第十七話 みかんの県なのです!
「お、見えてきた見えてきた。みんなー、向こう岸が見えてきたよー!」
「おぉー」
「あれが!」
「四国!」
「の、西側。愛媛だねぇ」
大分から愛媛へ向かうフェリーの中、ようやくはっきりと見えてきた四国の大地、その西の大地である九州側の瀬戸内海と面した愛媛県を前に、雑談していた三人は身を乗り出して向こう岸の大地に魅入っていた。
「それで水無月、愛媛といえば何があるんじゃ?」
「愛媛といえばやっぱり蜜柑だねぇ。なんせ日本を代表するみかんの産地だし、大きいのも小さいのも、味も品種もいっぱいあって、みかんなら愛媛が一番だねぇ」
「そこまでみかんに力を入れておるのかこの県は」
「きっとみかんスイーツもいっぱいなのです!楽しみなのです!」
「おっと、それ以外にもおたのしみはあるよ。みかんに隠れがちだけど、実は愛媛は鯛も美味しいんだよ。なんたって鯛の養殖量は日本一、それに国内最高級ブランド鯛である「愛鯛」の産地だからね」
「鯛なのです?!」
「なるほど、鯛だけに愛で鯛」
「……もしかしてそのめでたいのめは愛?」
「正解」
「うーむ……30点くらいじゃのう。それで水無月や、愛媛には観光では何があるのかの?」
話を逸らすかのようにロクラエルのダジャレにぱっと点数を付けたヘグレーナは、そう言うと水無月に愛媛の観光なんかについて尋ねる。
「愛媛で観光って言えばやっぱり新居浜太鼓祭りだね」
「にいはまたいこまつりなのです?」
「そうそう」
「太鼓叩く祭り?」
「太鼓も叩くねぇ。だけどこのお祭りは四国三大祭りっていうお祭りの一つなんだけど、もう1つ。日本三大喧嘩祭りとしても有名なんだよ」
「喧嘩とは、なかなか物騒な祭りなのか?」
「確か豊作を感謝するお祭りでね、沢山の大きい太鼓台をかき夫って呼ばれる男の人達が高く担ぎあげたりする「かきくらべ」っていうのが見応えあってねぇ」
「おぉ!ザ、お祭りって感じなのです!」
「でもそれ以上に鉢合わせっていう太鼓台同士をぶつけ合うのがあってね、これがまた凄いんだけど……」
「「「けど?」」」
「単なる盛り上げ要素ーっていうの以外にも因縁対決だったり色々あってね、白熱しすぎて暴走しちゃうかき夫の人が出て喧嘩になっちゃう事が多々あるの」
「あー……だから喧嘩祭りなのですね」
「それは見応え凄そうじゃのぉ」
「で、そのお祭りはいつある?」
「残念ながら開催されるのは十月でね、今の時期にはやってないんだよ」
「それは残念じゃ」
愛媛の有名なお祭りについて教えて貰い、残念ながら近いうちにある訳では無いことを知り、残念そうに三人は少ししょぼんとする。
「後は凄く可愛い電車とか、日本最古って呼ばれてる温泉だったりもあるよ」
「おぉー!それは楽しみなのです!」
「じゃのぅ!余計ワクワクしてきたぞ!」
「もうひとっ飛びしちゃいたいくらい」
「ふふふっ♪それじゃあ皆、もう少しだけ待っててね」
こうして、みかんの国愛媛での度の幕が上がったのだった。
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