第13話変化
「リカ、バイトの予定は?」
「お盆の前に3日位休みになる予定だよ」
「そっか!じゃあ海に行こう夜中に出て、
な?せっかく水着も買ったし」
「海!!わーい!楽しみー♪」
私はライトの事は考えないようにしていた。
今はアキラとの時間を楽しむんだ、
アキラは最後の夏休み。
二人きり初めての彼氏、カップルらしい事たくさんしたい。
私には縁遠い話しだと思ってた。
彼氏と海か、
「おばあちゃん、今度は海に連れて行ってもらえるの!私嬉しくて」
「そうかい。梨花が楽しそうでなりよりだ
私もおじいさんと海に行った事があったよ。
この海の遠くおじいさんの故郷がある。
私は行った事はないけれど、
おじいさんが、故郷の話しを良くしてくれたから、まるで目に浮かぶ様に」
「おじいちゃんの故郷か、フィンランドだっけ?」
「あーそうさ。良い家柄の家系だったらしいよ、小さなお城があったって、今もまだ
残ってるみたいだよ」
私はおじいちゃんの故郷の事は何にも知らない、恋をして、おばあちゃんもおじいちゃんと恋をしたんだと思うと、なんだか詳しく聞いて見たくなった
「ねえ?おばあちゃん、おじいちゃんの
故郷の話し、私にも聞かせて」
「あーいいよ。まるでおとぎ話みたいなのさ」
おばあちゃんは話してくれた
おじいちゃんのそのまたおじいちゃんのおじいちゃん、遠い昔、白い小さなお城
商人だった主人は外国に良く行ったらしい。
昔は結婚相手は親が見つけて来た相手な事が多くて、恋愛なんて、今みたいには出来なかっんじゃ無いかって
大きなお城を持つ家の息子に娘がたいそう気に入られ縁談が決まったんだって
その娘はまだ、若く、結婚するのを嫌がったらしいと
だけど大きなお城にお嫁に行けるなんて
とても幸せな事で、
相手は娘に会いに良く小さな城へ足を運んだと、
だけど、その娘はその男に全く振り向かなかったと、
小さな城はお庭が綺麗で薔薇の花が綺麗に咲いていたらしい、
娘は薔薇の手入れをする庭師が同じ歳くらいで仲良くしていて、
それを知り
全く自分に振り向かない娘に腹を立てて
縁談の話しは無くなったと
だけど、娘はその後行方不明になり
必至にさがしたけど見つからず、
その後、庭師も姿をけしたんだと、
おばあちゃんは
「娘と庭師は駆け落ちをしたんじゃないかなとおじいさんが言っていたよ。
好きでも無いお金持ちの人より好きな庭師といたほうが幸せだろう。
きっと何処でひっそり幸せに暮らしたんだよ」
「ふーん。そうなんだ、お城の娘か」
おばあちゃんがきゅうに思い出したように
「そう言えば、梨花が産まれてしばらくしたとき、おじいちゃんが、行方不明になった
娘の肖像画に梨花が似てるって言ってたよ
恋をして行方不明にになった娘に似てるなんて、梨花もきっと素敵な恋をするんだろう」
「今もそのお城はあるの?」
「あー、おじいちゃんの話しだと、小さな白いお城に、沢山の赤い薔薇が咲き乱れ、
薔薇の城と呼ばれていたと、娘の恋の話しと共に、恋の城とも言われていたから
まだ残っているかもしれないねえ」
白いお城に赤い薔薇恋の城か、、
私はおばあちゃんの話にうっとりしていた。
私の家は古いけど
おじいちゃんのセンスで日本と外国が混ざった様な雰囲気の良い家だった。
私はこの家の独特な雰囲気が好きだった
いつか行ってみたいな、おじいちゃんの故郷
私は自分の家を見渡した。
ベッドに入り
.フィンランド
と検索して画像をみた。
不思議と懐かしい感じがした。
そして、おばあちゃんの話しを思い出していた
なんだか、不思議な気持ちになった、
薔薇の咲き誇る庭
庭師と消えた娘
忘れかけていた占い師の話しを思いだした、
娘は殺された?庭師は後追い自殺をした。
まさか、
私は赤い薔薇が好きだけど、特別意味がある訳じゃない。
そんなの、こじつけだ。
私は薬を一錠飲んで
眠りについた。
朝、いつもと同じ
今日はトーストに目玉焼き。
おばあちゃんが、頭にメガネをつけたまま
メガネを探していた。
私は笑って
「おばあちゃん、頭、頭!」と言った
おばあちゃんは
「あら、私も歳ねえ」と言った
おばあちゃんは17で息子を産んだ
だからまだ若い、
私はバイトに行く支度をした。
出かけようとすると
また、おばあちゃんが頭にメガネをつけて
メガネを探していた。
「おばあちゃん、頭!」
「あれ、まあ」
私はなんだか心配になった
バイトはメニューを聞く係り
左手の親指はまだ突っ張った感じで上手く動かないけど、仕事に支障はなかった。
今日はパフェを作るのもお願いと言われて
パフェの作り方を教わった
ワクワクした。
パフェって可愛い。最後にイチゴを乗せる
仕事も慣れてきたし。
バイト先の先輩も優しい。
エプロンも可愛いし。
何よりお昼に、好きなメニューを頼める
グラタンが美味しい。
夕方まで働くと、アキラの家により
夕食を作り少し話しをする。
アキラはいつも新しいのを見つけたからと言っては
洗剤やシャンプー家庭用品を家の分まで買って来てくれる。
お金がないと指を切り落とそうとしたんだ、
アキラなりに考えてくれた、私の家を支えてくれる方法だった。
アキラは
「車があると、荷物がたくさん乗せれるからな、ついつい買い過ぎて、持っていけよ」と言ってくれる。
私は
「ねえ、おばあちゃんが今朝2回も頭にメガネをつけてメガネを探してたの。私なんか心配で、、」
アキラは
「リカのおばあちゃんだな!リカだって天然じゃないか?」と言った
アキラは車で送ってくれて
大量の家庭用品を家まで運んでくれた。
おばあちゃんは
「あらまあ、こんなに、いつもすいません。
ちょっとお茶でも上がって召し上がって」と言った。
アキラは
家の中を見渡し
「古い洋館みたいだな。暖かい感じがするよ」
おばあちゃんはお気に入りのティーカップに紅茶を入れた。
そしてなんだか懐かしいそうに話しだした。
私は結婚が決まっていたのに、あまり日本語が話せ無いおじいさんに会って
日本語を教えたんだよ。
薄い茶色の瞳でね。一生懸命日本語を覚えるおじいちゃんに恋をしてしまってね。
いつもおじいちゃんと一緒に喫茶店で話しをしていたんだよ。
おじいちゃんが私をどう思っていたのかはわからないけど、私は結婚を断りね。親にそれは怒られてね。
しかも、外人さんだ、白くて、髪も金髪で
背が高くてね。周りの友達には嫌味を言われたもんさ。
だけど、あれは嫉妬だよ。
おじいちゃんはそれは男前だったもの、
私みたいな農家の娘には釣り合わない
だけど、おじいちゃんといる方が幸せだったからね」
おばあちゃんはゆっくりとした口調で話した、
まるで、今もまだ恋をしている。
アキラが
「素敵ですね」と言うと
おばあちゃんは嬉しいそうに笑った。
家には私が赤ちゃんの頃からの写真がたくさん棚の上に飾られている。
もちろん、家族写真も
アキラは丁寧にひとつづつ見た
ウチには蛍光灯がない、オレンジ色の緩やかな電気だけだ、
おじいちゃんが蛍光灯をまぶしがっていたから。
写真をゆっくり見るアキラの後ろ姿は間接照に照らされていた。
おばあちゃんはアキラの背中をじっと見て
「ジョシュ、、」と言った
おじいちゃんの呼び名だ、
アキラには聞こえ無かったようで、
おばあちゃんはまるでタイムスリップしたように、愛おしそうにアキラの背中を見ていた
私はそんなおばあちゃんを見ていた
今でも、好きなんだなと思いながら
アキラは背が高いから
おじいちゃんに似て見えたのかな?
アキラは
「ご馳走様でした。」といい帰って行った
私がお風呂から出ると
ロッキングチェアに座りながら
おばあちゃんが紅茶を飲んでいた
「梨花、今日おじいちゃんがきたよ、
懐かしそうに梨花の写真をみていたよ」
と言った、
幸せそうに話すおばあちゃん
私は、否定せず、話しを聞いた
「いつも、ミツを守るからって
側にいてくれって言ってたんだ。まだ、私を心配しているよ。私はいつも側にいるのに」
私はおばあちゃんの若い頃を想像していた
おじいちゃんに大事にされていたんだね。
私はベッドに入っためずらしく夢をみた
白いお城に薔薇の花、若い男女が二人
幸せそうに話していた。
さあ、今日もバイトだ、あと少し頑張ったら海に行ける。
私もおばあちゃんみたいに恋愛しよう。
駅からアキラの家までは、歩いてそう遠くない。
アキラと出会う前と同じ道なのに。まるで違う景色みたいだった。
途中、川を渡り、河原の公園を眺めた
ライトの事を思いだした。
河原で泣いた事、薔薇の花の事、占いの事
嫌な事もまた、思いだした、ハサミで切られた事、だけど、そんな嫌な思い出もどうでも良くなるくらい、河原の景色が綺麗に見えた、
オレンジの空、雲の隙間から紫が覗き。
私は前の私とはもう違う。
「リカ!遅いから心配したら、川見てどうしたの」アキラが迎えに来た
「いや、なんかこの河原から始まった様な気がして、もう、あの頃の私より、私変わったかなって」
「そう?あの頃のリカだって可愛いかったよ」
「オレの方が変わったと思うな。誰かを守りたいとか、側にいてほしい、なんて思ったりする事なかったもんな、暖かいって感情なんて知らなかったし」
私はアキラの手を握った。このまま、
おばあちゃんみたいにずっと幸せな気持ちでいられると思った。
「海の準備しよう?ね!」
アキラの家で海の準備をした、海に行った事の無い私は何を準備していいのか分からなかった。
アキラは
日焼け止めやテント、色々揃えてくれた
「はい、リカ用」
渡されたのは子供用の砂遊びセット
「なんで〜」
「大丈夫!リカ絶対つかうから」
「あと、ほい!お揃いのサングラス!
日焼け防止はサングラスでしょ!」
「もしかして、またブランド品?」
「いーの。オレに似合うサングラスだから」
「あー、あとコレおばあちゃんに」
箱に入っていた。
「写真立て、フィンランドのものだよ」
アキラは、小さな気遣いがとても上手い
「朝4時に迎えに行くから、早く帰ろ」
私はアキラに送られ帰宅した
「おばあちゃん、朝4時に家でるね!
あと、コレ、フィンランドのなんだって
何か写真飾ろう」
おばあちゃんは写真たてを手にとると
じっと眺めていた。
私はまた薬を一錠飲んだ、遠足の前の子供見たいに眠れない。
ホットミルクを作って飲もうと思い
キッチンへ行った、
棚に新しい写真立てが飾ってあった、
見てみると、
おじいちゃんの若い頃の写真が入ってた。
私は暖かい気持ちになった。
おばあちゃんが少女のようで、可愛く思った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます