第2話 始まり

 音楽室の前の薄暗い廊下

音楽室の中には人気のある三年の男子の先輩達がいる。


 ざわつく一年の女の子達、

廊下掃除の女の子達は三年の男子の先輩に話しかけたり、写メを撮ってもらったりしていて、黄色い声が飛ぶ


 私は緑色の廊下を1人モップで拭くその黄色の輪に入る勇気はなかったから

内心羨ましかったのに、興味の無い振りをした、惨めな気持ち

 素直になれない、私だって話しがしたい。

 写メとか撮りたいでも自信も勇気もない、


「バシャ!!」

 バケツにぶつかり、派手に転んだ、誰も気がつかない


「痛、、、」

 小さな声で呟き、溢れた水をモップで拭き取ろうとした足首が痛くて上手く立てない

 情け無い、惨めな気持ちで誰にも見られたくなかった


「あー、あ、大丈夫?」

 三年生の先輩だ、私は、はずかしくて


「大丈夫です」

 相手の顔を見ないようにして急いで立とうとしたらまた転んでしまった

 もー笑われる前に早く立ちたい


「ほら」

 腕を持ちあげられた、また私はふらつき、すると


「しょうがねーな」と聞こえると

 フワッと抱きかかえられた



「軽?!」

 頭の中が真っ白になった


「医務室つれてくから、それでさ捕まってくんないと、抱えるのしんどいんだけど」


 そう言われて

「すいません」と言って

 私は、その人の首に捕まった、医務室までは距離がある

 人が見てるのはわかったけど、顔を埋めていた


 いつも緑色で薄暗い廊下がなんだか黄色く感じた

 そして真っ直ぐな廊下はいつもより長く人もいつもより多く感じた


 医務室に着いて先生に見てもらい

大した事は無いと湿布を貼ってもらった


 医務室の先生は報告に職員室に向かった


 私は改めて顔を上げ


「あの、ありがとうございました」


 そう言うと


「一年でしょ?名前は?」

 私はやけに大きな声で

「田中 梨花 3組です」と、言った


 するとなぜか爆笑され

「オレ、3-2 アキラ」

「リカ、彼氏いんの?」

 私はポカンとした

「い、いません」


 すると私の頭をぐしゃぐしゃと撫でると

「じゃあ、今日からオレの彼女ってどう?」


「から、からかっているのですか?」

 私は訳のわからない返し方をしてしまった



「いや、本気で言ってるんだけど嫌?ちなみに

 今、返事ちょうだい!10.9.8.7.6.5.」


「は、はい」


 爆笑された


「天然?」


「違います。天然じゃないです!でも、あの

 さっき私の事知りましたよね?」


 さすがに私もちゃんと聞いてみた


「廊下掃除になった時から知ってるよ!いやー

 さすがに、さっき見かけた子に彼女になってとか言わないし抱いて運ばないし、そこまでチャラくない

 気に入ってたんだよね?

名前知らなかったけど、、

ずっと見てたから」


 私は頭がポーとした。黄色い輪の中に入れなくて、1人で掃除してた私を?

 見てた?


 私はすごく遠くからチラ見してましたけど


「じゃあ、放課後クラスに迎えに行くから

 一緒に帰ろ!オレ裏にバイク止めてるから

 じゃあ、放課後ね!」

「ちゅ」


 ほっぺにキスされた


 先生が戻り、怪我した場所や時間など書くと

 私はポーとしたまま、足を引きずり

 教室に戻った、私が転んだ所を見ていた子達から、どうした?どうした?聞かれたが

 私は湿布の事しか言わなかった、ポーとしたままだったし。まだ、自分でも信じられなかったから


アキラは背がとても高く、色が白くて

清楚な今風の綺麗な黒髪に凛々しい瞳

に優しい笑顔だった


 放課後になり、ドキドキしていた

「リカー?帰るよー」


 本当にアキラは来た、クラスはざわつき、どうゆう事?などと聞こえて来たが、緊張が上回り

 荷物を持ってアキラの所に向かうとゆう

 行為で、精一杯だった


「はい、手!」

 私は出された手に、手を乗せたアキラは

「お手、みたいだぞ?犬か?普通は、握るだろ?

 なにのせてんだよ?」


 私は固まってしまった

恋愛経験が無さすぎる


 クラスの子の注目を集めている

 教室から下駄箱までは真っ直ぐ

いつもと違って見えたなんだか不安でいっぱいで

だけど繋いだ手があったかくて守ってもらえてる気がしてとても安心した


 バラバラの下駄箱に行き、靴を取ると

また当たり前に手を出して繋ぐ、ヒソヒソ話す人達の目線を感じる、裏にバイク止めてあるって言ってたな


 普段行かない暗い学校の裏なのに

ワクワクとドキドキで胸がいっぱいだった


 外国の映画に出てくるみたいなバイクだな

「はい、メット被って」


 いつも2つヘルメットあるのかな?歴代彼女が使っていたのだろうか?

頭がくらくらした

「うわ、お前頭小っちゃ!ブカブカだな

 よし、お前用のお子ちゃまメット買っとくな」


「てか、バイク乗った事ある?」

 私は激しく首を横に振った、振ったせいで、ヘルメットがグラグラ揺れた


「おい、首取れるぞ?リカ?飽きないな

 俺の腰に手を回してしっかり掴まっとけよ!

