第8話綺麗な人

「マリナ?」

ライトは血相を変えてトイレから出てきた


私はあまりに綺麗な人に思わず見惚れていた


「アキラ、ごめんね、マリナ色々考えたの

中々会えないからってワガママばかり言ってアキラは高校にもちゃんと行ってるんだもんね会えないのは仕方ないわよね

心配で束縛ばかりしちゃって

だから

アキラの家にしばらく一緒に住むわね、そしたら心配しなくていいものライト君もちょうど来月アメリカでしょ?その間アキラと一緒に居る事にしたの」


私は、マリナさんがアキラの元彼でモデルさんなのは分かっただけど、来月ライトがアメリカ?


「リカ!リカ、俺の部屋に入れ」

ライトに呼ばれた私はライトの部屋にささっと入って


私は小さな声で、

「来月アメリカに行くの!?」と聞いた


ライトが

「七月から夏休みの間だけだ、大会があるんだよ」


私はすごくホッとした、ライトがいなくなっちゃうのかと思った

3か月位かなでも寂しいな

と、思った


部屋の外でアキラとマリナさんが話してるのをライトと静かに聞いていた


「マリナ、別れたんだよ俺はよりを戻すつもりも無いし会えないからとか関係ないんだだから一緒になんて住めない、悪いけど帰ってくれないか」


「なにそれ?こんなに荷物を抱えてわざわざやって来たのに、アキラの為なのに

私と付き合ってたらアキラに仕事だって紹介できる雑誌で堂々とカップルの撮影だって出来る話題にもなるアキラにとっていい事ばかりじゃない!」


「マリナ、オレもう新しい彼女がいるんだ

今はその彼女がモデルの仕事より大事だから」


私はなんだか、惨めな気分になった

アキラが言ってくれてる事は嬉しくて幸せでだけど、あんなお人形さんみたいな綺麗な人と、付き合っていたのに、今の彼女が私?ちんちくりんで笑われちゃうアキラに似合わない



「まさか、優里?新しい彼女って

グラビアの優理?噂あったもんね、仲良かったし優里もアキラにべったりだった

ふざけないでよ

優里の方が有名だから?売れてるから?」


「違うよ、リカおいで」

私はライトの部屋から出ていく勇気がなかったライトが私の手を引き部屋から連れ出した


「リカ、オレの今の彼女」


「え?ちょっと、冗談言わないでよ、ただの

高校生じゃないこんな子と付き合う訳ないじゃない、バカにしてるの?笑わせないでよ

そんな嘘に騙されて帰ったりしないから」


私は惨めな気持ちでいっぱいだった

マリナさんの言うとおうりだ私が彼女なんて誰も信じない、笑っちゃう私が彼女な訳が無い

レベルが違いすぎる

私は目が覚めたような気がした

そうだマリナさんはお似合いだ

私が彼女なんておかしい、たまたま怪我したりして、助けてくれただけだ何、本気でか彼女面してたんだろう?そりゃあ、他の

女子達にバカにされて当然だ


私は荷物を持って逃げるように部屋を出た、ライトがリカと呼んだ声がしたけど


私は走った


ライトが追いかけてきた

「なんで?逃げた?」


「だって

マリナさんの言う通りじゃん

私がアキラの彼女なんておかしいよ

釣り合わない勘違いだよ私勘違いしてたんだよ、他の女子に馬鹿にされて当たり前だよ、おかしいもん

モデルのアキラの彼女がフツーの高校生でしかも私だなんて」



ライトはしばらく黙ってた

そして

「リカがそんな事言ったら、アキラが悲しむよ?リカはアキラが好きじゃないの?」


ライトにその質問をされるとわからなくなる

だって、いつもライトが側にいる事の方が多い


ライトは

「アキラは本当にリカが好きだよそりゃあマリナはモデルだし綺麗な人だけど、好きな人じゃないよ綺麗だからってだけじゃ好きにならないよ」


「ライト?付き合うなら綺麗な人の方がいいでしょ?」


「まぁね綺麗な人の方がいいけど、好きになる人はそれだけじゃない

それに、リカは綺麗だよ」


私は黙ってしまった


「アキラと釣り合わないのがそんなに気になるなら俺と付き合えよ

なんてな、俺たちは友達

掌、握手したもんな」


私は自分がワガママで嫌な女だと思った

アキラに大切にしてもらってる

ライトはいつも助けてくれる

もったいない、私なんかがなのに

グズグズいうなんて

私はライトと部屋へ戻った


ドアを開けるとアキラが

「ライト!!」と大きな声をだした


部屋の中はぐちゃぐちゃになっていて

マリナさんは正気を失っているようだった

よく見るとマリナさんは

手に小さなナイフを持っていた

アキラの腕は何か所か軽いキズがあった


私は心臓がドキドキした

ライトがマリナさんの後ろからマリナさんを抑えこみナイフを取り上げた


マリナさんは

泣きながら

「アキラと離れるならアキラ殺してマリナも死ぬ

なんで、こんな普通の子に私が負けるのよ」


マリナさんは少し冷静になってきた

私の顔をじっと見た、そして急に顔色を変えた



「アキラにはこの位の子がお似合いよ

私はアキラなんかよりレベルの高い人と付き合うべきよ、バカみたいアキラなんて大したモデルじゃないじゃない?」



手に入らないと分かるとさっきまで好きだった相手を憎む

私はそれを目の前で見た

どうして?好きな人なのに自分の物にならないと憎しみがわくの?本当に好きなの?

私はその気持ちがわからなかった

まだ私が恋に未熟だからなんだろう

私も誰かを好きになり憎む日が来るのだろうか?


マリナさんは

さっさと帰って行った


部屋はめちゃくちゃで黙って三人で片付けた

ライトが

「腕が痛いだろ?無理するなよ」

と小さな声で言った


私は下のコンビニに絆創膏を買いに行った


片付いた部屋で、なんだかとても疲れて座りこんでいるアキラの腕のキズに絆創膏を貼った、アキラは何も言わなかったライトも黙ってただ片付けていた

昨日から

まるでウソみたいな出来事が続いてあまり実感がなかった、だけど、なんだかどれも大した事ない様に感じたたまたま重なっただけ

大した事じゃない


アキラはしばらく黙ったままだった

私は


「マリナさんて本当に綺麗ね雑誌で見た事あるけど、実物の方が全然綺麗だった

足、長かったな

生でモデルさん見ちゃった私ラッキーじゃない?

マリナさんアキラの事すごく好きだったんだねだけど、あんな綺麗な人振ったなんて

アキラすごいんだね?」

私は笑って見せた



オレはリカがアキラに話す事を黙って聞いてたリカはマリナにバカにされたのに

マリナが綺麗だったって笑って話すリカ

嫌味じゃ無い、本心なんだリカはそうゆう性格だ麗華の事も他の女の子の事も、リカは悪口を言わない

リカはわかってないそうやって

優しく笑って、絆創膏を貼るリカは

誰より綺麗だ、ほかの子からはあざとい、ズルいって思われるんだろう

だけど、リカは自然に居るだけなんだ


「リカ、、俺とライトと関わるようになって酷い事ばかりだよなごめんな俺たちがリカと関わらなければこんな目に合わなかったのに、きっと」


アキラが悲しそうに話した

リカは笑顔で

「全然違うよ、アキラ

私、元々女子から嫌われてたし一人だった

学校楽しくなかったし

だけど、アキラとライトと知り合って

すごく楽しくなったし

少し素直なれるようになったんだよ

ホラ見て!ショート前より似合うでしょ?

ね?前よりちょっとだけ可愛くなったでしょ?

もー、アキラでもライトでもいいから

ショート可愛いって言ってよ!私は、

気に入ってるんだからー」



アキラはリカの頭をポンポンと叩くと

「めっちゃ可愛い」

と言った


リカはニコニコ笑った

そうゆう所なんだよ、リカ

オレは気を遣って笑ってるリカを見ると胸が苦しくなる本当に笑顔でいてほしい

その為ならオレなんでもするよ



なんだか嵐が去って行ったようだった

私は気分を変えたくて

「お昼私作るから2人食べてよいつも

コンビニじゃん」


アキラが

「道具も、調味料もなんもないぞ」


するとリカは猫のように


「買って!ねえ?買ってよー」

と甘えてアキラに言った

こわばっていたアキラの顔がゆるんで


「色々キッチン用品買うか?な?ライト」

そう言って3人で買い物に行った

炊飯器すらない


リカがどんどん必要な物をカゴに入れた

スーパーで、食材も慣れた感でささっと

買い物をした


リカは

本当に出際よく

まな板をトントン鳴らしながら、歌を歌って料理をした

リカの歌声は初めて聴いた


足でステップを踏みながら気持ちよさそうに歌いながら包丁を握る姿に

アキラとオレは顔が緩んだ

あっとゆうまだった


唐揚げとポテトサラダ、浅漬け、お味噌汁

白米


オレ達は差し入れでもらう弁当は良く食べるけど、目の前でごはんを作ってもらうなんて

役所の人以来で何年ぶりかもわからない


リカは

「どうぞ、めしあがれ」と言った


俺たちは

「いただきます」と言った

どれも美味しくて


なにより暖かい手をかけてもらった暖かさ

母親の顔なんて覚えてないオレは

リカが

「美味しい?」と優しく聞いてくる声に

胸が熱くなった


リカは二人ともコンビニばかりだもんね

体に良く無いなと、ブツクサ言っていた


するとまたキッチンに戻り何かまた作り始めた

また、鼻歌じゃなくて、きっちり歌いながら

そんなリカを見てオレ達は笑った


リカはハムスターみたいに、ほっぺを膨らませ怒った、片手にオタマを握りながら


「煮込みハンバーグとミネストローネ、作って置いたから夕飯に食べて」



普段料理しない子が差し入れてくれるお弁当と違う


おばあちゃんと小さい頃からキッチンにあたり前に立ってきた、家庭の味だ


アキラはリカを送って行った腕が痛々しかった


アキラは帰ってきて

リカのハンバーグを見ながら


「参ったなー」と言った


「痛々しい腕して明るく歌いながら

こんな美味しい料理作ってくなんて

ただただ愛おしい気持ちが大きくなって、、辛いな?」


アキラはオレに共感を求めてきた

オレも同じだった

守ってやるって思いながら守られて大切にされてるのは俺たちな気がした

リカの母性見たいのに甘えていた気がした


腕を切られ髪をショートにして

アキラの元カノが来て

色々あった

だけど歌って、たくさんの唐揚げを作って

大きなハンバーグを置いて行った


アキラが

「なんか、リカには敵わないな」

と言った

オレは

母親は強いって言うけどこんな感じなのかな?と思ったリカの子供はきっといい子になるだろうな


だけど、震え怖がり薬を飲むリカとのギャップに、守ってあげたいとゆう気持ちはさらに膨らんだ


アキラは彼氏


オレはリカの護衛になろう、そう強く思った


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