第十八話 にゃんこの島なのです!

「で、水無月や。記憶が正しければ確か妾達は一時間程前に船から四国の大地へと降り立ったはずじゃが……」


 ざっぱーん……


「なんでまた船に乗っておるのじゃあ?!」


 四国上陸から約一時間後、ようやくたどり着いた四国の大地愛媛の地にて、観光を楽しもうとしていた四人は今度は少し小さめの船で再び海の上へと来ていた。


「いやぁー。実は一度行ってみたかった所があってね、通るついでに今日は船出てるかなぁって調べたら出てたもんで」


「そんなに珍しいものなのです?」


「んー……そこまで珍しいって訳じゃあないんだけど、やっぱりここ大洲市とか地元の人以外だとタイミングが合わなきゃなかなかねぇ」


「なるほど、確かに」


「はぁー……まぁ、そういうせっかくの機会ならば妾も構わん。それで、この船はどこへ向かっておるのじゃ?」


「青島って場所でね、名前は一緒だけど宮崎で寄った青島とはまた違う場所だよ。まぁ詳しくは着いてからのお楽しみって事で……っと、もう着くみたいだ」


 水無月がそう言うが早いか、近くなってきた青島の港へと停泊すべく船はゆっくりと速度を落とし始める。そして港へと船がたどり着き四人が船内から外へと出ると……


「ミャー」「ナァオ」「ニャア」


「うおぉお……!猫が待ち構えておるぞ水無月!」


「猫……いっぱい!もしかして────」


「お、ロクラエルちゃん気がついた?そう、この島はいっぱい猫が住んでるんだよー!」


 沢山の猫が待ち構えていたのだった。


「はぁー……可愛い」


「なるほど、どおりでこの子達さっきから「ごはんー」って私達に言ってるのですね。この子達にご飯あげても?」


「ここじゃダメだねぇ。もう少し行ったところに餌やり場があるんじゃなかったかな?」


「あらら……そうだったのですね。ニャアーニャミャー、ニャミャーミャッ」


「「「「ミャー!」」」」


「おぉー……猫と話してる。いいなぁ……」


「わかる」


「水無月にロクラエルや……お主ら意外とメルヘンな所あるよのぉ。っと、お?おぉぉ!?」


「ね、猫がっ!どこからこんなに?!」


「う、動けない……!」


「桟橋が猫で埋め尽くされてるのですー!」


 他の客に合わせ桟橋を渡り始めた沢山の猫達を見て、四人は圧巻されながらもその流れについて行き、その先のエサ場に居る更に沢山の猫達に驚かされたのだった。

 その後、四国へ戻る船が出るまで四人は猫達を堪能したのだった。


 ーーーーーーーーーーーー


「いやぁー……猫、堪能したなぁ」


「最高だった」


「猫ちゃん達皆楽しそうだったのですー」


「日暮れ前まであんなに猫達と遊べば、そりゃあ大満足じゃろうなぁ……」


 戻りの定期便が来るタイミングが思っていたよりも遅く、戻って松山市に来る頃には日暮れ前になっていた。


「所で水無月よ、流石に腹が減ってきたぞ。そろそろ晩飯にでもせんか?」


「いいねぇ。チェックインまでもうしばらく時間あるし、晩御飯取るのに丁度いいかもね。皆食べたいのとかある?」


「せっかくだし、鯛食べたい」


「お、例の愛で鯛?いいねぇ」


「アタシも鯛がいいのです!やっぱりせっかくなら名物を食べたいのですー!」


「鯛は妾も好物じゃからな。出来ることなら妾も鯛がいいのぉ」


「OK!それじゃあ美味しい所行こっか!」


 そう言うと水無月は夕暮れに照らされる松山城を背景に、キャンピングカーを走らせてイチオシの鯛料理店へと向かうのだった。

 そして────


「お待たせしましたー」


「「「「おぉー!」」」」


 宝石の様に輝く鯛の刺身や味の染み込んだ鯛が丸々一匹乗った鯛めし、大ぶりの鯛の煮付けと一緒に名物である五色そうめんとかやくの盛り付けられた鯛そうめんを楽しんだのだった。

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