 ゆっくり走るから、あ、コンビニよろう」


 そしてバイクはゆっくり走り出した、ちょっと怖かった、初めてだった落ちそうで不安でしがみついた風が強くてアキラさんの背中に隠れた、あっとゆうまにコンビニについた


 アキラさんがヘルメットを外してくれた下ろしたままの私の髪はグラグラ揺れるヘルメットでグチャグチャのボサボサになった


「あー、髪ぐちゃぐちゃになったな」


 私は黙って頷いたコンビニに入ると、

「なに飲む?」と聞かれ


「ミルクティー」とすぐ答えると


「子供みたいだな?俺の弟みたいだ」

「弟さんいるんですか?」

 どうりでお兄さんポイと思った、大人っぽいし面倒見良さそう


「リカと同じ学年だよライト知らない?」


「知らないです」


「そっかクラス違うもんな」


 コンビニの上はアパートで


「ここ、弟と2人暮らしだからでも

部屋は分けられてるから、プライベートは守られてるの」



「上がって」


「お邪魔します」


 高校生の男の子2人暮らしとは思えないほど片付いていて、広くて、オシャレな部屋だった


「リビングは共同、小さい寝室が二つ、こっちオレの部屋、どうぞ」

 ベッドとサイドテーブルだけの部屋、棚に綺麗に服が収納されてる

「オシャレなんですね?」


「そう、オシャレで綺麗好きで高身長でイケメンなのちなみに、頭もいいんだよ」


 私はまたポカンとした、ん?なぜ?私はそんな人の彼女に??からかわれている?

 まあいいや、高校生初めての彼氏、騙されても青春!!私はなぜか急に楽観的になった


「ところで、アキラでいいからね、さんは

 いらないから」


「はい」

「あ、あの私もおばあちゃんと2人暮らしです」



 私はニコニコ笑って言った

「なー笑って言う話しじゃないぞ、普通はちょっと悲しい話しだぞ」


「同じだったから、つい」


 アキラは笑った。

「足は?」


「全然大丈夫です」

 私は元気いっぱい答えた


「普通は痛いの、とか、まだ歩きにくいの!とか言って、弱い女の子アピールするのに勝手に無理する事覚えてきたのね?オレもそうだもん親居ないからな、甘えられないもんな

 なあリカ?オレには甘えていいんだぞ、彼氏なんだから」


 私はなんだか、初めて言われた言葉に、今まで我慢してた物や思いが込み上げて

 涙が自然と流れた


 アキラは私の頭をポンポンと叩いて

「もう大丈夫」と言った

 そして、

「初めての彼氏の人ー?手上げてー?」


 私は

「はい」と手を上げた


 アキラは

「やっぱり」と言った


 そして、私を持ち上げると自分の膝の上に乗せた

顔が近いー!ミント食べたい近いと気になる

するとアキラはミントを何粒か口に入れた


「リカも食べたい?」

「食べたい」

 私は食い気味に答えた

「これ、1番辛いヤツだけど平気かな?」

 すると私の後頭部を手で支えると

 ミントを口移しした

 もちろん私は固まり顔が真っ赤になった

 すると、アキラは私をギューと強く抱きしめて

 「可愛い」

 と呟いた。私はギューと誰かにされた記憶が無い、すごくホットして、嬉しくて、、

 体の力が抜けた、このままギューとされたまま殺されてしまいたいな、なんて思った

 アキラは急に


「やっぱり無理、我慢しようと思ったけど

 全然無理無理、可愛いすぎ」

 そうゆうと、私をベットに横にした


「初めてなんだよね?」

 私は激しく頷いた

 アキラは

「大丈夫、オレの事信用して、力抜いててね?」


 そんな事言われてもめちゃくちゃ力が入る

 緊張する、さっき付き合ったばかりなのに

 だけどアキラはゆっくり手を握り、キスをして抱きしめてた

裸どうして抱き合うとこんなにあったかいんだ

それに人の肌って気持ちがいいすべすべしてて、いい匂い

 少女漫画のワンシーンみたいだった、カーテンが揺れ隙間から光が入るアキラの手は細く白くて綺麗で、何度も私の顔を覗き込んだ

 ゆっくり優しくて温かくてだけど痛い

 色んな感情が混ざりすぎて、涙が溢れた、

 アキラが涙を舐めた

「泣き虫」


 アキラがイタズラな顔で言った

 私はそのままアキラに頭をナデナデされていたら寝てしまった

 なんだか、すごく良く寝たアキラの身体がずっと温かくてくっついていて安心した、安心しながら寝たのはいつぶりだろう?

 このまま眠っていたい


「リカ?暗くなって来た、おばあちゃん待ってるんだろ?」


 そう言ってから送ってくれた


「リカ?大切にするから、オレの側にいて」

 私は頷いた。

そして、自分の行動に改めて驚いた

初めて会った人、優しくされ、彼女になり

初体験をした。

一日で私が想像していた三年分くらいの事をしてしまった。

「軽い、馬鹿な女だと思ってるかな?」





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