12月25日①
12月25日
久しぶり。と言っても、君と会わなくなってからそれほど月日は経った気はしていません。手紙もこの通り、ちゃんと届いているよ。
僕は元気です。君は元気かな。食べることが唯一の趣味と言っていい君のことだ。糧食だけで辛い日々を送っているのではないかと、心配しています。いくらお腹が減っているからって、他の人のご飯を盗ったらダメだよ。僕みたいに小食の友人──そう、まだ友人だ。時系列は大切に──を見つけることだ。そうすれば分けて貰える。
さて、君は僕のことを甘く見すぎな節がある。いくら僕だって、君から手紙が届けばすぐに読む。これだって、受け取ってすぐに筆を執った。嬉しいんだ、ぶっきらぼうな君が手紙なんて出してくれていたのが。戦争は人を変えてしまうというけれど、この変化は嬉しい。
でも、そして、僕が君の立場だったら、とてももどかしい気持ちになっていると思います。
本当は電子メールで飛ばせられたらすぐに届くのに、と。そうすれば、待つ必要がないのに。わかっています、情報統制などの関係で難しいのでしょう。
それと、生きることを諦めないで欲しい。僕と一緒にいる時は、弱気で臆病な僕の背中をよく叩いてくれている君がいなくなるのは寂しい。生きてまた僕の背中を叩いてくれることを望みます。
手紙だと、素直に言葉に出来ます。文章を仕事にしているくせに、今更ながらに発見しました。ありがとう。君のおかげだ。
次の手紙も返事を書きます。本当はまとめて書いてもいいのだけれど。1通1通に返事をしたいと思うのは感傷かな。
名前は、どうだろ。君はどう思う?
それでは、お元気で。
PS.僕は選抜に落ちたんじゃないよ。選抜落ちが決まる前に別の仕事を与えられたんだ。戦史研究課。僕が深度深い情報ベースにアクセスできるのもそのおかげ。
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