第四十七話 海なのです!
「いやぁー、立派だったねぇ和歌山城」
「真っ白で綺麗だったのですー」
「まさか天守閣から海が見えるとは」
「綺麗だった」
大阪から和歌山県へとたどり着き真っ先に和歌山城へと訪れた四人は、そんな風に城や城からの景色について思った事を話し合いながら次の目的地へと向かっていた。
「さてさて、それじゃあ皆そろそろ着く訳だけど……準備は大丈夫かな?」
「勿論じゃ」「なのです!」「一応」
「よっしゃ!それじゃあいよいよ行こうか、海に!」
ーーーーーーーーーー
「青い空!」
「白い砂浜!」
「キラキラの太陽!」
「「「海だぁ!」」」
「海だー」
それぞれ自分に似合う色合いとデザインの水着に身を包んだ四人は、真っ青な海を内に携えた真っ白な弓状の砂浜が美しい白良浜へとやって来ていた。
「まさかテレビで見た海外のビーチ見たいな砂浜に来れるなんて、感激なのです!」
「やはり夏は海に来なくては始まらんのぅ!この世界には口うるさいリヴァイアサンもおらんし、存分に楽しめるわい!」
「リヴァイアサンって実在するんだ……ロクラエルちゃんはどう?海、嫌じゃない?」
「砂まみれは嫌だけど、来てみると気分が上がる」
「ふふっ♪ロクラエルちゃんも乗り気になってくれたみたいで嬉しいよ。でも魔法っていうのは凄いねぇ……人避けと認識阻害の魔法だっけ?誰も私達に気が付かないし気付いてないよ」
「ふっふっふっ……!固有の魔法を極める為には他の魔法も極めておくのが必然、つまり妾はこれでも固有の魔法以外の魔法にも精通しておるのじゃよ。ま、風系統の魔法に置いてはノルンに勝ち目は無いがの」
「アタシの種族は総じて風魔法が得意なのです!所でみーちゃん、本当にこの砂浜真っ白なのですが何か仕掛けとかあったりするのです?」
「仕掛けというか、ここまで真っ白な理由はこの砂の材質だね」
「材質?」
「そう。ここの砂は石英、つまり水晶から出来ててね。普通の砂も石英は含まれてるんだけど、ここまで白くなるには内陸部かつ長期間雨風に晒される必要があるんだって」
「ほぅ、そんな希少な物なのか……って内陸部?ここは海辺じゃが?」
「そう、それがこの白良浜の謎なんだよね。海底の砂は黒ずんでるのが殆どらしいし、これだけ綺麗な砂がどこから来たのか、不思議だよねぇ」
「興味がそそられる」
「案外、結晶化した生物の骨かもしれんぞ?」
「そんな事より!スイカの用意もしたのです!先ずはスイカ割りするですよー!」
不思議で神秘的な純白の砂浜に思いを馳せつつ、スイカ割りに海水浴と一行は海を満喫したのであった。
ーーーーーーーーーー
「なんじゃ水無月、このー……緑のボールは」
「存在感が、凄い」
「でもとってもいい匂いなのですー」
お昼過ぎ、いつも通り人が少なくなる時間帯にお昼ご飯を食べるべく予約していたお店へとやってきた4人の前には美味しそうな味噌汁とお豆腐に焼き魚と共に緑色の俵握りの様な物がある定食が並べられていた。
「それはねぇ、俵握りっていう日本最古のファーストフードとも言われている料理、めはり寿司だよ」
「めはり寿司?これがあの寿司なのか?」
「葉野菜でご飯を包んであって……とてもお寿司には見えないのです」
「まぁ寿司って着いてるけどどちらかと言えばお握りだからね。作り方も具を入れたご飯を高菜で包んで握ったっていうだけなんだけどね、意外と美味しいんだこれが」
「ふぅむ。では一口……んんっ。ちょっと辛い、じゃがなかなかイけるのぅこれは」
「高菜のピリ辛感がご飯に合うのですー!しかも中の高菜は芯の方が使ってあるから、違う食感で楽しいのです!」
「汗かいたから、辛いのがちょうどいい」
「なんやかんやいいつつも、美味しく食べる辺り皆いい子だよねぇ」
「「「美味しいー」」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます