第19話 孤児院
日が落ちる前に、スレイロンに到着することができた。
キロたちは孤児院で生活しているとのことでついていくことにした。
大通りを歩き、途中で小道に入ってからは道がわからない。
結構複雑な構造になっているみたいだ。
はぐれないようについていくと、遠くに教会のようなものが見える。
「ここが俺たちの孤児院があるセレーネ教会だ。セレーネ教会のシスターが俺たちのお世話をしてくれているんだ」
大きな建物だが、立てられてから結構な月日がたっているのか、ところどころにほころびが見える。
「あなたたち、遅かったわね。何かあったの?」
ローブをきた女性がキロたちに話しかける。
「シスターごめん。魔物に囲まれて危ないところをソラ達に助けてもらったんだ」
「無事なのね?よかったわ。ソラちゃんありがとうね」
シスターはケガがないかキロたちに近寄り確かめていた。
ケガがないと知り安心したのか俺たちに礼をする。
「助けられてよかったです。キロ、これお前たちの荷物ね」
「ありがとう。今日は助かったよ。夜ご飯がもうすぐだろうし、一緒に食べていかないか?」
「あー……」
「それに子供たちにテトモコシロをみせたいんだ。ダメか?」
「……しかたがない。いいよ」
お詫びにということであれば辞退していたよ。うちの子たちよく食べるしね。
それに恩着せがましくするつもりはない。
だけど、子供たちにみせたいと言われれば断りずらい
フィリアの件もあり、テトモコシロが街のアイドルとなっている現状で、見せないのは子供たちにも悪い。
俺たちは教会の隣にある孤児院へと入る。
孤児院は木造で、教会よりもすこし汚れているように見える。
キロの話では三十二人が生活しているとのことだ。
一番小さい子で三歳。大きい子で十四歳だ。
十五歳になる年で孤児院を出て独り立ちするらしい。
多くは冒険者になるが、お手伝いで働いている商会にそのまま就職することがあるそうだ。
孤児院は保育園みたいな役割もしており、両親が冒険者で日中面倒を見れないときに預けることができるらしい。
そして、そのまま両親が亡くなり戻ってこなくなった子供が孤児院で生活していると。
孤児院に入ってすぐ、テトモコシロを見つけた子供たちが集まってきた。
集まった子供たちをうちの子たちを見て興味津々だ。
「お前たち、この子たちがびっくりするでしょ。大声ださないの」
赤髪のマリーが子供たちをいさめる。
「黒猫のテト。黒犬のモコ、白キツネのシロだ。仲良くしてやってくれ」
そういうと、子供たちは我先にとうちの子に近づき挨拶をしていく。
子供の勢いはすごいな。
あっという間にうちの子が囲まれてしまった。
「あなたたち、ご飯ができるまで静かに遊んでいるのよ。今日はこの子達もいるから、いい子にしててね」
「「「はぁーーーい」」」
シスターがそういうと遊びに戻っていく。
ティナも遊びに加わりたいのかもじもじしていたので、うちの子たちをつけて遊びに向かわせた。
俺はシスターに呼ばれたので、教会へと向かう。
「ソラちゃんごめんなさいね。噂の従魔がいきなりきたから、みんな興奮しちゃっていて」
「いいですよ。いきなりきたのはこっちですから」
「今日はキロたちのことを助けていただきありがとうございました」
「お気になさらず、あ、これよかったら使ってください。」
今日狩ってきた角ピッグをシスターに渡す。
「こんなにいただけませんよ」
「いえ、キロたちに冒険者のことでいろいろ教えてもらいましたからそのお礼です。保管するところとかありますか?」
「大容量の冷蔵庫が四つありますのでそれは大丈夫ですが」
「それはよかった。ちなみに寄付ってできます?」
「寄付を受け付けていますが、セレーネ教会でよろしいのですか?セントリック教会の方が信者の方が多いので、もしかしたら間違えているかもしれません」
「あれ?神様って複数存在するのですか?」
