第四十六話 果樹王国なのです!
「んー……!すぱーっ!」
キャンピングカーの中、びびびびびと毛を逆立たせつつぴーんと尻尾を伸ばし、んーっと酸っぱさにノルンは口をすぼませていた。
「あははっ。ノルンちゃん酸っぱいの苦手だもんねぇ」
「嫌いじゃないけどすぱーってなるのです」
「わかるぞノルン。妾も辛いのは無理じゃ」
「誰しも苦手なものの一つや二つあるからねぇ」
「私、苦手なのない」
「強者なのです」
「強者じゃ」
「強者だなぁ。さて、もうそろそろ和歌山に着くけど……ノルンちゃん、和歌山の名物って何か知ってる?」
「和歌山の名物なのです?えーっと、海も近いし魚介類とか?」
「残念。和歌山はね、果樹が名物なんだ。特に梅とみかん、それに柿は生産量全国一位、キウイにスモモ、ビワも全国二位だったりしてね。果樹の王国って言われるくらいだよ。ほら、あそこ」
「んー……?あ!みかんなのです!」
山道を下りつつ後続車がいない事を確認し、スピードを緩めた水無月が指さした先を見たノルンは、それがみかん畑だと分かり思わず声を上げる。
「いや、他の果樹もある。というか生垣ひとつ挟んでさしずめ果樹園と言ったところじゃろうか」
「おぉー。果物狩りとか、出来るのかな」
「せっかくだしやってみたくはあるねぇ」
「是非ともお願いしますなのです!」
「で、水無月や。和歌山の観光名所はどんなのがあるのじゃ?」
「和歌山は紀伊半島でも大きく海に面した県だからね、やっぱり海関連の見所が多いかな」
「「海!」」
「お、やっぱり二人共食いついたねぇ」
「そりゃそうじゃ!なんせ宮崎ではお預けじゃったからのぅ!」
「なのです!海辺の砂浜でスイカ割りするのです!」
「まぁ時期もちょうど夏真っ盛りだし、少しだけなら大丈夫だとは思うけど……ロクラエルちゃんはどう?」
「砂、嫌」
「だよねぇー……あっ。それじゃあ水族館とかも行こうか。和歌山には面白い水族館もあるんだよー」
「それなら行ってみたい」
「よし、じゃあ決まりだね。でも内陸の方にも見所はあるし、そっちも行けるなら行ってみたいねぇ」
「ほう、どんなのがあるのじゃ?」
「日本三名瀑の一つで落差日本一の滝、那智の滝っていうのだったり、世界遺産にも登録されてるパワースポットで有名な熊野古道だったり、結構壮大な物があるね」
「おぉ、面白そう」
「でしょ?っとそうこうしてたら和歌山の街が見えてきたね。それじゃあ皆、和歌山県も楽しんでいこーう!」
「「「おー」!」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます