第十二話 南国景色に完熟スイーツなのです!
「「「うおぉぉお」!」」
「すごいすごいすごいのです!」
「テレビで見た南国ってやつそのままじゃ!」
「テンション、上がる……!」
山中から再び海岸沿いへと戻り、木々に覆われた道から海岸沿いの道へと出たキャンピングカーの中では、南国を思わせる木々に青い海をバックに眩しく輝く海岸沿いの芝生に三人が声を上げていた。
「ふふふ、皆盛り上がってるねぇ。まぁでも、ここは宮崎でも随一の観光地、日南海岸だし盛り上がるよね。でも危ないからきちんと座ってなさいねー」
「「「はーい」」」
「それで、早速寄り道していくのです?」
「それがいい。これだけの景色じゃ、寄り道しない方が失礼というものじゃよ」
「そんなこと言ってるけど、二人共海で遊びたいだけでしょ?まぁ別にいいんだけど。ロクラエルちゃんは寄り道どう?」
「是非寄りたい。でも水苦手だから、遊ぶなら景色とかが楽しめる場所がいい」
「景色とかが楽しめる場所かぁ……よし!もうそろそろ近く通るし、最初はあそこに行こう!」
席から身を乗り出して窓の外に広がる三人に注意しながらも、水無月は三人の寄り道したいと言う要望を聞いてそう言うとハンドルを切ったのだった。
ーーーーーーーーーーーー
「青い海!」
「白い砂浜!」
「私、離れてる場所から見とく」
「「あ、はい」」
さっきみた景色よりも眩しい青い海をバックにした若緑の芝生広がる場所を前に、水遊びをすべく浜辺を探しに向かった二人とは対照的にロクラエルはそう言ってゆったりと散歩をし始める。
「ロクラエルちゃんは水がにがてだもんねー」
「ん、羽が濡れると、気持ち悪いから」
「なるほどねぇ。ならここによってちょうど良かったかもね」
「?」
「ここはサンメッセ日南っていう場所なんだけどね、ここには世界で唯一の物があるんだよ」
「世界で唯一のもの?」
「そう!っと話してたら見えてきたね。あれが世界で唯一、イースター島の長老会直々に許可を得て精密に再現されたモアイ像だよ!」
「モアイ……!」
「オカルト好きのロクラエルちゃんなら喜んでくれるんじゃないかなと思って、最初に寄るならここがいいんじゃないかなって」
「ありがとう水無月……!凄く、嬉しい」
キラキラと目を輝かせながら、目の前に並ぶモアイを見てロクラエルはそう言うと、とてとてと小走りでモアイに近づき、撮って撮ってとジャンプする。
「それじゃあ撮るよー。はい、チーズ!」
「あ!二人も居るのです!」
「ん、二人共、おかえり」
「おかえりなさい二人共。海は楽しめた?」
「砂浜は……なかったのです」
「……じゃのぅ」
「あはははは。まぁ次の機会にだね」
ーーーーーーーーーーーー
「よし、それじゃあお昼前だけどここらでちょっとお茶でもしようか。さっき外で思いっきり遊んだからね、水分補給と熱中症対策にでも」
「確かに、言われてみれば少し喉が乾いとるのぅ」
「いい考えだと思うのです!」
「それで、どこに寄るの?」
「ふふふ、実は次に寄ろうと思ってた名所の近くにいいカフェがあってね。さ、着いたよ。皆降りて降りてー」
水無月に言われるがまま、キャンピングカーを停めたカフェに三人は入ると、案内して貰った席に座りメニューを眺める。
「凄いのです!メニューがマンゴーだらけなのです!」
「朝水無月が言っておったが、マンゴーの名産地なんじゃのぅ」
「それに今は丁度マンゴーの一番美味しい完熟が食べられるタイミングだからね、せっかく来たんだから1度は食べとかないと!」
水無月がそういうと三人はなるほどと言った様子で納得しつつ、注文する料理を選び始める。
そして十数分の長考の末、ノルンはマンゴーパフェをヘグレーナはマンゴーソフト、ロクラエルはマンゴースムージーを注文する。
「お待たせ致しました。マンゴーパフェにマンゴーソフト、マンゴースムージーになります。残りの品も直ぐにお持ちしますので、少々お待ちください」
「ひえひえだ。美味しそう」
「これは助かるのぉ。しかし、妾達のだけ先に来てしまったの」
「みーちゃんは何頼んだのです?」
「ふふふ、それは見てのお楽しみだよ。ほら、溶けたりぬるくなる前に皆は食べちゃいなー」
「「「いただきまーす」」」
私のことは気にしなくていいからと水無月に言われ、三人はそう言うとそれぞれの前にある黄色や白のスイーツを口に含み──────
「「「んー!」」」
「あ。凄く甘い。美味しい」
「ですです!しかも凄く瑞々しくて、ただ甘いだけじゃなくて凄く食べやすいのです!」
「食感もやわっこくて滑らかで、クリームと凄まじく会うのじゃあ〜♪」
美味しさに目を輝かせながら満面の笑みで目の前のスイーツを頬張って居た。そしてその三人の前に水無月の注文していた品が届けられる。
「お待たせ致しました。マンゴーパフェとラテになります」
「パフェとラテ……なのです?」
「意外、水無月ならスムージーだと思った」
「なんなら甘い物大好きなお主の事だから、パフェにスムージーで来ると思ったぞ」
「どうしてその2つなのです?」
「ふっふっふっ……マンゴーは甘い、けどどうしても最後の方はその甘さにも飽きてきちゃうでしょ?だからこうやって……ラテで口の中をリセットしながら食べるんだよー。ん〜♪おいし〜♪」
「「……注文お願いしますっ!」」
「見事に乗せられてる」
こうして四人は完熟スイーツを堪能したのだった。
ーーーーーーーーーーーー
「「今度こそ!」」
「青い海!」
「白い砂浜!」
「そして」
「鬼の洗濯板!」
「「一つだけ物騒!」」
「というわけで青島に到着だよー!」
石畳のある道を真ん中に、左右に広がる白い砂浜とゴツゴツとした海岸の向こうに広がる青い海を前にテンション爆アゲだった二人は続く水無月のセリフにそう突っ込む。
「それで?せっかく凄くいいシチュエーションだったのに、なんじゃその鬼の洗濯板というのは。まさかあのゴツゴツの海岸か?」
「そうそう、ちょっと空から斜めに見てみればわかりやすいんじゃないかな?」
「ふむ。ほれ、ノルンや」
「?はいなのですぅぅぅうう?!」
こっちへ来いと手招きをするヘグレーナの方へ、自分?っと首を傾げながらノルンが近づくと、ヘグレーナは米俵の様にノルンを抱っこすると勢いよく空中へと舞い上がる。
「い、いいいっ!いきなり何するのですぅー!?」
「お主だけ飛べんのじゃから仕方ないじゃろう。っと、おぉ!これは確かに洗濯板じゃ!ほれ、ノルンも見てみよ!」
「うぅぅ……後で覚えとけなのですってわぁ!本当に洗濯板してるのです!」
「おぉ、これは洗濯板」
「お、ロクラエルも来たか!凄いじゃろうこれは」
「うん。これは凄い」
空中で下に広がる島の周囲の洗濯板の様に規則的にギザギザとした海岸を見て、三人はそう驚きで声を上げ合うのだった。
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