「セレーネ教会の教えではセレーネ様ただ一柱のみですね。セントリック教会の方では神と言われる存在は定義されておりません。聖女と呼ばれる回復魔法に秀でた象徴が存在しており、人々の病や、こころの病を治すために布教された宗教です。人と人は助け合わなければならないという教えで、聖女が考案したポーションを普及し、ここ百年ぐらいで信者の数を増やしています」
「へぇー。じゃあセレーネ教会であってますね。神様には感謝しているので。」
ほいっと金貨五十枚が入った袋を手渡す。
今持っているほぼ全財産を寄付する。
明日はギルドでお金がもらえるから問題ない。
神様にはこの世界に連れてきてもらって感謝しているし、本当にテトモコを俺のもとに送ってくれて感謝している。
偶然だが、教会にもこれたし、これもなにかの縁だ。感謝の印として受け取ってほしい。
「こんなに寄付を……ソラちゃんのお家は大丈夫なのですか?ご両親がお渡ししているお金だと思うのですが……」
「これは自分で稼いだ金だよ。両親には追放されてからあってない。俺たちはお金に困ってないんだ。だから気にせず孤児院のために使ってほしい」
「追放……そうですか。ならありがたく使わせてもらいます」
シスターは袋を保管するために部屋をでた。
俺は天を仰ぎ、目をつむって祈りをささげる。
「神様、教会に来ることができました。感謝の印として寄付しときます。できることならば、ぜひカメラをご再考していただければ助かります」
目を閉じ、神様からの返答をまつ。
数分して扉が開く音がなり目を開ける。
「ソラ、ごはんだって」
「にゃーー」
「わふ」
「きゅうー」
神様の降臨ではなく、天使たちだったか。
ちっ、教会でも神には届かないのか。あきらめよう。
そのままうちの子たちについていき、食堂につく。
食堂に入ると、キャーキャーとした黄色の声に溢れかえっていた。
長机に比較的年齢が高い子が座っており、その横に足の短いテーブルがおかれている。
その短いテーブルには、ティナぐらいの年齢の子が座っており、お兄ちゃんお姉ちゃんであろう子たちがお世話をしている。
「ティナ、俺たちもあそこのテーブルに座ろうか」
「うんっ」
「きゅ」
近くの子供たちと話しつつ食事を待っていると、シスターと子供たちがプレートをもってやってきた。
「みんなお待たせ。こぼさないように食べるのよ。今日もセレーネ様に感謝をしていただきましょう。手と手を合わせてっ」
「「「いただきます」」」
食堂内に元気な声が響き渡る。
今日の食事内容はパンと肉と野菜のいためたやつ、スープの三種類だ。
うちの子たちの皿には肉がモリモリに乗せられている。
「今日はお肉の日だー」
「そうよー、キロたちとソラちゃんたちがお肉をとってきてくれたのよ。ありがとう言いましょうね」
「「「ありがとー」」」
シスターの声で一斉に子供たちの視線が俺たちに集まり、お礼を言われる。
ティナは恥ずかしいのかもじもじして俺の右腕につかまっている。
テトモコシロはドヤっと背筋を伸ばし、感謝の声を堂々と受け入れているな。
ほんとほめられたときはお調子ものなんだから。
ワイワイとした空間で晩御飯も食べ終わり、俺たちは孤児院を後にする。
「今日はいっぱい冒険できたねっ」
「そうだな、ティナは楽しかったか?」
「たのしかったのっ。みんながドーンって魔法使うのかっこいい」
「ティナも回復魔法うまくできたな」
「うんっ、いっぱい練習するー」
「回復魔法を教えてくれる人を探そうか」
「うんっ、おねがい」
宿につき、ベットに吸い込まれるように俺たちは就寝した。
筆者より。
今日は祝日のため、もう一話19:00に投稿します。
フォロー☆♡をもらえると筆者が喜びます。
では良い休日を。
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