愛いなこの人...)

フラット「神業・飛翔!」

思い切りフラットは病院の方向へダバンゴを

背負いながら向かう

タクマ「...うわ、めっちゃヒーローっぽい」

ライ「ソルジャーでござるが」

タクマ「分かってるよ」


フラット「ふぁ〜、疲れた〜」

医師「なんか災難続きですね」

フラット「あれ、またー」

医師「ここまで来ると自己紹介でもしておきますか。

私は『アブサルート・ドクター』、石橋ヒデキです!

ファイターの怪我や病気を担当している。

裏では脅威被害者のサポートをしています!」

フラット「裏?」

ヒデキ「はい!私、これでも塾の講師ですから」

フラット「へぇ〜!凄い!」

ヒデキ「本当はこの祭りで戦いたかったですが、

お仕事じゃ仕方ありませんね。頑張ってください!

あ、それとダバンゴさんならもう大丈夫ですよ」

フラット「ありがとうございます!」

ヒデキ「それでは。応援してますよ!」

フラット「いい先生だな...」

ダバンゴ「フラット」

フラット「あ、来た!大丈夫?」

ダバンゴ「お前のおかげでな...一応礼は言っとくぜ。

あんがとな」

フラット「やっぱ可愛い」

ダバンゴ「あぁ⁉︎バカにしてんのか⁈」

フラット「あ、聞こえてた?ごめん」

ダバンゴ「ったく、もう帰ってるぜ」

フラット「ちょっと待って!」

ダバンゴ「?何だよ」

フラット「その...あの...ゴミ拾い、また明日やろう!」

ダバンゴ「...あぁ、また明日な」

フラット「あと、一緒に帰ろ!」

ダバンゴ「い、一緒に......お前と?」

フラット「他に誰がいるの?」

ダバンゴ「...仕方ねぇな!特別だぞ、特別!」

フラット「別にそういう意味じゃないんだけど...

今日はキツいと思って...」

ダバンゴ「あ、あぁ。そういう...」

フラット「ゆっくり帰ろっか」


ナックル「アイツらおせぇな...」

スラリア「もう17:00だよ?」

ノール「アイツらのことだ。散歩でもしてるんだろ」

スター「もう帰って待ってようよ〜」

クレア「ダメだ、先に帰っちまうと怒られるぞ」

エド「ダバンゴがいないってのが心配っす。

フラット、カツアゲとかされてないといいっすけど」

ラルバ「ダバンゴさんがそんなことしないですよ!」

デラガ「アイツは一見ガラの悪い人相してるが、

本当は人のできてるやつだ」

フェアード「元ヴァイスってのは変わらないがな」

エド「やっぱりヴァイスだったっすか」

フラット「おーい!」

ダバンゴ「今来たぞ」

スラリア「やっと来た。遅いよー!」

フラット「アッハハ、ごめーん!」

デラガ「早く来い!待ってたんだぞ!」

ダバンゴ「おいオメェ、走るぜ!」

フラット「ちょっ、待て!」

と、その瞬間ー

警報「ウー!ウー!」

フラット「この音...!」

フォール「スパークフラッシュ号からの緊急命令だ!」

ノール「まさか来たのか⁉︎」

ゼウス「ここにいたか!行くぞ!東京に...来た!」

フラット「了解しました!デ・ロワー各隊員!

直ちに東京に向けて出発!必ず...守るぞ!」

全員「了解!」

フェアード「俺達も同行するぞ!ラルバ、デラガ!」

ラルバ「分かっていますとも!」

デラガ「あぁ、俺達の街は...必ず!」

タクマ「今の音...!」

ダバンゴ「来たか」

ライ「参るでござる!」

ダバンゴ「よっしゃあ!行くぜオラァ!」

マドール「今来たわよ!アスカちゃんも、ゴン君も、

ミッシェル君も!」

アスカ「セイ、待っててね。必ず迎えに行くから!」

ゴン「あそこにはまだ大切な一瞬が残っている!

壊させたりしないぞ!」

ミッシェル「ランケールさんの傷の痛み、

分からせてやるよ!」

ゼウス「四大の2人はもう向かわせた!

すぐに急行するぞ!」


ベングル「おいおい、この数はまるで、

あの時と同じだ」

グリオ「思い出せる余裕があるなら集中しろ。

かなり防衛ラインがやられてる」

ベングル「だがよ、もう結構キツい...流石に

応援がほしいとこなんだが!」

アリジゴク「グワァァァァ!」

グリオ「危ない!」

「させない!ハァァァァァァ!」

アリジゴク「ギュピィィィィィ⁉︎」

フラット「間に合った!デ・ロワー、見参!」

ベングル「君達...!」

フォール「あとは下がってろ。やれるだけやってやる」

スラリア「よくも東京をこんなに...!」

ノール「いいだろう。その覚悟、気に入った!」

エド「絶対に許さないっす!いくっすよ!」

ナックル「おう!絶対に勝つぞ!」

フラット「デ・ロワー、出撃!」

全員「了解!」

アリジゴク「グワァァァァ!」

独裁フラット「おやおや、随分と御立腹だな。

まだ序盤だぜ?」

フラット「分かってる。このアリジゴクは

大した戦力じゃない。ただの数だ。だから...!

第一審判『光』術・『光裁‼︎洸一閃』!」

アリジゴク「ピギュッ⁉︎」

アリジゴク「グゥっ⁉︎」

独裁フラット「ヒュ〜、やるな〜」

ナックル「好機!クラエェ!」

独裁フラット「おっと!残念、まだショーは

終わってない」

エド「まだあるんすか⁈」

独裁フラット「なぁ、お前が1番恨んだやつは...誰だ?

覚えてるだろ?」

フラット「ぐっ...あぁ、覚えてるとも。だが...

アイツと会うことはなー」

「フラット」

フラット「⁉︎嘘だろ...⁈何で...お前がここに⁉︎」

?「もう会えないとでも思ってたか?終身刑の牢屋から

出てきた。コイツが助けてくれてな」

フラット「ウィーン...!」

ノール「ウィーンって...まさか⁉︎」

スラリア「クラリオの恥と言われた...独裁者⁉︎」

クレア「何をする気だ⁉︎」

ウィーン「貴様らには用はない。このフラットにだけ、

用がある。神業・専門ゲート!」

フラット「これは⁉︎」

結界のような空間にフラットとウィーンは

包まれていく。ただしー

ナックル「フラットォォォォォ!」

他の者は入れることなく弾かれていく


フラット「ウィーン、つまり勝負ってことか?

2人きりで」

ウィーン「あぁ、そうだ。できるだろ?」

フラット「まさかアンタと戦える日が来るなんてな。

正直驚いてる」

ウィーン「では...いかせてもらう!」


独裁フラット「チッ、俺まで省きやがって。

まぁいいか。俺の役目は一旦終わりだ。さらば!」

エド「あっ⁉︎」

ノール「逃がした...だが厄介なもの、

残していきやがった」

スラリア「フラット勝てるの⁉︎」

ナックル「アイツがそんな簡単に負けるやつか!」

スター「ねぇ、あれ!」

スターの指差す先にフラットとウィーンの戦う様子が

大きな立体映像に映し出されていた

ナックル「まさか、あそこにカメラでもあるのか⁉︎」

ノール「でも、ウィーンに支援力がいくわけー」

フォール「パラレル催眠術」

スラリア「それって...パラレルウェーブで

人の記憶を改竄するアレ⁉︎」

クレア「まさかアイツの支援力がない⁉︎」

ナックル「少なくとも俺達ファイターは

アイツを応援できる!頼む、見てくれ!」


ウィーン「ハァ!」

フラット「くぅっ!」

ウィーン「情け無いなぁ!もう終わりか?」

フラット「な、何で支援力が届かない!」

ウィーン「さぁ、終わりだ」


ラルバ「ぐっ!マズイ、手が足りないです!」

デラガ「諦めるな!」

フェアード「おい、ラルバ!左だ!」

ラルバ「えっ、うわぁ⁉︎」

デラガ「大丈夫か⁉︎」

ラルバ「ぐっ...あ、これは肩やっちゃいました...」

デラガ「くっ...!よくも!」

フェアード「こっちも危ねぇ!くそ、

3人でこの量は無理だ!」

クレア「第一突風『炎』術・『四方爆破之矢』!」

アリジゴク「ギュギュッ⁉︎」

スター「諦めないで!まだ頑張ってる人が

あそこにいるの!だからお願い!

第一突風『零』術・『生命抱擁風舞』!」

ラルバ「...?痛みが!」

スター「お願い!一緒に戦って!まだあの中で...

フラットが!」

ラルバ「分かりました!一緒に戦いましょう!

『発砲之人工正翼』!」

デラガ「いくか!『懷之人工正翼』!」

フェアード「2人とも...」

ラルバ「翼のない警部は待っててください!」

デラガ「俺達は...できます!」

クレア「やってやる!」

スター「兄ちゃんはダメ!スターが行く!」


ゴン「くっ、これ以上は...!」

アスカ「このままじゃ...守れない!」

マドール「諦めないでと言いたいけど...

これはもう...!」

ミッシェル「何弱音吐いてんだ!いくぞ!」

スラリア「無理はしないで!私達もやるから!」

ノール「多勢に無勢とは気に食わない...!

第一破壊『闇之』術・『闇夜行特急列車』!」

アリジゴク「グゥ⁉︎」

アリジゴク「ギャァ⁉︎」

スラリア「いい感じ!私だって!

第一死導『木喰』術・『死音奏風林』!」

アリジゴク「ギュゥゥワァァ!」

フォール「これでトドメだ!

第一暗黒『木喰』術・『無数葉之影踏』!」

アリジゴク「ギュピィィィィィ!」

ノール「まだいるが...あとは幼体!」

スラリア「成体は全部倒した!」

フォール「4人は違うとこをあたってくれ!

こっちは俺達が!」

アスカ「待って!まだセイが...!」

クレア「神業・風耳...!安心しろ!

既に地下シェルターだ!」

アスカ「そうですか!じゃあ私は別にあたります!」

マドール「すぐに終わらせるわよ!」

ゴン「まだ戦ってる人がいる...!応援するぞ!」

ミッシェル「あの中で...」

スラリア「あそこでフラットが戦っている...

私達より辛い戦いを」

ノール「できれば応援してほしい」

アスカ「分かりました!」

マドール「あなた達も頑張りなさい!」

フォール「4人も気をつけて!」


ライ「人手不足でござる...!」

タクマ「はぁ、はぁ...」

ダバンゴ「...ライ!後ろ!」

エド「させないっす!」

ナックル「ウォォォォォ!」

アリジゴク「ギュピ⁉︎」

エド「今来たっす!まだ終わってないっすよ!」

ナックル「まだ倒れるなよ!」

タクマ「も、もうダメ...」

ダバンゴ「タクマ⁉︎この汗...薬が切れたのか⁉︎」

ライ「飲ませる暇がないでござる...!ナックル殿、

エド殿!敵の標的をこっちにするでござる!」

エド「いいっすよ!ダバンゴ!薬、よろしくっす!」

ナックル「失敗するなよ!それじゃ、行ってくるぜ!」

アリジゴク「ギュゥゥ...!」

ライ「この街は...これ以上壊させないでござる!

『雷之正翼』!拙者の本気、見せてやるでござる!

第一稲妻『豪雷』術・『絶・ブレイクボルト』!」

雷が生きているように周囲のアリジゴクに向かい、

迸っていく

エド「チャンスっす!来るっす、『正義之人工正翼』!

最終鉄拳『正義』術・『絶悪続光爆裂拳』!」

アリジゴク「ギュウ⁉︎」

アリジゴク「ギャウ!」

ナックル「いくぜ!俺の第二の故郷を壊したこと...

絶対に許されることじゃないぜ!

第一突進『光』術・『会心‼︎トライアタック』!」

アリジゴク「ギャァァァァ!」

ライ「全部撃破でござる!」

ダバンゴ「薬も飲ましたぞ!」

タクマ「...」

エド「あとは...あの中っす!」

ナックル「頼む!あの中で戦ってるフラットを

応援してくれ!」

ダバンゴ「あぁ、いいとも!やってやらぁ!」


フラット「くっ!」

ウィーン「まだ抗うか!お前の負けだフラット!」

フラット「まだだ!」

(聞こえる、今皆が応援してくれる声が、

頑張って戦ってる皆の声が!)

フラット「負けない...!俺は...俺は...!

こんなとこで負けていられない!」

ウィーン「なっ、その体のどこにそんな力が⁈」

フラット「俺1人じゃ何もできない!だが、

皆がいるから俺は強くなれる!俺はもう...!」

フラットは1人で悩んでいた時を思い出す

フラット「俺はもう...!1人じゃない!」

ウィーン「ぐっ⁉︎くそ、負けるわけには!」

フラット「皆!俺に...今だけ...力をくれ!

『審判之正負翼・怒』!発動!」

ウィーン「翼だと⁉︎」

フラット「俺の審判の邪魔なんかさせねぇ!

お前の裁きなんか...俺はもういらねぇ!」


125年前ー

フラット「父さん...もう会えない?」

ウィーン「いや、会える。父さんはこの場所を守る

ファイターになる。会える日は少なくなるが...

いい子でいるんだぞ?」

フラット「早く...帰ってきてね!」

ウィーン「あぁ、ほら、泣くなって!」

フラット「あ!その前に...これ...!」

ウィーン「お?写真と...絵か?」

フラット「これで父さんと僕は一緒!ずっとね!」

ウィーン「フラット...!」

フラットをギュッと優しくウィーンは抱きしめる。

ピーっ!

ウィーン「それじゃあな。帰って来れる日を待ってる」

母「気をつけて。フラットもそう祈ってるから」

ウィーン「カナリア、お前もな」

カナリア「...はい」


数年後ー

ウィーン「フラット!何をやっている?」

フラット「え...何ってお出迎えだよ?」

ウィーン「...カナリアはどこにいる」

フラット「えっ...あ、今ご飯作ってる...」

ウィーン「そうか。フラット、どけ」

ウィーンは強くフラットを蹴り飛ばす

フラット「っ⁉︎」

ガッシャーン!

カナリア「フラット⁉︎何今の音...?ウィーン?

あなたがやったの?」

ウィーン「じゃあな。もう帰る」

カナリア「ウィーン⁉︎...フラット、大丈夫⁈」


あのあと、ウィーンは家に帰っては俺達に暴力を

振るった。それに地球連合に入ってからは好き放題に

独裁を始めた。その姿に以前の父親はいなかった


フラット「ウィーン!お前は...有罪だ!

家族を裏切り、俺の人生を狂わせた...!

グラディウス!断罪のー」

フラットが右手に神器を出したその瞬間だった。

ズブっー

そんな感触がフラットに伝わった。それはウィーンの

腹が神器に突き刺さった感触だった。

フラット「えっ...?」

ウィーン「ゴホッ...これでいい」

フラット「は?何で自分から...?」

ウィーン「フラット、大きくなったなぁ...!

もう高い高いなんか...出来ねぇなぁ!」

その言葉にフラットは何故か涙する。まるで本物の

父親を失ったような。

フラット「罪滅ぼしのつもりか⁉︎俺はそんなのに

騙されやしない!」

ウィーン「...今まで騙していたんだ...ゴホッ!

信じろとは言わない...だが...大好きだった!

忘れられなかった...!」

その瞬間、ウィーンのポケットからあるものが落ちる。

それにフラットは目を疑った。

フラット「これ...!あの日の写真と...絵⁉︎」

それは父親としての最後の姿を見せたウィーンに渡した

家族写真とフラットの絵だった。そしてそれは、

まるで今まで肌身離さず持っていたかのように

ボロボロだった

フラット「...」

ウィーン「ずっと...持ってたんだ...何度も泣いた...

お前を裏切った俺の弱さに...申し訳なくて...

あのファイター招待状が...人工アリジゴク裏計画の

招待状になってたなんて...」

フラット「...“父さん”...」

ウィーン「フラット...⁉︎」

フラット「それ以外に...なんと呼べばいいんだよ!」

ウィーン「...すまなかった!フラット!」

力強くフラットを抱きしめる。更に深く神器が

突き刺さる。

フラット「父さん⁈」

ウィーン「...これで...いい。本当に大きくなったなぁ。

それに...温かい...フラット。俺を父さんと呼んでくれて

ありがとう...」

フラット「...俺、守るよ。この街も、皆も...

だから...!」

ウィーン「裏切った俺にそんな顔見せるな。

笑えよ?大嫌いだった...俺が死ぬんだ」

フラット「父さん...!」

フラットは笑う。泣きながらも笑う。

最後の父親としてのワガママを叶えるために。

ウィーン「お前は優しい子だ。絶対に闇に負けない...

俺は信じてるぞ...」

優しくフラットの頭を撫でるウィーン。その手は

懐かしい温もりでいっぱいで。しかし、時は流れる。

ウィーンの作った結界がゆっくりと解けていく。

そしてウィーンの手もフラットの頭からスッと

重力に従って落ちていく

フラット「⁉︎父さん⁉︎」

その手を咄嗟に掬い上げる。それでも、さっきのような

温もりは、そこにはもうなかった。ただ、笑顔で

フラットの肩に乗るウィーンの笑顔だけがあった

フラット「...不器用...なくせに...!」

歯をギュッと噛み締め、戦闘モードを解除する。


ナックル「おい、あれ!」

エド「結界が...!」


ノール「やったみたいだ」

スラリア「フラット、勝ったんだね!」

フォール「帰ったら胴上げだな!」


クレア「風が戻った。あとはコイツらだけだ!」

スター「うん!」


フラット「...父さん...俺!絶対この事件解決する!

どんな苦難が押し寄せても!俺が...!」


ダバンゴ「...おい!空!」

ナックル「⁈なんだありゃ⁉︎」

エド「人...っすか?」

ダバンゴ「よく見てみやがれ!エリート級の

アリジゴクが大量に湧き出ていやがる!」

エド「まさかこれもー」


ミッシェル「あの男の仕業だ!」

シャリー「ミッシェル!ごめんなさい、今来たわ。

ランケールを安全な場所まで運んでいたから」

センリ「コレイジョウ、アバレハサセン!」

マドール「あ、貴方達は?」

アスカ「ミッシェルさん、知り合い?」

ゴン「これはスクープだ!」

センリ「ブレイナ...」

センリはゴンのカメラを手に取ると思い切り握りつぶす

ゴン「あぁ⁈俺のカメラ⁉︎」

センリ「オレヲトルナ!オレニイキタアカシハイラン」

シャリー「皆、敵さんも動きを見せたわ!

私が指揮する通りに動いて!」

ミッシェル「指示を出せ!」

センリ「イツデモイイ!」

アスカ「よく分からないけど指揮者なら任せるよ!」

マドール「覚悟は出来ていてよ?」

ゴン「まぁこの街を壊す連中の方がタチ悪い!やるぞ」

シャリー「それじゃ...戦闘開始よ!」


ノール「コイツら、まるで攻撃が効いてない⁉︎」

スラリア「あっちにファイターを送ったの、

間違いだったんじゃない⁈」

アリジゴク「クウ...オマエラ...クウ!」

スラリア「イヤァァァァァ!」

「これ以上は...させねぇ!」

アリジゴク「グゥゥゥゥゥゥ⁉︎」

ペイロゴン「大丈夫か⁈トゥウィンクル・デス」

スラリア「...?あっ、私のことか!」

ノール「ファイター名は覚えとけ。あと、ありがとう。

わざわざ熱海から」

ペイロゴン「俺達の任務は一般人の安全を守ること、

そしてファイターを援護すること。

お前も俺に隠れてないで少しは見習え」

?「だ、だって怖いものは怖いんですよ〜!」

アリジゴク「キョウフ...スルモノ...クエル!」

?「うわっ、来るなー!」

恐怖が頂点に達したー

?「...第一救助『炎』術・『爆炎魂之駆逐』!」

アリジゴク「ギュフ⁉︎」

ペイロゴン「やっとやる気出たか」

?「こ、怖かった!」

ペイロゴン「素に戻るなアリケラ。まだ来るぞ」

アリケラ「もう来ないで!」

再び恐怖が頂点にー

アリケラ「しつこいぞ!もうどっか行っちまえ!

第二救助『木喰』術・『雪月風花‼︎菊一文字』!」

アリジゴク「ギャァァァァ⁉︎」

ペイロゴン「さて、俺も見てるだけではいかない。

第一救護『零』術・『タイダルウェーブ』!」

アリジゴク「ギュ⁉︎」

ノール「すごい...一掃してる...」

スラリア「感傷に浸ってる場合じゃないよ!

私達も行かなきゃ!」

ノール「あぁ!今いく!」


タクマ「...?あ!」

ダバンゴ「起きたか⁉︎なら手伝え!」

ライ「今は少しでも力添えが必要でござる!」

タクマ「ごめん!今行く!」

クレア「くそ、一体何体いるんだ⁈」

スター「分からない!でもやるしかないでしょ!」

ダバンゴ「その通りだ!」

ライ「まだ負けるわけにはいかないでござる!」

クレア「座ってるせいで力が上手く入らねぇ...!」

スター「兄ちゃん、立っちゃダメだよ!」

クレア「皆が頑張ってるんだ!それに...

この足がなくなったとしても、この街を守れるなら

何だっていい!」

「よくない!俺達は必ず生きて、大怪我を負わずに

この街を守って...帰るんだ!デ・ロワーに!」

ライ「フラット殿!」

ダバンゴ「おせぇぞ!早く帰ってきやがれってんだ!」

ライ「形勢逆転でござる!フラット殿、こちらへ!」

フラット「その前に...!父さんから教わった陣を使う!

封印之陣!これであの現れたゲートを塞ぐ!

陣は俺達が集まったあの場所に作る!

クレアとスターは風を集めてほしい!」

クレア「だがこっちはどうする⁉︎」

スター「そうだよ!壊れちゃう!」

フラット「大丈夫!俺が囮になる!」

ライ「そんな役割させないでござる!ダバンゴ殿、

共に参るでござる!」

ダバンゴ「おう!テメェら、失敗したら許さねぇぞ!」

フラット「2人とも...お願いします!俺達は

出来ることをしよう!あとは任せる!」

クレア「任せとけ!あの2人の勇姿を

無駄にはしない!」

スター「うん!スターもやるよ!」

フラット「じゃあ...俺は行ってくるな!」

フラットは次の目的地へ向かうー

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