第三十二話 四国最後の県なのです!

『まもなく、徳島県へ入ります』


「お、これで遂に四国制覇かぁ」


 ポーンという間抜けな音に続いて徳島県が近づいてきたカーナビのアナウンスを聞いて、水無月がそう呟く。


「四国制覇なのです?」


「そそ、徳島県で四県目、これで日本の八地方の内一つが終わった訳だからね」


「意外と早かったのぅ……この調子なら割と全国一周も早く終わるのではないか?」


「まだ47都道府県の内7つの県しか行ってないんだよなぁこれが」


「つまりまだ約七倍くらいあるのか」


「そういうことー。そしてまだまだ日本には沢山の見所があるからね、まだまだ旅の振り返りをするには早いよー?」


「とっても楽しみなのです!それでみーちゃん、徳島はどんな所なのです?」


「徳島といったらすだちだね!なんせ生産量日本一!なんせ日本のすだちの90%以上はここ徳島で作られてるんだから!」


「90%?!それはすごいのぅ……」


「凄すぎる……」


「ダントツ1位だからねぇ。後徳島はとにかく山が多い所だね。面積の約80%が山地なお陰か山も多くて、山だけでも剣山に眉山、三嶺っていう立派な山から、弁天山っていう日本一低い6.1メートルしかない山もあるんだよ」


「それはー……山なのか?二階建の建物くらいしかないでは無いか」


「実際山?って言いたくなるくらいちっちゃくてかわいい山だよ。ただやっぱり、徳島といえば最終的には渦潮になるかな?」


「渦潮?」


「そうそう。鳴門大橋から見える渦潮がすごくてねー……って語りたいけど、ここには絶対に行くから見てからのお楽しみって事で。他にもえびす洞っていう波で中に大きな空洞が出来た岩山があったりするんだよ」


「それは楽しみなのです!で、みーちゃん。その、食べ物の方は……」


「ふふふっ♪ノルンちゃんはやっぱりそっちの方が気になるか」


「ノルンは食いしん坊じゃからのぅ」


「んなっ?!ち、違うのです!料理好きとして気になるだけなのです!それに、ヘグちゃんにだけは食いしん坊って言われたくないのです!」


「ん、ヘグレーナは本当によく食べる」


「よ、余計な事は言わんでよい!」


 ノルンを少しおちょくるつもりだったヘグレーナが見事に返り討ちに会い、ゲームから手を離してロクラエルにそう言ってるのをみて水無月はクスリと笑う。


「はいはい、皆仲良くねー。それで徳島県の食べ物だっけ、徳島の食べ物といったらやっぱり鯵の押し寿司かな?」


「押し寿司なのです?」


「あの四角いお寿司?」


「そうそう。アジには銭って呼ばれる硬い鱗があってね、縁起物としてよく作られてるんだよ。後これは料理じゃないけど鳴門金時も有名だね、あのホクホクさとあまーい身が最高なんだよねぇ」


「鳴門金時か、確か前に1度食べさせてもらったが……いやぁ、あれは美味しかったのぅ」


「残念ながら収穫時期にはまだちょっとはやいけどね。後はそうだなぁ……はんごろしとか?」


「「「半殺し?!」」」


「ん?あっ、違う違う!そっちの物騒な意味じゃなくて、おはぎの別称なの!前来た時たまたま見かけたの覚えててね、おはぎのきな粉バージョンっていったらわかりやすいかな?」


「なんじゃおはぎか、びっくりしたのぅ」


「でも色々とあるみたいで楽しみなのです!」


「今回も、期待」


「ふふふっ♪きっと皆を満足させられると思うよ。それじゃあ徳島に突入ー!」


「「「おー!」」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る