第12話 スクラップ置場

 アルビン一行はデータセンターからトラベーターでM0区域まで移動し、そこからスクラップ置き場のM0-11付近まで徒歩で移動した。

 「まず、私が中に入って安全を確認して合図したら二人も続いてくれ。」

 ルイーザとジェーンは無言でうなずいた。

 入口らしき開口部はところどころ破損しているものの人ひとりが十分通れるくらいの隙間がありアルビンはそこから室内に侵入した。

 中は照明もつかず真っ暗でスマートウォッチのライトで照らした。

 中は大小さまざまなスクラップが積み重ねられ、ほぼほぼアルテミス建設時に余った中途半端な部材であった。

 彼は十分な空間もあり安全性を確認すると、二人に入って来るよう声をかけた。

 「やはり、通信はできないようね。」ジェーンは端末を操作しながらつぶやいた。

 「埃にクラブが通った跡がある。」

 三人はその跡をたどって奥へと進んだ。

 3つ目の部屋の真ん中に大きな穴を見つけた。

 クラブの足跡はその穴で途切れていた。

 「ジェーン、中を探索できるか。」

 「ええ、私のクラブを使ってみるわ。」

 ジェーンは黒いリュックに作業に必要な物を持参しておりその中には予備もあわせて3台のクラブを持参していた。そのうちの一台を取り出し電源を入れて探索モードに設定すると穴の比較的傾斜の緩やかな面に静かに滑らせた。

 クラブの赤外線カメラの映像はジェーンの端末でリアルタイムに見ることができる。

 三人は端末の小さなモニターを覗き込んだ。

 「何もないな。」

 中は単なる穴が続いているだけで特に不信な物は見当たらない。

 クラブの映像は数分したところで行き止りとなりそれ以上は進めなくなった。

 ジェーンは何やら端末の操作を始めた。

 「見て。表示を温度センサーの情報に切り替えてみたら温度が高い部分があるみたい。」

 確かにクラブがUターンするときにある方向に向いた時、モニターの温度分布は少し高い事を示すピンク色をしていたのである。

 温度が高い所は穴はあいてはいないが掘って埋めた跡があり測定では硬度はスチール程度ということもあり、クラブのアームでは掘ることはできない。

 アルビンは止むなく応援を要請して後日出直す決定をした。

 彼らがその場を後にして大体3時間くらいが経過した時温度が高い所あたりで小さな機械音が聴こえた。その後、ボクボクと土を掘る音がしてそしてボコッと土が崩れたかと思うと一体のクラブが姿を現した。

 クラブは通常2体以上いる場合、無線で情報のやり取りをするのだがそこに現れたクラブからは線が繋がっており無線機能は使用されていないようである。

 最初の一体に続いて次から次へとクラブが現れた。

 それらのクラブは土壌の柔らかい所を探索し瞬く間にさらに地中へと穴を掘り始めた。

 掘り出した土砂はクラブが現れた地点に運び込みそれから深夜までクラブは働き続け最後にその穴に数体を残してクラブは移動し、残ったものは元の場所に戻って穴を塞いで何もなかったかのようにしてしまった。



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