錬金術師の新薬ポーション
ディメンションポータルを抜けると、防衛兵器が激しく砲撃している様子がうかがえた。
だが、そのタイミングでブラックエンペラードラゴンの吐く黒煙によって大砲は破壊された。なんて凄まじい破壊力だ……。
一撃で大砲十門近くを壊滅させるとは……!
俺が大量に設置した大砲がほとんど消されていた。
幸い、魔導レーザー砲だけは生きているが。さすがに耐久値が異常に高いだけあり、一撃で破壊されることはなかった。
「ただいま追いつきました、ラスティさん!」
ポータルから現れるスコル。ハヴァマールやストレルカもやってきた。そして、最後にテオドールとエドゥが歩いてきた。
「これは酷いな」
防衛兵器が粉々になっている有様を見てテオドールは、顔が引きつっていた。俺も同じ感想だ。
「ここには一体のブラックエンペラードラゴンが確認できる。今、魔導レーザー砲で対応しているが、いつまで持つか」
「あれだけの魔導レーザーを受けても倒せないとはね」
こりゃ参ったねとテオドールは頭を抱えた。
本当にその通りだ。あのドラゴンは一筋縄ではいかない……。
「エドゥ、ソウルリフレクターでみんなを守りつつ援護してくれ」
「了解しました」
「スコルとハヴァマールは支援と補助を頼む」
「分かりました、ラスティさん」
「任せるのだ、兄上」
あとはテオドールとストレルカだが。
「ストレルカは大精霊で対応を」
「もちろんです。オケアノスなら死ぬことはありません。ですが、ダメージを受けて体力が尽きればしばらくは戦えません」
「その時はすぐに後退してくれ」
「ええ、ですがそう簡単には引きませんよ。今こそオケアノスの力を示す時です!」
魔法陣を展開するストレルカは、大精霊・オケアノスを召喚した。
ウォーターシールドを展開し、さらなる防御を固めてくれた。そうか、水の盾があったな!
「これなら、ソウルリフレクターと合わせてかなり固いぞ」
感心しているとストレルカは、オケアノスに命令を下した。
「オケアノス! さらに、大魔法メイルシュトロームとタイダルウェーブ!!」
水属性の巨大な渦と大波が形成され、それがブラックエンペラードラゴン目掛けて押し寄せていく。こりゃ、すげぇ……!
だが、ブラックエンペラードラゴンは高速飛翔して回避した。なんて動きをしやがる!
「くそっ……避けられたか」
「申し訳ありません、ラスティ様」
「いや、ストレルカは引き続き応戦を頼む」
「はいっ」
さて、あとは……。
「なんだい、ラスティ。私はテイマーであり、ブラックスミスであり……本業はアルケミスト。なんでも出来るよ~」
余裕の表情を見せるテオドールだが、いやいや! お前はテイマーが本業だろうが!? まあ、トリプルジョブなのでどれも本業だろうけどね。嫁も三人いるし!
「じゃあ、あのブラックエンペラードラゴンを何とかしてくれ」
「そんな無茶を……と、言いたいところだが、試したい“新薬”がある」
「新薬ぅ?」
懐から怪しげな液体が入ったポーションを取り出すテオドール。それを投球フォームで投げつけた。ちょ、投げるのかよ。しかも爆速で飛んでいったぞ!
『――ピュウウウウウウウウウウウウンッ!!』
なんて音が響くくらい、物凄い速さでぶっ飛んでドラゴンに命中する前に大爆発を引き起こした。
『ドオオオオオオオオオオオオオオオオ……!!!』
……うわッ!!!
なんて爆発だ。こんな爆弾ポーションを作っていたなんて、危なすぎるけど今は許す!
「ドラゴンはどうなった……?」
空を見てみると、そこには……元気に飛ぶブラックエンペラードラゴンの姿があった。
「あっ……しまった! 調合を失敗したか」
「うぉい、テオドール!!」
「すまない。打つ手なしだ。ちなみに新薬は爆発ではなく、強力な酸で溶解する予定だった」
「おま!!」
倒せるような気配を漂わせておいて、それかよぉぉ!!
結局俺が何とかするしかないんだな。
ゲイルチュールをヴェラチュールに変更した。
この距離だから槍型の方がいい。
さらにスコルから支援スキルを施してもらい、俺は力を上昇させた。
まずはこれで様子を見る……!
『……グウウウゥゥ!!』
ブラックエンペラードラゴンも俺に狙いを定め、黒煙を吐いてくる。ならこっちは、これだ。
「いけええええええええ、サンダーストーム!!!」
風属性を乗せ、俺はヴェラチュールを
高速飛翔する槍は、黒煙を薙ぎ払いそのままブラックエンペラードラゴンの体に命中した……!
これで!!
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