第三十一話 歴史的な建築物なのです!
「いやぁー……驚かされたのぅ」
「まさかハンバーガーにうどんが入ってるとは」
「流石うどん県……油断ならないのです」
金刀比羅宮へとお参りした翌日、朝ご飯に水無月の買ってきた讃岐うどんバーガーを堪能した三人は、丸亀城へとやって来ていた。
ちなみに水無月は筋肉痛という事で車の中でダウンしている。
「運転は出来るけどあんまり動けないから、観光は皆で楽しんでーって、みーちゃん本当に大丈夫なのです?」
「人間は脆いからのぅ。普段運動しない奴じゃと直ぐにあぁなるらしいぞ」
「水無月、運転してるけど運動してないから、納得」
「さてさて、とりあえず来たはいいものの、えーっと丸亀城じゃったかな?この城の名前は」
「なのです。えーっとみーちゃん旅行手帳曰く「日本一高い石垣の上にある石垣の現存十二天守が一つ石垣の名城」だそうなのです」
「確かに、高い」
「正直、妾からすると人間の建物はどれも変わらんが、これだけ特徴的じゃと流石に見分けがつくのぅ。いちにぃさん……遠目から見ても三段くらいは石垣があるぞ」
「あの石垣も四つ五つくらいの種類の積まれ方で出来てるらしいのです」
「石垣一つでそんなに積み方があるとは、全く人間の技術力には驚かされるのぅ」
「ほんと、ここまで知恵の実の力を活かした種族も居ない」
「……お主、本当に時々この世の真実をボソッと言うのぅ」
冷や汗の様な物を感じつつ、ヘグレーナはロクラエルにそんなツッコミをせざるを得なかったのだった。
ーーーーーーーーーーーー
「はい!たこ判四つお待ち!」
「ありがとうなのですー!」
お昼時、大きなパックを店員から受け取ったノルンはそう言うと目深に被った帽子越しにも分かるいい笑顔でお礼を言うと、トテテテテと近くに駐車してあったキャンピングカーへと戻っていく。
「お待たせしたのですー!」
「ノルンちゃんおかえりー。バレなかったー?」
「大丈夫なのです!尻尾もきちんと隠してたのです!」
「この中じゃノルンが一番目立たんからの。妾は夜ならともかくロクラエルはどうしても人間には化けれぬからのぅ」
「ん、安易に外には出れない」
「ふふん♪これくらいならいつでも任せてなのです!」
「ほんとありがとうねノルンちゃん。さて、他のもあるし冷える前に食べちゃおう!」
「「「いただきまーす!」」」
「ん!美味しいのです!」
「味付けが濃ゆくて食べ応えあるのぅ!」
「どことなくたこ焼きっぽい」
「だってこれ元はたこ焼きだったからねぇ。安くて美味しい香川のローカルフードだね」
そんな風に話をしながらも、チーズや餅、卵等と四人それぞれ違う具材のたこ判を分け合いながらぺろりと食べきったのだった。
ーーーーーーーーーーーー
「だいぶ筋肉痛も良くなったし、これからはまた私が皆を案内するねー」
「よっ、待ってました」
「みーちゃんの解説待ってたのです!」
「やっぱり詳しい人が一人おるだけで観光の楽しさも一気に変わるからのぅ。頼んだぞ、水無月や」
「まっかせてー!という訳でやって来たはここ、国の特別名勝にも登録されてる文化祭の庭園、栗林公園でーす!」
ジャジャーンという風に復活した水無月がそう言って指さす先には、生垣の向こうに白い壁の立派な建物がそびえ立っていた。
「りつりんなのです?」
「そそ、栗の林って書いてりつりんって呼ぶんだよー」
「そういう割には、パッと見で見た限り生えてる木は松ばかりじゃが」
「お、よく気づいたね。実は名前と違ってこの庭園に生えてる木の約1400本は松の木なんだよー」
「1400……凄い」
「凄いよねぇ。一応栗林の名前の由来は元はここが栗の林だったとか、中国だと木が生い茂った里山を栗林って言うからとか諸説あるね」
「松なのに栗なのですか……それで、そのお庭があるのはあの目の前の建物なのです?」
「ん?あぁ、あの建物は商工奨励館っていう結婚式が上げられたりする建物だね。でも残念、メインの庭があるのはあの建物じゃあないよ」
「そうなの?」
「それじゃあどこに……まさかこの広い敷地全部が────」
「そう、既にこの場所自体がお庭なのだ!広さはなんと文化財庭園では日本最大、6つの池に13の築山とオシャレな和風の建物があちこちに建っている大名庭園の傑作なんだよー!そしてその景色がこちらになりまーす!」
「「「おぉー!」」」
そう語りながら水無月が案内した先には、数々の立派な松の木といくつもの橋がかかった美しい庭園が広がっていた。
「まさかこれ程とは……驚かされた」
「凄い綺麗……」
「これは確かに、傑作といっても大袈裟じゃないのです!」
「ふふふっ、こんな所で驚いてちゃ最後まで持たないかもよ?なんせまだここは入口なんだからね。さっ、それじゃあゆっくりとこの景色を堪能しようか」
こうして三人は水無月の案内の元、栗林公園の庭園の壮大な景色を堪能したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます